ブロッコリーとその栄養成分・効果効能
|抗酸化物質が豊富? カリフラワーとの違いとは

食べ物辞典:ブロッコリー

綺麗な緑色と小さな木のような形状から、彩りを添えたい時にも重宝するブロッコリー。加熱して食べると味や香りにもクセがないので、日本の食卓でもよく目にする野菜の一つですね。世界的に健康野菜を代表する一つとして親しまれてきた食材でもあり、近年はビタミンCやカロテンが豊富な抗酸化サポーターとしても注目されています。イソチオシアネートの一種であるスルフォラファンに優れた健康効果を持つ可能性も多く報告されていますよ。そんなブロッコリーのの歴史や期待される栄養効果について詳しくご紹介します。

ブロッコリーのイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:メハナヤサイ(芽花野菜/芽花椰菜)など
英語:Broccoli

ブロッコリーのプロフイール

ブロッコリーとは

サラダを始め、お弁当やクリームシチューなどの彩りとしても活躍するブロッコリー。日本の食卓でも身近な緑黄色野菜の一つで、健康に良いというイメージを持たれている方も少なくないでしょう。アメリカでもブロッコリーは健康の象徴として扱われているそうですが、その一方で子供が嫌がる野菜代表でもあるのだとか。アメリカ大統領のジョージ・H・W・ブッシュ氏は大のブロッコリー嫌いで、大統領専用機の機内食のメニューからブロッコリーを削除してしまったという逸話があったり、嫌な物事を表現するときに引き合いに出すことも多いようです。日本で言うところのピーマンに近いイメージですね。

ブロッコリーはイタリアなどの地中海沿岸地域が原産とされるアブラナ科野菜で、キャベツなどと同じくヤセイカンラン(wild cabbage/学名:Brassica oleracea)を原種とすることからキャベツの一変種として扱われています。学名もキャベツと同じ原種に由来することが分かるBrassica oleracea var. italicaとされています。そのほかケールやコールラビなども同じくヤセイカンランを元とする野菜で、ブロッコリーと非常に近い存在です。現在野菜として知られているものの中ではケールが最も原種に近いと言われています。

またブロッコリーとよく似た食材であり、白いブロッコリーとも言えるカリフラワーがありますが、こちらは突然変異したブロッコリーを栽培品種化したものと考えられています。ブロッコリーやカリフラワーの特徴と言える頂部の小さなツブツブは1つ1つが花のつぼみで、つぼみが集まった花蕾の部分と花茎の部分を食べていることから「花野菜」と総称されます。ちなみにロッコリーの和名はミドリハナヤサイ(緑花野菜/緑花椰菜)もしくはメハナヤサイ(芽花野菜/芽花椰菜)と言います。カリフラワーは“芽”や“緑”を付けずに単に「花野菜」と呼ばれるのは、日本に伝わった当時はカリフラワーの方がポピュラーだったからかもしれません。

ブロッコリーの栽培品種は多く存在していますが、大きくは形状から頂花蕾型ブロッコリー・わき芽型ブロッコリーの2つに分けられます。頂花蕾型というのは太い茎の先端の中心につぼみをつけるもので、一般的にイメージされるブロッコリーはこちらに入るでしょう。わき芽型ブロッコリーは細長い形状が特徴で、茎ブロッコリーやステッィク型ブロッコリーとも呼ばれています。スティック型の代表格と言える“スティックセニョール”はブロッコリーと中国野菜の芥藍(カイラン)を掛け合わせた交雑種で、実は日本の会社である『サカタのタネ』が作った品種。そのほか新芽の状態で食べるブロッコリースプラウトも近年は健康野菜として注目され、多く流通するようになっています。

ブロッコリーの歴史

ブロッコリーの原種とされるヤセイカンランは北東地中海からイギリス周辺にかけて自生している植物で、紀元前のかなり古い時期からイベリア人が薬草として利用していたと言われています。この原種がケルト人に伝わり、ヨーロッパ各地で栽培・品種改良が行われたことで、キャベツやブロッコリーなど様々な野菜へ分化したと考えられています。ブロッコリーの原産地についてはイタリア地中海沿岸地域とされており、約2000年前の古代ローマでは既に食べられていたという説もあります。ただしこの“ブロッコリー”はブロッコリーとキャベツの間の子のような存在であったとも言われています。ちなみにブロッコリー(Broccoli)という呼び名も、イタリア語で芽や茎という意味を持つ「Brocco(ブロッコ)」という言葉が語源とされていますよ。

