鮭(サケ/シャケ)とその栄養成分・効果効能
|アスタキサンチンを含む美容食材!?

食べ物辞典:鮭(サケ)

鮭は日本の朝ご飯の定番とも言える魚で、風味や紅色からおむすび・お茶漬けなど米との相性も抜群。和食以外にも様々に料理される、世界的な食用魚の一つでもあります。古くは天皇や将軍への献上品・神様への捧げ物として使われていた歴史があり、現在も縁起物として使われることがありますね。また近年は高タンパクでオメガ3系脂肪酸・抗酸化物質を多く含んでいることから健康効果の高い食材としても注目されています。鮭の歴史や、注目されているアスタキサンチンをはじめとした栄養効果について詳しくご紹介します。

鮭のイメージ画像

和名:鮭(サケ)
英語:salmon/Chum salmon

鮭(サケ/シャケ)のプロフイール

鮭とは

和食の定番といえる魚の一つ、鮭。寿司や刺し身などの生食用としても人気ですし、鮭の塩焼き・お茶漬けなどを食べた時も「日本人だなぁ」と思える瞬間です。東日本を中心に新巻鮭などは縁起物としても親しまれていますし、年取り魚としてお正月に欠かせないという方もいらっしゃるかもしれません。海外に滞在・移住された日本人が恋しくなる味の一つでもあるのだとか。ムニエル・フライ・カルパッチョなど洋食系まで幅広いレシピに使えることもあり、家庭でも親しみのある食材の一つと言えますね。身の部分の活用がしやすいのは勿論ですが、アラはアラ汁、卵はイクラ、頭は氷頭なますに活用され“捨てるところがない魚”と言われています。

また鮭を咥えた熊の置物も知られる産地、北海道では凍らせたサケを刺し身のようにして食べる「ルイベ」や石狩鍋・パター味噌で鮭を焼いて食べる「ちゃんちゃん焼き」など鮭を使った郷土料理が多く見られます。北海道や東北で見られる鮭の乾物「鮭とば」も、古くから北海道に住んでいたアイヌの人々が作っていたものなのだとか。秋の味覚代表とも言われるように旬は秋頃ですから、冬の保存食でもあったのでしょう。ちなみに“鮭”という漢字についても生臭いものの意で使われるようになったという説が主流ですが、桂の花が咲く頃に川を登ってきたから鮭という字にした・形が良いという意味で圭の方を使うようになったなど諸説あります。

白鮭・銀鮭・紅鮭などサケと呼ばれる魚はいくつか存在しますが、日本で一般的に単に“鮭”と呼ばれているのは白鮭(シロサケ、学名O. keta)という種類の魚。秋鮭(アキサケ)や時不知(トキシラズ)・目近(メジカ)などとも呼ばれているのも白鮭を指します。というのも古来日本で鮭という呼び名はシロサケのみを指していたそう。しかし現在はより広義にギンザケ・ベニザケ・マスノスケ(キングサーモン)・大西洋鮭(アトランティックサーモン)など、サケ類と呼ばれるサケ科に属するいくつかの魚の総称としても利用されています。

英語でも鮭=サーモンというイメージがありますが、salmon(サーモン)は川で生まれて海に下る種類を指す言葉で、一生を川から出ることなく過ごすものはtrout(トラウト)と呼び分けています。サーモンにもいろいろな種類があるため、日本の鮭を指したい場合はChum salmonなどと呼びます。日本で愛されている白鮭ですが、脂が少なく独特の風味があるため、北米などでは鮭の中でも美味しくないものとしてDog salmonと呼ばれることもあります。

鮭・マス・トラウトサーモンの違い

広義での“鮭”はサケ科に属するいくつかの魚を指す言葉として使われていますが、同じサケ科の中にはイワナ・ヤマメ・ニジマスなど鮭とは呼ばれない魚もいます。こうした鮭(サケ類)に含まれない魚はマス類もしくはトラウト類と呼ばれていますが、実は鮭とマスの線引は非常に曖昧。サケもマスの呼び分けは習慣的なもので、生物学的な意味はありません。

