シジミ(蜆貝)とその栄養成分・効果効能
|オルニチンは肝臓サポートのほか美容面にも♪

食べ物辞典:シジミ

日本では二日酔いレスキュー・肝臓サポートに繋がる食材として親しまれてきたシジミ。江戸時代から「お酒を飲んだ後にはしじみ汁」と言われ、現在もシジミエキスやシジミ由来のオルニチンを配合したサプリメント類は安定した人気を誇っています。代表成分と言える“オルニチン”には肝臓機能をサポートする働きが報告されていますし、成長ホルモン分泌量増加・コラーゲンを構成するプロリンの生成促進などに繋がる可能性も。それ以外にもアミノ酸や鉄分・ビタミンBなどを豊富に含むシジミの栄養効果、食用の歴史などを詳しくご紹介します。

蜆(しじみ)のイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:蜆(しじみ)
英語:shijimi clam/ little freshwater clamなど

蜆(しじみ)のプロフイール

シジミとは

しじみというとキャンプなどに行った際に“シジミ狩り(シジミ採り)”の記憶がある方もいらっしゃるかもしれません。シジミ狩りは夏の風物詩・イベントとして知られていますし「夏のしじみは腹薬」という言葉もありますね。しかし、シジミ自体は年中獲れる貝。旬の時期についても身が絞まった冬のシジミ「寒しじみ」が美味しいとか、初夏くらいまで(産卵前)が栄養を体に蓄えていて美味しいなど諸説あります。江戸時代の『料理秘伝記』には「十二月より三月迄よし」と書かれていますし、真夏のしじみについては美味しいのではなく体を整えるのに役立つためと考えられますから、現在は冬~春がシジミの美味しい時期と考える方が多いようです。

…とは言っても、シジミの味については魚や牡蠣などのように激しい差はありませんので、旬にこだわらずとも通年美味しく頂ける食材ではあるでしょう。しじみはアサリと並ぶお味噌汁の具の定番で“しじみ汁”の印象が強い方も多いはず。それ以外にも佃煮や酒蒸し・パスタなどにも使うことが出来ます。ちなみに韓国や台湾でも薬効のある食材として伝統的に食されているそうで、薬膳料理にも利用されていますよ。

ちなみに「しじみ」という言葉はシジミ科に属す二枚貝の総称で、食用二枚貝類の中では小さく、殻が縮んで見えることから“縮み”と呼ばれていたことが名前の由来とされています。日本本土の在来種としてはシジミ科シジミ属のヤマトシジミ(大和蜆)、マシジミ(真蜆)、セタシジミ(瀬田蜆)の三種類があります。TVなどで取り上げられる沖縄の手のひらサイズの巨大シジミはマングローブシジミ属(ヒルギシジミ属)という別属のもので、私達が普段食べているしじみが巨大化したものというわけではありません。

日本で一般的に流通している“しじみ”はヤマトシジミで、北海道から九州までとほぼ日本全域で獲られています。ヤマトシジミの特徴としては貝殻の表の輪脈が浅め・殻の内側が白紫色をしていることが挙げられます。対してマシジミとセタシジミは淡水性で、どちらも貝殻の内側の色が紫色っぽいことが特徴。マシジミはかつて本州・九州・四国に広く分布していましたが、現在は外来種であるタイワンシジミ類の侵入・化学肥料や農薬の影響・コンクリートによる護岸などの影響でほとんど見ることは出来ないそう。セタシジミは滋賀県琵琶湖の固有種(現在は秋田県八郎潟や諏訪湖などにも移植されている)で、三種のしじみの中で味が最も良いとも言われています。

シジミの歴史

しじみがいつから食用とされたかは定かではありませんが、縄文時代の多くの貝塚からシジミ貝殻が出土しているため1万年以上前から既に食用とされていたと考えられています。中でも富山県にある“蜆ヶ森(しじみがもり)貝塚”はその名前の通りシジミの貝殻が大半を占めていることが知られていますし、セタシジミの産地である琵琶湖にある粟津湖底遺跡なども有名ですね。現代でいう潮干狩り感覚で比較的簡単に、漁労や槍などを使う狩猟などと比べて安定した量を獲ることが出来たこともしじみが多く食べられていた要因と言えます。

