唐辛子(トウガラシ)とその栄養成分・効果効能
|カプサイシンの働きとダイエットの関係・副作用は?

食べ物辞典:唐辛子

焼け付くような刺激がクセになる、辛さを出したい時にお馴染みの唐辛子。日本でも一味もしくは七味唐辛子としてお蕎麦の約などでもお馴染みですし、韓国や中国などのアジア圏でも、イタリアンなどの洋食でも使われる世界的な香辛料の一つですね。唐辛子の辛味成分であるカプサイシンには血流を良くしたり、脂肪燃焼を促す働きを持つ可能性が報告されていることからダイエットにも活用されています。その半面、副作用や危険性も指摘されていますよね。そんなカプサイシンの働きについてや、唐辛子の歴史・摂取時の注意点などを詳しくご紹介します。

唐辛子のイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:とうがらし(唐辛子)
英語:chili pepper/Cayenne pepper

唐辛子(トウガラシ)のプロフイール

唐辛子とは

唐辛子は体の内側から燃えるような、暑さを伴う辛さが特徴的な香辛料。種類によっては痛みを感じるほど強烈な辛味を感じるものもあり、激辛料理・スナック菓子などの味付け・チャレンジメニューでも見かける機会が多い存在ですね。極端な激辛料理は好き嫌いがハッキリ分かれますが、唐辛子は少量であれば激辛党ではなくとも美味しく頂けるもの。一味唐辛子や七味唐辛子は日本でもお馴染みの香辛料ですし、唐辛子を使ったラー油や豆板醤・タバスコなどの調味料も普及しています。中華・イタリアン他洋食など、世界中で用いられている香辛料の一つでもあります。

そんな世界的にポピュラーな香辛料の唐辛子ですが、日本で単に唐辛子と言った場合には和名がずばりトウガラシとされている学名Capsicum annuumという種が主に使われています。青唐辛子の代表格のハラペーニョもトウガラシの品種の一つですし、唐辛子の別名と思われがちな“鷹の爪”も唐辛子(C.annuum)の品種の一つ。ただし広義ではナス科トウガラシ属に分類される果菜・香辛料の総称としても使われることがあります。沖縄県などでよく利用されている“島唐辛子”というのはキダチトウガラシ系統品種ですし、ハバネロやジョロキアなども同属別種となります。ちなみにカイエンペッパー(Cayenne pepper/カイエンヌペッパー)と呼ばれるものは、本来はキダチトウガラシの一種を指す言葉。しかし現在は唐辛子の種類ではなく、赤く熟したトウガラシの実を乾燥させた香辛料の呼び名としても使われています。

トウガラシ属全体としては数十種の種類があると言われていますが、栽培されているのは5種くらいだとか。と言っても野生種を採取して香辛料として利用するケースもあるそうですし、食用ではなく観賞用として作られている品種もありますよ。これらは辛い香辛料という点では非常に似ていますが、植物として見ると唐辛子や鷹の爪などは、ハバネロよりもピーマンパプリカシシトウなどに近い存在なんですね。唐辛子は赤もしくは青(緑)のイメージがありますが、ピーマンやパプリカと同じく白・黄色~オレンジ・紫~黒色系とカラーバリエーションも多く、形状も細長いものから丸みが強いものまで様々な種類があります。

唐辛子の辛さを示す単位としてスコビル値(スコヴィル辛味単位/Scoville heat units)があることは激辛マニアを中心に広く知られています。よく「トウガラシの○○倍辛い」と紹介されるのもこのスコビル値が基準。ピーマンが0・鷹の爪などが40,000~50,000SHUとされているのに対し、2007年にギネスで世界一辛いと認定されたブート・ジョロキアは約1,000,000SHU、2013年にギネスレコードを塗り替えたキャロライナ・リーパーは約2,200,000SHUと辛さレベルもピンからキリまであります。激辛料理は中毒性がありハマるとやみつき…という面もありますが、過剰摂取は体にダメージもありますので程々にしましょう。キャロライナ・リーパーなどは収穫・加工の際に防護服必須と言われています。

唐辛子の歴史

唐辛子の原産地はメキシコ中東部とする説が有力で、8000年前以上前から食べられていた・紀元前8000年には一部で栽培が行われていたという説もあるほど。紀元前4000年ころには中南米の広い範囲で栽培も行われていたと考えられていますから、非常に古い歴史のある食べ物であると言えるでしょう。原産地付近で唐辛子を栽培・利用していたネイティブアメリカンの人々は、自分たちのが利用するだけではなく交易品としても利用していたと考えられています。

