ぶなしめじとその栄養成分や効果効能
|スッキリサポート&疲労回復や美肌のお手伝いにも♪

食べ物辞典:ブナシメジ

食卓に登場する機会の多いブナシメジ。小ぶりなサイズとコロンとしたカサの形状が特徴的なキノコで、風味の主張が強すぎず様々な料理に加えやすいことも魅力です。100gあたり18kcalと低カロリーで食物繊維がたっぷりなのも嬉しいポイントですね。元気な体を支えてくれる成分として注目されているβグルカンやビタミンDの補給源としても役立ちますし、アミノ酸やビタミンB群を含むことから疲労回復や美肌サポーターとしても期待されています。そんなブナシメジの栄養価や期待される効果、ホンシメジとの違いなどを詳しくご紹介します。

ぶなしめじのイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:ぶなしめじ(橅占地/橅湿地)
英語:buna-shimeji/brown beech mushroom

ぶなしめじのプロフイール

ブナシメジとは

スーパーのキノコ売り場でもお馴染みのぶなじめじ。生産量はエノキに次いで日本で二番目に多いことが報じられている、日本の食卓では定番中の定番と言えるキノコですね。キノコらしい風味もありますが主張が強すぎず、炒め物やお鍋・サラダ・パスタなど合わないものを探すほうが難しいと言っても過言ではないほど汎用性が高い食材でもあります。

普段、ブナシメジのことを単に「しめじ」と呼ぶこともありますが、シメジという呼び名は複数のキノコを含んでいるため注意が必要。通年スーパーで100円前後で販売されており、家庭で最も良く食べられている写真のようなキノコがブナシメジです。ブナジメジはシメジ科シロタモギタケ属に分類されるキノコ。ブナの木に群生することが呼び名の由来ですが、ブナ以外の木からも生えてきますよ。他のキノコ類と同じく、通年安価で購入できるブナシメジは菌床栽培されたもので、天然のブナシメジとは形状も違います。

流通量が多いこともあって一般的にブナシメジを「しめじ」と呼ぶことが大半ですが、もう一つのシメジとしてシメジ科シメジ属のホンシメジ(学名 Lyophyllum shimeji/大黒シメジとも)があります。キノコの味の表現として使われる“香りマツタケ、味シメジ”の「しめじ」はこのホンシメジを指しており、キノコ類の中でもグルタミン酸などの旨味成分が多いことが特徴とされています。ホンシメジは屈指の旨味を持ち、21世紀に入るまで人工栽培が出来ず希少だったこともあって高級キノコとして扱われていました。現在は菌床人工栽培が行われていますが、天然物のほうが旨味が強いという評価も少なくありません。

同じ「しめじ」ではありますが、ブナシメジとホンシメジは別物。分類されている“属”も違いますし、ブナシメジは朽木や倒木など死んだ木から生えてくる木材腐朽菌のキノコ、ホンシメジは生きている植物と共存する菌根菌のキノコという違いもあります。風味にも違いがあるのですが、一時期はブナシメジを人工栽培したものが「ホンシメジ」という商品名で販売されていたこともあり、名称が混ざって紛らわしい状態になってしまったのだとか。

ちなみに“ブナピー”など「白しめじ」と呼ばれているキノコは、ブナシメジを品種改良したもの。ブナピーは開発者であるホクト株式会社さんが付けた商品名であり、商標。大規模に栽培されているブナシメジ類はクセのない食味で、一年中ほぼ同じ価格で販売されている家計の味方でもあります。ブラウンのブナシメジも、白いブナシメジも、どちらも幅広く利用することが出来ますが、ホワイトブナシメジはツルリとした食感でキノコっぽい風味も少なめ。あっさりとした味にしたい時やキノコの主張を押さえたい時、色味を綺麗に統一したいときなどに使われることが多いようです。

ブナシメジの歴史

ブナシメジは北半球温帯以北、特にアジア圏に多く見られるキノコです日本でも北は北海道、南は九州までとほぼ全域に分布しています。ブナの木に限らず様々な朽木から生えてきますし、広い範囲に自生していたと考えられるキノコではありますが、古い時代に食用として親しまれていたという食材ではないようです。ヒラタケや松茸などの場合は平安時代などの文献にも記述が見られますが、ブナシメジについての記載は調べた限り見つけられませんでした。

