トマトとその栄養成分・効果効能
|美容・健康維持に注目されるリコピンの働きとは

食べ物辞典:トマト

生野菜としてはもちろんのことスープやシチュー、ケチャップ、ジュースなど様々なところで活躍している野菜、トマト。日本でも定番の食材となっていますし、「トマトが赤くなると医者が青くなる」なんて言葉もあるように健康野菜としても親しまれています。近年はトマトに含まれているカロテノイドの一種で、赤色色素であるリコピンに高い抗酸化作用や抗肥満作用を持つことが報じられ、メタボ予防やダイエット食材としても注目されています。美肌作りや美白にも期待されているトマトについて、食の歴史から栄養成分の働きまで詳しくご紹介します。

トマトのイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:トマト/赤茄子/蕃茄
英語:tomato

トマトのプロフイール

トマトとは

今や日本人の食生活にも欠かせない存在になっているトマト。生でスライスしてそのまま食べたりサラダに加えるのはもちろんのこと、シチューやカレーの味に奥行きを出すためにも利用されていますし、ケチャップやトマトソースなどの加工品も定番となっています。トマトの天ぷら・おでんの具などにすると和食でも活用されていますよ。日本以上にトマトを使うヨーロッパでは「トマトのある家に胃腸病なし」「トマトが赤くなると医者が青くなる」などのことわざもあり、健康野菜としても親しまれてきました。近年は日本でも美容野菜・抗酸化野菜として注目されていますね。

定番の野菜の一つともなっているためトマトという存在感が強く、あまり考えたことも無い方もいらっしゃるかも知れませんが、トマトは植物分類ではナス科ナス属に分類されます。茄子の近縁種であり、赤茄子(あかなす)・蕃茄(ばんか)・珊瑚樹茄子(さんごじゅなす)などナスの仲間だと連想できる和名で呼ばれていた時期もありますよ。西洋ではトマトの丸く赤い形がリンゴに似ている考えられ、イギリスやフランスでは「愛のりんご」、ドイツでは「天国のりんご」、そしてイタリアでは「黄金のりんご(ポモドーロ)」という別名も。ちなみにトマト(tomato)という呼び名はナワトル語で「膨らむ果実」を意味するトマトル(tomatl)が語源で、トマトルという言葉は元々はホオズキを指す時に使われていた言葉のようです。

トマトは色によって大きく赤系・ピンク系・緑系の3つに分けられています。トマトは赤色という印象がありますが、日本で生食用として栽培されているのは“ピンク系トマト”と呼ばれるタイプが主流です。ファーストトマトや桃太郎などの品種もピンク系に含まれます。見て分かりやすいようなピンク色をしているわけではありませんが、切った時に中が淡い色をしていること、皮が薄く果肉が柔らかいことが特徴とされています。では赤系トマトはと言えば、イタリアントマトなど主にケチャップやトマトジュースなどの加工品用に使われていたもの。皮が分厚く香りが強いことから野菜としての利用は避けられていましたが、近年はトマトの赤色系色素リコピンの健康効果が注目されたことで赤系トマトの需要・流通も増えています。皮が薄めで食べやすい高リコピントマトも開発され、スーパーなどでも販売されていますね。

トマトは世界的に食されている野菜のため、世界規模で見るとトマトの品種は8,000種以上、日本でも100~150品種が登録されています。赤系・ピンク系・緑系と大まかには3つに分類されますが、黄色・オレンジ・白・黒(紫)など様々な色がありますし、二色でスイカのような縦縞模様のものもあります。そのほかスイカのような縦縞があるものやプリーツと呼ばれるヒダが入ったもの、ピーマンのように中空になったものなどバリエーション豊かな野菜でもありますよ。

トマトの歴史

トマトは南アメリカ・アンデス山脈高原地帯が原産と考えられており、既に「チェリータイプ」と呼ばれる現在のトマトに近い形のものが自生していたことが分かっています。10世紀頃には北アメリカ(メキシコ)に伝えられ、栽培も行われるようになったと考えられています。

16世紀にヨーロッパ人がアメリカ大陸に到達すると、とうもろこしじゃがいもなどと共にトマトもヨーロッパへと持ち帰られました。しかし伝来当初は強い匂いや鮮やかな赤色、毒薬として用いられたベラドンナに似ていたことなどからトマトも毒草であると考えられ、観賞用植物として扱われました。ちなみにトマトの学名(種小名)であるlycopersicumはギリシャ語で狼を表す「lycos」と桃を表す「persicos」を合わせたもの。トマトと似た植物のベラドンナが狼男を召喚する為に用いられるものだ、という伝説が元になっていると言われています。

