鮪(マグロ)とその栄養成分・効果効能
|オメガ3以外にも! ビタミンB群など嬉しい栄養が♪

食べ物辞典:マグロ

寿司や刺し身の定番でもあり、ツナ缶(シーチキン)などの加工品としても日本の食卓で愛されているマグロ。現代では高級感のある食材でもありますが、日本では元々あまり評価されていない魚でもありました。トロが愛されるようになったのは食嗜好の変化と、輸送や加工技術向上の賜物とも言えます。濃厚で美味しいだけではなく、トロはDHAやEPAなどのオメガ3を含む健康食材としても注目されていますね。オメガ3以外にもイミダゾールジペプチドやアミノ酸類、ビタミンB群などを豊富に含むマグロの歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。

鮪/マグロのイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:鮪(まぐろ)
英語:tuna

鮪(マグロ)のプロフイール

マグロとは

マグロは刺し身や寿司ネタとしてもお馴染みの存在で、寿司ネタの人気ランキングでも常に上位に君臨しているお魚。サンマなどと比べるとご馳走感のある魚であり、特に脂質の多いトロは「高級品」の代表格でもありますね。寿司・刺し身・漬けなど生で食べるというイメージが強めですが、炙る・焼く・茹でる・煮る・揚げると幅広く調理出来る魚でもあります。また、加工品であるツナ缶やシーチキンと呼ばれるオイル漬けの缶詰も安価・日持ちが良い・活用幅が広いと三拍子揃った、家庭料理のお助け役としても親しみのある食材と言えます。

マグロはサバ科マグロ族マグロ科に属す肉食回遊魚の総称で、マグロとして流通しているものは7種類あります。市場価値が最も高いとされ「海のダイヤ」「黒いダイヤ」とも称されるクロマグロ(本マグロ)は、体長3~4mとマグロ類の中でも最も大型。大西洋に分布するものはタイセイヨウクロマグロ(ニシクロマグロ)と呼ばれ別種として扱われています。クロマグロに次ぐ大型魚であるミナミマグロ(インドマグロ)も高級魚として刺し身・寿司ネタとして利用されています。「大トロ」という言葉は本来クロマグロ・ミナミマグロのみに利用されていたそうです。

この3種に加え、主に関東でよく食されるメバチ関西で好まれているキハダ、回転寿司などでビントロと称して提供されるピンク色のビンチョウ(ビンナガ)、主に加工用として利用される小型のコシナガの4種を加えた7種が「マグロ」と呼ばれています。カジキやイソマグロは別属のためマグロには含みません。ちなみに英語でマグロはTuna(ツナ)と言うと思われがちですが、Tunaという言葉はマグロ属(Thunnini属)全体を表すため日本語の「マグロ」よりも範囲が広くカツオなども含まれます。

日本はマグロ消費量第一国で、2003年以降日本のマグロ消費量は減少していますが現在でもおよそ5分の1程を消費しています。近年乱獲によりマグロ類の多くが絶滅を危惧されていいる状況で、マグロ養殖やガストロ・アカマンボウなどの代用魚が利用されることも増えています。生態系を崩さず、子どもや孫世代も美味しく「マグロ」と食べられるように漁業者だけではなく私達消費者も意識する必要があります。

マグロの歴史

日本人は非常に古い時代からマグロを食用としていました。多くの貝塚からもマグロの骨が出土していることから縄文時代には既にマグロの漁獲・食用が行われていたと考えられています。文書としての記録も古く、日本最古の歴史書とされる『古事記』や『日本書紀』などにも“鮪(シビ/滋寐)”の記述が見られますし、726年10月10日に詠まれたと伝えられるマグロ漁の歌が『万葉集』に収録されています。しかし先史時代から日本人の食を支えてきた存在といえるマグロですが、時代とともに下魚(下賤/美味しくない魚)として嫌われるようになってしまいます。

いつごとからマグロ離れが起きたかは定かでではありませんが、平安中期に作られた辞典『和名類聚抄』にはマグロの呼び名が“シビノウオ”と書かれており、江戸時代初期の随筆『慶長見聞集』には“シビという名前は死日に通じて不吉だ”という記述があります。このことから縁起をかつぐ武士が台頭した鎌倉時代以降も縁起の悪い・忌避すべき魚として嫌われるようになったのではないかと考えられます。江戸時代に入ってもマグロは魚に目がない猫でさえも跨いで通る「猫またぎ」と呼ばれ、アジサバよりも価値が低い魚とされていました。縁起以外に加工・輸送技術の問題から痛みやすいという問題もあり、脂が多く痛みやすいことから現在私達が高級品と認識しているトロ部分は畑の肥やし・ゴミ扱いだったのだとか。

