ゴーヤー(苦瓜)とその栄養成分・効果効能
|苦味は胃腸サポートや抗酸化など健康にも嬉しい

食べ物辞典:ゴーヤー

苦瓜という呼び名に相応しく、独特の苦味と青っぽさがあるゴーヤー。昭和頃までは九州・沖縄以外ではほとんど馴染みのない食材でしたが、沖縄ブームや健康意識の高まりから今や全国的に食される野菜の一つとなっています。苦手な方・癖になる方と好き嫌いが分かれるゴーヤー“苦味”ですが、この苦味を形成しているモモルデシンなどの成分にも消化液の分泌促進や抗酸化作用が報告され注目されています。ビタミンCもたっぷりで、糖尿病予防や肥満予防にも注目されている、ゴーヤーの歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。

ゴーヤー/苦瓜のイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:苦瓜(にがうり)/蔓茘枝(ツルレイシ)
英語:bitter melon/Bitter gourd

ゴーヤー/苦瓜のプロフイール

ゴーヤーとは

沖縄県で使われているゴーヤーという呼称が一般化するまでは苦瓜(ニガウリ)と呼ばれていたとおり、強い苦味が特徴的なゴーヤー。独特の苦味はハマると癖になる味。ゴーヤーチャンプルーなどの沖縄料理の定着と共に全国的に好んで食べる方が増え、夏頃には全国のスーパーで販売されるようになっています。その一方で苦味が苦手な方・小さいお子さんなどは受け入れ難いと感じる風味でもありますから、好き嫌いが大きく分かれる野菜と言えますね。ゴーヤー料理が多い沖縄でも「子供時代は苦手だった」という方も結構いらっしゃるそうですから、大人の味・苦味と言えるかも知れません。

苦瓜と表記されるように、ゴーヤはウリ科の植物。ウリ科のなかでもキュウリやカボチャとは別のツルレイシ属に分類され、正式な和名は苦瓜ではなく“蔓茘枝(ツルレイシ)”と言います。ここでの茘枝はライチもしくはレイシと呼ばれているトロピカルフルーツのこと。ライチはムクロジ科のと全く別の植物ですが、ゴーヤーのイボイボした果実の形状や、完熟した時の仮種皮の甘さが似ていることから命名されたそうです。ちなみに英語では“Bitter melon(苦い瓜)”や“Bitter gourd(苦い瓢箪)”と呼ばれており、欧米ではエスニック料理用の食材としての認識が強いようです。日本では沖縄のイメージがありますが、インドや中国でもゴーヤーは食されていますよ。

かつてゴーヤーは九州~沖縄の限られた地域でしか栽培されていない存在でしたが、現在は本州での栽培が行われていますね。また緑のカーテン(グリーン・カーテン)と呼ばれるエコ対策として、町中でも日除けなどの目的で植えられていることもあります。沖縄ブームの影響から「ゴーヤー」が一般的に利用されていますが、宮古島ではゴーラ、熊本県などではニガゴーリ、奄美大島ではトーグリなど様々な呼び名で呼ばれているのだとか。品種としては大まかに沖縄系のゴーヤ品種は太く苦味が少ない、九州系のゴーヤ品種は細長く苦味が強いものが多いとされています。一般的に流通している緑色でイボが大きい物以外に、苦味が少なくジューシーな白ゴーヤー(サラダゴーヤー)系品種、イボのほどんどないタイゴーヤー・なめらかゴーヤーなどもあります。

ちなみにゴーヤー=緑色の印象が強いですが、これはピーマンなどと同じく未完熟のうちに収穫されているためです。きちんと完熟すると外側は黄色~オレンジ色になり、中の種を覆うように赤いゼリー状の仮種皮が出来ます。スーパーなどで買ったものも常温で置いておくと追熟してこの状態になることもあるそう。色の変化とともに果肉部分もが柔らかくなるため腐ったと思って捨ててしまうこともあるようですが、問題なく食べることが出来ます。種の周りの赤い部分は糖度が増してねっとりとした食感から「種ゼリー」などと呼ばれ、これをデザート感覚で食べることにハマる方もいるのだとか。ゴーヤーの完熟種子にはダイエット効果が期待出来るという話もありますよ。

ゴーヤの歴史

ゴーヤーはインドなどアジア熱帯地域が原産と考えられており、14世紀頃に中国に伝播したと考えられています。中国では実は苦瓜、花は苦瓜花、根は苦瓜根、種子は苦瓜子と余すところなく生薬としても利用され、腫瘍、喘息、皮膚感染、糖尿病、高血圧などに有効と考えられていました。原産とされるエリアで食用・栽培が行われるようになった時期は不明ですが、インドのアーユルヴェーダー医学でも実・葉・茎を薬として利用するようです。

日本には中国を経由して16世紀頃に伝来したと考えられています。沖縄(琉球王国)への伝来時期は不明なものの、1713年の「琉球国由来記」に苦瓜の記載があることから、その頃には既に伝わっていたと考えられています。当時伝来したゴーヤーは野菜というよりも生薬としての利用がメインであったとする説が有力で、沖縄だけではなく九州でも栽培は行われていたようです。

沖縄では18世紀ころからは野菜として食されていることが分かっています。琉球は本州よりも中国との関わりがあったため、現代で言う医食同源(食事は健康を維持する薬)のような考え方が根付いていました。このためゴーヤーも単に栽培条件や味だけではなく、暑さバテ・夏バテ予防などに役立つ薬効ある食材として親しまれていたと伝えられています。また民間療法の中では熱を持ったできもの・汗疹・虫刺されなどに、ゴーヤーの葉茎を潰して絞った汁を塗るなど食用以外の利用もされていたようですよ。

