【Pistachio】ピスタチオの栄養・効果

ピスタチオイメージ

ピスタチオとは

殻付きで販売されているのがデフォルト、ピスタチオグリーンと呼ばれる緑色の実、濃厚な独特の風味など、ナッツ類の異端児的な印象がある方もいらっしゃるかもしれません。豊富な栄養価や際立った風味からマカダミアナッツアーモンドがナッツの王様と呼ばれるのに対し、ピスタチオは「ナッツの女王」とも呼ばれているほか、緑の宝石というロマンティックな呼び名もあります。

日本ではそのままミックスナッツやおつまみとして食べることがほとんどでしたが、近年は風味の良さと爽やかな緑色からジェラートやマカロン、ピスタチオのクリームを使ったケーキなど製菓業界でもよく使われています。チョコレートとの相性も良いですね。そのほかパスタやスープなどの料理にも利用できるなど、栄養面以外に利用方法からもその存在が見直されています。

ピスタチオの歴史

ピスタチオは中央アジア~西アジア原産とされるウルシ科カイノキ属(Pistacia属)の落葉高木です。紀元前7000年頃から食用とされていたという説もあるほど古くから人類に知られていたナッツの1つで、旧約聖書(創世記43章11節)にも記載が見されます。

紀元前から原産地であるペルシア(現在のイラン)ではピスタチオ貿易を行う商人・ピスタチオ畑の所有者は富と権限を持っていたようです。一説ではアレキサンダー大王の征服によってピスタチオはギリシアへともたさられたと言われています。紀元1世紀頃には古代ローマ帝国へと伝えられ、イタリアなどでも栽培されるようになます。シルクロードを通じて中国へも伝来し、ピスタチオの種子は生薬(阿月渾子)としても利用されています。

19世紀になるとアメリカのカリフォルニアでの栽培が行われるようになり、1900年代には植物学者ウィリアムE.ホワイトハウスがより特徴的で美味しいピスタチオを探すためペルシャを旅して種子を集め、栽培実験を行います。努力の結果ピスタチオ産業が花開き、現在は原産地イランと並ぶピスタチオ生産国となっています。ちなみに日本でも1880年代ころに栽培計画があったものの、気候や風土の問題で定着しなかったそうです。

ピスタチオはこんな方にオススメ

  • お子様の健康維持・育成に
  • 食生活の偏りが気になる方
  • 血圧が高めの方
  • 中性脂肪・コレステロール値が気になる
  • 糖質摂取が多い方
  • 疲労・疲労感が抜けない
  • 貧血・鉄分不足が気になる
  • 便秘・むくみがある方
  • PCやスマホをよく使う方
  • 目の健康を維持したい方
  • 生活習慣病の予防
  • お肌の若々しさを維持したい

ピスタチオの主な栄養・期待される効果

ナッツ類は含有量こそ違うものの大体同じような栄養成分・非栄養性機能物質を含んでいますが、ルテインやゼアキサンチンを豊富に含んでいるのがピスタチオの特徴と言えるでしょう。

栄養補給

ナッツの女王とも呼ばれる一端には、高い栄養価も関係していると言われるピスタチオ。良質なタンパク質とオレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸、カリウム・マグネシウム・鉄・銅などのミネラル、ビタミンB群やビタミンE、β―カロテン、食物繊維などを含んでいます。

ピスタチオはビタミン、特に代謝に関わるビタミンB群を豊富に含んでいます。加えてミネラルや良質なタンパク質や脂質を含むためエネルギー補給食品としても優れていると考えられています。現役アスリートも持ち運べる手軽なエネルギー源として利用しているのだとか。運動をする方は勿論ですが、育ち盛りのお子様へのおやつとしてや、食欲がないときに小まめにつまむなどの利用でも役立ってくれそうです。

疲労回復・貧血予防

ビタミンB1は「疲労回復のビタミン」とも言われているように、糖代謝を活発化することでエネルギー産出を高めることから疲労回復に高い効果が期待出来ます。脳神経もブドウ糖からエネルギーを吸収しているため、ビタミンB1が不足するとイライラや集中力低下の原因となるとも言われています。このためピスタチオは肉体面・精神面両方での疲労回復をサポートしてくれると考えられています。

また鉄分含有量は100g中3mgと際立って高いわけではありませんが、鉄分からヘモグロビンの合成に必要な銅、丈夫な赤血球を作るために必要な亜鉛も含まれています。これらの成分がまとめて摂取できることからピスタチオは貧血の予防・改善に役立つナッツと言われています。貧血や鉄分・亜鉛不足の状態は慢性疲労感やだるさ・無気力感を引き起こしますから、貧血の改善効果からも疲労感の改善に役立つと言えるでしょう。

