大根とかぶ(蕪)の違いとは?
-植物としての差・栄養価を比較!

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概要見た目も味や食感もわりと似ている大根とかぶ。大根は縦長の円錐形・かぶはコロンとした球形など“形”が違うと思われがちですが、聖護院大根など丸い形をした大根もあります。では大根とかぶは何が違うのかを、植物として・食材として比較してみました。外見で見分けられるポイントや栄養価の違いについてもご紹介します。

大根とカブの違い、植物として編

大根(ダイコン)の植物分類と歴史

大根は植物としてはアブラナ科ダイコン属に分類される越年草。大“根”と呼ばれるように、主に食用としている白く長い部分は肥大した根です。ダイコン属にはいくつかの種に分かれていますが、日本でポピュラーな大根は学名がRaphanus sativus var. longipinnatus学名がRaphanus sativusとなっている基本種はラディッシュ(ハツカダイコン)であり、日本の大根は【var.】が付く=ラディッシュの変種の一つとして扱われています。

ラディッシュというのはカブの英名・種類名のように思われがちですが、日本語に直訳すると広い意味での“ダイコン”になります。日本人からするとラディッシュよりも大根のほうが馴染みがあるので微妙な感じですが、英語圏では日本でポピュラーな白くて大きな大根は“ジャパニーズラディッシュ(Japanese radish)”と表現されるのだそう。逆に日本ではラディッシュを大根の一種・一品種と見做す場合もありますが、どちらにせよ非常に近い存在であることは間違いないでしょう。

大根のイメージ画像

現在ある大根はヨーロッパ大根・中国大根・日本大根の3種類に大きく分かれれますが、これも伝わった先でそれぞれ独自の変化を遂げた結果だとか。同じ日本大根でも現在最もポピュラーとされる“青首大根”以外に、頭(胚乳)部分まで白い“白首大根”系や聖護院大根など丸みの強い“丸大根”系などがありますね。大根とカブの違いとしては形状が縦長か球状かが違いのように感じがちですが、実はこの分け方はあてになりません。余談ですが、大根と非常に近い種であるラディッシュにサイズこそ違いますが縦長の形状をしたものがありますよ。

ちなみに“大根”として食べている部分は肥大した根と上で書きましたが、厳密に言うと土から出ている頭、青首大根でいうグリーンの部分は胚軸(茎の根元になる部分)でもあると中間的な性質があるのだそう。青首大根が青くなるもの、光を浴びると葉緑体を作る=茎を作り出すという性質からなのだとか。葉を落とした状態で売られていることも多いですが、大根の葉は切れ込みが深くギザギザした形をしています。春頃には白もしくは薄紫色の花も咲きますよ。

ダイコンの歴史

ダイコン属の植物の祖先は確定こそされていませんが、地中海地方から中東にかけての地域が原産と考えられています。紀元前2200年頃の古代エジプトでは大根の一種、おそらくラディッシュに近いものがピラミッド建設労働者に配られていたことが記録されているため、かなり古い時代に栽培が行なわれていたと考えられています。現在でも黒大根(黒大根)や赤大根などがありますが、世界的には白いほうが珍しいとも言われています。エジプトで配給されていたダイコンやラディッシュ系列の野菜もカラフルなものだったのかもしれません。

大根の祖先はシルクロードを通って中国などユーラシア大陸の東側へも伝えられます。日本への伝来時期については諸説ありますが、遅くとも奈良時代には存在していたようです。大根は春の七草を数える際などに「スズシロ」とも呼ばれていますが、これも奈良~平安頃に付けられた呼び名と考えられています。万葉集や日本書紀には「蘿蔔(すずしろ)」として大根が登場しているそうですよ。

かぶ(蕪)の植物分類と歴史

かぶのイメージ画像

かぶは植物としてはアブラナ科アブラナ属に分類される越年草。大根とは“属”の時点から違います。かぶは世界中で栽培されている作物ですが、分類上はアフガニスタン原産の“アジア系(Brassica rapa var. glabra)”と地中海沿岸原産の“ヨーロッパ系(Brassica rapa var. rapa)”の2系統に分けられています。どちらにせよ、かぶはBrassica rapaという植物の変種、という扱いになっていることが分かりますね。

ちなみに同じくBrassica rapaの変種として扱われている野菜には白菜小松菜水菜などがあります。大根とは属からして違うので、外見や風味はさておき植物としてはかぶは白菜などと近い存在であると言えます。ラディッシュとカブは見た目としても味としても似ていますが、ラディッシュは大根と近い存在ですので植物としては全くの別物。余談ですがラディッシュは英語で二十日大根・広義であれば“大根”を指す言葉なので、カブは英語で“Turnip”と言うのが正解。

