キュウリ(胡瓜)とその栄養成分・効果効能
|世界一栄養がない野菜は嘘!? 夏にピッタリの食材

食べ物辞典:キュウリ

パリパリした噛みごたえが特徴的なキュウリ。鮮やかな緑色はお料理の彩りとしても役立ちますし、そのまま味噌やマヨネーズを付けるだけでも美味しく食べられる手軽さも魅力です。日本に伝わって千年近く嫌われもの扱いでしたが、現在は国民一人当たりのキュウリ消費量が世界一と言われるほど。世界一栄養のない野菜と称されることもありますが、カロリーの低さも考慮すると決して栄養のない野菜という訳でもありません。幅広い栄養素が含まれていることから再評価されつつあるキュウリの栄養効果、ルーツや歴史などについて一挙にご紹介します。

キュウリのイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:きゅうり(胡瓜)
英語:Cucumber

キュウリのプロフイール

キュウリとは

塩、味噌、醤油、酢など日本の調味料との相性が良く、鮮やかな緑色が彩りとしても役立つことからサラダや漬け物、酢の物など「添え物」として日本の食卓を飾るきゅうり。6~8月が旬の夏の野菜でしたが、現在では一年中どこかしらで見かけるほどメジャーな野菜ですね。さっぱりした味と食感で夏場の食欲が無い時などにも取り入れやすい食材ですし、料理の飾り付けなどに彩りとしても役立ってくれる便利な存在。生で食べられることが多いですが、中華風の炒めものやスープの具としてなど加熱しても利用できます。欧米ではキュウリを縦方向に長くカットして“麺”の代用品として使う方もいらっしゃいますよ。

そんなキュウリはウリ科キュウリ属に分類される蔓性植物で、同属種としてはメロンがよく知られています。仲間と思われがちなズッキーニはウリ科カボチャ属と、キュウリよりもカボチャに近い植物となっています。私たちが普段食べているキュウリは緑色ですが、あれは未成熟状態で収穫されているためで熟すと黄色い色になります。完熟キュウリは苦味と酸味が増すため食用には適さないとされていますが、江戸時代くらいまでは完熟させてから食べるのが主流でした。キュウリという名前も熟した時の色に由来する中国語の“黄瓜”が語源とされています。

キュウリの品種は約500種と多く、分類方法もいくつかあります。最もシンプルなのは表面のイボの色によって大きく「白イボ系」と「黒イボ系」の2つ分けるもので、市場に流通しているものの9割程度が白イボ系品種です。また系統による分類として華南型・華北型・ピックル型・スライス型・温室型の5型に分類されることもあり、この場合の日本の主流は「華北型」に該当します。ちなみに“もろきゅう”というのはキュウリの品種ではなく、開花から一週間ほどのキュウリを若どりしたものの通称です。元々はキュウリにもろみを漬けて食べた料理名だったものが、若どりキュウリ・それに味噌を添えたものを指すよう変化したと言われています。

ところでキュウリと言うと、かっぱの好物という話や“かっぱ巻き”を連想する方も多いのではないでしょうか。カッパが何故キュウリが好きと言われるようになったのかは諸説ありますが、カッパは元が水神であり水神への捧げものとしてキュウリが良く使われていたという説、河童の本家とされる水天宮の紋にキュウリの切り口が似ているとする説などが有名です。三重県熊野市の村では「キュウリを作らないから村に出てこないように」とカッパと契約を交わした伝説があり、昭和後期まで300年間もキュウリを栽培が禁忌とされていたという話もあるようです。

キュウリの歴史

キュウリの原産地はインド、ヒマラヤ山麓辺りと考えられています。紀元前4000年前頃にメソポタミアほか西アジア地域で栽培も行われていたことが分かっていますから、食用の歴史はそれよりも更に古いのでしょう。紀元前のうちにキュウリは中国、ヨーロッパと東西へも伝わっていき、各地で栽培が行われていたと考えられています。水分量が多いキュウリは単なる野菜としてだけでなく、暑い地域では水分補給用として珍重されていたようですよ。古代エジプトでもキュウリは栽培されており『旧約聖書(民数記)』で荒野を旅するイスラエルの民が“マナ”に飽き、エジプトで食べていたものを列挙する中にもキュウリが含まれています。

