ひよこ豆(雛豆/チャナ豆/ガルバンゾ)
-栄養価と効果効能・食の歴史-

ひよこ豆(チャナ豆)イメージ

ひよこ豆/チャナ豆とは

日本でも最近はサラダや煮込みで目にする機会の増えているひよこ豆。近年エスニック料理店をはじめ水煮缶詰やレトルト食品なども販売されていますし、おつまみ用としてフライしたひよこ豆も販売されていますね。ダールと呼ばれる豆の煮込みやチャナマサラなどインド料理でよく登場する豆というイメージを持たれているかもしれませんが、ヨーロッパ・アフリカ・中東諸国・東南アジアなど広い地域で食用とされている豆でもあります。

ひよこ豆という可愛らしい名前は、へその部分にある突起が嘴(くちばし)を連想させる形状で、全体像がヒヨコの頭部に似ていることが由来であるという説が知られています。しかし実際は学名Cicer arientiumにも用いられているひよこ豆を表す古ラテン語「cicer」が、フランス語”pois chiche”となり、英語”chick pea”へと変化していく過程で「ヒヨコのような形の豆」と誤認されたのだそうです。種小名のarientiumはヒヨコではなく子羊の頭を意味するそう。日本語呼び方は英語を直訳したもの。スペイン語の「Garbanzo(ガルバンゾ)」やインド語のチャナーからチャナ豆、そのほかエジプト豆・くり豆など様々な呼び方をされていますよ。

日本ではひよこ豆というと白っぽい色をしているイメージがありますが、種類としては大きく表皮の色が肌色~乳白色でつるりとした質感の“カブリ(カーブリー)”と、表面が褐色でザラリとした質感・カブリよりもやや小ぶりな“デジ(デーシー)”の2つに分けられます。インドや東南アジアでは小粒種(デジ系統)、日本や欧米では大型種(カブリ系統)が好まれる傾向にあると言われています。インドの在来種と言えるのはデジ系統のひよこ豆で、褐色系でも黒っぽいもの・茶色みの強いもの・赤みの強いものとカラフルなのだとか。ちなみに「ダール」はデジの表皮を取り除いて半分に割ったものを指します。

インドは上記で紹介した料理以外に“ベサン粉”と呼ばれるひよこ豆の粉でパンや麺を作る・揚げ物の衣としても利用されています。この利用法から近年はグルテンフリー食材として、世界中のグルテンアレルギーの方やグルテンフリーダイエットを行う方にも取り入れられているそう。そのほかアジアではミャンマーはひよこ豆を使った胡麻豆腐のようなものを、フィリピンでは甘く煮てハロハロのトッピングにと地域によって様々な形で食されています。

また中東もひよこ豆を使った様々な料理があるエリア。フムスと呼ばれるペースト状のディップ料理・潰したひよこ豆に味付けして丸めたものを挙げたコロッケのような料理ファラフェルなどが知られています。イランやアフガニスタンではおやつ・軽食によく使われているのだとか。食感がやや固めですが味にクセはないので、アイディア次第で様々な料理に取り入れられそうですね

ひよこ豆/チャナ豆に含まれる栄養や成分に期待できる働き・巷で言われる効果効能の理由とは?

ひよこ豆は三大栄養素の中では炭水化物をタンパク質が多く、脂質は少なめの食材です。100gあたりのカロリーは乾燥ひよこ豆374kcal/茹でひよこ豆171kcalとされていますから、大豆小豆の中間くらい。亜鉛・マグネシウム・カリウムなどのミネラル類が多く含まれており、ビタミンB6を筆頭としたビタミンB群の含有量も高めとなっています。

ひよこ豆はこんな方にオススメ

  • 栄養バランスが気になる
  • 疲労・疲労感が抜けにくい
  • お酒をよく飲む方
  • 二日酔い予防・軽減に
  • 便秘・むくみの軽減に
  • ストレスが多いと感じる方
  • イライラしやすい
  • 情緒不安定気味だと感じる
  • 更年期障害の予防・軽減
  • 月経トラブルの軽減に
  • 骨を丈夫に保ちたい方
  • ダイエットのサポートに
  • 美肌保持・肌荒れ予防
  • 肌のアンチエイジングに

下記ではこうしたお悩みがある方にひよこ豆が良いとされる理由や、女性ホルモンへの働きかけについて・食べ方や活用方法などをご紹介します。

疲労回復・栄養補給

ひよこ豆はタンパク質の代謝に関わるビタミンB6が100gあたり0.64mgと豊富で、糖代謝に関わるビタミンB1も比較的多く含む食材です。ビタミンB2や糖質・脂質・タンパク質の代謝を行う酵素の働きをサポートしてくれるナイアシン、マグネシウムや亜鉛などのミネラルの補給にも役立ちます。また三大栄養素もバランスよく含まれていますから、ひよこ豆はエネルギー源とその代謝に関わる成分を広く補給できる食材と言えるでしょう。