ローマ時代のうちにキャベツは茎がなくなり葉がメインの野菜に、ブロッコリーは茎や花蕾がメインの野菜へとそれぞれの特徴が強調された形へと改良されていきます。古くから食されてきたと言われるブロッコリーですが、本格的な商業栽培が始まったのは15~16世紀頃。イタリアで局地的に食べられていたものが1560年頃にはフランスへ、1700年代にはイギリスへと伝わります。伝来当初フランスでは「アスパラガス・キャベツ」、イギリスでは「イタリアン・アスパラガス」などと呼ばれていたそう。ただ伝わった頃のブロッコリーの人気は低く、先に伝わっていたカリフラワーの方が人気がありました。

18世紀末頃にはアメリカでもトーマス・ジェファーソン氏が試験的に植えていたそうですが、大々的が栽培が行われるようになるのはイタリア系移民が増えた19世紀後半からと言われています。また、19世紀にはアジアへも広まり、各地で栽培も行われるようになります。日本にも明治初期にブロッコリーが伝わっていますが、当時は観賞用と考えられていたため普及はしませんでした。カリフラワーも同時期に伝来していますが同じく普及せず、ブロッコリーとカリフラワーの食用や栽培が行われるようになったのは第二次世界大戦後とされています。洋食文化の普及などで徐々に需要は高まっていったと言われていますが、昭和50年代初頭まではブロッコリーよりも“洋菜の三白”と呼ばれていたカリフラワーの方が主流でした。

しかし昭和50年代の後半(1980年代)頃には健康志向の高まりなどから緑黄色野菜が高く評価されるようになり、白いカリフラワーよりも緑色のブロッコリーを手に取る方が増えてきます。当時既にアメリカではブロッコリーが「健康に良い野菜」とされていたこともあり、日本でも健康野菜として需要・消費量が急激に増加していきます。農林水産省の統計ではブロッコリーの品目区分が無かった昭和50年から、昭和60年頃になるとカリフラワー75,000トン対ブロッコリー55,000トンに、平成2年になるとカリフラワー49,000トンに対してブロッコリー93,000トンと短期間で卸売数料が逆転していることが分かります。平成28年度のブロッコリー出荷量は127,900トンとさらに増えていますし、健康野菜として親しまれ続けている存在と言えますね。

ブロッコリーの栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ブロッコリーは栄養価に富んだ緑黄色野菜と称されるように、β-カロテンやビタミンCなどのビタミン類、カリウム・マグネシウム・カルシウムなどのミネラル類を幅広く豊富に含んでいます。食物繊維量も多く、生100gあたりのカロリーが33kcalと低めなのも人気の一つでしょう。そのほかファイトケミカルでイソチオシアネートの一種であるスルフォラファンなども含まれていることから、抗酸化作用をはじめとした様々な健康メリットが期待されています。

ブロッコリーのイメージ

ブロッコリーの効果効能、その根拠・理由とは?

栄養補給・貧血予防に

貧血にはいくつかのタイプがありますが、日本人に最も多いとされるのがヘモグロビンの主成分であり酸素を体内に運搬してくれる“鉄分”が不足することにより起こる鉄欠乏性貧血。ブロッコリーは100gあたり1mgと野菜の中では比較的鉄分が多く、鉄分の吸収をサポートしてくれるビタミンC・造血に関与する葉酸やビタミンB12なども多く含んでいます。このため総合的に赤血球の生成をサポートしてくれる食材として、貧血予防にも良いと考えられています。