また大根は肥大化した根を主に食材としていますが、カブは胚軸と呼ばれる茎の始まり部分を食用としています。あのコロンとした丸い部分は根ではなく胚軸で、お尻の先にある細長い部分が根。胚軸と根が一体化している大根と同じに見えますが、食べている部位も違うんですね。茎と根の繋ぎ目部分だけが膨らむから丸っこい形をしている…と思いがちですが、滋賀県の“日野菜かぶ”や奈良県の“飛鳥あかね”など細長い円錐形をしたかぶもありますよ。大根同様に葉が落とされた状態で売られていることがありますが、大根やラディッシュと異なり、かぶは葉の切れ込みが浅く、大きな一枚葉と言える見た目をしていることも大きな違い。またカブの花は油菜(菜の花)と似た黄色い花がポピュラー。

かぶ雑学

かぶの祖先(原種)とされているBrassica rapaは西アジアからヨーロッパにかけての地域が原産とされていますが、かぶそのものの原産地についてははっきり分かっていません。というのもアフガニスタン原産の“アジア系(Brassica rapa var. glabra)”と地中海沿岸原産の“ヨーロッパ系(Brassica rapa var. rapa)”の2系統に分かれることが認められていますが、これらが各々の地域で独自にBrassica rapaから変化したのか・どちらかが先に出来て更に変化したのかがわからないのだそう。

発祥はさておき、かぶは中国でもヨーロッパでも古くから栽培されていた作物と考えられています。中国では紀元前に記されたとされる『詩経』に、ヨーロッパでは古代ギリシアの史料に記録があるのだとか。また中国では諸葛孔明(諸葛 亮)が兵糧として重用し、遠征先各地で植えたという逸話もあるそう。その伝説にちなんでかぶのことを「諸葛菜」と呼ぶこともあります。“うんどこどっこいしょ~”でカブを引っ張るロシア民話『おおきなかぶ』も知られていますから、ユーラシア大陸の広範囲で古くから愛されてきた食材と言えそうですね。

日本でも現在各地の“伝統野菜”の中に様々なかぶが見られるように、非常に古くから栽培が行なわれてきました。伝来時期はハッキリしていませんが弥生時代に中国から伝わったという説が主流ですから、大根よりも作物としての歴史は古い可能性が高そうです。日本のかぶはアジア系統の品種と思いがちですが、関ヶ原を境に東日本ではアジア系統種・西日本ではヨーロッパ系統種が主に栽培されています。この境界線は「かぶらライン」とも呼ばれているのだとか。ネギなどもそうですが西と東ではちょっと違った品種が主力になっているので、同じ呼び名でもアレ?と思うことがあるかもしれません。

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大根とカブの違い、食材・栄養素編

かぶの煮付けイメージ

大根の特徴

外見・味の特徴

食材として比べた場合、大根のかぶの大きな違いは「辛味があるかないか」が挙げられると思います。種類さ・個体差はありますが、大根おろしなどにした場合の“薬味”と言えるツンとした辛味が大根の特徴。特に首とか頭と言われる上部は辛味が強いので、間違うことはなさそうですね。

また大根サラダなどを連想して頂くと分かりやすいですが、生で食べた場合はシャキシャキとして瑞々しい食感が特徴。かぶは生でもしっとりとした柔らかさがあります。加熱、特に煮込んだ場合は大根の辛味も消えるのでそこまで大きな差異はありませんが、舌で簡単に潰せる・溶けるような食感になるかぶとは違い、大根も柔らかくはなるものの歯ごたえはある程度残りますカブよりも煮崩れしにくいので、ぶり大根・おでんの具のような長時間汁に入れておく料理には適しています。

栄養価について

風味の違いにも関わる部分ですが、大根には辛味の元となるイソチオシアネート類が含まれています。実際には前駆物質であるグルコシノレートと酵素(ミロシナーゼ)が細胞が含まれており、切る・おろすなどすることで細胞が壊れることで混ざり合ってイソチオシアネート類が生成されています。このイソチオシアネートには抗酸化作用や代謝活発化作用が期待されているため、ダイエットやデトックスなどにも役立つのではないかと考えられています。かつて“大根おろしダイエット”が流行りましたが、かぶおろしダイエットは無かったですもんね。

また大根は消化サポートにも使われる野菜。これは煮ると柔らかくなるということだけではなく、アミラーゼ(ジアスターゼ)などの消化酵素が含まれていることも関係しています。大根には糖質・タンパク質・脂質と3大栄養素の消化に関わる消化酵素が全て含まれているとも言われており、胸焼けや消化不良の改善に役立つと考えられています。イソチオシアネートをはじめとしたアリル化合物も胃液の分泌を促進する働きがあるとされていますから、食欲不振などの軽減にも繋がるかもしれませんね。

大根(根部)生100gあたりのカロリーは18kcal。
ビタミン・ミネラル含有量ははあまり多くありません。ビタミン類ではビタミンCが100gあたり11mg・葉酸が33μg、ミネラル類ではカリウムが230mgとやや多いものの、栄養豊富な食材とは言えないでしょう。大根に期待されている健康メリットの多くは消化酵素とアリルイソチオシアネートの働きに起因するようです。食物繊維が豊富と称されることもありますが、生100gあたり1.3gとされているので“豊富”と言うには微妙な所。

