レンコン(蓮根/れんこん)とその栄養成分・効果効能
|日本の縁起物食材! ポリフェノールにも注目

食べ物辞典:レンコン

煮物や酢の物など和食に多く使われる食材、れんこん。穴が空いている形から「先を見通す」縁起物としてお正月のおせち料理などおめでたい席でも使われますね。呼び名の通りレンコンは蓮の地下茎で、野菜として料理に使うのは日本や中国など東アジアの一部地域だけなのだとか。栄養面ではビタミンCとカリウムが多いことが特徴で、近年は糖タンパク質やタンニンによる健康サポート効果も期待されていますよ。そんなレンコンの歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。

蓮根/レンコンのイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:蓮根(れんこん)
英語: Lotus root

蓮根(レンコン)のプロフイール

蓮根(レンコン)とは

煮物に入れるとほっくりと、焼き物や酢の物に使うとシャキシャキとした食感が楽しめるレンコン。お正月の煮物やはさみ揚げなどの印象が強く「料理に手間がかかる」食材と思われがちですが、バターやオリーブオイルでソテーにしたり、さっと湯通ししたものをサラダにしたりと手間や時間をさほどかけなくとも美味しくいただくことが出来ます。主役にも脇役にもなる便利な食材ですし、ハンバーグやシチューなど洋食のレシピとも不思議とマッチしますよ。

漢字で「蓮根」と書く通り普段食べているレンコンはハスの肥大した地下茎部分です。ニンジンゴボウのように茎と同方向に真っ直ぐように思われがちですが実は“横向き”に生えます。節(くびれ)部分ごとに下方に向かって根を生やし、茎葉も節部分近辺から伸びていきます。レンコンに穴がたくさん空いているのは泥の中で生育するため潰れにくくするためと、空気を通すためと考えられています。ちなみに昔はこの穴を「先を見通す(未来)」ことに通じる縁起物と考えていたことから、お正月やお祝いの料理に使われるようになったのだとか。現在は下処理されたものが一年中販売されていますが、旬が10~3月頃の寒い時期なのもおせち料理の定番として定着した理由かもしれません。

地上(水面上)部である蓮の花も中国の成句で「蓮は泥より出でて泥に染まらず」と言われるように、清らかさや聖性の象徴としても愛されています。仏教の象徴とされているも泥水の中から美しい花を咲かすためと言われていますが、蓮が花と実を同時に付ける性質も仏教の「華果同時」という教えと一致しているのだそう。また蓮は生薬としても利用されている植物。花托は蓮房、種子は連肉または蓮子、胚芽は蓮子心、葉は荷葉、雄しべは蓮髭と呼ばれており、名前だけではなくそれぞれに効能・用途も異なっています。

そんなアジア諸国で食用・薬用・宗教的象徴として大切にされ続けてきた蓮ですが、地下茎部分であるレンコンを食べるのは日本・中国など限られた地域だけと言われていますよ。ただし他の地域で蓮が観賞用・薬用にしか使われていないというわけではなく、茎は野菜としてサラダや煮物に、葉は蓮菜飯に、花は蓮茶(ロータスティー)の香り付けにと、広く利用されています。蓮の実も中国やベトナムなどで主に甘味に利用されています。見た目が生理的嫌悪感をもたらすためか日本ではあまり食材として利用されてきませんでしたが、近年少しずつ健康維持に役立つ薬膳食材・シード類の一種として取り入れられています。

レンコンの歴史

レンコンの原産地はインド~中国あたりのエリアとされていますが、栽培は紀元前3000年頃のインドで観賞用として行われたのが始まりと言われています。インドで食材として利用されるようになった後、中国に伝えられたという説が一般的です。古代インドでは蓮はヒンドゥー教の神話や聖典に登場する神聖な植物で、女性に対する4段階の格付けのの最高位も「パドミニ(蓮女)」とされていたようです。

その後日本でもお馴染みの仏教が開かれ、蓮は仏の智慧や慈悲の象徴とされます。お釈迦様が生誕した際に五色の蓮の花が降り注いだという伝説もありますから、長い間“神聖な植物”をして愛されていた存在と言えますね。現在はあまり良い意味で使われない「一蓮托生」という言葉も、本来は死後同じ蓮花の上に生まれ変わって身を託すという思想が始まりなのだそう。密教でも特別な意味を持つ植物として大切にされています。中国では蓮=清らかさの象徴として愛好されたほか三大美女「楊貴妃」がお茶として愛飲していたと記録されているんだとか。

日本は5世紀頃(奈良時代)に仏教と共に蓮も伝えられたという説が一般的ですが、縄文時代に既にあったという説もあります。ともあれ古事記や万葉集などにも名前を見ることが出来ますから、奈良時代に既に存在し美しい花として愛されていたことはほぼ間違いないでしょう。レンコンは大きく中国種と在来種の2つに分類されています。紛らわしいのですが“在来種”と呼ばれているものが奈良時代にあったとされる蓮の系統になります。現在のレンコンとは異なりますが、在来種の栽培も奈良時代から行われていたと考えられています。