これは、かつて鮭=白鮭であったため、日本近海の海で古くから摂れていた魚は回遊魚であってもサクラマスなど“マス”と呼ばれていたこと・英語圏ではサーモンと言えばタイセイヨウサケのみを指していたことが発端とされています。それぞれ自分達の基準でサケ科の魚を命名していきましたので、和名だと“マス”でも英名では“サーモン”が付くものもありますし、鮭=salmon・マス=troutという訳が定着したことで、英語圏の認識であればサーモンだったはずのサクラマスやニジマスは和名に準じてtroutが付けられ、シロサケ以外は鮭としていなかった日本でも銀鮭など“鮭”と命名された種もあります。サケ・マス分類は日本というよりも世界規模で紛らわしい・ハッキリとした線引のないものと言えるかもしれません。

近年は“トラウトサーモン(サーモントラウト)”という魚も鮭の代用品として利用されています。トラウトとサーモンという相反する名前がつけられているのは、この魚が海面養殖されたニジマスのため。トラウトサーモンというのは造語(商品名)で、ニジマスは英語でRainbow trout(レインボートラウト)・降海型ニジマスはSteelhead(スチールヘッド)と呼びます。トラウトサーモンがニジマスということで嫌悪感を持つ方もいますが、サケ・マスの分類自体が曖昧ですから食べてみて口に合うかで決めると良いでしょう。

鮭の歴史

日本における鮭の食用の起源は分かっていませんが、秋田県の由利地方には魚の絵を刻んだ「鮭石」がいくつも発見されています。この石は鮭の豊漁を祈願したと考えられており、縄文時代には鮭漁が既に行われていたと推測されます。鮭石よりは新しいですが、北海道にあるモヨロ貝塚などからもシロサケやサクラマスなどの骨が出土しています。文献としては奈良時代に編纂された『常陸国風土記』や『出雲国風土記』には“鮭”と現在と同じ表記で登場していますよ。

平安時代の『延喜式』になると、各地からから鮭もしくは様々な鮭加工品が貢物として納められたことが記されています。現代で言う“鮭とば”のようなものから、氷頭・塩漬けの卵などもあったそう。皇室への貢物であったことから高級品であったと考えられますし、武士の時代でも将軍の献上品として用いられていたようです。『吾妻鏡』では源頼朝が鮭を献上され喜んだシーンが描かれていますし、徳川家康も若狭小浜藩の京極高次から生鮭を贈られて喜んだことが伝えられています。江戸城に毛利秀元が干し鮭の入った弁当を持参したところ「珍しい高級魚が入っている」と諸大名に驚かれ、林羅山や他藩の大名に取られてしまった…なんてエピソードもあるそう。

ところで、鮭は語源もまた分かっていません。身が避けやすい魚=サケ説・お酒に酔っているような赤い肉から酒気(サカケ)説などもありますが、アイヌ語の「シャケンベ=サク・イベ(夏の食べ物)」という説が有力なようです。現在でも鮭の読み方がサケ・シャケの2派に分かれていますが、これも呼び名の語源であるアイヌ語にはサとシャの区分が無かったために和人がそれぞれ聞こえたように使ったのでは考えられています。サケ・シャケについての違いにはその他にも、江戸時代の人々がサ行の発音が上手くできなかったためにサケがシャケに訛った説・魚としての状態だとサケで調理加工後はシャケと呼ぶのが正しいなど様々な説があります。

話は戻り、江戸時代初期には大名が欲しがるほどの魚だった鮭。18世紀には母川回帰性(生まれた川に戻って卵を生む)ことが発見され、川の環境を整えることや川を下る鮭を取らないようにする増殖計画が新潟県で行われていましたが、全国的な活動には至りませんでした。明治に入りるとアメリカから人工孵化技術が伝えられ数を増やしたこと・北海道での漁獲や流通が盛んになったことから、徐々に大衆魚として一般家庭でも親しみのある魚となっていきます。

