ズッキーニとその栄養成分や効果効能
|ヘルシーで低カロリーなカボチャの仲間!

食べ物辞典:ズッキーニ

キュウリを太く大きくしたような外見のズッキーニ。しかし植物としてはカボチャの一種として扱われており、ペポカボチャ・そうめんカボチャと非常に近い存在です。日本では緑色で縦長タイプの流通が多いですが、黄色や丸みの強い形状の品種もありますよ。栄養価は見た目と同じくキュウリに近く、100gあたり14kcalと低カロリーなことが魅力。ダイエットの中のお食事のかさ増しに活躍してくれるほか、カロリーの低さを考えるとビタミン・ミネラルのちょい足しにも役立ってくれますよ。そんなズッキーニの歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。

ズッキーニのイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:ウリカボチャ
英語:zucchini/courgette

ズッキーニのプロフイール

ズッキーニとは

キュウリに似た緑色で細長い外見と、ナスに近いと称される独特の食感を持つズッキーニ。最近ではスーパーなどでも見かけるようになったものの、日本ではまだ家庭料理の定番とは言い難い野菜です。ズッキーニを使った代表的な料理としては南フランスの「ラタトゥイユ」もしくはイタリアの「カポナータ」という煮込み料理が挙げられるほか、トマトソース系のパスタや煮物類など洋食系レシピに使われることの多い食材。ズッキーニはイタリアやフランスなどヨーロッパではポピュラーな食材で、日本での呼び方としても英語に準じたズッキーニもしくはイタリア語のズッキーナよく使われていますが、人によってはフランス語“courgette(カージェット/クルジェット)”と呼ぶ方もいらっしゃいますね。

見た目からキュウリの仲間と思われがちなズッキーニですが、学名をCucurbita pepo L. ‘Melopepo’というカボチャの一種。余談ですが和名は「うりかぼちゃ」もしくは「つるなしかぼちゃ」とされていますよ。私達が目にするズッキーニは外皮が緑色でキュウリよりはやや太いものの縦長形状をしたイメージがありますが、実は様々な色や形の品種があります。日本でも最近流通している黄色いズッキーニや球に近い形状もののほか、縦長ではありますがロマネスコズッキーナと呼ばれる縦に溝が入ったタイプや、濃淡で縞模様になっているタイプもあります。

各々品種名も付けられていますが、店頭で表記されることはほぼなく、縦長タイプであればグリーンズッキーニやイエローズッキーニ・丸い形のズッキーニであれば丸ズッキーニなど色や形状で区分されています。そのほか花を食べる“花ズッキーニ”という種類もあり、花の中に具材を詰めて炒める・揚げるなどして食べられています。日本では商品としての流通は少ないですが、家庭菜園で植えてみた場合などには花も試してみると良いかもしれません。

ズッキーニは完熟する前に収穫する未成熟果(野菜)の一つで、通年流通していますが基本的に旬は初夏から夏。国内生産としては宮崎県と長野県が主産地となっています。煮込みなど加熱して食べる印象が強いですが、薄めにスライスすると生食もできます。やや苦味があるので好き嫌いは別れるものの、全体的な印象としては淡白なお野菜なので和風のお漬物・お味噌汁の具などにも活用できます。ズッキーニを薄めにスライスしてお浸しにすると、食欲が落ちている夏場でもサッパリと食べられますよ。

ズッキーニとカボチャの関係

カボチャは世界中で栽培され品種も非常に多くありますが、モスカータ種・マキシマ種・ペポ種・ミキスタ種・フィシフォリア種の5つに大別されます。日本で栽培されているのはこのうち三種で、一般的には「日本かぼちゃ(モスカータ種)」「西洋かぼちゃ(マキシマ種)」「ペポかぼちゃ(ペポ種)」と呼ばれています。最もポピュラーで“栗かぼちゃ”とも呼ばれているものは西洋かぼちゃ系統、黒皮カボチャやバターナッツなどが日本カボチャ系統になります。

そしてズッキーニが含まれているのがペポかぼちゃ系統。同じペポカボチャ系統としては日本でもお馴染みの果肉が細く麺状にほぐれる“金糸瓜(そうめんかぼちゃ)”、円盤状の形状が特徴的な“パティパンかぼちゃ(pattypan squash)”など多種多様。雑貨屋さんなどでも売られている「おもちゃカボチャ」と呼ばれているものも、大半はペポカボチャ系統に含まれています。ペポかぼちゃは最もバリエーションが豊富なタイプと言えそうですね。

ズッキーニの歴史

ズッキーニというわけではなくカボチャ類全般に言えることですが、原種は中南米(メキシコなど)辺りにあったとする説が有力です。幾つかの地域ではトウモロコシよりも古い地層からカボチャが発見されていることから、かなり古い時代からかぼちゃの栽培が行われていたと推測されています。このカボチャの祖先は果皮が厚く果肉部分は薄くて水っぽかったと言われており、突然変異により果肉が厚く甘みのある種が出来たのをネイティブアメリカンの人々が栽培し増やしていったと考えられています。