そんなマグロの転機といえるのが、醤油の普及。江戸時代中期になると赤身部分を漬け込むことで防腐処理を施した「漬けマグロ」が登場します。同じ頃に現代で言うファーストフード感覚で流行していた寿司屋がこれに目をつけ、安くて腹が膨れる庶民用の低価格な寿司ネタとして利用したことで庶民の生活に少しずつマグロが定着します。ちなみにシビではなく“マグロ”という呼び方が定着したものこの頃と言われています。ただし脂の多いトロの部分は醤油の染みこみが悪くヅケにも出来ない存在として捨てられていたよう。幕末頃になってトロとネギを煮た「ねぎま汁」が食されるようになりましたが、これもゴミ扱いのトロをなんとか食材に使用しようという貧しい人々の苦肉の策だったようです。

明治中期以降は輸送・流通経路が発達したことで醤油漬けにされていないマグロが寿司ネタや刺し身として利用されるようになり、徐々にマグロという魚の地位も向上していきます。鮮度を落とさない冷凍技術の発達・食の洋風化で日本人の味覚が変わったこともあり、1960年代になってやっとトロが「猫またぎ」から美味しい部位として認められるようになったと言われていますよ。

鮪(マグロ)の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

マグロはタンパク質とビタミンB群を豊富に含む青魚。タンパク質が多い赤みと、オメガ3を多く含むトロ部分で栄養成分にも差がありますが、どちらも健康な体を維持するために嬉しい栄養成分が含まれていますよ。マグロと呼ばれているものにはいくつか種類がありますが、下記では“クロマグロ(本マグロ)生”の数値を基準としてご紹介させていただきます。100gあたりのカロリーは赤身125kcal、脂身(トロ)344kcalとされています。クロマグロ以外のマグロについてはマグロの種類と栄養価の違いを御覧ください。

マグロのイメージ

マグロの効果効能、その根拠・理由とは?

疲労回復・体力増強に

鶏胸肉やマグロ・カツオなどの回遊魚の赤身部分にはイミダゾールジペプチド(イミダペプチド)が含まれています。イミダゾールジペプチドはアミノ酸のヒスチジンとアラニンが結合したもので、活性酸素を抑える働きがあります。肉体・精神(脳)共に負荷がかかことで活性酸素が発生し疲労を感じると考えられていますし、活性酸素発生を抑えることで疲れにくくなることも報告されていますから、イミダゾールペプチドは慢性疲労症候群の予防・改善、疲労回復に役立つ疲労回復物質として注目されています。

加えてマグロの赤身部分には細胞の構成成分やエネルギー源として利用されるタンパク質が豊富に含まれており、アミノ酸スコアが100(最高値)とされている魚の一つでもあります。イミダゾールジペプチド以外にも筋肉増強・回復促進に有効とされているBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)などの補給源としても役立ちますし、タンパク質を利用する際に必要となるビタミンB群、特にタンパク質の代謝に不可欠とされるビタミンB6は100gあたり赤身0.85mg(脂質0.82mg)と全食材中トップクラスの量が含まれています。

タンパク質(アミノ酸)やそれを体内で再合成するために必要なビタミンB群の補給源として役立つことから、マグロは体力増強をサポートしてくれる食材とも言えます。イミダゾールジペプチドも本来は“長時間動き続ける”ために合成された成分ですから、持久力や運動機能向上に繋がるという説もあります。このためマグロはエネルギー切れ感を感じでいるオフィスワーカーから体力アップ・運動パフォーマンス向上までサポートしてくれる食材と考えられます。

肝臓機能サポート・二日酔い対策に

マグロの赤身、特に血合い部分に多く含まれているタウリンは肝臓の機能向上や肝細胞修復などの働きが期待されています。またラットを使った実験では脂肪肝の中性脂肪を除去する働きが見られた事が報告されており、肝機能向上や脂肪肝・肝臓疾患の予防などに効果が期待されています。そのほか必須アミノ酸のメチオニンにも脂肪肝予防効果がありますから、相乗して肝臓の健康維持をサポートしてくれるでしょう。