このためエネルギー産生・疲労物質の代謝を促進し、疲労回復や筋肉痛などにも役立つと考えられます。筋肉・血液などを維持したい方、トレーニング中の方にも適しているでしょう。そのほかビタミンB群の補給源に役立つこと・抗酸化作用と血行促進作用を持つとされるビタミンE含有が多いことから肩こり・夏バテ・疲労感(だるさ)などの軽減にも効果が期待できます。

肝臓サポート・二日酔い対策

他の食材よりも群を抜いて多いという程ではありませんが、ひよこ豆には肝臓でアルコールの分解も助けてくれるビタミンB1・アルコール代謝物であり二日酔いの原因と言われるアセトアルデヒドの分解促進効果が期待できるナイアシンを含んでいます。アルギニンやBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)も肝機能をサポートしてくれると考えられていますから、お酒をよく飲む方の肝臓サポートにも適しているでしょう。二日酔い予防や軽減にも効果が期待できます。

便秘・むくみ対策

ひよこ豆は乾燥100gあたり16.3gと、全体重量の15%以上を食物繊維が占めている食材。茹で状態であっても100gあたり11.6gと非常に食物繊維が多くなっていますから、お食事に加えることで不足しがちな食物繊維の補給源として役立ってくれるでしょう。ひよこ豆の食物繊維は便の量を増やすことで蠕動運動を促進する不溶性食物繊維が多く、便を柔らかくさせる働きが期待できるマグネシウムも茹で100gあたり51mg(乾燥100gあたり140mg)と比較的多く含まれているので便秘改善にも役立つと考えられます。ただし下痢をしやすい方・野菜などをたくさん食べて便秘が悪化したことのある方などは食べ過ぎに注意が必要です。

またマグネシウムは血行やリンパの流れを正常に整える働きや、体内でのカリウム運搬に関わるミネラルでもあります。ナトリウム排出を促すことで体内の水分バランスを整えてくれるカリウムもひよこ豆には乾燥100gあたり1200mg/茹で100gあたりでも350mgと比較的多く含まれていますから、相乗してむくみ改善にも効果が期待できます。肝機能をサポートしてくれるビタミンB群やアミノ酸などを合わせてお酒を飲んだ翌日のむくみ対策としても役立ってくれそうですね。

ストレス対策・精神安定

多少のバラつきはあるものの、ひよこ豆はミネラルを幅広く含む豆の一つでもあります。ミネラルは様々な体の機能の維持・調節に必要な栄養素で、神経伝達や精神面とも関わりがある存在。特にカルシウムとマグネシウムは心の健康維持に関わりが深いとして注目されており、カルシウムは不足するとイライラや鬱・不眠など精神的なトラブルを引き起こす可能性が指摘されています。マグネシウムも神経の興奮を鎮める働きを持つとされる他、ハッピーホルモンと呼ばれるセロトニンを始めとした神経伝達物質の合成にも欠かせない存在。同じく神経伝達物質の合成に関わるビタミンB6も含まれていますので、セロトニン分泌を増やしたいと思っている方にも取り入れられているそう。

マグネシウムとカルシウムは対になって働くことから、メンタルサポート系のサプリなどにもセットで配合されていますね。ひよこ豆は乾燥100gあたりカルシウム100mgとマグネシウム140mgが含まれており、茹で上げた状態でもカルシウム45mgとマグネシウム51mgを含んでいます。カルシウムを脳に運ぶ役割を持つ亜鉛も含まれていることから、カルシウム・マグネシウム・亜鉛の不足緩和による様々な精神的不調(情緒不安定・憂鬱感・倦怠感・不眠など)の予防や軽減に役立つと考えられています。他食材と比べて特徴的と言えるほど多いわけではありませんが、レシピに加えることで不足分をカバーしてくれるでしょう。

貧血予防・妊娠中の栄養補給

ひよこ豆には造血に関わる鉄分や亜鉛・葉酸、鉄分の吸収を高める銅が含まれています。鉄分含有量としてみると乾燥100gあたり2.6mgと豆類の中では際立って多くはないものの、サラダにトッピングするなどして食事に取り入れると不足分を補えるでしょう。貧血予防として摂取する場合は鉄分の吸収率を高めてくれるビタミンCやクエン酸と組み合わせて食べると効果的です。