中南米で古くから暮していた人々にはお馴染みの存在であったものの、唐辛子が世界に広まったきっかけは1493年にアメリカ大陸へと到達したコロンブスら探検隊がスペインへと持ち帰ったことと言われています。英語で唐辛子はチリペッパー(chili pepper)など“pepper”が付く呼称で呼ばれていますが、これも当時の状況と関係していると考えられます。諸説ありますが、到達したアメリカをインドだと思っていたコロンブスらが唐辛子を胡椒の仲間だと勘違いした・胡椒のような辛味を持つ赤い果実と紹介したなどと言われています。

ともあれ当時ヨーロッパで胡椒は金以上とも言われるほど高値で取引されていた貴重品であり、この代用品として目をつけられた唐辛子はヨーロッパで好意的に受け入れられました。ヨーロッパでは栽培条件が合わなかったため当時植民地化されていたアフリカやアジアへも伝えられ、多くの地域で栽培・利用される香辛料となったと考えられます。余談ですがスペインから世界に伝播したという見解の多い唐辛子ですが、スペインでは忘れられておりポルトガル人が伝播したのではないかという説もあるそうですよ。

日本へ唐辛子が伝わった時期については“1542年にポルトガル人宣教師が大友義鎮に献上した”という説や“豊臣秀吉による朝鮮出兵(1592年)時に兵士が持ち帰ってきた”などの説があります。ただし朝鮮出兵の際に日本から朝鮮半島に唐辛子が伝わったという逆の説もあり、実際どうであったかは分かっていません。こうした説から16世紀頃には日本に伝わっていたと考えられており、江戸時代になると栽培もされていたようです。

ちなみに唐辛子の「唐」は中国ではなく外国の意味。辛はそのまま辛い、子は果実や種子を意味しますから、「外国から来た辛い種」という意味になります。唐辛子は「南蛮辛子」とも呼ばれていますので、ポルトガルから伝来していたと考えた方が名前としてはスッキリしますね。ブームになった“柚子胡椒”という呼称にも使われている通り、地域によっては「南蛮(南蛮辛子)」もしくは単に「胡椒」と呼ぶこともあるそうです。

唐辛子の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

食材として生100gあたりの栄養成分含有量を見た場合、意外なことに唐辛子は栄養価が非常に高く、ビタミンA(β-カロテン/β-クリプトキサンチン)やビタミンE・ビタミンB群、カリウムや鉄分などのミネラルを豊富に含んでいます。もちろん唐辛子は野菜のように大量に食べるものではありませんので栄養補給源という点ではあまり期待は出来ませんが、ビタミンEやカロテノイドなどは数グラムでも十分に補給に繋がるでしょう。

また特徴成分と言える辛味成分のカプサイシンも、少量でも私達の身体に強い働きかけを持つと考えられています。唐辛子やカプサイシンと言うと「食べるだけ、料理に足すだけで痩せる(太らない)」と報じられたことでダイエット用として流行し、カプサイシン配合のダイエット用品が到るところで売り出されるようになったことを覚えておられる方も少なくないでしょう。ダイエットに良いと大ブームになった後「唐辛子(カプサイシン)を摂っても痩せない」という意見・過剰摂取による危険性が報じられたりと世間を騒がせた存在。過剰摂取については確かに問題ありますが、適量であれば食材の風味を引き出してくれたり、健康をサポートしてくれる食品でもありますよ。

唐辛子・チリペーストのイメージ

唐辛子の効果効能、その根拠・理由とは?

血行不良・冷え性軽減に

トウガラシの代表成分であるカプサイシンは辛味の元となる存在でもあります。カプサイシンは人の体に入ると脳や脊髄などの中枢神経を刺激し、アドレナリンの分泌を促すことが報告されています。アドレナリンは脂肪分解酵素リパーゼを活性化させ脂肪燃焼を盛んにする作用を持つことから、カプサイシンを摂取すると代謝が活発化することで一時的に体温上昇・発汗が促されると考えられています。