検査での数値上は貧血と判断されないレベルであっても、鉄分不足気味サインとして倦怠感やだるさ・冷えなどが起こる可能性があるという指摘もあります。この状態はメディアでプチ貧血や隠れ貧血と表現され、成人女性の4人に1人は貧血もしくは隠れ貧血という見解も。単に鉄分の補給ということだけを見ればブロッコリーよりも効率の良い食材は多くありますが、ブロッコリーには鉄分以外にも不足しがちなビタミンやミネラルが多く含まれています。食事や栄養のバランスを整えるという点でも役立ってくれるでしょう。

ストレス対策に

ブロッコリーは生100gあたり120mgとビタミンCを非常に多く含む食材で、同グラムで比較した場合はオレンジの約3倍・レモン全果を上回るほどのビタミンCを含んでいます。茹でた場合は100gあたり50~60mg程度に減少してしまいますが、それでも野菜類トップクラスと言えるビタミンC含有量となっています。ビタミンCは抗酸化を筆頭に様々な働きが期待されているビタミンで、アドレナリンなどストレス下で分泌される副腎皮質ホルモンの生成にも関わっています。

ストレスが多いほどビタミンCの消費は多くなり、不足するとストレス抵抗力が低下すると考えられています。ブロッコリーはビタミンCが豊富な野菜ですし、ビタミンCと同じく副腎皮質ホルモンの生成に関わるパントテン酸も多く含んでいます。このためブロッコリーはストレス対策やストレス抵抗力を高めたい時にも適した野菜と言われています。不安や緊張など精神的なストレスは勿論ですが、喫煙や不規則な生活をはじめ寒暖・空腹・騒音・眩しさ・空気汚染なども体にとってはストレスになります。ビタミンCが不足しないように小まめに補給したいところですね。

抗酸化(老化予防)に

ブロッコリーはビタミンC以外に、アブラナ科の食材の特徴成分でもある抗酸化物質イソチオシアネートが含まれています。イソチオシアネートというと大根わさびなど辛味・刺激成分というイメージがありますが、辛味のないキャベツやブロッコリー・カリフラワーなどの野菜にも広く含まれています。ブロッコリーの場合は前駆物質でスルフォラファングルコシノレートと呼ばれる配糖体の形で含まれており、体内で消化が行われる過程でイソチオシアネートの一種であるスルフォラファンへと変化します。辛味が無いため、刺激のある食材が苦手な方でも取り入れやすいのも嬉しいところですね。

機能性栄養素とも言われるイソチオシアネート(スルフォラファン)は高い殺菌作用と活性酸素除去作用を持つことが報告されており、スルフォラファンの抗酸化作用は3日間効果が持続するという特徴もあります。スルフォラファングルコシノレートからスルフォラファンへ変換してくれるミロシナーゼという酵素は加熱料理で減少してしまうことが分かっていますが、ブロッコリーはそれ以外にもビタミンCやβ-カロテン・ビタミンEなどの抗酸化作用を持つ成分を多く含んでいます。このためブロッコリーは様々な抗酸化物質を補給できる抗酸化野菜として、活性酸素による細胞の酸化を抑えて身体を若々しく健康に保つサポートが期待されています。

生活習慣病予防に

抗酸化作用は身体を若々しく保つだけではなく、過酸化脂質の蓄積を防ぐことで生活習慣病の予防にも繋がると考えられています。活性酸素によって酸化された中性脂肪・悪玉(LDL) コレステロールが血管に蓄積すると血管の柔軟さが失われ動脈硬化の原因となりますし、血流が阻まれることで高血圧のリスクも高まります。アメリカ農務省の研究ではブロッコリーにコレステロール低下作用があるという報告もなされていますし、ブロッコリーにはナトリウム排出を促すことで血圧を一定に保つカリウムも100gあたり360mgと多めなので、抗酸化と合わせて血圧が気になる方のサポートにも適しているでしょう。

そのほかイソチオシアネートはがん予防に有効な食材の研究から発見された栄養素で、発がん物質の排出を高めるなどの働きによって発がんリスクを低下する可能性があることが報告されています。スウェーデンのルンド大学糖尿病センターからはスルフォラファンの摂取で血糖コントロールの改善が見られたという報告もなされていますよ。どちらも摂取量や有用性についてはまだ不明瞭な部分も多いですが、抗酸化物質が補給できることと合わせて健康維持に取り入れてみても良さそうですね。