ブナシメジが食用キノコとして普及するようになったのは、1970年にタカラバイオ株式会社さんがブナシメジ人工栽培が成功してからのこと。このブナシメジの栽培は世界初成功で、1970年代後半事になると本格的な栽培が行われるようになりました。現在でも別のキノコであるシメジとホンシメジが共に「しめじ」と呼ばれていて面倒なことになっていますが、この当時はさらに面倒だったそう。

なぜならば、ブナシメジよりも先に人工栽培に成功していたヒラタケ(平茸)、これをビン栽培して株立ち状にしたものが「しめじ」もしくは「○○シメジ」という商品名で販売されていたため。これに対抗するかのように栽培ブナシメジは「本しめじ」という商品名で販売されたました。古くから“味しめじ”と称えられていたホンシメジは当時まだ栽培に成功していなかったこともあり、栽培キノコが「しめじ」の名の争奪戦のような状態になってしまったそう。結果ホンシメジの威を借りつつ、当時の技術では平茸よりも日持ち・食味が良かったブナシメジが人気を得て「しめじ」と言えばブナシメジを連想させるまでに定着しました。

人気の高級魚「」にあやかろうと魚でも〇〇タイという呼び名が付けられたものが多いですが、キノコの場合は“あやかり鯛”ではなく“あやかりシメジ”だったわけですね。1990年代に入ると品質表示についての規制が厳しくなり、こうした消費者に誤解を与える表記はなくなりました。現在はきちんとヒラタケやブナシメジなど分類学に基づいた和名が表記されるようになっています。ちなみにヒラタケはブナシメジの仲間として紹介されていることもありますが、ヒラタケはヒラタケ科ヒラタケ属のキノコ。ホンシメジやブナシメジはシメジ科ですから仲間というのは無理があるように感じます。正しく表記してくれるようになって何よりです。

ぶなしめじの栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ブナシメジも他のキノコ類と同様に食物繊維が多く、100gあたり18kcalと低カロリーな食材です。ミネラルはさほど多くありませんが、ビタミンB群が比較的多いこと・ビタミンDやβグルカンを含んでいることから疲労回復や丈夫な体作りのサポートが期待されています。またキノコ類の中でもオルニチンやGABAなどのアミノ酸を多く含んでいることも注目されていますよ。

ぶなしめじのパスタイメージ画像

ブナシメジの効果効能、その根拠・理由とは?

便秘予防・改善に

キノコに期待できる健康メリットと言えば、便通改善を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ブナシメジもエノキなどと同じく食物繊維がしっかりと含まれており、様々な料理に使いやすいこともあって食物繊維補給源として適した食材と考えられています。ブナシメジ(生)100gあたりの食物繊維量は3.7gで、実は繊維感の強いエリンギよりも上。含まれている食物繊維の大半が不溶性食物繊維のため、腸の蠕動運動を促す・腸内の老廃物を巻き込んで排出してくれる働きが強いと考えられます。便秘改善や腸のお掃除・デトックスをサポートしてくれる食材と言われるのはこのためですね。

加えてブナシメジにもキノコ類の特徴成分の一つとされる高分子多糖体のβ-グルカンが含まれています。β-グルカンは不溶性食物繊維の一種として扱われていますが、腸内の善玉菌を増やすなど水溶性食物繊維と重なるような働きも報告されている成分。この働きから便通を整えるだけではなく、腸内環境を整えてくれる成分としても注目されていますよ。ただし不溶性食物繊維は食べる過ぎると下痢をしたり、便を固くしてしまう場合もあります。丁度良い量には個人差がありますから、便秘解消のためと大量に食べず、バランスの良い食事を心がけて下さいね。

骨や歯の保持・骨粗鬆症予防に

しいたけ舞茸など他キノコ類と同じくブナシメジもビタミンDを含む食材として、骨や歯を丈夫に保つ働きが期待されていますビタミンDは小腸や腎臓でカルシウムとリンの吸収促進・血中カルシウム濃度を保つなど、カルシウムの吸収や保持をサポートしてくれる栄養素。カルシウム吸収を助ける働きがありますから、高齢化に伴い増加する骨粗鬆症の予防に役立つビタミンとしてビタミンKと共に注目されている栄養素でもあります。もちろん骨粗鬆症予防だけではなく、お子さんの成長サポートとしてや、カルシウムを効率的に補給したい場合にも期待できます。

