玉ねぎ(玉葱/タマネギ)とその栄養成分・効果効能
|身近な野菜だけど、抗酸化物質がたっぷり?!

食べ物辞典:タマネギ

和洋中からエスニックまで世界中の料理に活用されている玉葱。「西洋のかつおぶし」と称されるように味に深みを出してくれる食材でもありますし、野菜として食感や風味を楽しむお料理にも大活躍。日本の一般家庭でも日常的に使われることが多い野菜で、アリシンやケルセチンなど抗酸化物質が豊富なことから健康維持に嬉しい食材としても注目されていますよ。動脈硬化など生活習慣病の予防をはじめ、お肌のアンチエイジングをサポートしてくれる可能性があるのも嬉しいですね。そんな玉葱の歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。

玉ねぎイメージ

和名:たまねぎ(玉葱)
英語:onion

玉葱(たまねぎ)のプロフイール

タマネギとは

タマネギは生・焼く・上げる・煮込むとどんな料理方法でも使えるオールマイティな野菜。使いやすい・日持ちがする・入手しやすいと三点揃いなので、日本の家庭でも常備菜として定番ですね。国民食となっているカレーライスにも使われますし、お味噌やお醤油との相性が良いので煮物・お味噌汁など和食レシピにも使われています。もちろんサラダやスープにも多用されますし、古くからタマネギを多用してきたヨーロッパでは料理のベースとして欠かせない存在でもあるため「西洋のかつおぶし」と呼ばれることもありますよ。

植物学の分類では玉ねぎはヒガンバナ科ネギ属(以前はユリ科やネギ科とされていた)に属し、名前の通りネギの近縁種にあたります。地上部をあまり見かけることは無いかもしれませんが“ネギ坊主”と同じような、球状に密集した小さな花が咲きます。私達が主に食用としている白い実のような部分は葉(鱗葉)が重なり合い層状になっている部分で、正式には“鱗茎(りんけい)”と呼びます。同属のニンニク・ラッキョウなども同じく鱗茎を食べる野菜の仲間です。

玉ねぎは大きく“辛玉葱群”と“甘玉葱群”の2つに分けることが出来ます。日本で多く出回っている球形・切ると涙が出るタマネギ(黄玉葱)や小タマネギ(ペコロス)などは辛玉葱群に分類され、加熱することで辛味が甘み・旨味に変化するのが特徴。甘玉葱群は白たまねぎ(サラダオニオン)や赤タマネギもしくは紫タマネギと呼ばれている種類で、水分が多く生のままでも甘みを持つためサラダ用として利用されています。ちなみに生食用と言えば「新玉ねぎ」がよく知られていますが、新玉ねぎという言葉は“早取りし収穫後にすぐに出荷された”ものを指します。白玉葱系品種が主ですが、黄玉葱系の品種の新玉ねぎもあります。

食材としての使い勝手の良さはもちろんですが、タマネギは健康食材・抗酸化食品としても注目されています。血液サラサラ食材としてや、ダイエット効果も期待できる食べ方として報じられた「酢玉ねぎ」がブームになったことで美容面への効果にも注目が集まっています。日本では西洋のように味のベースとして使うことはさほど多くありませんが、それでも家庭の常備野菜の一つと言えるメジャーな存在でしょう。意識的に摂取するような特殊な食材ではなく、ほぼ毎日食べている身近な存在なのも嬉しいところですね。

また捨ててしまう方の多いタマネギの皮も、ポリフェノールの一種である「ケルセチン」が豊富に含まれている事が注目され、野菜くずを活用してとる出汁“ベジブロス”や“タマネギの皮茶”などにも活用されています。より手軽に摂取できるタマネギエキスを濃縮したサプリメントも販売されていますが、お料理に使った残りの部分を活用するとエコなうえ家計にも貢献してくれると良い事尽くし。身近なのに優秀な野菜と言えます。

タマネギの歴史

玉ねぎは食用・栽培の歴史が古い野菜で、野生種が発見されていないためハッキリとは分かっていませんが中央~西アジア原産と考えられています。その根拠として紀元前5000年頃にはペルシャ地方で食されていたと言われており、そこからヨーロッパの地中海地方やエジプトへ伝播して分布圏を広げていったと考えられています。紀元前3000年頃~遅くとも紀元前2500年代頃には古代エジプトでも栽培が行われていたようですし、ピラミッド建設の様子を記したものには労働者にニンニクや玉ねぎが配給されたという記録も残っています。