タウリンの働きや効果などについては検証データが少なく、自己判断でサプリメント・栄養ドリンクなどから過剰にタウリンを摂取することに対しては問題視する声もあります。食材からの摂取であれば問題はないとされていますし、マグロにはアセドアルデヒド分解の際に補酵素として利用されるナイアシンも非常に多く含まれていますので、タウリンと複合して働くことで二日酔い予防に高い効果が期待されています。

ストレス緩和・不眠予防に

二日酔い対策のイメージが強いナイアシンですが、「快眠のビタミン」とも呼ばれる睡眠や精神安定などにも関係しているビタミンでもあります。ナイアシン自体が精神系を刺激するわけではありませんが、ナイアシンは体内で構成される際に“ハッピーホルモン”と呼ばれるセロトニンと同じく、トリプトファンなどを原料としています。このためナイアシンが不足することでセトロニンやセロトニンから合成される睡眠ホルモン「メラトニン」が不足し、情緒不安定さや不眠などの原因となると考えられています。

セトロニンやメラトニンは体内合成のみですが、ナイアシンは食品から摂取することが出来ます。マグロはナイアシンを豊富に含んでいますし、そのほか脳の疲労回復にも効果が期待されるイミダゾールペプチドや、交感神経の過活動を抑制する働きがあるとされるタウリンなども摂取することが出来ます。これらの成分の働きからマグロはストレス対策や不眠の緩和などにも効果が期待できます。

オメガ3補給・生活習慣病予防にも

青魚であるマグロはオメガ3(n-3)系と呼ばれる不飽和脂肪酸を豊富に含んでいます。オメガ3系脂肪酸の中でも血液サラサラ成分としてサプリメント等にも活用されているのがEPA(エイコサペンタエン酸)、国際的にはIPA(イコサペンタエン酸)と呼ばれている成分。EPAは血小板の凝集を抑制する働きや悪玉コレステロール・中性脂肪の低下、血圧降下作用などがあるとされています。これらの働きで血流や血管を健康に保ち、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞などの予防に役立つと考えられています。

イミダゾールペプチドも活性酸素を抑える働きがあるため、マグロは過酸化脂質の生成を防ぐことで血管を守りスムーズな血液循環を保つ手助けをしてくれる食材としても注目されています。また回遊魚のイミダゾールジペプチドに多く含まれるアンセリンは尿酸の生成抑制・排出促進作用があると考えられており、痛風の予防・改善成分としても注目されています。EPAと並んでオメガ3脂肪酸として知られるDHA(ドコサヘキサエン酸)にも悪玉コレステロールの減少作用があるのではないかという説もあります。

記憶力向上・認知症予防にも期待

オメガ3系脂肪酸にもいくつか種類がありますが、全身の細胞に取り入れられるEPAに対して、DHA(ドコサヘキサエン酸)は脳や網膜など一部の細胞に選択的に取り入れられる性質があります。DHAは血液脳関門を通過できる数少ない栄養素の一つであり、脳内に取り込まれることで細胞膜を柔らかくする・シナプスを活性化することで脳の伝達性を高める働きがあると考えられています。また記憶を司るとされている「海馬」にはDHAが脳の他部位に比べ2倍近く含まれていることが認められており、ラットによる実験では記憶力向上効果が認められています。

マグロのトロ部分にはこのDHA(ドコサヘキサエン酸)多く含まれているため、脳細胞の活性化や記憶力・学習能力向上に高い効果が期待されています。DHAは特に妊娠中の方やお子さんへの摂取が勧められてますが、脳細胞の減少が始まってしまった大人であっても記憶力・学習能力向上に役立つ可能性があります。血管障害などによって脳の一部機能が低下した場合でも、DHAは残っている脳細胞を活性化することで認知症や記憶障害の改善にも効果が期待されています。加えてEPA・DHAによる血液サラサラ効果は血流障害による脳血管型認知症予防に役立つこと・アルツハイマー型認知症の場合は海馬のDHA量に減少が見られることも報告されています。

これらのことからDHAやEPAを含むマグロ、特にトロと呼ばれる脂身部分は記憶色や学習能力の向上、認知症予防・改善など年齢層を問わず「脳」の機能向上に役立つのではないかと考えられています。ただしDHAの含有量は脂身(トロ)部分が可食部100gあたり3200mgであるのに対し赤身部分は120mgとかなり少なくなっていますから、日常的にDHAを摂取したい場合はサンマサバなどの方が適しているでしょう。