ビタミンDは食品から摂取しなくても、日光を浴びるとヒトの体内で合成されるビタミン。このためかつては意識的に摂取しなくとも極端に不足することはない栄養素と考えられてきましたが、近年は日光を浴びる機会が少ない方・紫外線を極度に避ける方が増えたことでビタミンD合成が不十分であることが指摘されています。このため現代ではビタミンDを食品から摂取して補う必要があるという見解が多くなっています。

『日本食品標準成分表(七訂)』に記載されているブナシメジ100gあたりのビタミンD含有量は0.6μgとキノコ類では中間ポジション。ですが、他キノコ類と同じく紫外線に当たることでビタミンDに変化するエルゴステロール(エルゴステリン)と呼ばれるステロールが含まれていますから、30分~1時間程度日干しすることでエルゴステロールを変化させてビタミンDを更に増やすことが出来ます。紫外線に当たりたくないという方は代わりにブナシメジに日光浴をしてもらって、それを食べることでビタミンDを補給できるでしょう。カルシウムはほとんど含まれていませんので、骨粗鬆症予防を心がけている場合はカルシウムが豊富な食材と組み合わせて食べてみて下さい。

ストレス抵抗力アップに

ブナシメジに含まれているビタミンDはカルシウムの吸収を助けることで、神経や精神を健やかに保つ手助けをしていると考えられています。カルシウムは歯や歯の構成物質であるだけではなく神経機能の保持にも関係しているミネラルで、不足すると神経・精神面の不調を引き起こす可能性があることも指摘されています。カルシウムを補給していてもビタミンDが慢性的に不足するとカルシウムの吸収・保持が上手く行えず、イライラや無気力・抑うつ症状などを引き起こすという見解もあるんです。

このためビタミンDとカルシウムを一緒に摂取することで、気持ちの乱れを防ぐことに繋がるのではないかと考えられています。また、ホクト株式会社さんからはブナシメジにGABAが多く含まれていることも発表されています。GABAは神経の興奮を落ち着ける働きがあり、リラックス効果を持つアミノ酸として注目されている成分。ブナシメジには脳神経の働きを助けるナイアシンや副腎皮質ホルモン(抗ストレスホルモン)の合成に関わるパントテン酸などのビタミンB群も含まれています。こうした成分を補給できることから、ブナシメジはストレス抵抗力を高めたり、イライラを予防する手助けをしてくれるのではないかと考えられています。

疲労回復・二日酔い予防に

ブナシメジはアンモニア代謝を促すグルタミン酸、疲労回復効果が期待されるアスパラギン酸やアルギニンなどのアミノ酸を含んでいます。肝臓機能を高めて疲労回復を促してくれるオルニチンも含むことから、疲労回復をサポートしてくれるのではないかという説もあります。ストレス対策としても期待できることや、代謝を促してくれるビタミンB群の補給からも、疲労や疲労感の軽減に繋がるでしょう。アルコール分解に関わるナイアシンや肝機能をサポートするオルニチンが含まれているため二日酔い対策としても期待できます。

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免疫力向上・風邪予防に

キノコ類に含まれているβグルカンは食物繊維として便通や腸内環境を整えるだけではなく、腸内の免疫細胞に働きかけることで免疫機能を高める働きがあることも報告されています。マウスを使った実験ではブナシメジに抗インフルエンザ感染作用が見られたことも報告されており、定期的に摂取することで免疫力を整え、風邪やインフルエンザに罹りにくい体作りをサポートしてくれるのではないかと期待されています。ブナシメジには呼吸器の粘膜保持に必要なビタミンB2やB6も含まれていますし、抗酸化作用や抗アレルギー作用を持つ可能性も報告されていますよ。

加えてビタミンDも骨や歯の健康維持だけではなく、免疫バランスを調節する役割を持つ可能性が報告されている栄養素。東京慈恵会医科大ら国際共同研究チームからはビタミンD欠乏を改善することでインフルエンザ発症率が減少することが報告されており、世界的にもインフルエンザやアレルギー疾患発症との関係が研究されいます。β-グルカンもビタミンDも現在進行系で研究が進められている成分。作用について立証されているものではありませんが、食材から自然な形でこうした成分を補給できるキノコ類は免疫機能をサポートしてくれる可能性が高い食材として注目されています。ブナシメジなどのキノコ類は価格が安定していて、調理法の幅も広いのて定期的に食べられるというのも魅力ですね。