また強壮効果がある食材として利用された他、神聖な野菜とも考えられ悪魔除けに家の前に吊るす・死体と共に棺に入れ埋葬するなどの使用もなされていたようです。古代ギリシアやローマでも玉ねぎはスタミナ食材・魔除けとして利用されていたと伝えられています。ギリシアでは古代オリンピック(オリュンピア祭典競技)の選手の食事に取り入れていた・ローマではコロッセオで戦う剣闘士が試合前に玉ねぎの汁を体に塗ったなどの説もあります。体力増強のほか、勇気を高める存在とも考えられるようになり、ローマ軍の食料の1つとして遠征時にヨーロッパへと広まっていきます。

南ヨーロッパ(スペイン、南フランス、イタリアなど)では生食できる辛味の少ない甘タマネギ群が、東ヨーロッパ(ルーマニア、ユーゴスラビアなど)では辛味の強い辛タマネギ群が栽培されました。現在私達が食用としているものは、それらが16世紀にアメリカ大陸に導入され、更に品種改良されたものです。日本にタマネギが伝わったのは江戸時代と言われていますが、当時は食用ではなく観賞用とされました。本格的に玉ねぎが栽培されるようになったのはのは明治時代、北海道で試験栽培が行われて以降です。導入初期には馴染みのない野菜で普及が遅かったものの、明治初期にコレラが発生した際に「タマネギはコレラに効き目があるらしい」と言う噂が広がったことが、日本人が玉ねぎを食べ始めたきっかけとする説もあります。

一度食べてみると加熱すればクセのない味や、慣れ親しんでいたネギと近い風味であることから抵抗なく受け入れられるようになります。お醤油との相性も良いことから和食へと取り入れやすいこと、肉食・洋食の広まりによってタマネギを使うレシピが増えたこともあり、現在では国産野菜の収穫量トップ5に入るほどメジャーな存在となっています。

玉葱(たまねぎ)の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

玉ねぎは野菜類の中でビタミンB6を比較的多く含んでいつため、タンパク質の多い食材(肉・豆類)との相性が良いとされています。代表成分としてよく紹介される辛味や臭気の元である硫黄化合物(硫化プロピルと硫化アリル)やケルセチンほか、含有量は多くないもののビタミン・ミネラル類を幅広く含んでいます。100gあたりのカロリーは37kcalで、人参と同じくらいです。

玉ねぎイメージ

タマネギの効果効能、その根拠・理由とは?

疲労回復・スタミナアップに

タマネギにはニンニクやネギ類に含まれている硫黄化合物(アリシン)が含まれています。アリシンはビタミンB1と結合しアリチアミンとなることで、ビタミンB1の吸収促進やビタミンB1の働きを長時間持続させる作用があります。ビタミンB1は糖代謝に関わる酵素の働きをサポートする補酵素(チアミンピロリン酸/TPP)として働くことで、ブドウ糖のエネルギー変換・疲労物質の代謝を促進して、疲労回復に繋がると考えられています。ちなみにニンニクが疲労回復・スタミナ増強食とされるのも、主にアリシンがビタミンB1の持続時間を伸ばしてくれるためです。

またビタミンB1はブドウ糖からのエネルギー生産を手助けすることで脳神経機能を正常に保持する働きもあります。そのため脳の疲労回復にも効果が期待できますし、イライラや集中力・記憶力の低下、不眠の改善などにも有効と考えられています。ただし、玉ねぎのビタミンB1含有量はさほど多くありません。玄米や豚肉・卵舞茸大豆などビタミンB1を多く含む食材と組み合わせて摂取するようにすると良いでしょう。

そのほかアリシンには胃の消化液の分泌を活発にして胃腸を強化する作用もありますから、夏バテや疲労などで食欲が無い時・消化機能が低下している時のサポートにも期待されていますよ。