古代ギリシアやローマでもキュウリの栽培が行われていましたし、ローマ帝国では貴族層から一般庶民にまで親しまれた食材の一つだったと考えられています。ローマ皇帝ティベリウス・ユリウス・カエサルはキュウリが好物で、夏と冬の間は毎日食べていたという逸話もありますよ。きゅうりを食べられるようにと、現在で言う温室のようなものを作って栽培していたそう。14世紀にはイギリスへも伝えられましたが受け入れられず、イギリスでキュウリを栽培して食べるようになったのは17世紀半ば以降。アメリカには16世紀のうちに伝わっていますから、アメリカよりも普及は遅かったと称されています。また18世紀には健康に悪いという風評によってアメリカでキュウリの使用が激減したこともあるのだとか。

日本には中国を経由して9世紀から10世紀頃までにはキュウリが伝わっていたと考えられます。ただし当時伝えられたものは南伝種と呼ばれる水分の少ないもので、完熟させて食べるのが一般的であったそう。食材としてだけではなく薬用(生薬)としてキュウリが使用されていた時代があるという説もありますが、野菜として見れば平安~江戸時代を通して評価は極めて低く不人気。キュウリが食されなかった理由は諸説ありますが、文献には「瓜の中でも味が悪く、下品」というような記載が随所に見られることから、現在のものよりも苦く不味かったため好んで食べる人が少なかったという説が有力です。江戸自体には切り口が徳川家家紋である葵の御紋に似ていることが加わり、武士は口にしなかったとも言われています。

キュウリが野菜として認められ始めたのは江戸時代末期。品種改良が進み、歯ごたえと味が良いキュウリが出来たことが大きなきっかけとされています。明治時代になると漬物などの利用価値が高いこともあり、一般家庭に受け入れられ食生活の中に定着していきます。第二次世界大戦後にはサラダ用野菜の代表格と言えるほどよく使われるようになり、現在は日本の国民一人当たりのキュウリ消費量は世界一と言われるほど愛される野菜となりました。

キュウリの栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

キュウリは「世界一栄養がない野菜」とギネスに認定されていたとも言われていますが、本来は“Least calorific fruit(最もカロリーの低い果物)”だったそうです。日本語になる時に誤訳されてそのイメージが根付いてしまったのでは無いかと言われています。

キュウリは冬瓜などと同様に成分の約95%が水分ですし、確かに100gあたり約14kcalと低カロリーな食材でもあります。しかしギネスでの記録は果物(※果菜類を含む)というものなので、野菜で一番低カロリーという訳ではありません。ビタミンやミネラル類としてはビタミンK以外に際立って多いものこそありませんが、様々な栄養成分を幅広く含んでいるお野菜ですよ。

キュウリイメージ

キュウリの効果効能、その根拠・理由とは?

むくみ予防・利尿に

キュウリは栄養素の中ではカリウムを多く含んでいます。カリウムはナトリウムと競合して細胞内外の浸透圧を調整するミネラルで、ナトリウム量が多い場合はそれを排出させる働きもあります。ナトリウムだけが過剰になると人の体は水分を取り込んでナトリウム濃度を保つ働きがあるため、ナトリウムを排出させるカリウムの補給は取り込んだ水分の排出を促すことにも繋がります。この働きからカリウムは利尿作用のあるミネラルとも称され、むくみの解消や改善をサポートしてくれると考えられています。キュウリのカリウム含有量は冬瓜と同じく100gあたり200mgとされていますが、野菜全体から100gあたりの含有量で比較してみると、さほど多いという訳ではありません。