また、カプサイシンは民間療法の中で温湿布のような形で用いられていたように、血管を拡張させて血行を促すことで皮膚温度を直接的に挙げる働きもあるのではないかと考えられています。このことから唐辛子は体を温める作用が高い食材とされており、体感的にもカッと身体が火照るような感覚を感じることが多いでしょう。ただし発汗後に汗を拭かないと、結果的に汗が蒸発する際に体を冷やすことになりますので冷え性の方は注意が必要です。またアドレナリン分泌を促すという性質上、過剰に摂取すると逆に血行不良を引き起こす可能性もあるため適量を心がけたほうが良いでしょう。

食欲増進・疲労回復に

唐辛子やその辛味成分であるカプサイシンは「胃腸に悪い」という印象を持たれがちですが、適量であれば唾液や胃液の分泌を活発にさせ食欲増進・消化促進をサポートする働きがあると考えられています。2006年の『Critical Reviews in Food Science and Nutrition』にはカプサイシンが消化液の分泌を正常にする・胃粘膜の血流を整えることで胃潰瘍を予防する可能性があるというレビューも掲載されています。少量であれば胃壁の保護作用があるとする説もありますから料理に少量をかけてみても良いかもしれません。ただしカプサイシンは刺激物質でもありますから、食べ過ぎは胃腸の粘膜を荒らすことになり下痢・胃食道逆流症などの原因にもるため注意が必要。

また唐辛子はビタミンA(β-カロテン)とビタミンEを豊富に含む食材でもあり、生5g程度の摂取でもビタミンA(レチノール当量)75μg・ビタミンE1.49mgと、Mサイズのトマト1個分の量と同じになるほど。こうした栄養価と補給とカプサイシンによる代謝向上・胃腸機能促進から、疲労蓄積予防や疲労回復促進にも繋がると考えられています。血行を促進し老廃物の排出を促して新陳代謝を高めることも疲労回復・疲れやすい体作りに役立ってくれるでしょう。

夏バテ・風邪予防に

唐辛子はどちらかと言うと暑い地域で使われることの多い香辛料。これは気候が栽培に適していたと言うだけではなく、夏バテ対策に高い効果が期待できる食材であることが関係しているという見解もあります。成分的に見てもカプサイシンやカプシエイトはアドレナリン分泌を促すことで代謝・血液循環を促して体を温めるだけではなく、発汗を促進する働きもあると考えられます。このため皮膚についた汗が蒸発する気化熱によって、体内にこもっている余分な熱を放出させる・体温を下げる手助けをしてくれるでしょう。

そのほかカプサイシンには食欲増進作用もありますから、熱放出を助けてくれる働きと合わせて夏バテの予防や軽減にも役立つと考えられます。またβ-カロテンやβ-クリプトキサンチンなどのカロテン類は体内でビタミンAに変換され利用されることから、呼吸器などの粘膜を補強してウィルス侵入を防ぐ働きも期待できます。カプサイシンは血行を促して体を温める・発汗によって解熱を促す働きがありますし、血行促進・白血球の働きを活発化する働きがあるという報告もあるため、風邪予防や初期症状時のケアにも効果が期待できます。

むくみ・便秘対策に

代謝・体温向上や発汗・血流促進などの働きが期待できるカプサイシンは、体全体の機能を高めることをサポートし老廃物の排出促進にも繋がるのではないかと期待されています。特に血行不良などの影響を受けやすい、むくみの軽減には役立つと考えられます。またカプサイシンは消化を促すだけではなく、腸を刺激して蠕動運動を促進させることで便秘改善効果もあると考えられています。冷えからも便秘やむくみは起きますので、温め効果と合わせてスッキリサポートとしても役立ってくれるでしょう。

とは言え、カプサイシンはほとんど消化・吸収されず排出される成分で、食べ過ぎると肛門粘膜の炎症や痔の原因となる危険性があることも指摘されています。これは肛門に近い直腸部分にカプサイシン受容体であるTRPV1が多く存在しており、排出時にカプサイシンの刺激を受けやすいためです。鷹の爪など普通の唐辛子を通常量摂取する場合はさほど心配はいりませんが、排便時にも灼熱感・痛みを感じるという方は摂取量を控えるようにした方が良いでしょう。