713年に編纂された『常陸国風土記』にはレンコン(地下茎)を食用としているように見受けられる記述もあるようですが、一般的にレンコンを食用とする習慣は鎌倉時代に中国から伝わって広まったようです。鎌倉~室町にかけてレンコンは縁起物として慶事にも欠かせない食材となっていきます。明治以降になると“中国種”と呼ばれる、現在一般的に食べられているシャキっとした歯ごたえの品種が導入されます。中国種のほうが地下茎が浅い・収穫量の多いなど栽培に適していたこともあり、徐々にこちらが主流となっていったようです。

蓮根(レンコン)の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

レンコンは100gあたり48mgとビタミンCを多く含み、他ビタミン類やミネラル類、食物繊維なども広く含む食材です。ちなみにビタミンB12が豊富という説もありますが、日本食品標準成分表では「(0)」の表記になっているため信憑性はイマイチ。野菜としては100gあたり66kcalとカロリーはやや高めの部類に入ります。

必須栄養素だけではなく、レンコンにはネバネバ系食材の健康成分として注目されている糖タンパク質、ポリフェノールの一種で抗酸化作用が期待できるタンニンなども含まれています。オクラ長芋などネバネバ系食材が苦手な方も、サッパリとしてクセの少ないレンコンなら取り入れやすいのも魅力ですね。ただしタンニンなどによって胃腸に負担もかかるので食べ過ぎには注意が必要です。

れんこん料理イメージ

レンコンの効果効能、その根拠・理由とは?

胃腸機能のサポートに

レンコンは食べてもネバネバ感は感じないものの、切ると細く糸を引く食材。この粘り気のある糸は糖とたんぱく質が結合してできた多糖類(糖タンパク質/ムチン型糖タンパク質とも)が含まれています。私たち人間の胃腸や呼吸器官・目などを覆っている粘膜や粘液にはムチンという動物性粘性タンパク質が含まれており、強い酸性を持つ胃酸から胃を守るなどの働きを担っています。レンコンの粘り気=糖タンパク質はムチンとは別物ですが、ムチン型糖タンパク質とも呼ばれるようにムチンと似た結合様式をしていることから、ムチンをサポートして胃粘膜の強化・胃壁の保護・傷ついた胃粘膜の修復を助ける働きが期待されています。

加えてレンコンにはポリフェノールの一種とされる「タンニン」も含まれています。タンニンには炎症を抑える働きや止血作用があり、胃腸の炎症や潰瘍の予防に効果が期待出来ます。このタンニンとムチンが複合して働くことで、レンコンは胃腸トラブルの予防・胃腸機能改善や消化促進に役立つ食材とされています。

滋養強壮・夏バテ対策に

レンコンに含まれている糖タンパク質(ムチン型糖タンパク質)は胃粘膜の保護・修復作用が期待されているほか、タンパク質分解酵素が含まれているため消化をサポートする働きも期待されています。肉や魚などと一緒に摂取することで胃への負担を軽減しつつ消化・吸収促進効果が期待できるでしょう。古くから蓮根が滋養強壮に良い食材と言われているのも、胃腸粘膜保護や消化吸収向上によるところが大きいと考えられます。

また粘りのある糖タンパク質は肝臓や腎臓の機能を高める効果も期待されています。肝臓と腎臓は老廃物や毒素の無毒化・排出を担っている臓器ですから、病気とまではいかなくとも機能が低下することで疲労感続くなどの症状を感じる可能性があります。レンコンにはムチン型糖タンパク質以外にも疲労回復やストレスの軽減に役立つビタミンC、不足するとだるさ・情緒不安定・夏バテなどの原因になるカリウムも豊富に含まれています。合わせて疲労感やだるさ・夏バテの予防や軽減にも効果が期待できるでしょう。

便秘・むくみ対策に

レンコンは100gあたり440mgとカリウム含有量が野菜の中でも比較的高い食材です。カリウムはナトリウムの排出を促すことで利尿作用をもたらす=むくみの改善に役立つとされている食材ですが、レンコンの場合は肝臓・腎臓の機能を高める働きが期待されるムチンも含まれていますから、排泄機能自体の向上も期待できるでしょう。

食物繊維量は100gあたり2.0g。際立って多くはありませんが、同グラムで比較した場合サニーレタスや茹でキャベツと同等程度含んでいます。粘り気を形成する多糖類(糖タンパク質)も水溶性食物繊維の仲間とされている存在であり、保水作用で便に水を含ませて柔らかく保つ・腸に膜を作って便の通りを良くするなどの働きや、腸粘膜の状態を整えることで腸内フローラの改善にも効果が期待されています。

ストレス耐性・免疫力アップにも…?

