ごぼう(牛蒡/ゴボウ)とその栄養成分・効果効能
|便秘だけじゃない! 美肌や老化予防にも注目

食べ物辞典:ゴボウ

他の食材には例えにくい、ふんわりと大地を感じるような風味のあるゴボウ。日本で長く愛されてきた食材の一つでもあり、お醤油と合わせるとほっこりする和食に、カリカリに焼くか揚げるかしてプラックペッパーをかければスナックにと様々な使い方が出来ますよ。食物繊維が豊富な食材としてスタイルを気にする女性にも親しまれていますし、近年はクロロゲン酸などのポリフェノールを含むアンチエイジング食材としても注目されています。免疫機能のサポートにも期待できますよ。そんなゴボウの歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。

ゴボウ(牛蒡)のイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:ごぼう(牛蒡/牛旁)
英語:Burdock root

ごぼう(牛蒡)のプロフイール

ゴボウとは

少し土っぽいような、野性味ある香りが特徴的なごぼう。軽く火を通せばシャキシャキ、しっかり煮るとホクホクした食感になる、和食に欠かせない根菜の一つです。きんぴらごぼうや煮物の具材・かき揚げ・サラダ・漬物など私達は様々な料理法でゴボウを食べていますが、実はゴボウを日常の食事として取り入れているのは日本と朝鮮半島だけなのだとか。朝鮮半島でゴボウが食べられているのも世界大戦時などに日本が統治していた影響からだと考えられていますから、日本の独自の野菜と言えるかもしれません。

根菜に数えられるようにゴボウと呼んで食べているのは根の部分で、植物としてはキク科ゴボウ属に分類される多年草。海外では木の根と言われることもありますが、木ではなく草の根ですね。ちなみに「牛蒡」という漢字は牛の尾に似ていたことが由来とする説と、フキに似た「蒡」という植物に似ていたが大きいので「牛」を冠して牛蒡としたとする説があります。山菜として食べられている“ヤマゴボウ”というものもありますが、こちらは自生しているゴボウ・野生種というわけではなく、アザミ類など別植物の根です。

野菜としてのゴボウに戻りまして。
スーパーなどに行けば通年ゴボウを購入することが出来ます。ゴボウの旬は晩秋~初春とされていますが、若どりされた新ごぼうの場合は初夏。しっかりと成長しているごぼうは硬めの食感なのに対して、若どりされた新ごぼうは柔らかく瑞々しい食感があることが特徴。風味も新ごぼうのほうが柔らかい印象があります。生姜タマネギと似たような感覚ですね。東日本は細長い形状のもの、西日本は太く短い形状のものが好まれると東西の違いもあります。そのほか関西を中心に“葉ごぼう(若ごぼう)”と呼ばれる品種も使われており、名前の通り根というよりも葉・茎がメインに食されています。小ぶりな根部は香りが弱く柔らかい食感、葉部はフキに似た印象。

昭和中期ころからゴボウは繊維ばかりで栄養価がないと言われたことや、食の欧米化の影響で食卓への登場も減っていた時期もあります。しかし食物繊維やポリフェノールを豊富に含むことから再注目され、女性を中心に美容効果の高いヘルシー食材として再評価されています。サラダやフリッターなど現代の食生活にマッチした食べ方も広まり、ゴボウをそのまま利用したスナック菓子なども販売されていますよね。健康食品として「ごぼう茶」が大々的にキャンペーンを行ったこともあって、再び食生活に取り入れられるようになっています。ゴボウは日本固有の食材と言っても過言ではない存在ですから、食の歴史と共に大切にしたいものですね。

ゴボウの歴史

ごぼうはユーラシア大陸北部が原産とされており、日本に野生種は存在していないことから古い時代に渡来したと考えられています。古いものでは縄文時代の貝塚からゴボウの種子が発見されており渡来時期については諸説ありますが、奈良~平安頃に改めて「牛蒡」として中国から伝えられたことで薬用植物として認識されるようになったと考えられます。古い時代の日本ではゴボウをキタキス(岐多岐須)と呼んでいましたが、平安時代の『本草和名』や『倭名類聚抄』などになると牛蒡の記述が見られます。

日本にゴボウを伝えたとされる中国では解熱、解毒、利尿、排膿作用を持つ漢方薬として用いられていました。薬学書の『本草綱目』には“余分な水分を排出し、血の巡りをよくし、冬の寒さで起こる風邪や咳、歯痛、腫れものを鎮める”働きを持つものと記載されています。欧米でもゴボウの根はバードックルートと呼ばれ、ニキビや腫れものなどの皮膚疾患の治療や、尿の出を促す民間薬として利用されていました。中国でもヨーロッパでも、ゴボウは食べ物として使われていたのではなく民間薬としての利用が主であったと考えられますね。