コロンブスのアメリカ大陸到達後の16世紀頃になると、新大陸の食材としてカボチャはヨーロッパへと伝えられます。かぼちゃはヨーロッパから各地へと伝えられ比較的早い段階で世界中で食されるようになりますが、ズッキーニが登場するのはそれよりも随分後。ズッキーニと呼ばれる種類が確立したのは19世紀後半頃、イタリアでペポカボチャ系かぼちゃの品種改良が行われる中で誕生したと言われています。ズッキーニという呼び名もイタリア語でカボチャを意味する“zucca”に、小さいや可愛いを意味する接尾辞の“-ina”を付けてzucchinaなのだとか。

アメリカへは20世紀はじめ、おそらく1920年代ころにはイタリア系移民によって持ち込まれたのではないかと考えられています。この頃はフランスやイギリスでも存在は知られていたそうですが、水っぽさから食材としてはあまり評価されていなかったそう。1950年代から1960年代に頃になると料理研究家が取り上げたことなどから人気が高まり、各国のレシピに徐々に浸透していったそうです。日本で本格的な栽培が始まったのも1980年代からと新しいですし、アメリカの市場にズッキーニが流通するようになったのもここ30~40年くらいと言われていますから、世界的に見ても歴史の新しい食材と言えるかもしれませんね。

ズッキーニの栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

植物としてはカボチャの一種であるズッキーニですが、栄養価としては見た目と同様にキュウリに近い存在でカロリーも100gあたり14kcalとキュウリと同じ。低カロリーな食材ではあり、ビタミン・ミネラルを幅広く含みますがそれぞれの含有量は多くはありません。外皮の色から緑黄色野菜にも感じますが、β-カロテン含有量から淡色野菜に分類されています。

ズッキーニイメージ

ズッキーニの効果効能、その根拠・理由とは?

むくみ・便秘予防に

ズッキーニはミネラル類の中で100gあたり320mgとカリウムを比較的多く含んでいます。カリウムは体内でナトリウムとバランスを取り合う性質があり、ナトリウム排出を促すことで体内の水分量を調節する・利尿効果を持つと考えられている成分。カリウム補給ですべての“むくみ”が予防・軽減されるというわけではありませんが、カリウム不足や味の濃い食事をした後などナトリウムの過多によって引き起こるむくみ予防・改善に繋がる可能性はあります。

またズッキーニの食物繊維含有量は1.3gと野菜類の中で多い部類ではありませんが、カロリーの低さを考えると十分に食物繊維補給源としても役立つと考えられます。食物繊維1.3gのうち不溶性食物繊維が1.1gと大半を占めていますので、不溶性食物繊維が便のかさを増やし腸を刺激することで蠕動運動促進効果が期待できるでしょう。

高血圧・動脈硬化予防として

ナトリウム過多・カリウム不足という状態はむくみの原因となるだけではなく、高血圧の原因となる可能性も認められています。これは塩辛い食事などによって血中ナトリウム濃度が上昇した際に、カリウムが不足していると体は血中ナトリウム濃度を保つために血液中に水分を取り込む……いわば水で希釈しようとする働きがあるため。

血中ナトリウム濃度を保つために水分が取り込まれることで血液量が増える、それを送り出す心臓の負荷が大きくなり高血圧のリスクを高めると考えられています。淡白な味わいのズッキーニですからしっかりと味をつけてしまうと塩分摂取が多くなってしまう可能性もありますが、適切な調理法で摂取すればカリウム補給源として高血圧予防にも繋がるでしょう。

近縁種のカボチャと比較すると少なく感じますが、ズッキーニにも100gあたり330μgとβ-カロテン自体は含まれています。同じく豊富というほどではありませんが抗酸化ビタミンであるビタミンCとビタミンEも含まれていますから、抗酸化物質の補給によって過酸化脂質の蓄積を防ぎスムーズな血流を保つことからも高血圧予防に繋がると考えられます。また血管に過酸化脂質が蓄積して起こる動脈硬化・血栓の予防にも役立つと考えられます。

風邪予防・免疫力サポートに

ズッキーニにはビタミンCとβ-カロテンが含まれているため、免疫機能のサポート・風邪やインフルエンザ予防としても役立つと考えられています。ビタミンCは白血球の働きを活発化したり、抗ウイルス作用を持つインターフェロンの分泌促進作用、自らが病原菌を攻撃する働きがあることも報告され、免疫力の保持・強化にも役立つビタミンの一つとして期待されている存在。

また、ビタミンCはコラーゲン生成を促す働きから細胞の繋がりを密にしてウィルスの侵入を防ぐ働きがあるのではないかと考えられていますし、β-カロテンは必要に応じて体内でビタミンAに変換されることで呼吸器粘膜を修復・強化しウィスルの侵入を防ぐ働きがあると言われています。…と言ってもズッキーニ100gあたりのビタミンC含有量は20mg・β-カロテンは330μgと、どちらも特別多く含む食材ではありませんから、ラタトゥィユの様に他の食材と組み合わせて食べるのがおすすめです。