血液サラサラ・冷え性対策に

タマネギに含まれる硫黄化合物には、アリシンだけではなく硫化プロピルという成分もあります。硫化プロピルは生タマネギに含まれていますが、息を吸うだけでも体内に吸収することができると言われるほど非常に気化しやすい性質があります。この硫化プロピルが空気に触れて酸化することで「トリスルフィド」に、長時間の加熱によって「セパエン」という物質に変化していきます。トリスルフィドやセパエンはコレステロールにもは中性脂肪・悪玉コレステロールを低下させる作用があり、作用は生の時よりも高くなる事が報告されています。

玉ねぎには硫化プロピル類のほか、血流改善効果が期待されるアリシン(硫化アリル)などの硫黄化合物・抗酸化作用を持つフラボノイドが25種類以上含まれていることが認められています。健康系メディアなどで玉ねぎを食べると血液がサラサラになると紹介されることが多いのは、こうした成分の複合効果によるところが大きいでしょう、抗酸化・血液サラサラ効果・毛細血管を広げる血流改善は動脈硬化予防に繋がり、心筋梗塞や脳梗塞などの予防に役立つと考えられています。より身近なところでは冷え性の改善や新陳代謝向上に繋がる可能性もありますね。

老化・生活習慣病予防に

タマネギは様々な種類のフラボノイドを含んでいますが、その中でもケルセチン類がタマネギの健康成分として注目されています。ケルセチンは色素成分でもあるフラボノイド系ポリフェノールで、フラボノイドの中でも強い抗酸化活性を示すことが特徴とされています。ケルセチン類は配糖体と呼ばれる糖が結合した形で存在していますが、このうちグルコース単体が結合した「ケルセチングルコシド」という形をとっているものは人間の体に吸収されやすいことが認められています。タマネギはこのケルセチングルコシドが豊富な食材の代表格と言われ、効率の良い抗酸化物質補給源として注目されているのです。

ケルセチン類だけではなく、タマネギに含まれているビタミンCやアリシンなどの硫黄化合物も抗酸化作用を持つ成分。ケルセチングルコシドと相乗して活性酸素の発生を抑え、身体を酸化から守ってくれる働きが期待できます。抗酸化は酸化による老化進行を遅らせることでアンチエイジングをサポートする働きが期待されている他、酸化LDL(過酸化脂質)の生成を抑制することで動脈硬化などの血流トラブル予防にも役立つと考えられています。加えてアリシンにはコレステロール抑制作用が見られたこと、ビタミンB1を補助することで血糖値の上昇抑制が見られたことも報告されていますよ。

このためタマネギは高脂血症や糖尿病など幅広い生活習慣病の予防に役立つ、健康食材としても親しまれる存在となっているんですね。そのほか抗酸化成分による血液サラサラ効果によって血栓予防に役立つこと、アリシンが吸収を助けるビタミンB1はアルツハイマー型認知症の予防や改善効果が期待されている成分であることから認知症予防効果も期待されていますよ。

風邪・インフルエンザ予防に

タマネギに含まれる硫黄化合物の一つアリシンには強い殺菌作用があります。生タマネギや刻みネギが薬味や刺身のツマに使われているのは風味だけの問題ではなく、食中毒予防という意味合いもあると考えられています。風邪予防に役立つ食材としてはニンニクが紹介されることもありますが、タマネギなら臭いなどを気にせずデイリーに取り入れることが出来ますね。

直接的な働きではありませんが、ケルセチンや硫化プロピル・アリシンによる血液循環改善は冷えの緩和や免疫力向上にも繋がると考えられます。アリシンは消化液の分泌を促すことで胃腸機能活発化にも役立つと考えられていますので、栄養の消化吸収を良くして回復サポートにも効果が期待できます。

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便秘予防・デトックスサポートにも

100gあたりの数値で見ると、タマネギは食物繊維含有量1.6gと野菜類の中でも多いとは言えない存在です。しかし不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をバランスよく含んでいるため、お腹がハリやすい方・下痢をしやすい方など食物繊維をバランス良く補給したい方には適しているでしょう。また野菜の中では比較的多くオリゴ糖が含まれています。単品での効果はあまり期待できませんが、普段の料理にプラスして行くことで便秘の予防・解消効果が期待できます。

加えてケルセチンには脂質と結合する作用があり、腸内の脂肪と結びついて脂肪を固め排泄を促すことからデトックス食材としても注目されています。同様にカリウムなどの含有量は少ないですが、硫黄化合物やポリフェノールによる血液サラサラ・血液循環促進作用が期待できますから、血行不良性のむくみ軽減にも役立ってくれるでしょう。デトックスと循環機能向上は新陳代謝向上にも繋がりますから、ダイエット効果も期待できますね。