余談ですがお歳暮に鮭・新巻鮭などを贈るのは、お歳暮の原型とされる年越しの「御霊祭」で祖霊への供物として魚介類が多く使われていた名残と推測されています。鮭という言葉は「裂け」に通じ縁起が悪いということで、藁を巻いた新巻鮭が使われるようになったと言われています。

鮭(サケ)の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

鮭は赤身魚と思われがちですが、分類としては“白身魚”になります。サーモンピンクと呼ばれる赤みがかった色は、鮭がエサとしているエビやカニなどの甲殻類に含まれる「アスタキサンチン」という色素成分によるもの。このアスタキサンチンは高い抗酸化作用を持つ成分で、食べるのはもちろん化粧品成分としても美容面でも注目されています。そのほか鮭にはDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸・ビタミンB群・良質なタンパク質なども含まれているため、美容のスーパーフードと呼ばれる事もありますよ。

鮭のイメージ02

鮭の効果効能、その根拠・理由とは?

下記は白鮭の栄養成分含有量(日本食品標準成分表七訂記載値)を元に作成しています。白鮭はパサパサするから苦手という方も居るように、脂質が少ないことが特徴。淡白なだけに100gあたりのカロリーは133kcalとメジャーな鮭類の中では低カロリーで、脂質量も少なくなっています。その他の種類の鮭につきましては後記のサケ類の種類・栄養面での特徴を御覧ください。

疲労回復・体力アップ

鮭にもイミダゾールジペプチド(イミダペプチド)と呼ばれる、アミノ酸のヒスチジンとアラニンの結合体が含まれています。魚に含まれているのは“アンセリン”と呼ばれる結合構造のものが多くなっています。このイミダゾールジペプチド(アンセリン)は抗酸化作用を持ち、疲労物質とされる乳酸の代謝を促すことで疲労回復に役立つと考えられています。疲労感は肉体・精神(脳)共に負荷がかかことで活性酸素が発生し、その結果として生じる場合も多いと考えられています。

活性酸素発生を抑制すると疲れにくくなると言う報告もありますから、イミダゾールジペプチド(アンセリン)は運動時などに生じる肉体疲労だけではなく脳疲労や慢性疲労症候群の予防・改善にも効果が期待されています。またイミダゾールジペプチド(アンセリン)は本来動物が“長時間動き続ける”ために合成された成分。このため持久力や運動機能向上にも役立つと考えられており、鮭由来のイミダゾールジペプチドは疲労回復や運動持久力向上効果が期待できる成分としてサプリメントなどにも配合されています。

鮭にはイミダゾールジペプチド以外に筋肉増強・回復促進に有効とされているBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)などのアミノ酸類、代謝をサポートするビタミンB群も含まれています。鮭は高タンパク・タンパク質の代謝に必要なビタミンB6も100gあたり0.64mgと豊富に含まれています。これらの成分をしっかりと摂取することはアスリートタイプの方の肉体疲労軽減や筋力アップにも役立ちますし、精神・神経面での疲労軽減にも効果が期待できるでしょう。

抗酸化・生活習慣病予防に

鮭に含まれている成分として、天然色素成分でカロテノイドの一種「アスタキサンチン」が注目されています。アスタキサンチンは活性酸素を抑制・除去する働きを持つ抗酸化物質の一つで、カロテノイド類の中で最も高いと言われるほど強力な抗酸化作用を持つと考えられており、さらに細胞膜の内外と働く場所が決まっている抗酸化物質が多い中で細胞膜内外を選ばずに作用する成分とも言われています。この優れた抗酸化作用によってアスタキサンチンは活性酸素増加が引き金となって起こる、生活習慣病の予防に有効とされています。