葉酸は赤血球の合成だけではなく核酸をサポートすることで細胞の生まれ変わりを正常に行う働きがあり、胎児の正常な発育に不可欠な栄養素でもあります。通常は食事をしていれば不足することは少ないと言われていますが、妊娠中や授乳中は通常時の1.5倍量(1日400μg)が摂取目安とされており、妊活中から意識して摂りたい栄養素とも言われています。ひよこ豆は100gあたり乾燥状態で350μg・茹で110μgと比較的豊富に葉酸を含んでいますし、妊娠中に多い便秘やむくみ対策としても役立つ食材。

加えてひよこ豆に豊富に含まれているビタミンB6はトリプトファンの代謝ががスムーズに行われない際に増加する“キサンツレン酸”という代謝中間体の生成を抑制する働きも報告されています。悪阻(つわり)の重い人が尿中キサンツレン酸量が多いという統計があることから、トリプトファン代謝を助けキサンツレン酸の発生を抑えるビタミンB6はつわりの軽減にも役立つのではないかと考えられています。ひよこ豆は良質なタンパク質の補給源でもあることから、大豆や小豆と共に妊娠中の栄養補給にもおすすめの食材として紹介されることの多い存在です。

女性ホルモンのバランスを整える

ひよこ豆には女性ホルモン(エストロゲン)と似た構造を持つことから、エストロゲンの補助・代役としての機能が期待されるイソフラボンが含まれています。イソフラボンは本来のエストロゲンよりも働きが弱いこともあり、エストロゲン分泌が不足している時はエストロゲンを補う形で、分泌過剰時はエストロゲン受容体を埋めることで全体的なエストロゲンの働きを弱める形でと、どちらの場合でも女性ホルモンのバランスを整える効果があると考えられています。

このためエストロゲンの急激な分泌低下によって起こる更年期障害の軽減の他、月経不順やPMS(月経前症候群)などホルモンバランスの乱れに起因する女性特有の不調の改善効果が期待されています。加えてひよこ豆には性ホルモンの分泌を整える亜鉛、カルシウムやマグネシウムなど神経・精神面の健康維持に関わる栄養素も含まれています。こうした栄養素の補給に役立つことからイソフラボン以外の面からも、更年期障害、月経トラブル、生理前・生理中のイライラや気持ちの落ち込みなどの精神的不調まで幅広い女性の身体のサポートが期待されています。

骨粗鬆症予防

ひよこ豆にはカルシウムやカルシウムの取り込みを助けるマグネシウム、骨へのカルシウム沈着を助けるビタミンKが含まれています。細胞の生まれ変わりを促す亜鉛も含まれているためお子さんの成長サポートや丈夫な骨の維持にも役立つと考えられます。骨からカルシウムが溶け出すのを防ぐエストロゲンを補強してくれるイソフラボンも含まれていますから、カルシウムと相乗して骨粗鬆症予防としても期待されています。

ダイエットサポート

低脂肪かつ良質なタンパクを含み、代謝に関わるビタミンB群やミネラル・アミノ酸を幅広く含むことからひよこ豆はダイエット食としても注目されています。食べると脂肪蓄積が抑制されるなどというものではないですが、筋肉を落とさず健康的に痩せたいという方には最適な食材の一つと考えられており、欧米ではひよこ豆のペーストを使った“フムスダイエット”も提唱されているほど。メリットとしては100gあたりのカロリーも茹でた状態であれば171kcalとさほど高くないこと・食物繊維が豊富なので腹持ちが良いことも考えられます。便秘やむくみ改善効果が期待できるという点も嬉しいですね。

そのほか食物繊維が多いことから「食後の血糖値上昇を抑えてくれる」とも言われていますが、食物繊維のうち血糖値の上昇抑制やコレステロール排出促進などの働きを持つとされているのは水溶性食物繊維です。『日本食品成分表(七訂)』の記載では乾燥ひよこ豆100gあたり16.3gの食物繊維のうち水溶性食物繊維量は1.2g・実際に食べる茹で状態であれば100gあたりの水溶性食物繊維量は0.5gとなっています。このためひよこ豆は便通改善や満腹感の維持などには有益であると考えられますが、血糖値コントロールによるダイエット効果や糖尿病予防効果はあまり期待しない方が良いでしょう。

美肌・アンチエイジング

ヒョコ豆に豊富に含まれている亜鉛は細胞の生まれ変わりを助ける働きがあります。皮膚の炎症や傷跡の回復・再生促進などに役立つほか、メラニン色素の代謝の促進やコラーゲンの生成にも関わると感がられることから「美肌ミネラル」とも呼ばれている存在。加えてタンパク質の代謝に関わり皮膚・髪・爪などを丈夫に保つ働きのあるビタミンB6、皮膚を健やかに保つ働きが期待されるビオチンも多く含まれていますから、相乗して肌を健やかに保つサポートとして役立ってくれるでしょう。便秘改善や精神状態を健康に保つことも肌荒れ予防に繋がりますね。