レンコンは100gあたり48mgと野菜類トップクラスのビタミンCを含んでおり、その量は同グラムのレモン果汁に匹敵するほど。ビタミンCは調理時に失われやすいのが難点ですが、レンコンに含まれているビタミンCは熱に強く加熱しても壊れにくいとも言われています。ビタミンCは抗酸化作用がよく知られていますが、そのほかにも抗ウイルス作用を持つインターフェロンの生成を促すことで免疫力を高める・副腎皮質ホルモンや抗ストレスホルモン「コルチゾール」の生成に関わるなどの働きもあります。

抗酸化作用自体もストレスによって生じた活性酸素を抑制し、酸化によって免疫力が低下するのを防ぐことに繋がります。レンコンはビタミンCが豊富なことに加え、ムチン型糖タンパク質が鼻や口など呼吸器の粘膜を強化することでウイルスの侵入を防いでくれるという説もあります。また腸内フローラの改善からも免疫力やストレス耐性向上効果が期待できますから、風邪やインフルエンザ予防にも、ストレス対策にもレンコンは役立ってくれるでしょう。タンニンにも免疫力向上効果が期待されていますよ。

花粉症などのアレルギー軽減にも注目

レンコンが花粉症緩和に良いとTVなどで目にした方もいらっしゃるかもしれません。これはレンコンに含まれている多糖類(ムチン型糖タンパク質)に鼻・目・喉などの粘膜を増強する働きが期待されていることや、渋み成分のタンニンにアレルゲンに特異的に反応する“IgE抗体”抑制作用が報告されたことによります。またタンニンは血管を収縮させる作用があることから潰瘍や鼻血など様々な止血に利用されている成分ですから、穏やかな血管収縮作用で花粉症や鼻炎による症状の軽減効果も期待できます。

間接的な働きとして糖タンパク質はムチンをサポートすることでは腸粘膜の保護したし、便秘解消を促すことで腸内フローラを整えてくれる可能性もあります。人間の免疫機能の大部分は腸にありますから、腸内環境が整うことで免疫機能の正常化に繋がると考えられています。こちらからも花粉症以外のアレルギー軽減にも効果が期待できるでしょう。レンコンはビタミンCも豊富ですから、活性酸素抑制やストレス軽減という点からもアレルギー緩和のサポートに繋がる可能性があるでしょう。

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抗酸化・生活習慣病予防をサポート

レンコンには抗酸化作用のあるビタミンCやタンニンをはじめとするポリフェノール(レンコンポリフェノールとも呼ばれます)が含まれています。このため活性酸素から体を守ることで、酸化によって引き起こされる体内外の老化予防にも役立ってくれるでしょう。またムチン型糖タンパク質にも肝臓や腎臓の機能を高めてデトックスを促したり、細胞を活発化することで老化予防をサポートする働きが期待されています。

レンコンには抗酸化物質のほかにナトリウム排出促進するカリウム、血液中のコレステロールを低下させる食物繊維も含まれています。ビタミンCもコラーゲン生成促進作用によって血管をしなやかで丈夫な状態に保つ作用がありますから、抗酸化作用と相乗して高血圧・血栓・動脈硬化などの予防効果も期待されています。

美肌作り・乾燥肌予防にも

レンコンの粘りの元である糖タンパク質は、水分保持能力が高いことから乾燥肌の予防に役立つのではないかと考えられています。また皮膚の深いところでヒアルロン酸の量を増やす作用を持つという説もあり、合わせて肌のハリや潤いを高める手助けが期待されていますよ。腸の環境を整えてくれることからも肌荒れ予防に繋がりますし、タンニンも収斂作用があることから肌・毛穴を引き締める働きが期待されています。

さらにレンコンはビタミンC、タンニンなどのポリフェノールによる抗酸化作用もあります。ビタミンCにはメラニン色素の生成を防ぐ美白効果や、肌のハリを保つコラーゲンの生成促進効果も認められていますから、合わせてシワやたるみなど皮膚の老化予防にも役立ってくれるでしょう。レンコンの旬とされる秋~初春くらいは肌の乾燥トラブルが多い時期でもありますから、乾燥肌対策や美肌をサポートしてくれる食材として取り入れてみても良いかもしれません。

目的別、レンコンのおすすめ食べ合わせ

蓮根(レンコン)の選び方・食べ方・注意点

レンコンを選ぶ際はずんぐりとした丸みを帯びた形で、なるべく真っ直ぐに伸びているものを選びます。色は濃すぎず、クリーム色と呼べるくらいの色が良。ただし低価格な水煮などで、色が真っ白なものは漂白されている可能性が高いので注意。切れているものであれば穴が小さく、穴の中が変色していないものを選びましょう。

蓮根は切り口が空気に触れると黒ずんでしまうため、皮を剥いたらすぐ水につけておき、切った後は酢・レモン水に浸すことで白く綺麗な状態に仕上げることができます。水に晒しすぎると栄養も流出してしまうため、煮物などに使う場合はさっとアク抜きする程度で利用したほうが良いでしょう。鉄製の包丁やお鍋で料理すると鉄とタンニンが反応して黒ずんでしまいますので注意してください。

レンコンの注意点

レンコンは胃腸ケアに役立つ食材と考えられていますが、タンニンの過剰摂取は胃腸に負担がかかることも指摘されています。野菜として通常量を食べるくらいであれば問題ないと言われていますが、胃腸が弱い・弱っている方は注意が必要。大量に食べるのは避け、少量ずつ取り入れるようにしましょう。

参考元:Nelumbo nucifera – Wikipediaタンニンの効果・効能