便秘・むくみの対策

ピスタチオは100gあたり9.2gの食物繊維と970mgのカリウムを含んでいます。一日摂取分を20gと考えた場合の食物繊維量でも1.84g。野菜であれば生キャベツ100g、果物であれば梨やオレンジ200g分の食物繊維量と大体同じくらいの量を摂取することができますから、十分に補給源として役立ってくれるでしょう。また不飽和脂肪酸のオレイン酸とリノール酸は腸の蠕動運動を促進する働きや、潤滑油として便の腸内移動・排泄をスムーズにする働きも期待出来ます。食物繊維と油分により便秘の解消に役立ってくれるでしょう。

同様に血液中のナトリウム(塩分)や余分な水分の排出を促す働きのあるカリウムも、20gで194mgとキュウリレタス100gとほぼ同量を摂取することができます。便秘にせよむくみにせよピスタチオを食べるだけで改善するとは言えませんが、日常生活において不足しがちな分を補う目的として考えると役立つと言えるでしょう。

生活習慣病予防

ピスタチオに含まれている不飽和脂肪酸(オレイン酸・リノール酸)はコレステロール値を減少させる働きがあると言われています。特にオレイン酸はオメガ9系(n-9系)に分類される不飽和脂肪酸で、善玉コレステロールを下げずに悪玉コレステロールを減少させる・中性脂肪を低下させるなどの働きがあります。ピスタチオにはナトリウム排泄を促すことで高血圧を予防する働きのあるカリウムも比較的多く含まれていますから、相乗して高血圧や動脈硬化を予防し、脳梗塞や心筋梗塞など生活習慣病の発生リスクを低下させると考えられています。

また摂取過多になると善玉コレステロールまで低下させてしまう、アレルギー炎症を促進するなどの報告がなされ「悪者」のイメージがあるリノール酸(オメガ6系脂肪酸)ですが、体内で合成することができない必須脂肪酸の1つです。摂りすぎは問題ですが全く取らなくて良い油というわけではありません。使用量がわかりにくい料理油などで大量摂取をするよりも、食材から目に見える形で摂取すると摂りすぎ予防にもなりそうです。

目の疲れ・眼病予防

ピスタチオには緑黄色野菜によく含まれているカロテノイドのルテインやゼアキサンチンなどを含んでいます。ルテインとゼアキサンチンは共に目の黄斑部・水晶体・硝子体・角膜に存在しています。強力な抗酸化作用によって紫外線やブルーライトなどの外部刺激から目を守ってくれる働きがあると考えられており、白内障や黄斑変性症などの眼病予防効果も報告されている成分です。

また近年はブルーライトを吸収する働きにも注目され、PCやスマホなどの画面の注視による目の疲れの予防・緩和にも効果が期待されています。目の疲れや眼病予防にはアントシアニンと合わせて摂取するとより高い効果が期待できるでしょう。

老化防止・美肌保持

ピスタチオに含まれているルテインやゼアキサンチンなどは抗酸化物質ですから視機能保護だけではなく、体全体における抗酸化作用が期待出来ます。他にもビタミンEやβ-カロテンなど抗酸化作用を持つ成分が含まれていますから、相乗して老化予防にも役立ってくれるでしょう。

老化防止に加え、便秘の解消やβカロテン(ビタミンA)の働きによる肌荒れ予防、貧血改善やビタミンEによって血液循環が整うことでのクマ・くすみ改善や肌代謝の向上などにも効果が期待出来ます。またピスタチオはタンパク質も豊富ですから、ビタミンCと合わせて摂取することでタンパク質の一種であるコラーゲンの生成を助ける働きなども期待出来ます。そのほか女性ホルモン(エストロゲン)の代謝を促進するビタミンB6やミネラル類が豊富なため、バストアップ効果などを期待してピスタチオを食べる方もいるようです。

ピスタチオの選び方・食べ方・注意点

ピスタチオの食べすぎは癌になるという説がありましたが、これは発癌性の高いアフラトキシンを発生するカビ付着によるもので、ピスタチオ自体に発癌性があるわけではありません。ただし100gで615kcalと高カロリーで脂質も多いため食べすぎには注意が必要です。

酸化や湿気による風味の劣化を防ぐため、開封後は密閉容器にいれ冷蔵庫で保存するようにしましょう。購入時は緑色の濃いものを選んでください。

ピスタチオのオススメ食べ合わせ

  • ピスタチオ+卵・レバー・レモン・紫蘇・海苔
    ⇒貧血予防・改善に
  • ピスタチオ+ブルーベリー・黒豆・なす・黒ゴマ
    ⇒目の疲れに
  • ピスタチオ+豚肉・豆腐・ヨーグルト+キウイ・レモン
    ⇒美肌・肌のハリアップに