ナス(茄子/なす)とその栄養成分・効果効能
|ナスニンの抗酸化力でアンチエイジングにも?!

食べ物辞典:ナス

焼く・煮る・漬ける・揚げる・蒸す…どんな使い方でも美味しく食べられるナス。味味自体は主張が少ないので好き嫌いの少ない部類ではないでしょうか。付けを選ばず、油とも相性が良いので料理に使いやすい食材ですね。栄養面で見ると水分量が多く低カロリーではありますが、必須栄養素の量は少なめ。栄養補給源とは言い難いものの、近年はナスニンなどのポリフェノールを含むことからアンチエイジングや認知症予防に注目されています。そんなナスの歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。

ナス/茄子のイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:なす(茄子/那須)
英語:eggplant/aubergine

茄子(なす)のプロフイール

ナスとは

ナスは日本でも古くから食されてきた野菜の一つ。煮浸し・焼きナスなどの素朴でほっこりとした味わいをたのしめますし、漬物や天ぷらなどは高級和食にも用いられています。味自体は淡白でクセがなく、スポンジ状の果肉が味を吸ってくれることが大きな特徴。お漬物などはさっぱりと、油と組み合わせるとトロっと濃厚にも化けてくれます。カレー・麻婆茄子・トマトと組み合わせてパスタやラタトゥイユまでと、食の好みにかかわらずご家庭で料理をする際に使用する頻度が高めの野菜ではないでしょうか。

そんなナスの学名はSolanum melongenaとウリやメロンの仲間のような名称ですが、植物としてはナス科ナス属に分類されるトマトジャガイモの仲間。ですが原産はアメリカ大陸ではなく、インド東部の東ガーツ山脈周辺あたりと考えられています。日本国内で栽培されているものだけでも約180種類と種類が多く、世界的に見ると1000種以上とナスには多くの品種があります。このため一口に「ナス」と言ってもその大きさ・形状・色などは様々です。ナスと言われて真っ先に想像するビジュアルに地域性やお国柄が出ると言えるかも知れませんね。

日本国内で最も多く流通している一般的なナスは形状から“中長茄子”もしくはヘタから下方にかけて膨らんでいく形から“長卵形茄子”と呼ばれるもの。千両ナスと呼ばれるタイプがこちらですね。また漬物用としてはアクが少なく水分が多いジューシーな“水なす”が使われていますし、表皮が厚くて身が柔らかい長なす・大長なす系統の品種は焼きナス用として活用されています。その他にも京都上賀茂で栽培されている丸い形をした「賀茂なす」や水なすなどの“丸なす(卵型なす)”系統、出羽小なすなど一口サイズの“小丸なす”など、形状という点だけでもかなり個性豊か。

さらに紫色寄りの紺色を“茄子紺色”と表現するように、ナスと言えば濃い紫色をしているというイメージがありますが、ナスの色も様々です。英語でナスを「Eggplant(エッグプラント)」と言うのは卵のような形状の果実がなるからというだけではなく、ヨーロッパに初めて伝わったナスが白色だったため“卵のような色”も由来とされています。日本のように流通しているナスのほとんどが黒紫色というのは珍しいのだそう。と言っても近年は果実が白色の白ナス・緑色の青ナスも流通していますし、イタリア料理の普及と合わせて紫と白の縞模様になっているゼブラナスも見かけるようになりました。

余談ですが、ナスに関わる有名な言葉として「秋なすは嫁に食わすな」を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは美味しいから嫁には食べさせないという嫁いびりの言葉と思われていますが、ナスを食べると体が冷えるのを心配する言葉という説もあります。ナスの旬は夏ですから秋ナスと聞くと季節遅れの印象や“気温も下がってきたし冷えに注意”というニュアンスも感じますが、この場合の秋は暦上の秋(8月中旬~9月)に当たります。美味しいから食べさせたくない説・嫁の体が冷えて子供ができないと困る説、どちらも納得できる話ではあります。

ナスの歴史

ナスの原産地はインド東部とする説が有力で、紀元前から栽培も行われていたと考えられています。紀元前5世紀頃にはビルマ(現ミャンマー)を経由して中国へと伝わり、5世紀頃には中国やアラビアなど広い範囲で栽培が行われていたようです。現存する中では農業と加工調理に関する最古の書物と言われる中国の『斉民要術』にも、ナスの栽培・採種方法の記述がありますよ。日本にナスが伝来した時期はハッキリしていませんが、長屋王邸宅跡から出土した木簡や『正倉院文書』に“奈須比”や“茄子”の記述があることから、奈良時代には既に栽培されていたと考えられています。