むくみ解消に良いと言われているのは単にカリウム含有量が豊富ということだけではなく、低カロリーでクセが無いことから量を多く摂れる、水分含有量が高いことから水分の補給がなされないため不要な古い水分まで溜め込んでいる状態の改善に役立つこと、胃腸への負担が少ない食材であることなども関係していると考えられます。

夏バテ予防・軽減に

伝統医療の中でキュウリは利尿作用を持ち体を冷やす作用が強い食材・解熱剤の代用品として、火照りやのぼせなどの緩和に用いられてきました。栄養価として見ても水分とカリウムを豊富に含んでいることから、水分によって熱を冷ましたり、カリウムの利尿作用によって体内にこもった熱の排出を促す可能性があると考えられています。カリウムは電解質のバランス保持・神経や筋肉などのコントロールにも関わる存在で、カリウム不足は食欲不振や疲労感の原因ともなります。夏バテの原因の一つになどでカリウムが失われることが考えられていますから、キュウリは夏場のカリウムと水分の補給源として夏バテ予防にも適しているでしょう。

高血圧・動脈硬化予防に

ナトリウムの摂取量が多くなると、身体は血中ナトリウム濃度を一定に保つため血液中に水分を取り込みます。この結果、血液量が増えて心臓に負担がかかり血圧を上げる原因となる場合もあります。このためカリウムを含むキュウリは、ナトリウム排出を促すことで血圧上昇を抑制する働きも期待されています。またキュウリの持つ独特の青臭さの元となっているのは、ピーマンなどにも含まれている香気成分「ピラジン」によるもの。ピラジンには血小板が凝縮するのを抑え、血液をサラサラにして血栓や血液凝固を防ぐ働きがあるとされています。

キュウリには100gあたり330μgのβ-カロテン・14mgのビタミンと、際立って多いとは言えないものの抗酸化作用を持つビタミンも含まれています。抗酸化物質が悪玉コレステロール(LDL)の酸化を抑えることからも、血液・血管の状態を健康に保つ働きが期待できます。カリウムやピラジンの働きと相乗することで高血圧・動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞などの予防として役立ってくれるでしょう。

抗酸化にも期待

キュウリにはピノレジノールなどのリグナン類・ケルセチンやアピゲニンなどのフラボノイド類を含んでいることも認められています。豊富とは言い難いもののビタミンCやβ-カロテンなども含まれていることから、抗酸化作用を持つ食材としても老化進行や病気の発症リスクを低減させる働きが期待されています。ケルセチンなどのフラボノイド類にはヒスタミン放出を抑制することで抗炎症作用が期待されていますし、動物実験ではキュウリ抽出物に炎症促進酵素の活性抑制が見られたことも報告されているそう。

抽出物ではなく野菜として野菜を食べた場合の働きは未知数ですし、抗炎症作用があるのかについてもデータが少なく断定できる状態ではありません。抗酸化力についても明記されているものが無いため分かりませんが、カロリーの低さを考えればビタミンやミネラルと同様にちょっとした補給源としてはありがたい存在と言えるかもしれませんね。

ダイエットサポート

キュウリは1本(≒100g)あたり約15kcalと低カロリーで、炭水化物をほとんど含まず血糖指数(GI値)も低いことから肥満予防やダイエットにも取り入れられています。栄養をしっかりと補給できるというものではありませんが、水分を幅広い栄養素を補給しつつ、空腹感対策として役立ってくれるでしょう。生のまま食べると歯ごたえがあるので、しっかりと噛むことで満腹中枢の刺激にもなります。水分とカリウムの補給に役立つことから、ダイエット中に起こりやすい便秘やむくみ予防にも繋がりますね。

加えて2010年にはキュウリに脂肪分解酵素ホスホリパーゼが含まれていることが報告されたことから、カサ増し食品として以上の肥満予防効果も期待されています。ホスホリパーゼは体内に溜まっている脂肪の分解や排出促進・代謝向上効果を持つと考えられることから、痩せやすい体作りやダイエット効果を出やすくする手助けをしてくれる食材としても注目されています。スホリパーゼは擦りおろすことで放出される・熱に弱いという性質があることから食前に「キュウリおろし」を食べるというダイエット法も提唱されています。スムージーに加えても良いですね。