胃の健康維持・疲労回復に

キャベツの仲間であるブロッコリーにも、キャベツの代表成分とされるキャベジン(ビタミンU)が含まれています。キャベジンは抗腫瘍物質として発見された成分ですが、胃酸の分泌を抑えて胃腸の粘膜を健康に保つ働き・胃腸の粘膜を修復するタンパク質の合成を促す働きがあることが報告されています。また粘膜への血流促進作用を持つ可能性なども示唆されており、胃痛の軽減や胃潰瘍・十二指腸潰傷の予防効果が期待されています。胃薬などと比べると含有量は微量ですが、キャベジンを含むことからブロッコリーも胃の健康維持に役立つと考えられています。加えてイソチオシアネート(スルフォラファン)もピロリ菌や大腸菌などへの殺菌効果を持つと言われており、相乗効果が期待できるという説もあります。

むくみ・便秘対策に

カリウムはナトリウムとバランスを取り合うミネラルで、ナトリウムの排出を促す働きがあります。身体はナトリウム過多の状態の時には血中ナトリウム濃度を一定に保つため、水分を溜め込もうとする性質があります。むくみにはカリウムを補給すると良いと言われるのは、ナトリウム排出を促すことでこの溜め込まれた水分を適正な状態に戻してくれるためです。ブロッコリーはカリウム含有量が100gあたり360mgと野菜類では多い部類に入りますし、食物繊維量についても生100gあたり4.4mgニラより豊富。スルフォラファンも筑波大学の谷中昭典教授の試験では便通スコアの改善が見られたとの報告がなされていますから、合わせて便秘やむくみ緩和のサポーターとしてもブロッコリーは役立ってくれる可能性があります。

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肝機能向上・デトックスにも

ブロッコリーに含まれているイソチオシアネート(スルフォラファン)は抗酸化作用以外に、体内の解毒酵素の働きを高めて肝臓の働きを高めてくれる可能性があることも報告されています。このためブロッコリーやブロッコリースプラウトは肝炎や肝障害の発症リスクの低減が期待されており、解毒・悪酔い防止・胃病予防などにも役立つのではないかと考えられています。

またスルフォラファンは有害重金属を無害・排出してくれる解毒酵素“グルタチオン・S・トランスフェラーゼ”の生成を促進するという報告もあるため、ブロッコリーは有害重金属をはじめとする体内の老廃物・有害物質の排泄促進が期待されています。カリウムや食物繊維が豊富なことと合わせて、デトックスサポートに役立つ食材としても取り入れられています。排泄力を高め余分なものを溜め込みにくくすることで、代謝低下を改善して体質への変化も期待されています。

免疫力保持・風邪予防に

ブロッコリーはビタミンCとβ-カロテンを豊富に含む事から、免疫力を高める働きも期待されています。ビタミンCは抗ウイルス作用を持つインターフェロンの分泌促進作用や白血球の強化・自らが病原菌を攻撃する働きを持つなど、免疫機能に関わる働きを持つ可能性が多く報告されている存在。コラーゲンの生成を促すことで細胞を密に繋ぎ、ウイルスの侵入を抑制する働きも期待できるため、風邪予防にも摂取しておきたいビタミンの一つに数えられています。β-カロテンも体内でビタミンAに変換されることで呼吸器粘膜などの強化に使われますから、ウィルスの侵入を防ぐ働きが期待できるでしょう。

またビタミンCやβ-カロテンは抗酸化作用を持つため、酸化ダメージによる免疫機能の低下予防に繋がるという見解もあります。抗酸化という点ではブロッコリーの特徴成分であるイソチオシアネート(スルフォラファン)も抗酸化物質ですし、高い抗菌作用を持つという報告もありますから、相乗効果が期待できるでしょう。ミネラルやビタミンの不足を緩和してくれることも正常な免疫機能の保持に繋がりますね。