長屋王の木管の記載や同時の農業技術などから奈良時代には高位の人への贈物として“茄子の粕漬け”が使われていたと考えられていますし、平安時代に編纂された『延喜式』には内膳司管轄の畑でナス栽培が行われていたことも記されています。室町時代になると各地でナスが特産品として作られるようになり、球形に近いものから細長いものまで様々な形を持つ品種が確立していったと考えられています。ちなみにナスの語源としては味から“中酸実(なかすみ)”が由来とする説が有力で、夏野菜であることから“夏実(なつみ)”という説もあります。こうした呼び名が変化して「なすび」になり、室町時代頃に女房言葉として「なす」と呼ばれたのをきっかけに庶民にまでナス呼びが定着していきました。

平安時代後期事から野菜としてもナス普及していき、江戸時代には“最も需要の多かった野菜”と称されるほど親しまれるようになります。江戸っ子もナスのお漬物や焼きナスを食べていたのでしょうね。江戸時代には庶民派野菜となっていたナスですが、正月前後に採れる初物だけは話が別。初茄子は一つ一両と言われるほどに高価で、初鰹同様に庶民にとっては憧れの的でもあったそう。初夢で縁起が良いとされるものを示した「一富士、二鷹、三茄子」という言葉がありますが、これに茄子が登場するのは一般的に「ナス」という音が「為す/成す」に繋がり縁起が良いためであると解説されています。しかし“高いもの”を順に並べただけ、という説もありますから、とにかく正月のナスはお高い高級品だったのでしょう。

ちなみに原産地から陸続きではあるものの、ヨーロッパにナスが伝わったのは12~13世紀頃とかなり遅め。アラビアまでの地域ではナスを食していましたが、ヨーロッパでは精神を錯乱させる毒を持つ果実と考えられたため伝来してからもしばらく作物としては認識されていなかったそう。16世紀までナスは “mad apples”と呼ばれており、もっぱら観賞用に栽培されていました。16~17世紀頃にやっと一部地域で食されるようになり、18世紀頃には食材としての利用や農作物としての栽培も行われるようになりました。ただし代々伝えられてきた錯乱する・毒があるという言葉を信じて、1900年代初頭まで「ナスなんて絶対に食べない」という方もいらっしゃったようです。

茄子(なす)の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ナスはほとんどが水分で、100gあたり22kcalと低カロリー。きゅうりなどと同じく栄養価の低い食べ物と考えられてきましたが、含有量こそ多くはないもののビタミンB群、ビタミンC、カリウム、鉄、カルシウム、食物繊維を幅広く含んでいます。また近年はナスニンを始めとしたポリフェノールによる抗酸化作用も注目されています。

ナスのイメージ

ナスの効果効能、その根拠・理由とは?

夏バテ予防に

古くからナスには体を冷やす作用があると言われており、体内の余分な熱をとり火照りを鎮めることから、夏バテや火照りの解消にも役立つ食材として食されてきました。「秋なすは嫁に食わすな」の良い方の解説もこの作用に起因するものと考えられており、冷え性の方や妊娠中の方は食べ過ぎ注意と現代でも言われている存在。

栄養的に見てもナスは約93%が水分ですし、100gあたり220mgとカリウムが比較的多いことが特徴と言えます。お漬物など冷たい状態で食べれば冷水を飲むのと同じ様に身体をひんやりさせてくれますし、カリウムは利尿作用によって体の熱を水分と一緒に放出させる働きが期待できます。加えてナスに含まれているコリンという水溶性ビタミン様物質(リン脂質構成物質)も、胃液の分泌促進などによって食欲不振解消をサポートしてくれると考えられています。栄養補給をサポートすることからも夏バテの回復を助ける働きに繋がるでしょう。

抗酸化・認知症予防に

ナスの栄養成分で近年注目を集めている成分として、茄子色の元となっているアントシアニン系ポリフェノールの一種「ナスニン」クロロゲン酸などのポリフェノール類があります。こうしたポリフェノール類は活性酸素によって起こる酸化を抑制する、抗酸化作用があることが認められています。活性酸素が増加することで起こる酸化は老化を促進する要因とされていますから、抗酸化物質の補給源としてアンチエイジング(老化防止)にも役立つと考えられているわけです。

また、ナスに含まれているコリンは体内でアセチルコリンやレシチンの原料として利用されます。レシチンは乳化作用によって血管の詰まりを予防・改善することで血流を整える働きがありますし、アセチルコリンにも血管拡張作用があると考えられています。加えてアセチルコリンは神経伝達物質で不足すると認知症の原因となるとする説もあり、ナスは抗酸化・血流改善・神経伝達物質活性化をサポートして認知症予防を助けてくれるのではないかという見解もあります。欧米では脳機能の健康を守る“brain food”の一つにナスが挙げられることもあるそうですよ。