ヨーロッパでトマトを食用にしようとしたのは飢餓で食べるものがなかったイタリアの貧困層の人だと言われています。止むを得ず口にしたところ案外食べられるということに気がつき、野菜としての栽培や品種改良が行われるようになります。ヨーロッパに持ち込まれておそよ200年後、18世紀頃になってやっとトマト=野菜という感覚が定着し始めたのだとか。はじめは揚げ物として食べていたようですが、18世紀末頃にはトマトソースを始めとしたトマト料理文化が開花しています。

日本には17世紀半ばの江戸時代にトマトが伝えられましたが、日本でもトマトは野菜ではなく珍しい観賞植物という扱いでした。トマトを食用とし始めたのは文明開化後で、西洋野菜の一つとして改めて欧米から導入されたものを栽培するようになります。明治の後半くらいからは洋食の普及とともにケチャップが普及し、家庭の味としても徐々に受け入れられるようになります。野菜として広くトマトを食べるようになったきっかけは、20世紀にアメリカから日本人の口に合いやすいピンク系大果品種が導入されたこと、もしくはそれを元に品種改良されたトマトが流通するようになってからと言われています。

トマトの栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

トマトはビタミンEやビタミンCが比較的多く含まれてはいるものの、野菜類の中でビタミンやミネラルを特出して多く含む食材ではありません。慣例上緑黄色野菜に分類されるものの、β‐カロテンも100gあたり540μgと少なめ

しかしトマトは、アンチエイジングやダイエット・健康維持など様々な方面から健康野菜として注目されている存在。その理由としては赤色の元ともなっているリコピンに優れた抗酸化作用や抗肥満効果を持つ可能性が報告されていること、ビタミン類・クロロゲン酸などの抗酸化物質も合わせて補給できることが大きいと言えます。100gあたりのカロリーは19kcal(ミニトマトの場合は29kcal)と低め、炭水化物と脂質量が少ないのも肥満予防や生活習慣病予防を心がけている方には嬉しいポイントですね。

真っ赤なトマトジュースとトマトのイメージ

トマトの効果効能、その根拠・理由とは?

抗酸化(アンチエイジング)に

トマトはリコピンやβ‐カロテンなどのカロテノイド類を含んでいることから、抗酸化野菜としても取り入れられています。中でも注目されているのが、トマトの特徴成分とも称されるリコピン(Lycopene)リコピンはトマトの赤い色の元となっているカロテノイド系色素成分の一種で、トマト以外にはスイカやピンクグレープフルーツなどにも含まれています。同グラムで比較するとスイカの方がリコピンが多いとも言われていますが、サラダからケチャップまで様々な形で取り入れられるトマトの方が継続した摂取には適しているというわけ。

リコピンが注目を浴びるきっかけと言えるのが、1989年にβ-カロテンの2倍、ビタミンEの100倍とも言われる強い抗酸化作用が報じられたこと。活性酸素などによって細胞などが酸化してしまうと、老化や劣化を促進する原因となることが指摘されています。このため活性酸素を除去・抑制する働きを持つ抗酸化物質の補給は若々しく健康な身体を維持することに繋がると考えられており、高い抗酸化作用が報告されているリコピンが注目されたという訳です。

トマトにはリコピンだけではなく、同じくカロテノイドの一種であるβ-カロテン、ビタミンC、フラボノイド系ポリフェノールのケルセチンなどの抗酸化物質を含んでいることも認められています。同じ抗酸化物質ではなく、抗酸化作用を持つ様々な成分を補給できるということも身体の酸化対策に嬉しいポイントと言えます。

生活習慣病予防サポートにも

トマトの持つ抗酸化作用はアンチエイジングをサポートしてくれるだけではなく、生活習慣病やがん予防を手助けしてくれるのではないかと考えられています。悪玉(LDL)コレステロールが酸化されると血管内に蓄積し、血管を狭めたり柔軟性を損なわせ動脈硬化の原因となることが指摘されていますね。また酸化ストレスでがんの発症率を抑えられる、酸化によって引き起こされる糖尿病合併症の予防に繋がるという見解もあり、若々しさの維持だけではなく健康をサポートしてくれる成分としても期待されています。

加えて近年はトマトに含まれる13-oxo-ODA(13-oxo-9,11-octadecadienoic acid)という脂肪酸に脂質代謝異常の改善・中性脂肪を減らす働きがあることも報告されており、これら成分が相乗することで動脈硬化や脳梗塞・心筋梗塞などの予防に役立つと考えられています。ケルセチンやビタミンCはコラーゲン生成を促すことで血管を丈夫に保つ手助けを、カリウムはナトリウムの排出を促すことで血圧を正常に保ってくれますから、生活習慣病予防のために意識的に取り入れたい様々な栄養成分を補給できる食材と言えます。