コレステロールと活性酸素が結合して出来る過酸化脂質は血管壁に蓄積し、血管を狭める・柔軟性を損なわせることで動脈硬化の原因となります。鮭にはアスタキサンチンのほかイミダゾールジペプチド(アンセリン)・ビタミンEなどの抗酸化物質も含まれていますので、相乗して過酸化脂質増加を抑制し動脈硬化のリスク低減に役立つと考えられています。

また鮭にはオメガ3脂肪酸で血液サラサラ成分としてサプリメント等にも活用されているEPA(エイコサペンタエン酸/IPA:イコサペンタエン酸とも言う)も含まれています。アスタキサンチンやオメガ3脂肪酸のEPAは(LDL)悪玉コレステロールの減少・善玉(HDL)コレステロール増加作用が報告されていますし、アスタキサンチンはアディポネクチン分泌を促すことで血圧降下・血糖値降下作用を持つ可能性があることも報告されています。これらのことから鮭は高血圧や動脈硬化・血栓・心筋梗塞、糖尿病など、生活習慣病と呼ばれる様々な疾患の予防効果が期待されています。

血行不良・冷え性対策としても

EPA(IPA)は血液凝固抑制作用により血液をサラサラに保つ働きが認められていますし、鮭にはアスタキサンチン・ビタミンE・イミダゾールジペプチド(アンセリン)など抗酸化物質も豊富に含まれています。これら成分により血液や血管の状態を正常に保ち、スムーズな血液循環をサポートしてくれるでしょう。加えてビタミンE・ナイアシン・アルギニンなど血管を拡張させることで血液循環を促す成分も含まれていますから、血行不良やそれに起因する冷え・頭痛・肩こりほか筋肉のこわばりや痛みの軽減に効果が期待できます。

冷え性に関しては、強力な抗酸化作用を持つとされるアンセリンを筆頭とした抗酸化物質の働きからも代謝低下の予防・改善にも効果が期待できます。また鮭には栄養素の代謝に関わるビタミンB群や、クエン酸回路の働きをサポートするアスパラギン酸なども含まれていますから、代謝=熱生成向上にも役立つと考えられます。代謝が正常に行われること・末端まで血液がしっかりと熱を届けてくれることで、冷え性の改善にも効果が期待できるでしょう。

痛風予防・軽減

鮭に含まれているイミダゾールジペプチド(アンセリン)は尿酸値の低下作用が報告されています。痛風の目安としてよく耳にする尿酸は“プリン体”の代謝過程によって発生する物質で、血中濃度が一定量を超えると過剰分の尿酸が結晶化して関節部分に付着します。この結晶が運動・ストレスなどによって関節液の中にはがれ落ち、それを異物と見做して免疫反応が起こることで痛風発作という激しい痛みが起こります。イミダゾールジペプチド(アンセリン)はこの尿酸の生成を抑制する・尿として体外への排出を促すという二つの働きが期待されており、尿酸過剰による尿量低下や痛風の改善に効果が期待されています。

精神安定・不眠緩和のサポート

鮭に含まれているDMAE(ジメチルアミノエタノール)は、神経伝達物質アセチルコリンの原料として利用されます。アセチルコリンは学習能力や記憶力を高める働きが期待されている成分であるだけではなく、ノルアドレナリンやセロトニンの働きを調節することで睡眠や覚醒のバランス・精神状態のバランスを保つ働きもあると考えられています。神経伝達物質のバランスを整えることで抑鬱や無気力感・イライラなどの興奮状態両方に効果が期待されています。

DMAE以外にも鮭にはセトロニンの原料となるトリプトファン、神経伝達物質の合成に関わるビタミンB6や亜鉛も含まれています。直接的な神経伝達物質への働きかけはありませんが、セロトニンはハッピーホルモンと呼ばれているようにリラックスやストレス緩和・精神安定などに必要な神経伝達物質ですし、睡眠・体内時計を司るホルモン“メラトニン”の分泌を司る存在でもあります。セトロニンの原料不足を改善すること、働きを調節するアセチルコリンの原料となるDMAEの摂取、この2つの働きで鮭は精神パランスや睡眠リズムを整える手助けとしても期待されています。