Sponsored Link

アレルギー・生理痛の緩和に

多価不飽和脂肪酸はオメガ3(n-3)系脂肪酸とオメガ6(n-6)系脂肪酸の2つに大きく分かれています。どちらも必須脂肪酸とされる私たちが生きていくために摂取する必要がある脂質ですが、大まかにn-6系は炎症促進・n-3系は炎症抑制方向に働き、対になってバランスを保っていると考えられています。現代の日本では植物性油脂に含まれているリノール酸などn-6系脂肪酸の摂取に偏っているため、体内の免疫バランスが崩れてアトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状を発症しやすくなっている可能性があります。

マグロやサンマなどの魚に含まれているn-3系脂肪酸(EPA・DHA)を摂取し、調理油やインスタント食品に含まれているn-6系脂肪酸の摂取を減らすことで脂質のバランスが取れ、リノール酸過剰によってアラキドン酸から生じるロイコトリエンなどのアレルギー原因物質を抑制する働きが期待されています。マグロに豊富に含まれているナイアシンにもヒスタミンの分解効果が報告されており、毎日少量づつ摂取することでアレルギー緩和に役立つのではないかと考えられています。

またアラキドン酸由来の生理活性物質には女性の生理痛の原因物質と考えられているプロスタグランジン(E2)も含まれています。γ-リノレン酸や魚油に含まれているEPA・DHAは炎症を抑える働きのあるプロスタグランジンE1、E3の生成を促すことも報告されていますので、生理痛や炎症の緩和にも役立つのではないかと考えられています。マグロにはPMS(月経前症候群)の方は不足傾向にあるとされている亜鉛やビタミンB6も含まれていますから、生理前に不調を起こしやすい方も意識的に摂取してみると良いかもしれませんね。

貧血予防・冷え性予防に

マグロは100gあたり赤身で1.1mg、脂身(トロ)であれば1.6mgの鉄分を含んでいます。鉄分含有量だけで見るとマグロよりも鉄分を多く含む野菜もたくさんありますが、マグロに含まれているのは鉄分のなかでも体内に吸収されやすいヘム鉄(動物性鉄分)のため貧血の予防・改善に効率的な鉄分補給源であると考えられています。葉酸とともに赤血球を生成し「造血のビタミン」とも呼ばれているビタミンB12の含有量も多いため鉄欠乏性貧血だけではなく悪性貧血の予防にも役立ってくれるでしょう。

EPAなどの血液サラサラ効果から血液循環を良くする働きが期待できますし、マグロには毛細血管を拡張することで末端への血液循環を促すビタミンEやナイアシンなどのビタミン類も含まれています。貧血の改善と共に血液循環をサポートし、冷え性の改善や血行不良による不調の緩和などの改善も期待できます。

ダイエットサポートとしても

マグロの赤身部分は高タンパク低脂肪で、カロリーも100gあたり125kcalと魚類の中では低い部類に入ります。代謝・脂肪燃焼に関わるアミノ酸類が豊富に含まれていますし、中でもリジンとメチオニンは体内で結合することで高い脂肪燃焼効果が期待される「L-カルニチン」に変化します。このため運動と組み合わせることで代謝向上や脂肪燃焼の効率アップが期待できます。

マグロにはタンパク質の代謝に必要とされるビタミンB6・大栄養素の代謝を補酵素としてサポートするナイアシンやマグネシウムなども含まれていますし、EPAやDHAなど血液サラサラ効果も代謝向上に繋がります。マグロを毎日食べて痩せるという事はありませんが、健康的なダイエットをサポートしてくれる食材としては優秀な存在と言えるでしょう。トレーニングを取り入れたダイエットを行う方に特に適しています。

肌荒れ・口内炎対策に

ビタミンB6は食品から摂取したタンパク質からエネルギーを産生したり、細胞・血液を作る際に必要とされる栄養素です。皮膚の主成分はタンパク質ですから健康な皮膚を維持するためにもビタミンB6は必要とされる存在で、不足すると皮膚炎や口内炎などの原因にもなります。マグロ赤身100gあたりのビタミンB6含有量は0.85mgと食品類でもトップクラス、1日推奨摂取量の半分以上の量を含んでいます。同じく細胞新生に関わり皮膚粘膜の健康維持に必要とされるナイアシンも豊富に含んでいますから、肌荒れや口内炎などの予防として役立ってくれるでしょう。