免疫力サポート・風邪予防に

トマトは「トマトが赤くなると医者が青くなる」という言葉もあるように、健康維持を助けて風邪などに罹りにくい体を作ってくれる食材として愛されてきた歴史があります。成分的に見ても抗酸化物質の補給は酸化によって起こる免疫機能低下を予防してくれる可能性があると考えられていますし、β-カロテンは必要に応じて体内でビタミンAに変換されるという性質もあります。ビタミンAは皮膚や粘膜の保持・強化に関わるビタミンで喉や鼻などの粘膜を丈夫にする働きがありますから、呼吸器粘膜の強化によってウィルスの侵入を防ぐことで風邪などの予防にも一役買ってくれるでしょう。

そのほかビタミンCも白血球の強化・抗ウイルス作用を持つインターフェロンの分泌促進作用など免疫力に関わる働きを持つ可能性が多く報告されているビタミンでもあります。トマトに含まれているβ‐カロテンは生100gあたり540μg、ビタミンCは15mgと、どちらも緑黄色野菜と呼ばれる野菜類の中では多い部類ではありません。もちろん補給源としては役立ちますし、クエン酸やリンゴ酸などのトマトの酸味成分は胃もたれやむかつきを緩和する働きも期待されています。冷やしトマトなどはさっぱりと食べられますから、夏バテしてしまったときのレスキュー食・免疫力低下予防食として役立ってくれるでしょう。

便秘・むくみ予防にも

トマトは血液循環をサポートしてくれるリコピンなどの抗酸化物質、カリウムを含むことからむくみ対策としても期待されています。カリウムはナトリウムの排出を促すことで、ナトリウム濃度を保つために保持されていた余剰水分を排出させる=利尿作用を持つとされるミネラル。むくみの原因は様々にありますからカリウムが絶対に必要というわけではありませんが、体液バランスを整えてくれるカリウムが補給できること・血行を促すことでリンパ循環を整えるということからむくみ改善に繋がる可能性もあります。

ちなみにトマト生100gあたりのカリウム含有量はカリウム含有量は210mg。さほど多いわけではありませんが、ミネラルの吸収を助けるクエン酸やリンゴ酸も含まれていますから効率の良い補給を手助けしてくれると考えられます。食物繊維量についても100gあたり1.0gと特別多くはないものの、水分量が多い野菜で水分補給に役立つことから便秘改善に役立つという説もありますよ。

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ダイエットのお手伝いとしても注目

トマトと言えば“夜トマトダイエット”や“焼きトマトダイエット”など、ダイエットに適した食材としてメディアで取り上げられることも多い存在。トマトに肥満予防効果が期待されているのは、リコピンに成長ホルモンの分泌を高める働きがあることが報告されたことが大きいと考えられます。成長ホルモンがしっかり分泌されるようになることで代謝が向上し、黙っていても消費される基礎代謝量が増える=脂肪蓄積抑制・脂肪燃焼促進効果が期待できる、という訳です。

加えてトマトに含まれる脂肪酸13-oxo-ODAも動物実験では脂肪を燃焼する作用があることが報告されています。このためリコピンと相乗して脂肪燃焼効率を高める働きが期待されており、メタボリックシンドローム予防としても注目されていますよ。リコピンを含む抗酸化物質類は血流をサポートしてくれますから、こちらからも代謝向上に繋がる可能性がありますね。

トマトを食べてこうした成分が吸収され、各器官に届けられるまでの時間はおよそ6~8時間後と考えられています。“夜トマトダイエット”が提唱された理由は、代謝が最も落ちる就寝中にリコピンを行き届かせて脂肪の蓄積防止や脂肪燃焼を行ってくれるようにという意味なのだとか。またトマトを生野菜として摂取した場合のリコピン吸収率は低いため、加工品と併用したり少量の油と組み合わせて摂取すると効率が良いでしょう。“焼きトマト”にする理由は、焼くと糖度が上がって満腹感が増すため。リコピンは熱に強いので問題ありませんが、加熱することで吸収率が高まるということは無いようです。

美肌保持・アンチエイジングに

美肌野菜としても女性に人気があるトマト。リコピンの抗酸化力は勿論ですが、トマトには抗酸化三大ビタミンと呼ばれるビタミンACE(※ビタミンAはβ-カロテンから体内で変換される)も含まれていますので、相乗して活性酸素によるシミ・シワ・たるみ・角質化などの肌老化を予防してくれると考えられています。