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記憶力アップ・認知症予防にも期待

オメガ3系脂肪酸の一つであるDHA(ドコサヘキサエン酸)は脳や網膜など一部の細胞に選択的に取り入れられる性質があり、脳内に取り込まれることで細胞膜を柔らかくする・シナプスを活性化し脳の伝達性を高める働きが期待されています。また記憶を司るとされている「海馬」にはDHAが脳の他部位に比べ2倍近く含まれていることが認められており、アルツハイマー型認知症の場合は海馬のDHA量に減少が見られること・ラットによる実験ではDHA摂取で記憶力向上が見られたことも報告されています。

こうした研究からDHAは脳のサポートに役立つ栄養成分と考えられています。特に妊娠中の方やお子さんへの有効性が高いとも言われていますが、大人であっても記憶力・学習能力向上に役立つ可能性があるでしょう。また血管障害などによって脳の一部機能が低下した場合でも、DHAが残っている脳細胞を活性化することで認知症や記憶障害の改善に繋がるという説もあります。鮭には抗酸化物質であるアスタキサンチンやイミダゾールジペプチドも含まれているため、活性酸素から引き起こされる血栓・脳血管型認知症予防に繋がる可能性もあります

鮭のDHA含有量は脂質の少ない秋鮭(白鮭)の場合は100gあたり400mg、脂質の多い銀鮭やトラウトサーモンであれば1000mg以上。概ねサバと同等量と言えますから、献立に加えることで脳細胞の活性化・機能低下予防に役立ってくれるでしょう。また鮭に含まれているDMAE(ジメチルアミノエタノール)という成分も、神経伝達物質アセチルコリンの原料として利用されるため認識力・記憶力の向上やアルツハイマー型認知症予防に役立つのではないかと考えられています。

疲れ目対策・目の健康維持に

鮭に含まれるアスタキサンチンは網膜色素上皮層にある血液網膜関門を通過できる数少ない抗酸化物質であり、血流改善効果もあると考えられています。眼精疲労は目の周囲にある毛様体筋という筋肉が疲労し、機能が衰えることでピント調節機能の低下・目のかすみ・視力低下・肩こり・頭痛などを引き起こすことを指します。このためアスタキサンチンの抗酸化・血流改善作用は毛様体筋に蓄積した疲労物質の排出を促し、眼精疲労による諸症状を改善すると考えられています。臨床実験では1日6mgのアスタキサンチンを一ヶ月間摂取することで、眼精疲労の改善がみられたことも報告されています。

目の活性酸素を抑制して血液(栄養・酸素)を行き渡らせる働きは、ピント調節機能の低下によって起こる老眼の予防や軽減にも効果が期待されています。そのほかぶどう膜炎に対する炎症抑制・黄斑変性症や緑内障予防に対する有効性も報告されており、アスタキサンチンは様々な方面から目の健康をサポートしてくれる成分として注目されています。アスタキサンチンは単体で摂取するよりもアントシアニンや他カロテノイドと摂取したほうが効果が高まると言われています。目の疲れが気になる方はデザートに紫系のベリー類を食べたり、赤紫蘇ナスなどと組み合わせて食べてみても良いかもしれません。

ダイエットのサポート

鮭の赤色色素成分アスタキサンチンには体脂肪減少が見られたという報告もあり、抗肥満成分としても効果が期待されています。通常は糖質がまずエネルギーとして変換され、その後に脂肪がエネルギー源として利用されています。有酸素運動は○分以上行わないと体脂肪減少効果が得られない、などと言われているものこの優先順位があるためです。しかし実験ではアスタキサンチンを摂取すると運動後の乳酸値上昇が低い=糖をエネルギーとして利用していないこと・アスタキサンチン摂取をしないグループよりも体脂肪の減少が大きかった事が報告されています。

