にんじん(人参/ニンジン)の栄養成分・効果効能
|カロテンの王様! 美容にも嬉しい身近な健康野菜

食べ物辞典:ニンジン

カレーや煮物など日本の家庭料理にもお馴染みの野菜、にんじん。独特の香りからお子さんが嫌う野菜の代表ともされていますが、近年は臭いが弱く甘みの強い品種が多いので取り入れやすくなっているのではないでしょうか。綺麗なオレンジ色は彩りにも重宝しますし、食黄色野菜の王様とも呼ばれるほどβ-カロテンを豊富に含んでいることも特徴。ルテインなどのカロテノイド類も含まれているため、抗酸化や目の健康をサポートしてくれる野菜としても注目されていますよ。そんなにんじんについて、歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。

ニンジン/人参のイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:にんじん(人参)
英語:carrot

にんじん(人参)のプロフイール

ニンジンとは

日持とも良く、綺麗なオレンジ色が彩りとしても役立つにんじん。家庭の常備野菜とも言え、親しみのある野菜の1つでもありますね。煮物や酢の物などの和食にも使用されますし、カレーやシチュー、ポタージュ、サラダからお菓子類まで幅広い料理に使用されている食材でもあります。一方でニンジンは独特の匂いなどから「子どもが嫌いな野菜」の一つにも数えられています。ただし近年はニンジン臭が薄く甘味の強いものへとの品種改良が進んでいること、もっと香りや渋みのある食材が多く流通している関係もあってか、昭和頃と比べるとニンジンが嫌いという子供の数は減っているようです。すりおろして混ぜ込んだりすると、誤魔化しやすい食材でもありますしね。

そんなにんじん、見た目から大根の仲間のようなイメージを持たれがちですが、植物分類上ニンジンはセリ科に属す植物なので別物になります。どちらかといえばパセリセロリ、フェンネルなどに近い存在といえるでしょう。大根のような辛味がないことや、香りを考えれば納得ですね。ちなみに漢方薬などに用いられているオタネニンジン(通称朝鮮人参や高麗人参と呼ばれているもの)はセリ科ではなくウコギ科の植物。元々日本ではオタネニンジンが「にんじん」と呼ばれており、野菜として食べているにんじんはセリ科だけど形が似ている=セリニンジンと呼んでいました。しかし食材としてポピュラーな存在になったことで、にんじんはよく使うセリニンジンを指す言葉に変わったそう。

現在、日本で最も多く流通しているにんじんは“西洋系ニンジン”と呼ばれる五寸ニンジン系統の品種。一般的ににんじんと聞いてイメージする、オレンジ色でずんぐりとした円錐形の野菜がこちらですね。カロテンという呼称も英語の“carrot(人参)”が語源とされているように、緑黄色野菜の中でも際立って多いβ-カロテンを含んでいる食材でもあります。β-カロテンによる抗酸化作用が期待できる美肌野菜としても親しまれており、ニンジンやキャロットジュースを意識的に取り入れるているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、沖縄県で栽培されている鮮やかな黄色の「島ニンジン」や、京野菜の一つで赤みが強い「金時人参」などは“東洋系ニンジン”に分類される品種。そのほか北海道などで栽培されているアントシアニンを含むパープルスティックなどの「紫人参」や、黒に近い濃紫色でβ-カロテン・アントシアニジン色素やポリフェノールなどの抗酸化物質を豊富に含んだスーパーフードとして注目されている「黒人参」などもあります。アントシアニンを含む紫系ニンジン・リコピンを含む金時人参などもポリフェノール補給源として注目されていますね。白っぽい色をしたにんじんの仲間「パースニップ(砂糖にんじん)」もβ-カロテンは期待できませんが、ニンジンと同じように高い抗酸化作用が期待される野菜。抗酸化物質の補給だけではなく、カラフルな見た目で料理も楽しくしてくれる野菜と言えます。

ニンジンの歴史

にんじんは非常に古い歴史があると考えられている作物の一つで、原産地はイラン・アフガニスタン周辺地域と考えられています。原産地を挟んで東西へと伝わる中で、オランダを経由してヨーロッパなど西方へと広まり品種改良が進められた「西洋種」と呼ばれる種と、中国を経由して東方に広まった「東洋種」の2系統に大きく分かれていきました。東洋系品種は京野菜の金時人参や、沖縄県の島ニンジンなど日本各地で伝統野菜として食されているタイプですね。細長い形状で、ニンジンらしい風味の強いものが多くなっています。対して現在私達が目にする機会が多い、五寸ニンジンとも呼ばれるオレンジ色で太く短いをしているものが西洋種系統です。