日本では『類聚雑要抄』は元永元年(1118年)に鳥羽天皇が宇治平等院へ行幸した際の献立にゴボウの名が記されており、この頃には薬用ではなく野菜として利用されていたと考えられています。それ以前から野菜として利用はされていたものの、広くゴボウを食べる習慣が広まったのは江戸時代以降と考えられています。江戸時代に刊行された日本最古の農書『農業全書』にも品種や栽培法の記載がありますし、元禄(1700年前後)には江戸近郊で滝野川ゴボウや砂川ゴボウなどの品種も確立されていきます。

人々の暮らしに密着した存在として江戸の節約おかず番付『日々徳用倹約料理角力取組』や料理本にも登場し、和食・家庭料理の中に定着していきます。金平牛蒡が盛んに食べられるようになったのも、柳川鍋にゴボウが使われるようになったもの江戸時代後期頃と言われています。

ごぼう(牛蒡)の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ゴボウはカリウムやマグネシウムなどを比較的多く含んでいるものの、ビタミンやミネラルなどの必須栄養素を特別多く含む食材ではありません。栄養面でのゴボウの特徴と言えるのは食物繊維を多く含むことで、近年はポリフェノールについても注目されています。食物繊維のイメージからか低カロリー食材と思われがちですが、実は生100gあたりのカロリーは65kcalとそこまで低くありません。

きんぴらごぼうイメージ

ゴボウの効果効能、その根拠・理由とは?

便秘予防・腸内環境ケア

ゴボウの健康メリットを考えた時に、食物繊維の補給・便秘解消を思い浮かべる方も少なくないのでないでしょうか。ゴボウ100gあたりの食物繊維総量は6.1g、うち水溶性食物繊維2.7g・不溶性食物繊維3.4gと野菜類の中でも豊富な食物繊維量を持ちながら、水溶性と不溶性食物繊維のバランスが非常に良い野菜です。

聞食物繊維は大きく分けると水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、野菜に多く含まれているのは不溶性食物繊維。不溶性食物繊維は便のかさを増やし腸の蠕動運動を促進することで便秘解消効果がある反面、摂取しすぎる・水分が足りないと便を固くしすぎて便秘を悪化させてしまう可能性もあります。このため食物繊維が豊富で、かつ水溶性食物繊維が占める割合の高いゴボウが優れた食物繊維補給源として便秘解消に取り入れられてきたと言えるでしょう。微量ではあるものの腸内の善玉菌を活性化するオリゴ糖が含まれているため、腸内環境を整える働きも期待されていますよ。

むくみ緩和・ダイエットサポート

ゴボウは食物繊維が豊富なことに加え、カリウムも100gあたり320mgと比較的多く含む食材。カリウムは体内でナトリウムとバランスを取り合う性質があり、ナトリウム排出を促すことで体内の水分量を調節する・利尿効果を持つと考えられているミネラル。カリウム不足や味の濃い食事をした後などのむくみ緩和に役立ってくれますし、ゴボウに含まれている水溶性食物繊維(水溶性ムコ多糖類)の一種イヌリンも利尿作用が期待されています。カリウムのイヌリンの補給から、ゴボウはむくみ対策としても取り入れられています。

食物繊維類やカリウムなどの働きによって便秘やむくみが軽減されることで、見た目をスッキリさせることにも繋がりますね。加えて水溶性食物繊維やオリゴ糖の補給によって腸内の善玉菌が活発化し、腸内フローラの状態が良くなることは代謝向上に繋がる可能性もあります。ゴボウのカロリーは100gあたり65kcalと際立って低いわけではありませんが、水溶性食物繊維が多いことから血糖値上昇を抑える働きやコレステロールの排出を促すなどの働きも期待できます。硬い食感は噛む回数を増やして満腹中枢を刺激し満腹感を促してくれますから、ダイエットサポートにも十分に役立ってくれると考えられます。

老化予防・生活習慣病予防に

ゴボウが近年注目を集めている要因の一つとしてポリフェノールの一種であるサポニン、タンニン、クロロゲン酸などを含んでおり、活性酸素を除去する抗酸化作用が高い食材であることも挙げられます。これらのポリフェノールは抗酸化力が強く、ストレスや加齢によって発生した活性酸素によって起こる内臓機能や肌などの老化を防止する考えられています。またマウスによる実験ではゴボウに含まれているアクチゲニンという成分は記憶障害に関連する酵素アセチルコリンエステラーゼを抑制し記憶障害の改善が見られたとの報告があることから、認知症予防など“脳の老化予防”についても効果が期待されています。

ゴボウは抗酸化物質の補給源であると同士に、水溶性食物繊維の補給源にもなります。水溶性食物繊維はゲル状に溶けて食べ物を包み込む性質があり、食物が消化器官を通過するスピードをゆっくりにすることで血糖値の上昇を緩やかにするというメリットも。このため血糖値を上げにくい食材として、糖尿病が気になる方にも適しています。抗酸化物質は動脈硬化など血流トラブルの予防にも繋がりますし、ゴボウからは血圧上昇を抑えてくれるカリウムも補給できます。こうした成分を補給できることから、ゴボウは動脈硬化や高血圧など生活習慣病予防にも役立つ食材として注目されています。