こうした実験結果からアスタキサンチンを摂取した場合は脂肪を分解する時に働くタンパク質を活性化させ、糖よりも脂肪を優先的にエネルギーとして利用するよう促すのではないかと考えられています。鮭は疲労回復や筋力・スタミナアップに役立つイミダゾールジペプチド(アンセリン)ほかアミノ酸類も豊富に含んでいますから、アスタキサンチンの働きと合わせて運動効率を高め、ダイエット効果を高める働きが期待されています。

美肌保持・アンチエイジングに

鮭には抗酸化物質であるアスタキサンチン・イミダゾールジペプチド(アンセリン)・ビタミンE、抗酸化酵素の原料となるセレンや亜鉛など酸化ダメージから体を守ってくれる成分が豊富に含まれています。中でもアスタキサンチンはビタミンCの6000倍・ビタミンEの1000倍とも言われるほど高い抗酸化作用が期待されているカロテノイドで、紫外線などにって生じた活性酸素からコラーゲンやヒアルロン酸を産生している“ヒト皮膚線維芽細胞”を守る働きが強いことも報告されています。メラニン色素生成抑制にも役立つため、内側からのアンチエイジング・美白(シミ対策)として高い効果が期待されています。

またアスタキサンチンにはコラーゲンやエラスチンの生成を促す効果があることも報告されています。鮭には天然保湿成分(NMF)やコラーゲンの元になるグリシン・アラニン・プロリンなどのアミノ酸も含まれていますし、鮭の皮にはコラーゲンそのものも含まれています。DMAE(ジメチルアミノエタノール)も抗酸化物質ではないものの、肌にハリをもたせることでシワ・たるみの改善に役立つ成分として注目されています。これらの成分がまとめて摂れる鮭は肌のハリや潤いを保持し、プルプルの赤ちゃん肌に導いてくれる美容食材としても注目されています。

肌荒れ・抜け毛予防にも

鮭にはビタミンE・ナイアシン・オメガ3脂肪酸(DHAやEPA)など血液循環をサポートしてくれる成分が多く含まれています。加えて細胞分裂を促して皮膚の再生を促進する亜鉛、成長ホルモンを促すことで皮膚ダメージの修復を高める働きが期待できるアルギニンも含まれています。これら成分の働きで肌荒れ・肌のくすみ軽減が期待できますし、鮭には不足すると口内炎・脂漏性皮膚炎・ニキビ・湿疹などの原因となるビタミンB6やビタミンB2などのビタミンB群も含まれています。

またビタミンB群には皮膚や髪の毛を保持する役割もあり、鮭の持つ抗酸化作用や血行促進作用と合わせて頭皮や髪を健康に保つ手助けも期待できます。頭皮への血行促進は抜け毛予防や髪のコシ・ツヤ向上にも繋がりますね。アスタキサンチンにも髪の毛の成長を促進させる“IGF-1”という物質の増加作用があるという説があるため、鮭は髪のお悩みがある方にオススメの育毛食材として紹介されることもありますよ。

目的別、鮭のおすすめ食べ合わせ

鮭(サケ)の選び方・食べ方・注意点

アスタキサンチンは加熱により徐々に減少し、諸説ありますが加熱後の残存率は焼いた場合で約60~50%・揚げた場合は40%程と言われています。このためアスタキサンチンを摂取したい場合は生で食べるか、残存率が高いと言われている煮る・蒸す料理法で食べるようにすると良いでしょう。アスタキサンチンは脂溶性かつビタミンCと合わせて食べると効果的と言われていますので、ブロッコリーなどの緑黄色野菜と組み合わせて少量のオイル(ドレッシング)をかけて食べるのがおすすめです。

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美味しい鮭の選び方・保存方法

切り身の鮭を選ぶ場合はドリップ(汁)があまり出ていないもの・身の色がクッキリと鮮やかなで崩れていないものを選ぶようにしてください。区別が付く場合は身が締まっているか・皮と身が剥がれかけていないかも鮮度を見分けるポイントになります。冷凍の場合は表面に霜が付いておらず、切り身の形が整っているものを選びましょう。