原産地を挟んで西へと広まったにんじん。紀元前のうちには古代ギリシアやローマでも栽培されていたのではないかと考えられていますが、当時は根を食用とするのではなく、種子をハーブとして利用するのが主だったようです。当時のにんじんはまだ根分かれしていて細いものだったので、味も良くなかったそう。また当時はニンジンとパースにの区別が曖昧で、書物や壁画などに描かれているものがどちらであるか意見が割れているものあります。10世紀頃に現在のトルコ近辺で食味の良い円錐形ニンジンが発見されたことで食材として利用される機会が多くなり、15世紀頃までにはこの野菜として食べることに適したにんじんがヨーロッパ全域で栽培されるようになっていきます。そして品種改良を重ねる中で18世紀頃にはオレンジ色のニンジンが生産されるようになりました。

対して日本。
古く日本ではにんじんと言うと、オタネニンジン(朝鮮人参/高麗人参)のことを指す言葉でした。記録から739年に渤海国からニンジンが贈られたという記述がありますが、こちらも生薬として利用されるオタネニンジンであったと考えられます。ちなみに中国の古典『傷寒論』や『神農本草経』に記載されているものも同様。というのも野菜として使われるセリ科の食用人参(東洋種)が中国に伝わったのは10世紀よりも後と考えられるため。日本に伝わった時期は諸説ありますが、江戸時代初期頃とする説が有力です。1631年に林羅山が編集した『多識編』という本草学書には“胡蘿蔔(セリニンジン)”という表記が見られますし、時代が下った1712年に成立した『和漢三才図会』には根の色は赤、紫、黄、白と記されているので現在のように品種が分かれていたと考えられます。

そして江戸時代後期になると西洋系統ニンジン、私達の見慣れた「にんじん」に近い品種が伝来します。明治に入ると様々な品種の西洋種が導入され、作物として各地で栽培も行われるようになりました。現在圧倒的に流通量の多い西洋にんじんですが、実は第二次世界大戦後くらいまでは東洋系の長人参が主流戦後になって栽培・収穫・洗浄のしやすさなど生産性の高さが注目され、西洋系の五寸ニンジンを栽培する農家さんが増えたのだそうです。近年は日本文化を大切にしようと各地の伝統野菜となっている東洋系品種が再評価され、色の元となっているポリフェノールの持つ抗酸化作用などの機能性から健康や美容面でも注目されています。原種に近いとされる黒人参は健康食品に配合されていますし、スーパーなどでも野菜として黄色や紫などカラフルなにんじんが販売されていますね。

にんじん(人参)の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ニンジンは「緑黄色野菜の王様」と呼ばれることのあるほど豊富なβ-カロテンを筆頭に、食物繊維(ペクチンなど)やビタミンB1、ビタミンB2、鉄分、カルシウムなども含んでいます。みっしりとした食感で根菜のためカロリーが高いと思われがちですが、100gあたりのカロリーは36kcalタマネギと同じくらいですよ。

にんじん料理イメージ

ニンジンの効果効能、その根拠・理由とは?

抗酸化・風邪予防に

にんじんの栄養価として特出しているのがβ-カロテン。生100gあたりのβ-カロテン含有量は8600μgと、同グラムで比較した場合はほうれんそうかぼちゃの2倍以上。緑黄色野菜の中でもトップクラスで、β-カロテン補給源として優れた食材と称されるのも納得の含有量ですね。β-カロテンはカロテノイドと呼ばれる天然色素成分の一種で、抗酸化力を持つ成分。抗酸化物質は体内の活性酸素の除去・抑制効果のある物質を指しますから、細胞の酸化によって進行する老化現象や疾患のリスクを低減する働きが期待されています。金時人参の赤みはカロチンではなくリコピン、紫ニンジンであればアントシアニン系色素に由来していますが、これらも抗酸化作用が認められている物質。これらの補給に役立つことからニンジンはアンチエイジング食材として注目されています。

またβ-カロテンは抗酸化作用を持つカロテノイドであると同時に、必要に応じて体内でビタミンAに変換されるプロビタミンA(ビタミンA前駆物質)の一つでもあります。ビタミンAは皮膚・喉・気管支・肺などの上皮組織を正常に保つ働きがあり、不足すると細菌やウイルスの侵入を許しやすい状態を作ってしまう可能性があります。β-カロテンの適切な補給は呼吸器粘膜の強化し、ウィルスの侵入を防いで風邪やインフルエンザに罹りにくい状態を作るにも一役買ってくれると考えられます。ビタミンAの形で摂取するよりも過剰症の心配が低く、ビタミンAに変換されなかったβ-カロテンは抗酸化物質とし免疫機能低下予防をサポートしてくれる点もメリットと言えますね。