↓大根の詳細はこちら

かぶの特徴

外見・味の特徴

生で食べると辛みや苦味など刺激的な味がある大根に対して、カブは舌への刺激が少なくじんわりとした甘みを感じるほど。食感としてもシャキシャキ・バリバリの大根に比べると柔らかめで、サクサクとでも表現したい感じですね。味と食感で言えば大根は男性的、かぶは女性的と言えるかもしれません(※個人的な見解です)。見た目でカブか大根か不安なものがあっても、生で食べたらだいたい分かると思います。

またカブは加熱すると蕩けるように柔らかくなり、少しぬめり気が出てくるのも特徴柔らかくなりやすく、味も染みやすいですが、煮すぎると煮崩れをしてお粥のような感じになります。この性質から薬膳料理・療養食として使われますが、炊合せのような料理法には適さないというデメリットもあります。

栄養価について

かぶ(胚軸)生100gあたりのカロリーは20kcal。
栄養価としてはほとんど大根と変わりませんが、大根よりも若干ビタミン・ミネラルの含有量が多い傾向にあり、ビタミンC含有量は100gあたり19mgとなっています。必須栄養素の補給という面ではかぶに軍配が上がりそうですが、実際はどちらもそれほど栄養価が高いわけではないので大差ないと思います。

またカブにも消化酵素のアミラーゼが含まれており、糖質(でんぷん)の消化を促す働きが期待されています。カブの持つ独特の粘り気はペクチンによるものなので、かぶそのものの消化の良さ・消化酵素を含んでいることと加えてお腹を壊している時にも良いと言われています。民間療法では“下痢をした時にかぶのおろし汁を飲む”というものもありますね。

ちなみに大根の有効成分・薬効成分と言われているアリルイソチオシアネート類、かぶにも若干含まれていることが分かっています。ただし辛味成分とも称される成分なので含有量は大根よりも少ないと推測されますし、イソチオシアネートを生成する酵素は熱に弱いため大根・かぶ共に加熱すると激減してしまうそう。

↓かぶの詳細はこちら

大根とかぶの違いまとめ

植物として、食材として大根とかぶの違いをご紹介してきました。要点だけをまとめると、

大根(ダイコン)

  • アブラナ科ダイコン属
  • 学名はRaphanus sativus var. longipinnatus
  • 食べている部位は主根(+胚軸)
  • 葉に細かいギザギザの切れ込みがある
  • 春の七草で言う「スズシロ」
  • 生だとシャキシャキ食感+辛味がある
  • アリルイソチオシアネートを多く含む
  • 生100gあたりのカロリーは18kcal
  • ビタミン・ミネラルはかぶより少なめ

蕪(カブ)

  • アブラナ科アブラナ属
  • 学名はBrassica rapa L. var. rapa
    (もしくはBrassica rapa L. var. glabra)
  • 食べている部分は胚軸
  • 葉は切れ込みが浅くツルンとした形
  • 春の七草で言う「ナズナ」
  • 生でも柔らかめの食感+甘みがある
  • アリルイソチオシアネートを少し含む
  • 生100gあたりのカロリーは20kcal
  • ビタミン・ミネラルが大根より多め

栄養価や料理法などは似ているものの、植物としては別物だったという感じでしょうか。大きく離れてこそいないものの、辛味があってシャキシャキした大根・甘みがありまろやかなかぶと食感や風味も違いがありますので、利用方法や好みに応じて自然と棲み分けがされていますね。

共通の特徴・食べ方のポイント

栄養価的には“葉”の方が豊富?!

どちらも捨ててしまったり、ない状態で売られていることも少なくない大根の葉&かぶの葉。キッチンの片隅で頭のところだけを切ったペットボトルに入れて……と貧乏節約生活を連想される方もいらっしゃるかもしれません^^; 色々とエコもしくは「もったいない精神」のように感じがちですが、食材として見た場合の栄養価(必須栄養素の量)としては葉の方が上。根は淡白野菜ですが、葉は緑黄色野菜に入ります。

緑黄色野菜と言われるようにβ-カロテンが非常に多く含まれていることは勿論ですが、カルシウムや鉄分などのミネラルなどもかなり多くなっています。比喩ではなく本当に“桁違い”の栄養素もいくつかあるほどで、特にカルシウムはどちらも250mgと青物類ではトップクラスと言えるほど。鉄分もほうれんそう並もしくは上回るほどなので、ミネラル不足が気になる方・β-カロテンを補給したい方はぜひ食べるようにして下さい。

β-カロテンは抗酸化物質であり、体内でビタミンAに変換されることで皮膚の健康維持にも使われますので美肌やアンチエイジングを心がけている方にもオススメです。お味噌汁の具などにも重宝しますが、ちょっと青臭い感じがあるので、気になる方は細かく刻んでお醤油などを加えて「ふりかけ」にしたり、HMを使って信州名物「おやき」のようにして食べると食べやすいのではないでしょうか。

余談ですが、最近うちの近所のスーパーでは大根などの“葉”だけまとめて販売されています。世知辛い…。