リコピンには抗酸化作用によるアンチエイジング効果以外に、コラーゲンの合成を促し皮膚や粘膜を整える・メラニン色素の合成を抑える美白効果があるなどより直接的な働きが期待できるという報告もありますよ。ビタミンCもリコピンと同じくコラーゲン生成促進・メラニン色素生成抑制が認められていますので、内側からの紫外線対策・シミ対策に役立つ美白野菜とも言えるでしょう。トマトには毛細血管を強化するビタミンP(ケルセチン)・毛細血管拡張作用によって血液循環を促すビタミンEも含まれています。コラーゲン生成促進効果と合わせて肌のハリやキメの細かさの維持や、ターンオーバーを促すことで出来てしまったシミの改善を早めるなどの働きにも期待できます。

そのほかトマトには皮膚や毛髪の健康を維持するビオチン(ビタミンH)や、ビタミンAに変換されることで皮膚の健康維持に役立つβ‐カロテンなども含まれています。このため乾燥肌や肌トラブルの予防にも効果が期待できますから、肌のお悩み全般に役立ってくれる存在と言えるかもしれません。美肌作りにおいてもトマトの摂取タイミングは夜のほうが良いとされています。

トマトとミニトマトの違いについて

同グラムあたりの栄養価で比較した場合はビタミン・ミネラル・食物繊維ともにミニトマトのほうが若干含有量が多くなっています。ただし100gあたりのカロリーもトマトが19kcalであるのに対し、ミニトマトは29kcalと高くなっています。大きな差があるのはβ-カロテン量で、生100gあたりの含有量としてはトマト540μgに対してミニトマト960μgとなっています。

同じくリコピン含有量についても100gあたりの含有量については調査結果にバラつきがあるものの、ミニトマトはトマトの約2倍量のリコピンを含むと考えられています。ただしβ-カロテンやリコピン量については、真っ赤なミニトマトと流通の多いピンク系トマト(果肉の色が薄めのもの)で比較されている場合がほとんど。高リコピントマトや赤系トマト(完熟したもの)であればリコピン量は生00gあたり10~20mgと、一般的なミニトマトよりも多くなることも紹介されています。

一般的なトマトv.s.ミニトマトであればミニトマトのほうがリコピン補給源として優れていると言えますが、それが全てというわけではありません。リコピンは赤色の色素成分でもありますから、基本的には赤色の濃いトマトに多く含まれています。トマトかミニトマトかというよりは「赤色」がどのくらい濃いか・中まで赤いかで判断したほうが良いでしょう。

目的別、トマトのおすすめ食べ合わせ

トマトの選び方・食べ方・注意点

リコピンを効率よく摂取したい場合はトマトピューレやソース、トマトジュースなどの加工品の活用が効果的とされています。加熱したトマトを使用する場合はビタミンCなど一部の栄養素は減少しますが、リコピンは熱に強いので問題ありません。少量の油と組み合わせることで最大4倍程度リコピンの吸収率が向上することが報告されています。

美味しいトマトの選び方・保存方法

トマトを選ぶ際は果皮にハリがあり色ムラなく均一に色付いているもの・しっかりと赤く熟しているものを選ぶようにします。トマトは緑色から赤色に変化していくことで色素成分であるリコピンが増加するだけではなく、ビタミンC、Eや食物繊維料も増加していきます。真っ赤に熟れた完熟ものを選んだほうが、甘味も強く栄養価も豊富ですよ。

また固めでずっしりと重いもの・お尻の先部分から放射線状に白っぽいスジの入っているもの・ヘタ周辺にヒビ割れのないものを選ぶと良いとも言われています。放射線状の筋があるトマトは糖度が高い傾向があるので美味しいそう。ヘタ周辺にヒビ割れがあると鮮度が落ちやすくなっています。そのほかヘタの緑色が濃いこと・先までピンと瑞々しさがあるものが鮮度を見分けるポイントでもあります。

トマトはポリ袋などに入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。低温障害を起こすこともあるので野菜室以外には入れないようにするのがおすすめ。熟したトマトは常温で置くと味と栄養が抜け落ちてしまいますが、まだ熟しきっていないと感じるなら赤くなるまで追熟させることも出来ます。

トマトの注意点

生のトマトは体を冷やす食べ物として紹介されることもあります。水分量が多い食材でもありますから、冷え性やお腹の弱い方はキンキンに冷やした生トマトを食べ過ぎると調子が悪くなってしまう可能性もあります。常温もしくはやや冷たい程度で食べると無難ですし、心配な方は煮る・焼くなど火を加えたものを食べるようにしましょう。

また、トマトに含まれている酸類は胃もたれやむかつきを緩和する働きが期待される一方、胃が弱っている時に大量に食べてしまうと胸やけなどの原因になってしまう可能性もあります。胃食道逆流症の方や、胃酸過多タイプの方などは体調を確認しながら取り入れるようにしてください。

参考元:Tomatoes 101: Nutrition Facts and Health Benefitsリコピンの効能トマトを食べれば痩せられる!? -京大ら、新発見の成分で肥満改善効果を実証