またイソフラボンはエストロゲンの代用として働くことで、肌の水分調節やコラーゲンの生成促進などの働きも期待されています。ひよこ豆には抗酸化作用や血行促進作用を持つビタミンEも含まれていますから、肌のアンチエイジングやハリの向上などにも役立ってくれるでしょう。そのほかカルシウムは細胞結合のサポート・マグネシウムは酵素の働きを高めることで抗菌力や皮膚の新陳代謝を高めるなどの働きも期待されています。こうした成分が複合し働くことで、ひよこ豆は乾燥・くすみ・たるみ・ハリの低下などの様々な肌のお悩み軽減に役立つと考えられています。

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ひよこ豆/チャナ豆の選び方・食べ方・注意点

日本で多く流通しているタイプのひよこ豆にはビタミンCがほとんど含まれていません。このためビタミンCを含む食品と組み合わせて食べるとより高い健康効果が期待でき、ひよこ豆に含まれているミネラル類の吸収率向上にもなります。またお米と組み合わせて食べるとアミノ酸バランスが良くなるという説もあります。

ひよこ豆は乾燥タイプと水煮タイプが販売されていますが、味としても栄養価としても乾燥ひよこ豆を買って使ったほうが良いと言われています。下処理の方法としては乾燥豆を8時間程度水に浸けて戻し、浸していた水ごと鍋で茹でるだけ。一度茹でてから冷凍保存も出来ます。柔らかめに茹でたものにお好みの調味料を加えてすり潰すとフムスにもなりますよ。すり潰す過程が面倒・小麦粉代わりに使いたいという方はひよこ豆の粉“ベサン粉”もオススメです。

効果アップが期待出来るひよこ豆の食べ合わせ

ひよこ豆/チャナ豆の雑学色々

ひよこ豆の歴史

ひよこ豆はマメ亜科ヒヨコマメ属に分類され、原産地はトルコ南東部ではないかと考えられています。かなり古い時代から人々に食されてきたことが分かっており、約7500年前のトルコ(ハジュラル遺跡)からもひよこ豆の記録が発見されているようです。紀元前4000年頃になると地中海一帯で栽培が行われるようになっていたそう。このためひよこ豆は新石器時代には栽培が行われていた、世界で最も古い作物の一つにも数えられています。

現在ひよこ豆の大産地となっているインドには紀元前2000年頃に伝播したという説が有力で、紀元前1000年頃~紀元前500年頃に編纂されたインド宗教文書『ヴェーダ』にもひよこ豆が登場しています。またパピルスの記述などから紀元前約1100~1600年にはエジプトにも伝わっていたことが推測されており、古代エジプトでもひよこ豆は盛んに栽培され食されていたと考えられています。古代ギリシア・ローマ人もひよこ豆を主食からデザートまで幅広く使っていたそうですし、聖書やギリシャ神話にも登場するそうですよ。

これらのことから紀元前には現在の主要消費地域である南アジア~中近東、ヨーロッパと広い地域でひよこ豆の栽培が行われていたと考えられています。ちなみにハッキリとしたことは分かっていないようですが、大型種“カブリ”は小粒のひよこ豆(デジ)の突然変異によって2000年前くらいに出来たのではないかと考えられています。カブリ系統のひよこ豆は南ヨーロッパおよび北アフリカの地中海沿岸諸国で栽培され、インドに伝わったのは18世紀頃となります。

ひよこ豆は乾燥した気候を好み日本での栽培には向かず輸入品に頼るしか無かったこと・大豆や小豆などの豆を食べる文化があったことなどから、20世紀末まで日本では馴染みの薄い食材でした。しかしエスニック料理ブームなどによって需要が高まったことで下処理のいらない缶詰などの加工品の流通が増え、カレーやスープ、サラダの食材として近年は家庭でも用いられる食材になっています。

ひよこ豆の活用方法

インドでひよこ豆のパウダー(ベサン粉/ベサン・ベーサン)を石鹸・ボディーソープの代わりに利用することがあるそうです。ベサン粉は石鹸よりも刺激が少ないことから敏感肌用の石鹸などの商品に配合されていることもあるのだとか。日本ではあまり見かけませんが、普段使っている洗顔剤などにベサン粉を加えるとしっとり感が増すので乾燥肌の方に良いと言われています。