文献としては奈良時代末期に成立した『万葉集』の恋の歌で“四時美(しじみ)”として登場します。四時美という漢字は「春夏秋冬どの季節でも美味しく食べられること」からこう書かれるようになったと言われていますから、奈良時代においても身近な食材だったと言えるでしょう。中国や韓国でもしじみの食用文化は古くからあったと伝えられています。薬学書『本草綱目』でもしじみは熱を冷ます・目を明るくする・酒毒を治すなどの薬効があると記載されており、肝に良い食材(補肝)と食されていたそうです。

日本でも江戸時代になると『食品国家』や『本朝食鑑』などの書物には同じように“二日酔いに良い”や“黄疸に効く”という効能が書かれるようになり、夏に弱った肝臓を回復させることで夏バテ用としても親しまれていました。また、江戸には○○売りと呼ばれる声をかけながら食材を売り歩く仕事が多くありました。蜆売りもその代表の一つで、蜆は豆腐と並んでお味噌汁の具として一般的だったため、朝に長屋周りに蜆売りが来るというのも日常的な光景だったそうです。また現在のように漁業権などが定められていなかったため、深川・佃島あたりの貧しい子どもたちが自分達で獲ったしじみを売って家計を助けることも多かったようです。

川柳でも「佃から十五童子の蜆売り」など子どもの売りを描いたものがありますし、一方で「蜆売り、黄色なつらに高く売り」という黄疸が出ているような病人にしじみを高く売りつけていることを揶揄したものもあります。江戸庶民は漢方の知識だけではなく経験的に、二日酔いや肝臓の不調にしじみが良いことを知っていたのかもしれません。

蜆(しじみ)の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

しじみは三大栄養素の中ではタンパク質含有量が高く、アミノ酸スコアも貝類の平均が70~80とされる中でシジミは“100(※95とする説もあり)”とされていますから、良質のタンパク補給源と言えるでしょう。ビタミンB群(特にビタミンB2とB12)や鉄分の含有率が高く、ビタミンEやカルシウムなどのミネラルもしっかりと含んでいます。カロリーは100gあたりの51kcalと貝類の中でも低カロリーな部類に属します。

しじみの味噌汁イメージ

シジミの効果効能、その根拠・理由とは?

肝機能サポートに

しじみに期待できる健康メリットとしてよく紹介されるのが“肝臓疲労の回復”や“二日酔いの予防”などの肝機能を高める働きです。しじみには肝機能保持や肝臓の修復・アルコール分解に必要なアミノ酸アラニンや、肝臓の老廃物や脂肪・毒素を体の外に排出させるメチオニンなどのアミノ酸が含まれています。しじみの代表成分とも言える非必須アミノ酸のオルニチンも肝臓でアンモニアを尿素などへと無毒化する過程であるオルニチンサイクル(尿素回路)に働きかけ、アンモニア分解を促進する働きがあります。加えてアラニンをサポートする働きもありますので、肝機能の改善やアルコール分解を助けてくれるでしょう。

お酒を飲んだ翌日の口臭・体臭についても血中のアセトアルデヒド濃度が高くなることが主原因とされていますし、アンモニアもまた体臭や口臭の原因物質として知られています。シジミには上記のアミノ酸以外にも、アルコールの無毒化(分解)過程で発生する“アセトアルデヒド”の分解を高めるタウリン、アルコール脱水酵素がアルコールを分解するときに必要とされる亜鉛なども含まれています。アセトアルデヒドやアンモニアの分解を助ける成分が豊富な「しじみの味噌汁」は飲んだ後の気分の悪さだけではなく、ニオイ対策に繋がる可能性もありますね。

疲労回復・体力増強に

しじみに含まれているオルニチンはアンモニアの代謝(無毒化)を行うオルニチンサイクルを活発化してくれます。アンモニアはエネルギー代謝などで自然に生じる老廃物ですが、過剰に発生する・無毒化が遅れてしまうと全身の疲労感の原因となります。うま味成分であるグルタミン酸にもアンモニアと結合して無毒化する性質があり、脳疲労などの改善に役立つと言われています。アンモニア分解を促すことでも疲労感の改善が期待できますし、オルニチンは成長ホルモンの分泌を促進することで細胞の新陳代謝を高める働きもあります。