肥満予防・ダイエットサポートに

ブナシメジは100gあたり18kcalと低カロリーで、GI値も27と非常に低い食材。様々な料理に加えることが出来る食材でもありますから、ダイエット中のお食事にも適した食材と言えます。食物繊維量が多いので便秘の予防にも役立ちますし、不溶性食物繊維はお腹の中で水分を吸って膨らむので満腹感を継続させてくれるというメリットもありますよ。100gあたり380mgとカリウムも多めなので、むくみ予防にも繋がります。

また食事やカロリーを抑えてくれるだけではなく、ブナシメジには糖質の代謝をサポートするビタミンB1・脂質の代謝を促進するビタミンB2も含まれています。キノコ類の中でもトップクラスに入るほど豊富なナイアシンも3大栄養素(糖質・たんぱく質・脂質)の代謝に関わるビタミンB群の仲間。オルニチンなどのアミノ酸も代謝を高めて体脂肪分解を促す働きが期待されていますから、運動と組み合わせるとダイエットの成果を出やすくする手助けもしてくれるでしょう。

肌荒れ予防・美肌作りに

ブナシメジに多く含まれているナイアシンは皮膚の新陳代謝を正常に保ち皮膚の健康を維持したり、血管を拡張することで血液循環を促す働きがあります。血行が良くなることでクマ・くすみの軽減に、肌に酸素や栄養素を行き渡らせることからも肌の状態やターンオーバーを整えることに繋がるでしょう。ビタミンB2は皮膚や粘膜の健康維持・脂性肌予防など、ナイアシンだけではなくビタミンB群はそれぞれ皮膚の健康維持に関わりの深い栄養素。ブナシメジはビタミンB群を広く含んでいることから、肌荒れを軽減し、お肌を綺麗に保つ手助けをしてくれる食材と言えます。

そのほかオルニチンも肝臓機能を高めることで、コラーゲン生成や肌の新陳代謝を高める働きが期待されています。同じく間接的にではありますが、便秘改善も肌荒れや吹き出物の予防になり、腸内環境を整えることからも栄養素の吸収が高まる・腸内合成されるビタミン増加などのメリットがありますよ。ビタミンB群は髪や爪の健康維持にも関わってきますから、ダイエットだけではなく美肌・美髪などの面でも心強い食材ですね。

目的別、ブナシメジのおすすめ食べ合わせ

ぶなしめじの選び方・食べ方・注意点

ブナシメジに多く含まれているビタミンB群は水溶性の栄養素のため、下処理の際に水でガッツリ洗ってしまうと栄養が損なわれてしまします。数百円で販売されているものは管理された工場内で菌床栽培されたもので、衛生管理もしっかりされているため洗わなくても使用できます。生産者の方もも洗わないことを推奨していることがほとんどで、石づきの部分を切り落として硬く絞った布巾で拭き取る程度で使用しても問題ありません。しっかりと洗ってしまうと風味も落ちてしまいますから、洗いたい場合もさっと流す程度をお勧めします。

ブナシメジの選び方・保存方法

ブナシメジを選ぶときは、カサ部分がぷっくりと丸く膨らんでいるもの・軸が太く短めのものを。全体的に弾力・ハリが感じられ、ふっくらした印象のあるものを選びます。カサの表の色は栽培環境によっても変わるため鮮度や味にあまり影響しないと言われていますが、一部分だけ変色したように白っぽくなっているものは避けた方が無難。カサの縁が外側に開いてきていたり、裏側の白いヒダ状の部分が変色している場合は鮮度が落ちているので避けましょう。

また株の状態で販売されているものであれば、複数の株が入っているものではなく、一株で根分かれしているものの方が味がしっかりしていると言われています。切り離した状態で売られているものは鮮度が落ちやすいので、その日中に食べないのであれば避けたほうが良いでしょう。包装している袋やパックの内側に水滴がついているものも、鮮度が落ちている可能性がありますし、そのまま保存してしまうと痛みが早くなります。

ブナシメジはキノコ類の中でも痛みが早い部類。冷蔵庫での保存は3日程度が目安とされていますが、出来るだけ早く使い切りたい食材でもあります。他のきのこ同様水気に弱いので、パックの内側に水滴が見えてきた場合は水分を拭き取ってからキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫に入れてあげて下さい。数日中に使用しない場合は石づきを切り落として、使いやすい大きさに分けてから冷凍庫へ。冷凍したブナシメジを料理に使用する場合は解凍せず、そのまま加熱して使います。

参考元:世界の健康食”きのこ”|ホクト株式会社必見!キノコに秘められた大きな健康効果のまとめ|農畜産物|長野県のおいしい食べ方ぶなしめじ