ダイエット中のお食事に

ビタミンやミネラルを幅広く含むものの、どれも豊富とは言い難いポジションであるズッキーニ。その反面、全体重量の約94%が水分で100gあたり14kcalとカロリーが低く、糖質量も1.5gとかなり低めになっています。このためダイエット中の食事のカサ増し・不足しがちな栄養素や食物繊維補給として見ると優秀な食材と言えるでしょう。欧米では細長くスライスしてパスタなど麺類のかさ増しに使う方も多いようです。ズッキーニのカリウム含有量は100gあたり320mg、同グラムのキュウリは200mg。カロリーは同じですからズッキーニの方がカリウム補給源として役立つという見解もありますよ。

豊富とは言い難いですが、ズッキーニにはビタミンB1,B2,B6,葉酸など代謝に関わるビタミンB群も含まれているため、献立に加えることで代謝低下予防に役立つとする説もあります。ただし“食物繊維によりコレステロール低下や血糖値上昇を抑える”と紹介されているものもありますが、血糖値上昇抑制作用やコレステロールを下げる働きが報告されているのは水溶性食物繊維。ズッキーニに含まれている食物繊維は約9割が不溶性食物繊維であり水溶性食物繊維は100gあたり0.2gと少ないので、こうした働きは期待しないほうが確実でしょう。

美肌保持のお手伝いにも

ズッキーニに含まれているβ-カロテン・ビタミンC・ビタミンEは抗酸化作用を持つビタミンですから、肌細胞の酸化を防いで若々しい状態を維持する=アンチエイジングにも繋がると考えられます。β-カロテンは必要に応じて体内でビタミンAに変換されることで、皮膚や粘膜の維持や皮膚の新陳代謝向上にも働きかけてくれます。この働きからも皮膚のターンオーバー促進や若々しさの保持効果が期待できますし、肌のカサつき・乾燥やニキビなどの肌トラブルの予防や改善に繋がると考えられています。

加えてビタミンCもコラーゲンの生成を促すことで若々しくハリのある肌を作るサポートを、シミやソバカスの原因となるメラニン色素を作るチロシナーゼの働きを防ぐことで紫外線対策や美白にも効果が期待されています。ビタミンACE(※ビタミンAはβ-カロテン)は合わせて摂取すると互いの体内持続時間を伸ばす相乗効果があるとも言われていますよ。ズッキーニだけで十分な量を補給することは現実出来ではありませんが、炒め物などに加えたりお漬物にしていつもの食事に加えると栄養補給をサポートしてくれるでしょう。

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目的別、ズッキーニのおすすめ食べ合わせ

ズッキーニの選び方・食べ方・注意点

ズッキーニは皮むきなどの下処理はほぼ必要なく、軽く水洗いして切るだけでOKな野菜。塩をかけるか塩水につけるとアクが抜けて美味しくなるとも言われていますが、この手順は無くても問題ありません。基本的に加熱して食べることが多いですが、薄めにスライスすることで生食することも出来ます。黄色系のズッキーニは緑系よりも食感が柔らかく苦味も少ないので生食・漬物用などに適しています。β-カロテンの吸収率が良くなるように少量の油と組み合わせると良いでしょう。

美味しいズッキーニの選び方・保存方法

ポピュラーな縦長型のズッキーニであれば太さが均一で、表面の色艶が良いものを選ぶようにします。ヘタに変色がなく、切り口に瑞々しさが残っているものが新鮮です。下側から鮮度が落ちやすいので下端にハリとツヤがあるかも確認するようにすると良いそうです。また大きいもの・太すぎるものは成長しすぎて味が落ちている場合もあるので注意が必要。見た目が大きいものではなく、手に持った時にズッシリと重さを感じるものを選ぶと良いでしょう。

ズッキーニは乾燥しやすい食材なので、新聞紙などで包んでからポリ袋に入れて保存するようにします。基本的には野菜室に入れて問題ありませんが、冷やしすぎでも味が落ちてしまうので20度以上にならない涼しい場所・冷暗所があればそちらに置いておくという方法もあります。カボチャと違ってあまり日持ちはしませんので、3~4日中くらいには食べきるようにするのが確実です。

ズッキーニの注意点

ズッキーニやキュウリなどウリ科植物のヘタ付近には「ククルビタシン」という苦味成分が含まれています。食材として流通しているものはククルビタシンの含有量が少ない・少なくなるよう品種改良されていますが、稀にククルビタシン含有量が多く苦味・渋みを強く感じるものがあります。味の問題だけではなく経口摂取すると腹痛・下痢・嘔吐・手足のしびれなどの中毒症状を引き起こすことも報告されていますので、異常な苦さを感じた場合は摂取を避け廃棄するようにしてください。