シジミはアミノ酸スコアが高いだけにBCAA=イソロイシン、バリン、ロイシンをはじめグルタミン酸・アスパラギン酸・タウリンなど疲労回復や体力増強に役立つとされるアミノ酸も豊富に含んでいますし、ビタミンB群やマグネシウムなどのエネルギー代謝を助ける栄養成分もバランス良く含有しています。これらが相乗して疲弊した細胞を回復・新生させることからも疲労回復効果が期待できます。体力を高めたい方や筋肉を付けたい方にも役立ってくれるでしょう。

ストレス対策・精神安定にも期待

肉体的な疲労もしくはアンモニアなどの毒素滞留による疲労感の改善効果が期待できるしじみは、疲労からくるストレスの改善にも役立ってくれます。実験ではオルニチンを摂取した後はストレスマーカーとして利用されるホルモン「コルチゾール」の分泌量に改善が見られた・メンタルストレス軽減効果や睡眠改善効果が見られたことも報告されています。このことからオルニチンは精神的なストレスの緩和や情緒不安定さの改善などにも役立つと考えられ、うつ病の予防改善などにも効果が期待されています。

しじみにはオルニチンだけではなく、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の材料となるメチオニンなどのアミノ酸、神経伝達物質の合成を助ける亜鉛やビタミンB12も豊富に含まれています。このため神経伝達物質の不足による不安定さや集中力・記憶力低下を予防して脳を活性化する働きも期待できます。また100gあたりのカルシウム含有量も130mgハマグリと共に貝類トップクラスですから、神経の過剰な興奮を抑制しイライラや神経過敏の予防にも役立ってくれるでしょう。

貧血予防・冷え性軽減に

オルニチンなどのアミノ酸類にばかり注目されがちですが、しじみは100gあたり5.3mgと鉄分が魚介類トップクラスの貝です。貧血予防には牡蠣のイメージがありますが、同グラムあたりの鉄分含有量で比較するとシジミの鉄分量は牡蠣の2.5倍以上。実際の摂取量としては少なくなりますが、味噌汁の具や佃煮などで少々ずつ摂取しても不足しがちな鉄分補給を助け、鉄欠乏性貧血の予防を手助けしてくれると考えられます。

また丈夫な赤血球膜の合成に必要な亜鉛、造血に関わるビタミンB12や銅などもしじみにはバランス良く含まれています。葉酸がやや少ないので、ミネラルの吸収を高めるビタミンCと葉酸を含む野菜類と組み合わせて摂取する効果的でしょう。シジミにはアミノ酸の他にも末梢血管を拡張するビタミンEなど体内循環や代謝に関わるビタミン・ミネラルも含まれていますから、血行不良の影響から起こる不調の軽減にも期待できます。オルニチンなどアミノ酸類の働きによって肝機能が整うことは基礎代謝向上・体温維持機能にも繋がりますから、冷え性の方にもおすすめの食材と言えますね。

妊活・妊娠中のサポートにも

亜鉛は生殖機能の保持や向上にも関わるミネラルで、男性の場合は男性ホルモンのテストステロンや精子の原料として利用されますし、女性であれば卵胞刺激ホルモン(エストロゲン)・黄体形成ホルモン(プロゲステロン)の分泌に関与しています。このため亜鉛は男性であれば精力減退・精子量減少・勃起不全などの生殖器トラブルの予防改善に、女性の場合はホルモンバランス調整・月経周期の安定化などに役立つと考えられており、妊活にも役立つミネラルとしてサプリメントなどに配合されています。また亜鉛は胎児の健康な成長(細胞分裂)にも必要とされる栄養素でもありますよ。

しじみの亜鉛含有量は100gあたり2.1mgと牡蠣などに比べると少ないですが、亜鉛とともに妊娠中に必要とされる鉄分やカルシウムなどのミネラルを豊富に含んでいます。しじみは大量に食べることは少ない貝ですし、ミネラルのバランスが良いので妊娠中の栄養源としても取り入れられています。オルニチンによる疲労回復やストレス軽減効果も期待できるので、妊活のプレッシャーや妊娠中の心身の不調緩和にも役立ってくれるかもしれません。

