長葱(白ネギ/根深ねぎ)の特徴と栄養成分・期待できる健康メリットとは

食べ物辞典:長葱(白ネギ)

すき焼きやお鍋の定番となっているネギ。白髪ねぎなど薬味兼彩りにも、そのまま焼いてなどガッツリ野菜としても親しまれています。ネギは大きく白ネギ(根深ねぎ)系統・青ネギ(葉ネギ系統)の二つに別れますが、ここでは白ネギを長ネギとして紹介しています。葉ネギよりも辛味・臭気があることから好き嫌いが別れますが、こうした風味の元でもあるアリシンなどの硫黄化合物には抗酸化作用や殺菌作用・ビタミンB1の働きを向上させるなどのメリットも期待されていますよ。そんな長ネギの歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。

長葱(白ネギ/根深ねぎ)のイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:ネギ(根深ねぎ)
英語:White green onion/spring onion

長葱/根深ねぎ/白ネギのプロフイール

長葱(根深ねぎ)とは

煮込めばとろりとした食感で甘くなる長ネギはお鍋によく使われる食材で、薬味としても年を通して活用されています。和食の中でも生姜ワサビと並んで“薬味”の代表選手と呼べるかもしれません。野菜としても炒め物や焼鳥の“ねぎま”などにも使いますし、中華料理などで使われるネギ油やねぎ味噌などにして調味料感覚も活用されており、使える幅も広い食材です。

ネギは植物分類上ネギ属に属し、玉ねぎニラニンニクなどが同属です。その他リーキやチャイブなども同属で、特にリーキはネギと非常に近い存在とされています。小ネギと混同されやすい分葱(ワケギ)や浅葱(アサツキ)も同じくネギ属に分類されますが、ワケギはネギとタマネギの交雑種、ワケギはエゾネギ(チャイブ)の変種とされています。

そんなネギ属の中でも私達がネギと呼んでいるものは大きく、白い部分が長い「白葱(長ネギ/根深ねぎ)」系と、根元まで葉の緑色の「青葱(葉ねぎ)」系の2つに分かれます。地域によっては葉ネギの方を長ネギと呼ぶ場合もあるそうですが、ここでは長ネギ=白葱(根深ねぎ)として紹介させていただきます白ネギも青ネギも同種(学名:Allium fistulosum)ではありますが、食材としての使われ方も栄養価にも違いがあり、旬とされる時期も別。現在でこそどちらも一年中出回っていますが、昔は根深ねぎのことを「冬葱」と呼んでいたように旬は冬、葉ネギは春~夏にかけての時期が旬です。

古くネギは“葱(き)”と一文字で表されていたことから「一文字(ひともじ)」という別名もあります。対して韮(ニラ)は二文字なので二文字(ふたもじ)」と呼んていたのだとか。「ひともじぐさ」と呼ばれることもありますが、こちらは一文字に由来しているという説・枝分れした形が「人」の字に似ているからとする説に分かれています。ネギという呼び名は根を食べることが名前の由来となったとされていますが、根深ネギ系で食用とされる白い部分は葉鞘(ようしょう)と呼ばれる葉が鞘状になって茎を包んでいる部分。日光に当たらないよう深いところまで土寄せをして軟白栽培をしているだけで、根深ネギは根を食べるネギ・葉ネギは葉を食べるネギ、というわけではありません。

以前は東日本では白ネギ系、西日本では青ネギ系が好まれていたことが知られています。同じ白ネギ系でも北日本系(加賀群)と関東型(千住群)に分かれているので、地域色が強い野菜と言えるかもしれません。現在でもお蕎麦などの薬味として使う場合などにその名残はあるものの、近年は用途・料理などで使い分ける方が主流になってきているようです。白ネギ系(根深ねぎ・長ねぎ)は甘みがあることから煮物や焼き鳥など葱そのものを味わえる食べ方が・葉ネギ系(九条ねぎ・小ねぎ)は香りが良いため薬味としてや炒めものに適していますよ。

長葱/根深ねぎ/白ネギの栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

長ネギ(白葱)は全体の約90%が水分で、100gあたり28kcalと低カロリーなものの基本的な栄養価はさほど高くありません。必須栄養素の含有だけで見れば、緑黄色野菜に分類される葉ネギ系統の方が優れていると言えます。が、長ネギは風に対する民間療法に使われるなど、各地で健康メリットの期待できる食材として扱われてきました。これはビタミンB1の働きを助けるなどの働きを持つアリシンなどの硫黄化合物を含んでいることが大きく関係しています。

長葱(白ネギ/根深ねぎ)のイメージ

長葱(根深ねぎ)の効果効能、その根拠・理由とは?