肥満予防・ダイエットサポートに

一時期話題になったため、唐辛子やカプサイシンに期待される働きとして「脂肪燃焼」や「肥満予防」などダイエット系の働きをイメージされる方も多いと思います。唐辛子に含まれるカプサイシンは消化管を通って血液を通って中枢神経を刺激し、その刺激が副腎に伝わるとアドレナリンが分泌されます。アドレナリンは交感神経が興奮した時に分泌されるホルモンで、「闘争か逃走のホルモン」と称されるように即座にアクションが取れる状態を作り出すことを主目的とする神経伝達物質です。運動量を高めるために、血管を拡張させる働きや、グリコーゲンを分解する・脂肪分解酵素(リパーゼ)を活性化させることで血糖値を上昇させるなどの働きも持っています。

このためカプサイシンは脂肪を燃焼させるのではなく、脂肪が燃焼されやすい状態を作ってくれる成分と考えられています。そのほかカプサイシンはTRPV1を刺激することで代謝を高める・白色脂肪細胞を脂肪燃焼を行う“褐色脂肪細胞”に変化させることで脂肪燃焼を促すという説もありますが、人に対しての信頼性が高いデータは無いと言われています。ダイエットブームの時に言われていた「運動無しでも唐辛子を食べると運動時と同じようにエネルギーを燃焼する」という説は賛否両論。脂肪燃焼を促してくれる可能性は高いと考えられますから、運動をせず唐辛子を振りかけて好きに嗜好品を食べるのではなく、摂取してから適切な運動を行うようにすることでダイエットをサポートし、効果を出やすくする働きは十分に期待できるでしょう。

また、アドレナリンは血糖値を上昇させることで空腹感を抑える働きもあります。腹が減っては戦ができぬではないですが、戦ったり逃げる時に空腹感が強いというのはいただけませんよね。2015年に発表されたオランダのマーストリヒト大学による実験では、カプサイシンを摂取したグループは胃腸が荒れて食欲が抑えられるというような報告もなされています。同大学の報告では「体重減少にはある程度の効果が見られるが、減量後の体重維持には適さない」という見解もあるので、あくまでも健康的なダイエットのサポートという位置付けで考えるようにしましょう。

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高血圧・コレステロールケアにも期待

カプサイシンには生活習慣病の予防にも有効であると考えられています。血行を促進し、代謝がアップすることで老廃物の排泄を促すことができることに加え、唐辛子を料理に利用することで旨みが増し、塩分や油分の摂りすぎを防ぐことができるというメリットも期待できるでしょう。そのほかカプサイシンにはコレステロール値の上昇自体を抑える効果が見られたことも報告されていますので、脂っこい食事や濃い目の味付けが好きな方は取り入れてみると良いでしょう。

美肌・美髪保持に

唐辛子にはビタミンA(β-カロテン)とビタミンEが豊富でビタミンCも含まれています。これらビタミン類は抗酸化作用を持っていますし、カプサイシンによって分泌が促進されるアドレナリンは皮脂腺の新陳代謝を盛んにすることで皮脂分泌を調節する働きがあると考えられています。このため肌や皮脂の酸化を防ぎつつ、必要な油分をキープすることで肌を綺麗に保つ働きが期待されています。実際に摂取する量はごく微量ですからビタミン類については十分な補給源にはなり難いですが、お食事に振りかけ手軽に取り入れられるというメリットを考えると美肌サポート食材と言えるでしょう。

そのほか少し意外なところでは、カプサイシンは発毛促進効果を持つ可能性性がある成分としても注目されています。食べると言うよりも外側からのケアに用いられることが多いですが、カプサイシンを摂取することでも頭皮の知覚神経が刺激されて発毛成長因子(IGF-1)の分泌を促進するのではないかと言われています。発毛成長因子の元となるイソフラボンと合わせて摂取すると良いのだとか。血行促進にもなるので、発毛だけでなく薄毛予防にも役立つと考えられています。ただし過剰な摂取はアドレナリン分泌が増えすぎる=薄毛の原因となるという指摘もなされています。

目的別、唐辛子のおすすめ食べ合わせ

唐辛子の食べ方・注意点

唐辛子の摂取量が多い国は胃癌・食道癌の発生率が高いという説あります。このためカプサイシンを食べすぎるとガンの発症リスクを高めると言われていますが、IARC(国際がん研究機関)によるとカプサイシンそのものについては発癌性リスクは無いとされています。ハッキリとは分かっていませんが、唐辛子摂取による発がん率の増加は貯蔵中に発生するカビが関係しているのではないかとの説が有力です。ただし他の物質との同時摂取で発癌を促進する可能性があることを示唆している報告もありますし、内臓や脳へのダメージがあることも指摘されていますから食べ過ぎには注意しましょう。