目の健康維持にも

ニンジンにはβ-カロテンと同じくカロテノイドに分類されるルテインが含まれていることも注目されています。ルテインも優れた抗酸化作用を持つことから目の黄斑部や水晶体などを酸化ダメージから守り、眼病や視機能の老化を抑制する働きが期待されています。加えてテインは「天然のサングラス」とも称されるように、スマホやパソコンの画面などから発生するブルーライト(青色光)を吸収して目を守る働きも報告されており、パソコン・スマホ・テレビなどに囲まれて生活している現代人の目を守ってくれる存在としても注目されています。

実験などで眼病予防に有効性があると考えられている1日のルテイン推奨量摂取量6~10mg。にんじんだけでこの量のルテインを補給しようと考えると、10本以上の量が必要となることが分かっています。ただし野菜類の中では豊富な部類であり、食事の中でデイリーに補給することを考えるとホウレンソウと並んで最も取り入れやすい食材です。

にんじんにはビタミンAに変換されることで目の粘膜を保持してくれるβ-カロテンも豊富。β-カロテン(ビタミンA)は網膜で光を感知するロドプシンの生成にも利用されることから、合わせて目の疲れの緩和・視界をクリアにするなどの働きが期待されています。β-カロテンには黄斑変性症や老人性白内障の予防に対する有効性も報告されていますから、疲れ目やドライアイが気になる方、眼精疲労や眼病予防としてなど、にんじんは目の健康をサポートしてくれる食材としても取り入れられています。

高血圧・動脈硬化予防

にんじんはミネラルがさほど多い食材ではありませんが、カリウムは100gあたり270mgと野菜類の中でも平均的な量が含まれています。カリウムは余剰ナトリウム排出を促すことで体内の水分バランスを調整する働きがあります。カリウムが不足していると体は血中ナトリウム濃度を保つために血液の水分量を増やし、血液量が増えることでなるため血液を送り出す心臓の負荷が増えて血圧が高くなります。このため余剰ナトリウムや水分の排出を促すカリウムは高血圧予防に意識的に摂取したい栄養素に数えられてます。にんじんには抗酸化作用を持つβ-カロテンも豊富に含まれていますから、酸化を予防するという面からも血液循環をサポートしてくれるでしょう。

また、LDL(悪玉)コレステロールが活性酸素と結合すると“酸化LDL(過酸化脂質)”と呼ばれる物質に変化し、これを処理したマクロファージの残骸はドロドロした粥状物質となって血管内に蓄積することが認められています。このマクロファージの死骸が積み重なるとプラークとなり、血管を狭めたり柔軟性を損なわせ動脈硬化の原因になると考えられています。このため抗酸化物質の補給は動脈硬化の予防にも繋がりますし、にんじんに含まれている香り成分でポリフェノールの「クマリン」は血液を固まりにくくする作用を持つことが報告されています。カロテン類の補給と合わせて血栓や心筋梗塞・脳梗塞の予防にも役立つのではないかと期待されています。

血行不良・むくみ対策に

人参に含まれている芳香成分クマリンは抗凝固作用=血液を固まりにくくする作用があります。この働きから血液の粘度を低下させてスムーズな血流を促すことに繋がると考えられており、血液循環を良くすることでリンパの循環を整える働きも期待されています。サプリメントで注目された“メリロート”が血行不良やむくみ緩和に役立つのではないかと言われているのも、実はこうしたクマリンの働きによるもの。にんじんに含まれているクマリンはサプリメントや医薬品のように量が多くはありませんので効果の程については未知数ですが、クマリンの過剰摂取は健康被害に繋がることも指摘されていますのでナチュラルに安全に補給できる点は嬉しいですね。

加えてクマリンはポリフェノールでもあるので抗酸化作用も期待できますし、にんじんには抗酸化作用を持つβ-カロテンやルテインなどのカロテノイドも豊富。抗酸化物質の補給からも血流悪化や代謝低下の予防をサポートしてくれると考えられますから、冷え性の改善に一役買ってくれる可能性もあるでしょう。カリウムも余剰ナトリウムを排出させることで水分排出を促す働きがありますから、むくみ予防としても効果が期待できます。

お腹の調子を整える

にんじんは食物繊維が豊富と紹介されることもありますが、100gあたりの食物繊維総量で見ると2.4gと野菜類では中堅くらいのポジションに位置しています。しかしニンジンは100gあたりの食物繊維の内訳が水溶性食物繊維0.6g/不溶性食物繊維1.8gと、水溶性食物繊維が比較的多く含まれているという特徴があります。食物繊維にはそれぞれ得意な働きがあり、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をバランスよく摂取するのがお腹の調子を整えるポイント。にんじんは理想的な摂取バランスとされる不溶性2:水溶性1の形で食物繊維を含んでいることが特徴と言えます。