老化・生活習慣病予防に

しじみに含まれているオルニチンは体内で「ポリアミン」というタンパク質を合成する働きが報告されています。ポリアミンは細胞新生に必要不可欠な成分で、新陳代謝を促進することで老化予防に繋がると考えられています。オルニチン以外にシジミには抗酸化酵素(グルタチオン)活性化作用があると報告されているタウリン、セレンをサポートして抗酸化力を高める働きのあるメチオニンなども豊富。

加えてメチオニンは肝臓の脂肪排出を促すことで、高血圧・高脂血症・動脈硬化・糖尿病などの生活習慣病を引き起こす原因となる脂肪肝の予防に役立つと注目されている成分でもあります。加えて抗酸化力が高まることで血液・血管の状態を正常化する働きも期待できますし、オルニチンやメチオニンは成長ホルモンの分泌を促すことで脂肪分解を促進する働きがあるとされています。このためしじみはメタボリックシンドロームや動脈硬化ほか生活習慣病予防予防としても効果が期待されています。

ダイエットのサポートにも

研究ではオルニチンを摂取した方が睡眠中の成長ホルモン分泌量が多くなることが報告されています。成長ホルモンは筋肉量増加や脂肪燃焼促進効果があると考えられていますから、適度な運動と合わせてしじみを摂取することで筋肉量をアップさせたり脂肪を減らす働きがあるのではないかと期待されています。アミノ酸スコアが100とされるようにオルニチン以外にも必須アミノ酸ほか様々なアミノ酸を含んでいますし、糖質・脂質含有量が少ない食材であることもダイエット向きと言えますね。

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風邪予防・免疫サポート

オルニチンは肝臓の解毒機能(オルニチンサイクル)を助けることで肝臓の疲労回復や機能を高め、免疫力を高めることにも繋がると考えられています。またストレス軽減や疲労回復効果も間接的に免疫力向上効果があると考えられていますし、より直接的に免疫体の「マクロファージ」を活発化させる事も報告されています。このためオルニチンは肝臓とマクロファージの両方に働きかけることで免疫力を高める働きがあると考えられています。

加えてシジミに多く含まれている亜鉛もまた、抗酸化酵素(SOD酵素)の原料となる・粘膜の健康を維持するつビタミンAを体の中に留めるなどの働きがあり免疫力の保持に必要なミネラルです。しじみにはその他にも免疫力の保持に関わるビタミンやミネラル、免疫細胞の主原料であるタンパク質(アミノ酸)も含まれています。オルニチンと相乗して免疫力低下を防ぐ・免疫力アップ効果が期待できるため、しじみは風邪やインフルエンザ予防にも役立つと考えられます。

視機能の保護・回復に

しじみには目の疲れを防ぐ効果があるとされるビタミンB群成長ホルモンの分泌を促すオルニチンなどのアミノ酸が含まれています。成長ホルモンは傷ついた細胞を修復する働きがあるため、目の細胞の傷や痛みなどの修復にも効果が期待できます。またタウリンも網膜の光受容体(光を完治して脳に伝える細胞)に存在し、網膜を刺激から守っている存在です。目の負担軽減・疲労回復などに役立つほか、目の新陳代謝を活発にする・角膜の修復を助けるという報告もあります。

このため、しじみは目の疲労回復や視機能改善などにも役立つと考えられています。余談ですが漢方では「肝」は五臓の中でも特に「目」と関わりが深い臓器と考えられており、肝に良いものは目にも良いと言われているそう。これは肝臓が血液中の有害物質無毒化・食材から摂取した栄養素の作り変えなどを行って、目に栄養を届けてくれるためだと言われています。成分的に見てもオルニチンやタウリンなどのアミノ酸は肝臓サポートと視機能サポート両方の効果が期待されています。

美肌保持・アンチエイジングに

しじみに含まれているオルニチンは肝機能を活性化することで「プロリン」と呼ばれるアミノ酸の生成を促すことが報告されています。プロリンはコラーゲンの主要な構成成分の一つであり、摂取したタンパク質(アミノ酸)からのコラーゲン合成促進や破壊されたコラーゲンの修復に役立つと考えられています。プロリン生成促進のほかオルニチンには成長ホルモンの分泌を促す働きも報告されており、ストレスや紫外線などの影響でダメージを受けた肌のコラーゲン再生を促し、シミ・シワ・たるみなど肌老化を予防する働きが期待されています。