唐辛子の摂取量について日本では明確な基準が設けられていませんが、他国の基準量などを参考にカプサイシン量で一日あたり5~10g程度が良いと考えられています。体重によっても量は異なるので、軽めの女性であれば5g程度を目安位にすると良いでしょう。上限量は体重1kgあたり5mg=体重50kgで250mgとされていますが、カプサイシン感受性や食べ慣れているか否かでも異なり、安全性の高いカプサイシン摂取上限量としては一日70mg以内という声も多くなっています。

一般的な乾燥した唐辛子であれば1gあたり3mg程度のカプサイシンを含むとされていますので、通常量を摂取する場合は特に気にする必要は無いでしょう。ただしサプリメントの併用や、激辛モノが大好きと言う方は注意が必要。体重1kgあたり60mg以上のカプサイシンを摂取すると命の危険があるとも言われていますから、摂取量はきちんと考えるようにして下さい。

カプサイシンの副作用・危険性について

唐辛子に含まれているカプサイシンには様々な副作用や健康リスクが報告されています。上記で個別に紹介したものを含め、過剰摂取によって起こりうる健康への悪影響としては主に下記の5つが考えられています。

  • 胃腸の炎症・障害リスクが高まる
  • 肛門粘膜の炎症・痔のリスクが高まる
  • 脳・神経機能へダメージを与える可能性がある
  • 血圧上昇・動悸・息切れなどが起こる
  • 味覚障害を起こすことがある

カプサイシンは胃腸を刺激するため摂取量や体質などによっては胃痛や下痢など胃腸トラブルを起こす可能性があります。通常量(料理に薬味として使われている程度)の摂取であれば危険性は低いとされていますが、小さいお子さんは消化器系にダメージを受けやすいので使用に注意が必要です。サプリメントなどで摂取する場合は用法用量を守るようにし、空腹時の摂取も控えようにしてください。肛門粘膜への刺激もあるので痔の発症リスクが高まる・悪化につながる可能性もあります。

また脳や神経・精神面へのデメリットはアドレナリンの分泌量が増えることに起因しています。アドレナリンは本来ストレスや痛みなどによって分泌される物質であり、過剰にもしくは常に分泌されている状態であれば脳は「辛い状況下にある」と認識しストレスを感じます。その状態が長く続くと自律神経に関係する大脳辺縁系・海馬などがダメージを受けてしまい、イライラ・興奮・うつ病・パニック障害・不眠症などを引き起こす可能性があります。動悸・息切れ血圧上昇もアドレナリン過剰による副作用です。ちなみに『韓国ではカプサイシン過多による精神疾患を火病(鬱火病)と言う』と紹介されることがありますが、火病は文化依存症候群(独特の文化が原因の精神疾患)でありストレス障害の一種なので唐辛子とは関係ありません。

最後に味覚障害ですが、こちらは辛党の方であれば心当たりがあるのではないでしょうか。唐辛子を食べた時に痛みや辛さを感じるのはカプサイシンの刺激によるもの。この刺激が繰り返されることで感覚受容体の感作性が低下(麻痺)していきます。また刺激物として認識された場合は、脳が“脳内麻薬”とも称されるエンドルフィンを分泌することで刺激を和らげようとします。依存性があると言われるのもエンドルフィン分泌が促されることと関係しているのかもしれません。

唐辛子の活用方法

トウガラシの果実をそのまま靴下の中に入れると保温効果があると言われており、唐辛子を練り込んだ商品なども販売されているようです。また鷹の爪(輪切り)をティーパックなどにいれ入浴剤にする方もいらっしゃるそう。ただし皮膚刺激がありますので、使用には注意が必要。全身浴ではなく足浴などの部分浴に用いたほうが良さそうです。

唐辛子は食べることが目的ではなく、防虫や抗菌のためにも利用されています。お米の保存やお漬物作りに欠かせないという方も少ないくないでしょう。これはカプサイシンに抗菌作用や防虫作用があるためで、食品以外に衣類・書物・人形などの保存にも使われています。そのほか熱帯魚などの白点病予防・初期段階の治療にも利用されていますよ。

参考元:8 Impressive Health Benefits of Cayenne Pepperカプサイシンは危険なのか?その効果と副作用、毒性についてカプサイシンに関する情報:農林水産省