美肌・アンチエイジングにも期待

ケルセチンなどのフラボノイド類や硫黄化合物類など抗酸化物質を豊富に含むことから、タマネギは抗酸化作用によってお肌など外見のアンチエイジングをサポートしてくれる食材とも言えます。活性酸素は肌細胞を酸化させることでシワやシミ・たるみなど肌の老化現象の進行を早めてしまうことが指摘されています。スキンケアをするだけではなく、内側からも抗酸化物質を補給することで若々しいお肌の維持を手助けしてくれると考えられていますよ。

またケルセチンは通称“ビタミンP”と呼ばれるフラボノイドの一つで、コラーゲン生成を促すなどビタミンCと協力してその作用を高める働きも期待されています。ビタミンCは直接的にシミやソバカスの原因となるメラニン色素を作るチロシナーゼの働きを防ぐ働きがある事が認められていますから、シミ予防や美白を心がけている方のサポートにも嬉しい食材と言えますね。ちなみにタマネギに含まれているビタミンCは生100gあたり8mg。生のままで食べれば補給源にもなりますが、辛味を抜くために水に晒したり加熱料理した場合にはビタミンC補給源としては若干心もとないくらいの量です。単体で食べることが少ない野菜でもありますから、タマネギとビタミンCが豊富な食材とを組み合わせて摂取してみてください。

目的別、タマネギのおすすめ食べ合わせ

玉葱(たまねぎ)の選び方・食べ方・注意点

玉ねぎに含まれる硫黄化合物は水に弱いため、玉ねぎを水にさらすと溶け出して著しく減少してしまいます。水にさらすのは長くても数分程度にして、辛味が気になる場合は酢にさらすかようにするのがオススメです。またアリシンは熱に弱く加熱調理で失われてしまうと言われていますが、加熱する前に15~20分程度空気に触れることで熱に強い成分へと変化すると言われていますので、切ってから時間をおいて加熱料理を行うようにしてください。ただしあまり長い時間空気にさらしておくと成分が気化してしまうので注意が必要。

美味しいタマネギの選び方・保存方法

一般的な黄玉葱を選ぶ場合には、表皮が良く乾燥しておりツヤツヤと光沢のあるもの・形が球に近くコロンと丸みのあるものを選びます。手に持った時に固く締まった印象があり、同じ程度の大きさであればずっしりと重いものが美味しいですよ。新玉ねぎの場合も同じく丸みがありずっしりと重いものを選びますが、黄玉葱と比べると扁平な形で柔らめの食材ですから黄玉葱レベルを基準にはしないようにしましょう。

黄玉葱の保存は高温多湿を避ければ常温でOK。風通しの良い場所にネットなどに入れて吊るしておけば3ヶ月程度保存が効きます。使いかけのものは切り口から乾燥するのを避けるためにラップをして冷蔵庫(野菜室)へ。新玉ねぎの場合は痛みやすいのでポリ袋などに入れて冷蔵庫で保存する方がおすすめです。

タマネギの注意点

玉ねぎに含まれているイオウ化合物(硫化アリルなど)は多量に摂取することで消化器系粘膜を刺激して痛めてしまう・胃酸分泌を促すことで一時的な胃酸過多を引き起こす可能性があることも指摘されています。生状態で大量に摂取してしまうと胃腸の不快感や吐き気・下痢などを起こしてしまう可能性もあるため、特に胃腸の弱い方・空腹状態で食べる時には注意しましょう。

タマネギの皮について

普段捨ててしまう玉ねぎの皮部分には抗酸化物質であるケルセチンが鱗茎の約20倍も含まれていると言われています。またケルセチンは油と一緒に摂取することで吸収率が高まるという報告もありますので、薄皮をオリーブオイルで炒めスープにして飲むなどすると効率的にケルセチンを摂取できると考えられます。そのほかベジブロスを作ってみたり、玉葱の皮茶にするなどしても抗酸化物質の補給に嬉しいですね。

参考元:ケルセチンの健康機能31 Surprising Benefits Of Onions For Skin, Hair And Health