妊娠中・授乳中の栄養補給に

葉酸の不足は巨赤芽球性貧血(大球性貧血)の原因となることが知られていますが、実は葉酸は様々な食材に含まれているため極端な食生活をしない限り不足する心配は低い栄養素とされています。ただ葉酸は赤血球の合成だけではなく神経細胞の代謝・成長の補助にも関わる栄養素でもあります。このため妊娠中や授乳中の場合には赤ちゃんの正常な発育に不可欠な栄養素として一日の推奨摂取量が多く設定されています。また妊活中の方も不足しないように心がける必要があると考えられており、妊活サプリなどにもよく配合されていますね。

ブロッコリーの葉酸含有量は100gあたり210μgとされており、Mサイズ一つ食べると成人女性1日の推奨量である240μgを補給できるほど豊富。妊娠前後に推奨される1日400ugの葉酸をブロッコリーだけで摂るのは無理がありますが、サラダや付け合せにブロッコリーを加えることで葉酸補給をサポートしてくれるでしょう。葉酸ほど多くはありませんがブロッコリーには妊娠中~授乳中に意識的に摂取したいカルシウムや鉄分などのミネラルも含まれています。つわり軽減に繋がる可能性があると言われているビタミンB6も多いですし、便秘やむくみ対策にも役立つので妊娠中の体を整えるのにも役立ってくれそうですね。

美肌・美白サポートとしても

ブロッコリーは抗酸化作用を持つビタミン類(β-カロテン・ビタミンC・ビタミンE)を豊富に含み、長時間作用し続ける抗酸化作用を持つスルフォラファンも含まれています。このため肌細胞の酸化を抑え、シワやタルミなど肌の老化現象を抑制してくれるアンチエイジング食材としても取り入れられています。またビタミンCとスルフォラファンはチロシナーゼの活性を抑制することによりメラニンの生成を防ぐ作用が、β-カロテンには紫外線のダメージを抑える働きが期待出来ることから紫外線対策や美白(シミ予防)にも役立つと考えられています。

そのほかにスルフォラファンやビタミンCなどは肌のダメージを修復してくれる効果もあると考えられていますし、β-カロテン(ビタミンA)の補給は皮膚や粘膜の免疫力向上や乾燥肌予防などにも繋がります。タンパク質代謝に不可欠で皮膚粘膜の保持とも関わりの深いビタミンB6ほか、ビタミンB群を多く含むことと合わせて肌トラブルの予防・改善に役立ってくれるでしょう。便秘の改善やストレス抵抗力アップからも肌荒れ予防や軽減が期待できるでしょう。これらのことからブロッコリーは幅広い肌のお悩み軽減・美肌作りをサポートしてくれる美肌野菜としても注目されています。

ブロッコリースプラウトについて

ブロッコリースプラウトのイメージ

健康野菜として注目されている、カイワレ大根豆苗のような見た目のブロッコリースプラウト(ブロッコリーの新芽)。ビタミン・ミネラル含有量こそ概ねブロッコリーよりも劣りますが、ブロッコリースプラウトにはスルフォラファンがブロッコリーの20倍以上含まれているとされ、抗酸化や肝機能強化・デトックスなどについてはより高い効果が期待できると言われています。

スルフォラファングルコシノレートからスルフォラファンへ変化してくれる酵素は熱に弱いのでなるべく生で、また蒸発しやすいとも言われていますので切って使う場合は食べる直前に切るようにすると良いでしょう。加熱しても若干は補給できますので生食が苦手な方は無理をする必要はありませんが、茹でる場合はスープなど汁も飲めるような料理に使ったほうが良いでしょう。

ブロッコリーとカリフラワーの違い

ブロッコリーとカリフラワーはどちらもアブラナ科の野菜で種としても非常に近い関係にありますが、色の濃さ以外にも色々と違いがあります。野菜の風味としては味がはっきりしているブロッコリーは使う料理を選びますが、味の少ないカリフラワーは和・洋・中・エスニックなど幅広い味付けや料理法で利用出来ます。また下茹でする場合は蕾が柔らかいブロッコリーは茎を下にして、蕾が固くしまっているカリフラワーは茎を上にして茹でると良いと言われています。