血液サラサラ効果が期待できるDHAやEPA、抗酸化作用を持つイミダゾールジペプチド、コラーゲン生成に利用される鉄分などがの働きから、乾燥肌やシワの改善、肌のハリ向上などの効果も期待できます。マグロはビタミンCやビタミンEなどの含有量はさほど多くありませんので、美肌効果を期待する場合はビタミン類が豊富な緑黄色野菜などと組み合わせて食べるようにするとより効果的です。

目的別、マグロのおすすめ食べ合わせ

Sponsored Link

鮪(マグロ)の選び方・食べ方・注意点

サク・切り身で販売されているマグロを選ぶ時には、ドリップ(赤い汁)があまり出ておらず、透明感のあり断面のキメが細かいものを選びまます。生状態であれば早めに食べきり、保存したい場合は冷凍になりますが冷凍後一ヶ月以内には食べ切るようにしてください。冷凍保存する場合は変色(褐変)を起こしやすいので、金属トレーなどを利用して“急速冷凍”を心がけます。予め細かく切られているものより、大きめのサクの方が鮮度・味は落ちにくいです。

マグロの注意点

マグロの特に脂の多い部分には「メチル水銀」が含まれている可能性があります。妊娠中の摂取量に注意が必要とされており、厚生労働省の発表では上限摂取量は一週間あたりクロマグロ・メバチマグロは80gまで、ミナミマグロ160gまでとされています。妊娠前や妊娠に気付かないくらい初期の摂取であれば、胎児に栄養を与える胎盤が完成するまでに体内メチル水銀量は減少するので過剰に気にする必要は無いようです。

マグロの種類との栄養比較

赤身とトロの違いについて

同じマグロでも赤身と脂身(トロ)でかなり栄養成分比に差があります。最も顕著な差が見られるのは見た目通り“脂質量”で100g中の脂質量は赤身が1.4gなのに対して大トロは27.5gと20倍近い量になります。健康効果が期待できるとされているオメガ3も脂質の一種ですから、脂の多いトロ部分に非常に多く含まれています。可食部100gのEPA含有量はトロ1400mgに対し赤身27mgDHA含有量はトロ3000mgに対し赤身120mgと大きく差があります。このため記憶力向上や認知症予防、生活習慣病予防などオメガ3系脂肪酸の効果を期待する場合はトロのほうが適していると言えるでしょう。

逆に赤身部分はタンパク質量が多く、イミダゾールジペプチドをはじめとしたアミノ酸含有量も高くなっています。カロリーも赤身は125kcal脂身(トロ)の344kcalの半分以下ですから、ダイエットや疲労回復・スタミナ増強などを期待する場合には赤身のほうが適していると考えられます。オメガ3がコレステロール低下などに良いと言われていても摂り過ぎは良くありませんから、メタボリックシンドローム気味の方なども運動を取り入れながら赤身を中心に食べた方が無難でしょう。

クロマグロ(本マグロ)以外の種類について

※記載数値や比較は日本食品成分表を参考に作成しておりますが、個体差や部位によって差が生じますことをご了承ください。

ミナミマグロ

クロマグロと近い風味・赤身・脂身の分かれ方をしているミナミマグロ。100gあたりのカロリーは赤身93kcal、脂身352kcalで、成分含有量もクロマグロと大差はありません。トロ部分で比較した場合はEPA・DHA含有量、鉄分などのミネラルはクロマグロのほうが高くなっています。赤身で比較した場合には鉄分・カリウム・ビタミンB群の含有量はミナミクロマグロの方が多くなっていますが、ミナミクロマグロの赤身は脂質自体が少ないためDHAやEPAは微量しか含まれていません。

その他の主要マグロ類

メバチマグロ100gあたりのカロリーは108kcalで、赤身の中ではクロマグロに次いで脂質量が多め。
キハダマグロ100gあたりのカロリーは106kcalで、鉄分含有量が2.0mgとマグロ類の中では最も多いのが特徴。
ビンナガマグロ100gあたりのカロリーは117kcalで、クロマグロ(赤身)に次いでタンパク質含を多く含んでいます。

上記の成分以外にも勿論含有量には差がありますが、どれも微量の差ですので栄養価を気にして選ぶよりは好みの風味を選べば良いのではないかと思われます。ビンナガなどはピンク色っぽい色みをしていますが、クロマグロやミナミマグロのように脂が綺麗に混じってピンク色をしているわけでは無いことに注意。

参考元:最強の抗疲労成分「イミダゾールジペプチド」n-3系脂肪酸|脂肪酸の機能性