生活習慣病予防に

ナスに含まれているポリフェノールは抗酸化作用によって血中脂質や悪玉(LDL)コレステロールの酸化を抑制し、正常な血液循環をサポートする働きも期待されています。加えてナスニンにはコレステロール低減作用を持つ可能性があることが報じられていますし、レシチンは肝臓や血管などに脂肪が沈着するのを抑制する働きがあると考えられています。ナスにはナトリウムの排泄を促すことで血圧の上昇を抑えてくれるカリウムが含まれているほか、コリンから生成されるアセチルコリンも血管を拡張させ血圧を下げる働きがあります。

こうした働きと抗酸化作用が相乗することで、ナスは高血圧・動脈硬化など生活習慣病予防を手助けしてくれる野菜と考えられています。またクロロゲン酸から分解されるカフェ酸は肝臓ガンや肝硬変予防に有効という報告もありますし、ポリフェノールと食物繊維を含むことから血糖コントロールに役立つのではないかという説もありますよ。

便秘・むくみ対策に

ナスの食物繊維は100gあたり2.2gと野菜類の中で見ればさほど多くはありません。しかしナス自体に水分量が多いので特に便がカチカチになってしまうタイプの方は、食事に取り入れることで水分補給も兼ねた便秘予防としても役立ってくれるでしょう。野菜やナッツ類などを沢山食べると便秘が悪化するような方にも適しています。

同じく際立って多いというわけではありませんが、カリウムも100gあたり220mgキュウリピーマンよりも多く含まれています。一度で大量に補給とは行きませんが、不足しがちな分を補うという点では十分に役立ってくれる量と言えるでしょう。水分補給・血液循環のサポートも期待できますので、むくみ予防として役立ってくれるかも知れませんね。

ダイエットサホートに

ナスに含まれるコリンは消化酵素や代謝酵素の補助酵素として働くことで、糖質・脂質の代謝をサポートする働きが期待できます。またコリンから生成されるレシチンには肝臓や血管壁に付着した脂質を乳化することで排出を高める働きがありますし、レシチン・アセチルコリン共に血管を拡張させ血行を促すことで代謝向上にも役立つのではないかと考えられています。

ナスは水分含有量が高いため100gあたり22kcalと低カロリーです。便秘やむくみの予防や改善にも役立ってくれますし、低カロリーなので食事のカサ増し用にも利用できるでしょう。栄養価的には評価されていませんが少量ずつ様々な栄養素を含むので、ダイエット中に偏りがちな栄養の補給には使い勝手が良い食材と言えます。ただし油を吸いやすい性質があるので、調理用油を使い過ぎないようにしましょう。

美肌保持・目の疲れにも

ナスの皮の紫紺色の元であるポリフェノール「ナスニン」の抗酸化作用は強力でブロッコリーほうれん草よりも強いする説もあります。この高い抗酸化作用から、活性酸素による細胞の酸化=シミ・ソバカス・シワ等の肌老化予防としても役立ってくれるでしょう。夏の紫外線が気になる肌に、内側からのアンチエイジング・シミ予防としても役立ってくれるでしょう。そのほかナスニンはアントシアニン系色素に分類されるため、疲れ目の改善や視力回復などにも効果が期待されています。抗酸化物質ですから目の老化が気になる方にも適しているでしょう。

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目的別、ナスのおすすめ食べ合わせ

茄子(なす)の選び方・食べ方・注意点

ナスニンなどのポリフェノールは皮部分に含まれているため、皮ごと料理して食べるようにしましょう。切った後はポリフェノールの酸化で黒く変色してしまうため水に付けますが、クロロゲン酸はアクに多いので水に晒しすぎないようにすると良いと言われています。漬物などにする場合は鉄くぎや焼きみょうばんなどを入れるとナスニンの減少を防ぐことが出来ます。

東洋医学的な考え方では、なすは体を冷やす食材に分類されています。気になる方は生姜、ねぎ、唐辛子など冷えを緩和する材料を合わせる、油で炒めるなどして食べるようにしてみても良いでしょう。

美味しいナスの選び方・保存方法

ナスを選ぶ際には果皮の色が濃い紫色をしているもの・ツヤとハリがあるものを選ぶようにします。ヘタの切り口が瑞々しいこと、萼部分が先までピンとハリがありトゲが鋭く尖っていることが新鮮さの証。

品種にもよりますが、一般的にはスマートな形のナスよりも頭の方まで太めの“ずんぐり”体型の方が美味しいと言われています。同じくらいの大きさであれば手に持った時にズッシリと重く感じるものを選ぶようにします。表面にシワがあるもの、持った時に軽すぎるものは中がスカスカ・カサカサしている可能性が高いので避けます。

ナスは乾燥に弱く、また低温障害を起こしやすい野菜。そのため保存には冷蔵庫はあまり適さず、可能であれば袋に入れて室内の冷暗所に置くと良いと言われています。涼しい空間が無い場合は、水分が抜けないように1個ずつラップに包んで冷蔵庫(野菜室)に入れてあげてください。

参考元:野菜図鑑「なす」7 Surprising Health Benefits of Eggplants