栄養面での大きな違いとしては単色野菜(※一般的なホワイトのもの)と緑黄色野菜に分かれます。そのため特徴的に異なっているのはβ-カロテン含有量で、100gあたりの含有量はブロッコリー770 ug、カリフラワー16 ugと圧倒的な差が生じています。またビタミンEもブロッコリーがカリフラワーの12倍の含有とかなりの差がみられます。そのほか鉄分・マグネシウムなどのミネラルや葉酸・ビタミン類のほとんどが同グラム数で比較するとブロッコリーの方が高い傾向ですが、カリウム含有はカリフラワーの方が多くなっています。

ビタミンC含有量も生で見るとブロッコリーの方が多くなりますが、カリフラワーは茹でた時に栄養が損なわれにくい性質があるため「茹で」100g辺りのビタミンC量で比較するとブロッコリー54mg、カリフラワー53mgと大差ない数値になります。生状態であればかなり差がある食物繊維量も「茹で」状態ではカリフラワー3.2g/ブロッコリー3.7gと差は小さくなりますし、他水溶性成分の差も少なくなります。茹で状態でも差が大きいのはβ-カロテン・ビタミンE・ビタミンKなどの脂溶性ビタミンが主となっています。カロリーも生100gであればブロッコリー33kcalに対してカリフラワー27kcalであるのが、茹で100gあたりの場合はブロッコリー27kcalに対してカリフラワー26kcalとほとんど変わりありません。

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目的別、ブロッコリーのおすすめ食べ合わせ

ブロッコリーの選び方・食べ方・注意点

ブロッコリーは生100gあたりの栄養価として見るとビタミンCが豊富ですが、料理時には減少してしまい茹でた場合は半分以下になってしまいます。ビタミンC以外の水溶性成分も減少してしまいますので、湯でる場合は少なめの水でさっと固めに茹でるか、電子レンジを使う・蒸すなどした方が良いでしょう。茹でた後に水に晒すのも極力控えるのがオススメです。食べる時は若干の油分のあるドレッシングや食材と組み合わせると、β-カロテンやスルフォラファンの吸収率アップが期待できます。

美味しいブロッコリーの選び方・保存方法

ブロッコリーを選ぶ時は頂部の粒(つぼみ)が小さく締まっているもの・みっしりと詰まっているものを選ぶと良いと言われています。常温で放置すると蕾から花が咲いてしまうこともありますので、粒が大きめであったり柔らかいなど開きそうな感じのするものは避けましょう。また軸(茎)にスが入って空洞ができているものも避けるようにします。

全体的に見て黄色っぽく変色している部位がないこと・軸の切り口が瑞々しいことが新鮮さのポイントとされています。頂部が紫色になっているのは、霜や気温差などの影響でアントシアニンが生成されたもの。鮮度や味については問題ないとされていますし、加熱すると色も緑色になります。

保存はラップを巻く・袋に入れるなど乾燥しないようにして、冷蔵庫(野菜室)に立てた状態で入れておきます。さほど日持ちはしないので早めに使うようにして下さい。数日であれば固めに下茹でして冷蔵庫に入れておいたものを小分けに使えますが、時間と共に味も栄養も落ちてしまいます。大量にある場合などは固めに下茹でし、水を切ったものを小分けに冷凍保存しておくのがベスト。

ブロッコリーの注意点

ブロッコリーは生でも食べられる野菜で、アメリカなどでは生のまま刻んでサラダなどに使う方がポピュラーであるとも言われています。生で食べたほうが栄養を余すところ無く補給できるため日本でもサラダやスムージー・野菜ジュースなどにそのまま使う方が増えていますが、一つ注意したほうが良い事があります。

それはケールやブロッコリーなどのアブラナ科野菜にはヨウ素の取込みを阻害するゴイトロゲン(プロゴイトリンなど)を含み、生で大量に食べ続けると甲状腺機能を低下させる可能性が指摘されているということ。通常量であれば生のまま摂取しても人体に影響はないと言われていますが、甲状腺系の疾患がある方などは摂取量に注意したほうが良いでしょう。ゴイトロゲンは加熱により失活しますので妊娠中の方・不安な方は加熱して食べる方が無難です。

参考元:Broccoli and CauliflowerTop 14 Health Benefits of Broccoliスルフォラファンとは?|村上農園を知る