疲労回復・スタミナ強化に

長ネギに含まれているタマネギやニンニクなどと同じく、硫黄化合物の硫化アリル(アリシン)が含まれています。アリシンはビタミンB1と結合してアリチアミン(活性持続性型B1)に変化します。アリチアミンに変化するとビタミンB1の時よりも吸収率が高まり、血中に留まっていられる時間も長くなると考えられています。ビタミンB1は糖代謝に関わる酵素の働きをサポートする補酵素(チアミンピロリン酸/TPP)として働くことで、ブドウ糖のエネルギー変換・疲労物質の代謝を促進する働きがありますから、スタミナ増強を効率良く行えるようになる・肉体疲労の疲労回復促進に効果が期待されています。

糖代謝に関わるビタミンB1は不足すると慢性疲労感・だるさ・むくみ・手足のしびれなどを引き起こす原因にもなります。ネギにはビタミンB1はあまり含まれていませんが、他の食材と組み合わせて摂取することでエネルギー生成活発化=疲労回復をサポートしてくれるでしょう。またアリシンには胃の消化液の分泌を活発にして胃腸を強化する作用もありますから、夏バテや疲労などで食欲が無い時・消化機能が低下している時のサポートとしても役立ってくれるでしょう。

ストレス・不眠対策にも期待

長ネギに含まれているアリシンによって作用効率を高めるビタミンB1は、糖代謝に関わることから脳の栄養供給にも関わっています。ビタミンB1は脳の中枢神経を正常に保つためにも必要なビタミンで、不足症状としてはイライラ・気分の落ち込み・集中力の低下など脳もしくは精神的の不調も挙げられていますよ。このためビタミンB1の吸収・持続性をサポートする働きがあるアリシンの補給は、ビタミンB1不足による精神的な不快感の緩和にも期待されています。

またアリシン自体にも神経系の興奮を鎮める働き(鎮静作用)があるという説もあり、切ったネギを枕元に置くことで寝付きを良くするという民間療法も存在しています。アリシン以外にも長ネギには神経伝達物質の生成や分泌に関わるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルも含まれています。カルシウムとマグネシウムの組み合わせにも鎮静作用があるとする説もありますから、ビタミンB1不足予防以外の点からも長ネギは気持ちを落ち着けせることでリラックス効果・ストレス緩和効果などが期待できます。

老化・生活習慣病予防

ネギ類に含まれているアリシンなどのイオウ化合物類は酸化を防ぐ働き=抗酸化力が高いと考えられています。酸化を引き起こす原因となる活性酸素は代謝過程の中でも発生する物質で、免疫機能のような役割なども担っています。完全悪な物質ではありませんが、増えすぎると細胞や脂質を酸化させる有害物質として振舞います。細胞を酸化させることで老化や劣化を促進する原因ともなりますし、動脈硬化やがんのリスクファクターとしても注目されていますね。このため活性酸素を除去・抑制する抗酸化物質の補給は、若々しく健康な身体を維持することに繋がると考えられています。

長ネギにはβ-カロテン、ビタミンC、ビタミンEなど抗酸化作用を持つビタミンも際立って豊富とは言えないもの広く含まれています。アリシンと合わせて抗酸化物質補給元としても健康を支えてくれる食材と言えるでしょう。加えてアリシンは血液をサラサラにする・血管を丈夫にすることで血流をスムーズに保つ手助けも期待されています。抗酸化作用と合わせて血栓・動脈硬化の予防や、高血圧の改善など繋がる可能性もあるでしょう。抗酸化作用や血流サポート・糖代謝に関わるビタミンB1の働きを助ける働きから、糖尿病の予防にも役立つ可能性がある食材としても注目されています。

血流改善・冷え対策にも期待

アリシンなどによる抗酸化作用・血流をスムーズに保つ働きは、血行促進にも繋がります。アリシンには血管拡張作用があるのではないかという説もあり、血流を整えて体を温める手助けをしてくれる食材の一つにも数えられています。民間療法として風邪のケアに長ネギが多用されているのも、ネギ湯・葱のお味噌汁を飲むことで体が温まり、発汗が促進されることで解熱剤代わりになるからだと考えられています。間接的な働きとはなりますが、アリシンとビタミンB1と結合してアリチアミン(活性持続性型B1)になることで代謝が向上することも、冷えの改善に繋がりますね。冷え以外に血行不良によって起こる頭痛や肩こりなどの緩和にも期待できるでしょう。

食あたり・風邪予防に

長ネギに含まれているアリシンなどの硫黄化合物には殺菌作用と抗菌作用が見られたことも報告されています。加えてアリシンは消化液の分泌を促すことで胃腸機能を高める働きも期待されている成分。生で刻んだ長ネギを薬味として使用するのは、食中毒予防の意味合いもあったのではないかと考えられています。古くから民間医療の中で「風邪を治す」ために長ネギが用いられてきたもの、体を温めるだけではなく殺菌作用があったためという見解もありますよ。