寄生虫などの問題がありますから、生食用として販売されているもの以外はしっかりと熱を通して食べてください。生鮭であれば冷蔵庫保存して2日以内に食べきるのが目安です。すぐに食べる予定がない場合ラップで一切れずつしっかりと密封して冷凍しましょう。

鮭(サケ)の雑学色々

サケ類の種類・栄養面での特徴

サケもしくはサケの仲間として食べられている魚は数多くありますが、メジャーなものをいくつかご紹介します。マグロなどのように種類により大きな差は見られませんし、特に基本的なビタミン・ミネラルは著しい違いはありません。

銀鮭/シルバーサーモン

名前の通り外皮が渋い銀色で、背部から尾に黒い斑点があることが特徴。日本の川を登ってこないので天然ものは輸入品になります。国内でも養殖が行われていますが、流通量が最も多いのはチリで養殖されたもの。脂質の含有率がやや高い傾向なのでシンプルに塩焼きやステーキ、おにぎりの具などに利用されています。オメガ3脂肪酸含有量も100gあたりEPA740mg/DHA1200mgとアトランティックサーモンに次いで多く、カロリーは204kcal。

紅鮭/レッドサーモン

身がアスタキサンチンにより赤みがかっているのはサケ類共通ですが、紅鮭は外皮も赤身も強いのが特徴。海に出るものは紅鮭・一生を淡水で過ごすものをヒメマスと呼び分けています。鮭の中で最も美味しいとも言われており、価格も高めの傾向にあります。栄養成分面でもサケ類の中で最も多くアスタキサンチンを含むと言われ、アンチエイジングや美容効果・眼精疲労軽減などの効果が期待されています。栄養価としては白鮭と並んで脂質含有量が低く、カロリーも100gあたり138kcalと低くなっています。

カラフトマス/ピンクサーモン

北海道(オホーツク海沿岸)で主に漁獲されているサケで、セッパリマス・アオマス・オホーツクサーモンとも呼ばれます。サケ科魚類の中では脂分が多い部類と言われていますがギンザケやマスノスケなどよりは少なく、100gあたりのカロリーも154kcalとさほど高くありません。日本で主に食べられているサケの仲間の中では中間・平均的な数値と言えます。

マスノスケ/キングサーモン

全長約1.5mとサケの仲間の中で最大級の大きさを持ち、紅鮭と並んで高級な鮭として扱われています。北海道沿岸でも僅かに漁獲されていますが、アラスカなどからの輸入品が主。100gあたり200kcalでカロリー・脂質含有量はご紹介するサケの仲間の中では中間くらいのポシジョン、タンパク質とアミノ酸はやや低めに位置しています。ビタミンA(レチノール活性当量)が100gあたり160μgと群を抜いて高いのが特徴です。

タイセイヨウサケ/アトランティックサーモン

名前の通り北大西洋沿岸諸国原産の、全長約1.5mとマスノスケと並び大型のサケです。カナダやノルウェーなどから養殖されたものが輸入されており、寄生虫の心配が少ないこともあり刺し身や寿司などの生食用にも多く利用されています。脂質含有量が白鮭の約4倍と多いのが特徴で、オメガ3脂肪酸含有量も100gあたりEPA850mg/DHA1400mgとサンマに匹敵するほど多く含まれています。その分カロリーは100gあたり237kcalとやや高めで、タンパク質・アミノ酸含有量も若干少なくなっています。

サーモントラウト/海面養殖ニジマス

鮭かマスか微妙な存在であるサーモントラウト。養殖ニジマスというあたりで嫌われることもありますが、脂質が多くパサつきが少ない・クセがないことから食べやすいという声もあります。タイセイヨウサケと共に脂質含有量が多くカロリーも224kcalと高めですが、オメガ3脂肪酸含有量も100gあたりEPA600mg/DHA1300mgと白鮭の約3倍含んでいます。