オルニチンに加えてメチオニンやタウリンなどのアミノ酸が肝機能を向上させ解毒(デトックス)効果を高めてくれますし、しじみには脂質代謝促進・過酸化脂質分解に役立つビタミンB2も含まれていますから、乾燥肌やニキビなどの肌トラブルが気になる方にも適していると言えるでしょう。ビタミンB2は皮膚だけではなく爪や髪の保持にも役立ちますし、シジミからは髪や爪のもととなるタンパク質「ケラチン」の元となるアミノ酸も摂取することが出来ます。このため肌だけではなく髪のハリ・潤いの低下、薄毛や抜け毛、爪が割れやすい・色艶が悪いなどの予防にも良いと考えられています。

しじみは様々な方面からキレイをサポートしてくれる食材として美容面からも注目されている存在。成長ホルモンは睡眠中に分泌されやすいホルモンですから、美肌やダイエットなどを期待して摂取する場合は夜にしじみを食べるようにすると良いと言われています。

神経痛・関節痛の軽減に

しじみはビタミン類の中で「神経のビタミン」とも呼ばれるビタミンB12を非常に多く含んでいます。その含有量は100gあたり62.4μgと全食材中でもトップクラス。ビタミンB12は不足すると悪性貧血や神経障害が起こることが知られていますが、実は末梢神経の損傷によって起こる肩こりや腰痛の改善にも有効とされています。シジミを食べてビタミンB12を摂取することで、末梢神経の修復を助け、神経痛や肩こりなどの痛み改善に繋がる可能性あると考えられます。

加えてシジミにはコラーゲンの主要な構成成分の一つ「プロリン」の生成を促進するオルニチンも含まれています。コラーゲンは肌だけではなく関節でクッションとして働いている軟骨の構成物質でもあります。オルニチンがプロリンの生成を促し、プロリンがコラーゲン合成を高めてくれることで、軟骨状態を整えて関節痛を予防・改善する働きも期待されています。

認知症予防にも期待…

ビタミンB12脳神経との関わりが深いビタミンで、不足すると記憶や情報の伝達が正常に行われなくなると考えられています。ビタミンB12の欠乏症状として記憶障害・集中力低下・妄想・錯乱・無気力感などが挙げられることから、老人性認知症や精神障害の原因の一つがビタミンB12不足ではないかとする説もあります。ビタミンB12は動物性食品に含まれているほか腸内細菌によっても合成されためベジタリアンや胃の切除手術をした方以外あまり不足することはないと言われていますが、高齢者の場合は胃の吸収能力・腸内善玉菌が低下しているため不足傾向にあることが指摘されています。

2010年にイギリス・オックスフォード大学で行われた実験では、認知障害を持つ高齢者のうちビタミンB12を2年間飲み続けたグループの方が脳の収縮速度が遅かったことが報告されています。有用性については諸説ありますが、ビタミンB12を豊富に含むシジミやアサリなどを日常的に食べることで認知症予防に役立つのではないかと考えられています。

目的別、シジミのおすすめ食べ合わせ

蜆(しじみ)の選び方・食べ方・注意点

シジミ貝は食べる前に“砂抜き”が必要となります。水にどっぷりと漬けてしまうと窒息してしまうので少し頭が出るくらいの状態で夏は3~4時間・冬は5~6時程度置いておきます。砂抜き自体は真水でも出来ますが、塩分濃度を1%程度にした塩水に漬けるとうま味成分であるアミノ酸が増加すると言われています。また砂抜き後のしじみを冷凍するとオルニチン量がアップすると言われています。

生食用として販売されているもの以外は熱を通すようにしましょう。特に妊娠中などデリケートな時期であれば85℃以上の状態で1分間以上しっかりと加熱して食べるようにしてください。お味噌汁などに使ったシジミを食べないという方もおられますが、鉄分など水に溶けだしにくい栄養成分も多いので、栄養をしっかり補給したい場合は身を食べるようにしましょう。

参考元:オルニチン研究会オルニチンとストレスケア