デトックス・ダイエットサポートに

アリシンには血液循環を促すことで筋肉や内臓の機能を向上させる働きが期待できます。ビタミンB1を合わせて摂取することで糖質の代謝を高めことにも繋がるため、代謝アップからダイエットのサポートにも役立ってくれると考えられています。血液循環が改善されるため老廃物の排出促進にも繋がります。長ネギのカロリーは100gあたり28kcal、GI値も27~28と低いので取り入れやすいですね。

アリシンが働きサポートするビタミンB1は血中タンパク質量を正常に保つことでむくみを改善する働きや、自律神経(副交感神経)を刺激して腸の蠕動運動を促す働きもがあるとされています。際立って多くはないものの、長ネギには食物繊維やカリウムなども含まれています。ビタミンB1が豊富な食材と長ネギを合わせて摂取することで、多方面からスッキリをサポートしてくれるでしょう。

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葉ネギ・小ネギ類との違いについて

長ねぎ(白ネギ)は淡色野菜に分類されるのに対し、葉ねぎは緑黄色野菜となり栄養素の含有量も異なります。圧倒的な差が出るのがβ-カロテン含有量で、長ネギ(白い部分)が82μgとほとんど含まれていないのに対し、葉ネギは1500μg、小ネギは2200μgと大幅な差があります。そのほかビタミンEの含有量も長ネギ(白い部分)0.1mgに対し葉ねぎ0.9mg・小ネギ1.3gと圧倒的に含有量が多く、ビタミンCの含有量は約3~4倍、ビタミンB2や葉酸の含有量は2~3倍となります。またカリウム・カルシウム・マグネシウムなどのミネラルの含有量も緑黄色野菜である葉ネギ・小ネギが概ね優っています。

ネギにはβ-カロテンが豊富で皮膚や粘膜維持(乾燥肌や肌トラブルの改善、風邪予防)に良い、ビタミンEの働きで血流が促されるターンオーバーが整う、ビタミンCでメラニン色素を抑制しシミ・そばかすケアになる、などと紹介されているのはおそらく葉ネギもしくは小ネギのことを指していると考えられます。長ネギ(白ネギ)を食べる場合、前記の効果はあまり期待しないほうが良いでしょう。

ただし白い部分の方が辛味成分のアリシンは豊富に含まれていると言われていますので、一概にどちらが優れているとは言えません。料理や好みに合わせて選ぶか、摂取したい栄養素に重点を置いて選ぶようにしてみてください。

目的別、長葱(根深ねぎ)のおすすめ食べ合わせ

長葱/根深ねぎ/白ネギの選び方・食べ方・注意点

長ネギの辛味は水に晒す・加熱することで和らげる事ができますが、アリシン量も減少してしまうと言われています。これは長ネギの特徴成分アリシンは、細胞を破壊することでアリインとアリイナーゼという酵素が反応して生成されるため。酵素は熱や水に弱いため、水に晒すのはなるべく控え、加熱する場合は切ってから20分程度置いた後に調理することが推奨されています。

またアリシン単独での働きもありますが、上記でご紹介した長ネギに期待される効果の中にはビタミンB1の働きによるものもあります。糖代謝促進による疲労回復などは、長ネギのアリシンとビタミンBと結合してアリチアミン(活性持続性型B1)になることで期待できる働きのため、タミンB1を豊富に含む豚肉などと合わせて摂取するのがオススメです。

美味しい長葱(根深ねぎ)の選び方・保存方法

長ネギ(根深ネギ)は白い部分が光沢のある白色をしており、緑色の部分との境目がハッキリとしているものを選ぶようにします。白い部分が真っ直ぐかつ長めで、巻がしっかりと締まっていて弾力のあるもの・みずみずしい感じのするものを選びます。持った時にスカッと軽いものや、フカフカしているような柔らかさのあるものは避けましょう。

ちなみに緑色の葉部分に白い粉・ロウのようなものが付着した状態で売られている長ネギもあります。この白い粉はネギが自分を守るために分泌した「ブルーム」と呼ばれるもので、ワックスなどではありません。品種によってブルームが出にくいものもありますが、ブルームが出ている場合はしっかりと成長して美味しい状態になっているサイン。良品の証とも称されていますから、嫌がらず購入してあげてください。

長葱(根深ねぎ)の注意点

長ネギに含まれているイオウ化合物(硫化アリルなど)は多量に摂取することで消化器系粘膜を刺激して痛めてしまう・胃酸分泌を促すことで一時的な胃酸過多を引き起こす可能性があることも指摘されています。生状態で大量に摂取してしまうと胃腸の不快感や吐き気・下痢などを起こしてしまう可能性もあるため、特に胃腸の弱い方・空腹状態で食べる時には注意しましょう。

参考元:長ねぎの基本情報アリシン(硫化アリル)