特にペクチンなどの水溶性食物繊維は、腸内で善玉菌(ビフィズス菌)のエサとなり善玉菌の増殖・活性化を促す働きがあります。便自体の容量を増やして蠕動運動を促進させる働きや、便の水分量を調整し排便までをスムーズに行わせる働きもありますが、水溶性食物繊維は文字通り水に溶けてゲル化することで水分量の多過ぎる便を固める働きもあります。これらの働きから腸内環境を整える・便秘を解消する・下痢を改善するという幅広い働きが期待できます。

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肌老化予防・紫外線対策に

にんじんは抗酸化作用を持つβ-カロテンが100gあたり8600μgと豊富で、その他にもカロテノイド系色素やポリフェノールの一種クマリンなどの抗酸化物質を含んでいます。際立って多くはないものの抗酸化作用を持つビタミンCとビタミンEを含んでいますから、様々な抗酸化物質を補給できる食材と言えますね。このため内側からお肌のアンチエイジングをサポートしてくれる食材としても注目されており、肌細胞の酸化によって引き起こされるシワやシミ・たるみなどの肌老化を予防する働きが期待されています。

抗酸化作用は紫外線によって発生した活性酸素を抑制・除去することにも繋がるので、内側からの美白(シミ予防)をサポートしてくれる可能性もあります。ルテインも目だけではなく肌を紫外線などの有害光から保護する働きが期待されていますし、β-カロテンは体内でビタミンAに変化することで皮膚や粘膜を健やかに保つ働きや、皮膚の新陳代謝を高める働きがあります。ビタミンAとして働くことで肌のバリア機能向上や乾燥肌予防にも繋がりますし、クマリンのによる血行促進作用と合わせて肌のくすみ改善・ターンオーバーを正常化する手助けもしてくれるでしょう。何の気負いもなく普段の料理にも使える食材ですから、肌を綺麗に保つためのサポーターとして取り入れやすいのも魅力ですね。肌の乾燥や風邪が気になる冬場にもおすすめです。

目的別、ニンジンのおすすめ食べ合わせ

にんじん(人参)の選び方・食べ方・注意点

ニンジンの皮は非常に薄い白っぽい部分で、出荷前に既に剥かれているものが多いようです。皮だと思っている部分はグルタミン酸やカロテンなどが豊富な部分。洗うだけでも食べられると言われていますので、皮ごとにんじんジュースなどを作ると栄養補給には最適でしょう。皮が気になる方であっても薄く剥くようにしてみてください。β-カロテンの吸収率をアップさせる油と合わせて料理しましょう。

生ニンジンに含まれるアルコスビナーゼという酵素はビタミンCを酸化させる性質があります。このためビタミンCを含む野菜との食べ合わせはよろしくないとする説もありますが、日本食品標準成分表ではビタミンCは酸化しても効能は変化しないとされています。すりおろしやジュースにしてしまうと酵素が活性化すると言われていますので、気になる場合は熱を加える・生のままならば酸(酢)を加えてアスコルビナーゼの働きを抑えて摂取すると良いでしょう。

美味しいニンジンの選び方・保存方法

ニンジンを選ぶ時には外側の皮の色が濃く鮮やかなもの、表面がなめらかで大きな傷が入っていないものを選びます。持った時にスカッとかるいもの、外側が萎びているように見えたり、しんなりしているようなニンジンは鮮度が下がっているので避けたほうが無難。先端部分が細く尖っているものよりも。丸みのあるものの方が良いと言われています。

また頭部分にある茎を切り落とした跡は、小さい方が芯が細く柔らかいと言われています。茎・芯が見える場合はきれいな緑色をしており、瑞々しいものを選ぶと鮮度が良いですよ。色や形状については品種によっても違いがありますが、普通のオレンジ色系のニンジンであれば赤みの強い色の方がカロテンが豊富です。

にんじんは湿気に弱く、また水分が抜けてしまうと食感が悪くなるので、新聞紙などに包んで保存すると良いです。涼しい時期であれば風通しの良い冷暗所で、夏場などであれば新聞紙の上からポリ袋などを掛けて冷蔵庫の野菜室に。日持ちは良い部類ですが、当分食べる予定がなければ冷凍したほうが確実です。冷凍する場合は使いやすい大きさに切って軽く茹でてから冷凍すると、そのまま料理に使えて便利ですよ。

参考元:8 Benefits of Carrot Juiceクマリンの概要History of Carrots