免疫機能サポートに

人の免疫器官の多くは腸に集中して存在しており、近年は腸内細菌と免疫機能に密接な関わりがあることが報告されています。ゴボウは食物繊維が多く、善玉菌をサポートしてくれる水溶性食物繊維の補給にも役立つ食材。間接的にではありますが、腸を整えることで免疫機能を整える働きが期待されています。ポリフェノールの一種であるサポニンにも免疫機能を司るNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化する働きを持つ可能性があることから、合わせて風邪やインフルエンザにかかりにくい体作りをサポートしてくれると期待されています。

また、2011年に韓国で行われた実験では、ゴボウ抽出物を投与したラットの免疫細胞で炎症関連酵素や炎症関連物質の抑制が見られたことも報告されています。この結果からゴボウには炎症物質を抑制し抗炎症・抗アレルギー効果を持つ可能性が示唆されています。腸内環境を整えることからも免疫機能の正常化が期待できますから、ゴボウはアレルギーがある方の体質改善をサポートしてくれる可能性があると考えられています。こうした働きは研究段階ですし、ゴボウは食材。薬のように実感性の高いものでは無いでしょうが、副作用などを気にせずに毎日普通の食事の中で取り入れられるというメリットがあります。お腹の調子サポートも兼ねて取り入れてみては如何でしょうか。

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美肌作りのサポートにも

ゴボウはサポニン、タンニン、クロロゲン酸などのポリフェノール類を含み、活性酸素を除去する抗酸化作用が高い食材と考えられることから、肌のアンチエイジングにも役立つと考えられます。活性酸素によって肌細胞が酸化することで起こる皮膚のシワ・シミ・たるみなどの予防に繋がりますし、水溶性食物繊維の働きで糖質の吸収が緩やかになることから“肌の焦げ付き”と称される糖化予防に役立つ可能性もあります。

また豊富な食物繊維によって便秘が改善される・腸内環境が整うことも美肌作りに役立ちます。腸内の老廃物から排出される毒素が軽減されることで肌荒れ・吹き出物・クスミなどの軽減に繋がりますし、腸内で善玉菌が増殖することで腸内でのビタミン合成が高まり肌にしっかりと必要な栄養が届きやすくなるでしょう。抗酸化作用と合わせて肌の透明感を高めたり、新陳代謝を高めるサポートととしても効果が期待できますよ。

目的別、ゴボウのおすすめ食べ合わせ

ごぼう(牛蒡)の選び方・食べ方・注意点

ごぼうに含まれる食物繊維やポリフェノールはは皮付近に多く存在していますごぼうの風味が多く含まれている部分も皮のため、皮は剥かずに利用したほうが風味としても栄養補給としても◎。表面をたわしなどで洗い、汚れが気になる部分があればそこだけを薄く剥いで使用するのがベストと考えられていますよ。

ごぼうの下処理(アク抜き)はする派としない派に分かれています。クロロゲン酸などのポリフェノール類やカリウムなどは水に晒してしまうと流れてしまうため、栄養補給面ではしない方が良いと言えます。ただし短時間ならば流出する成分は少なくて済みますから、気になる場合は短時間だけ水や酢水に晒すようにすると良いでしょう。

美味しいゴボウの選び方・保存方法

ゴボウを選ぶ時には、端から端まで太さに極端な差のないものを選びます。表面が萎びていたり、ぐんにゃりと曲がってしまうような柔らかいものは避けます。土付きのものは分かりにくいですが、皮が割れたり剥がれたりしておらず、全体にピンとハリがあると感じられるものが良いでしょう。ひげ根が少ないもののほうが、しっかりと栄養を蓄えていると言われています。

ゴボウは土付き、丸一本の状態が最も日持ちします。乾燥しないように新聞紙で包んでおけば、風通しの良い冷暗所に置いておくだけでOK。夏場や不安な場合は冷蔵庫の野菜室に入れて下さい。時間が経つと香りが抜けてしまい、食感も少しずつ落ちていきます。腐らないという意味では日持ちがしますが、早めに食べるに越したことは無いですね。

ごぼう茶について

手軽に食物繊維が摂れる・抗酸化作用(アンチエイジング効果)のあるお茶として人気のある「ごぼう茶」ですが、お茶にはごぼうの食物繊維のうち水溶性食物繊維だけが溶け込んでおり、茶殻まで食べないと不溶性食物繊維は摂取できません。便秘の解消をしたい方・野菜不足が気になっている方はごぼうそのものを食べる方がお勧めですが、水溶性食物繊維による腸内環境の改善や排便促進作用は期待できるでしょう。ポリフェノールも摂取できますので、抗酸化やアンチエイジングを心がけている方には手軽な補給源として役立ってくれるでしょう。

参考元:ゴボウの種類、ゴボウの料理Anti-allergic and anti-inflammatory effects of butanol extract from Arctium Lappa L.