肌・髪の健康維持

多いとは言えないものの、キュウリはアンチエイジングや美肌作りに役立つビタミンCやβ-カロテンを含んでいます。フラボノイド系ポリフェノールも含まれていますから、抗酸化作用によって肌細胞の酸化によって起こるシワやシミ・肌のたるみなどの予防に一役買ってくれる可能性もあるでしょう。抗酸化作用以外の面からもビタミンCやβ-カロテンほかビタミン類は肌の健康維持のサポートをしてくれますし、ミネラル類も丈夫な肌を保つために必要な栄養素です。

またミネラルの一つであるシリカ(珪素/ケイ素とも)には、髪や爪を丈夫に保ったり光沢を与える働き・コラーゲンの生成を助けシワのない弾力のある肌を作る働きがあると考えられています。関節を健やかに保つ働きもあることから、全身の老化予防やケアとして注目されているミネラルと言えます。キュウリの切り口から出る白くて苦味のある物質にはシリカが多く含まれているため、キュウリはシリカ補給源として美肌・美髪サポートにも効果が期待されています。といってもシリカを含め何らかの栄養素を際立って多く含む野菜ではありませんから、キュウリ単品で食べるのではなく、サラダに加えるなど食卓の脇役として利用するのに適していますね。

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目的別、キュウリのおすすめ食べ合わせ

キュウリの選び方・食べ方・注意点

きゅうりにはビタミンCを酸化させてしまう酵素(アスコルビナーゼ)が含まれているため、ビタミンCの吸収を阻害するという説があります。しかし最近では酸化したビタミンCは体内で還元され利用されるので、吸収量(利用率)は変わらないとする説が有力ですのであまり心配はいらないでしょう。気になる方はアスコルビナーゼの働きを抑えるこができる、レモン汁や酢をドレッシングに加えると安心です。

美味しいキュウリの選び方・保存方法

キュウリは水分量が多い野菜なので、選ぶ際には手に持った時にずっしり重みのあるものほど良いでしょう。鋭いくらいにイボがチクチクしているもの・全体的に緑色が濃く艶の良いものを選びます。ヘタの切り口が瑞々しいかどうかが新鮮さのチェックポイント。太さは均一なものが良いですが、多少曲がっていても味・栄養に違いはないので真っ直ぐさにはごだわらなくて構いません。

まれに表面に白い粉が付着したキュウリが販売されているものもあります。これはブルームきゅうりと呼ばれる種類のキュウリで、白い粉(ブルーム)はキュウリが水分が蒸発するのを防ぐために自分で分泌したものブルームが出るのはしっかりと成長した印で美味しさの証と言われています。ちなみに白い粉を吹いていないものは基本的にブルームレスキュウリと呼ばれる、粉を吹かないように品種改良されたものです。農薬と紛らわしいとブルームが嫌がられた時期があったため、現在はブルームレスキュウリが圧倒的に多くなっています。ブルームのあるキュウリのほうが革が柔らかく美味しいという評価も多いので、白い粉の出ているキュウリを見つけたらぜひ。

キュウリの注意点

東洋医学的な考え方ではきゅうりは体を冷やす作用がある食材とされています。実際に水分量が多く、サラダなど生かつ冷えて状態で食べることが多い野菜ですから、身体を冷やす可能性は低くないでしょう。ダイエットなどを意識して生で大量に食べると体を冷やしてしまいお腹が痛くなったり、冷えによって代謝が落ちるてダイエット面でも逆効果になってしまう危険性があります。冷蔵庫で冷やしすぎないように注意し、お腹や体の調子と相談しながら取り入れることをお勧めします。

参考元:History of Cucumbers9 Health Benefits of Cucumbers【医師監修】きゅうりで痩せるのはなぜ?~効果と方法、おすすめレシピ