ゴーヤーが全国的に普及したのは1990年代になってから。出荷が始まった当初はクセの強い味からさほど人気は出ませんでしたが、日本一の長寿県である沖縄県の食べ物が脚光を浴びたり、TVドラマ・沖縄ブームの影響などによって、沖縄で伝統的に食されていたゴーヤーの健康パワーが注目されるようになりメジャーな食材の仲間入りを果たしました。品種改良によってエグみの少なく、栽培しやすい品種が作られたのも普及に大きく影響していると考えられます。近年はダイエット効果やマウス実験によるガン抑制効果なども報告されており、食材としてだけではなく健康茶やサプリメントなども流通していますね。

ゴーヤー/苦瓜の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ゴーヤーは100g17kcalミツバレタスなどとほぼ同じカロリーながら、100gあたり76mgとトマトキュウリの約5倍と言われるビタミンCを筆頭にビタミンB群やβ-カロテン、葉酸、鉄分、カリウムのミネラルと栄養価が豊富です。好き嫌いが分かれるゴーヤーの“苦味”ですが、この苦味に含まれているモモルデシンやチャランチンもまた体に有用な作用を持つ成分として注目されています。

ゴーヤ入りパスタのイメージ

ゴーヤーの効果効能、その根拠・理由とは?

夏バテ・疲労回復に

ゴーヤーの苦味物質の一つとして紹介されるモモルデシン(momordicin)は、数種類のサポニンと数十種類のアミノ酸によって構成されている成分モモルデシンは胃腸の粘膜を保護したり、消化液の分泌を促すことで食欲増進効果があると言われています。この働きから夏バテによる食欲不振の軽減、食事の偏りによって起こる体力低下予防にゴーヤーは役立つと考えられています。加えてゴーヤーには疲労回復に役立つビタミンC、夏場に汗などで失われて欠乏することで不調の原因となる可能性があるカリウムなども含まれているため、合わせて夏バテ予防に役立つ食材として紹介されることが多いというわけです。

またモモルデシンには自律神経のバランスを整える働きを持つ可能性がある成分としても注目されており、どんよりとした気持ちをシャッキリとさせたり、だるさ・頭痛・めまい・吐き気などの自律神経失調症症状の緩和にも効果が期待されています。エアコンの効いた屋内と屋外の気温差で起こる自律神経失調や夏バテの緩和にも役立ってくれそうですし、ビタミンCの抗ストレス作用と合わせて疲労感・だるさが抜けないと感じている方のサポート効果も期待できるでしょう。

血糖値が気になる方にも

ゴーヤ乾燥させて煎じたもの・ゴーヤーはアジアの民間療法の中で、糖尿病対策として用いられてきました。成分的に見てもゴーヤーに含まれているコロソリン酸というタンパク質は私達の体内にあるインスリンと似た構造から「植物インスリン(polypeptide-P)」とも称される成分で、血糖値コントロール作用を有する可能性があることが報告されています。インスリン注射などは“血糖値を下げる”ことに特化しているため低血糖を引き起こすリスクがありますが、植物インスリン(コロソリン酸)は低血糖を起こす危険性が低いという報告もあり、“血糖値を安定させる”成分として血糖コントロールへの有用性が現在も研究されています。

それ以外にゴーヤの苦味成分モモルデシンやチャランチン(charantin)にも膵臓を活性化することで血糖の代謝促進作用があるとする説もあります。ただし、現状としてはこうしたゴーヤの糖尿病予防に対する有益性については賛否両論。動物実験における投与量が極端に多かったことや人体実験で有為な結果が得られなかったこと、ゴーヤー消費の多い沖縄県の糖尿病死亡率が高いことなどから効果がないという見解もあります。ゴーヤは薬ではなく食材(野菜)ですから、血糖値が気になる方は食生活の改善の一環としてゴーヤーも取り入れてみる気持ちで摂取するくらいが良いでしょう。

抗酸化・生活習慣病予防に

ゴーヤーの苦味成分モモルデシンやチャランチンなどには活性酸素の生成を抑制する働き=抗酸化作用があることも認められています。生100gあたり76mgと豊富に含まれているビタミンCも抗酸化作用を持つビタミンですし、豊富とは言えないもののゴーヤーにはβ-カロテンやビタミンEも含まれています。ゴーヤは様々な種類の抗酸化物質をしっかり補給できる食材とも言えますね。活性酸素は増えすぎると老化や劣化を促進する原因ともなりますし、動脈硬化やがんのリスクファクターにも挙げられている存在。この活性酸素を抑制することでアンチエイジング(老化予防)や健康維持にもゴーヤーが役立つと考えられています。

またモルデシンは肝臓の中性脂肪を減少させることで肝機能を高める働きがあると考えられており、動物実験ではゴーヤ抽出物の投与によって総コレステロール・悪玉(LDL)コレステロールに優位な低減が見られたことも報告されています。ゴーヤーにはナトリウム排出に役立つカリウムも豊富に含まれていますから、抗酸化作用と合わせて高血圧や動脈硬化ほか生活習慣病予防に役立つ可能性も注目されています。古くからゴーヤーを食してきた沖縄県では「ゴーヤの苦味は血液を浄化し、血圧を安定させる」と言われていたそうですよ。

風邪予防にも期待

直接的な働きかけとは言えないものの、抗酸化物質の補給は免疫機能を正常に保つためにも役立つのではないかと考えられています。ゴーヤーに豊富に含まれているビタミンCにも白血球の機能促進や抗ウイルス作用を持つインターフェロンの生成を促進するなど、免疫機能への働きかけを示唆した実験報告がなされています。ビタミンCの免疫亢進作用については現時点では可能性が示唆されている段階であり否定的な声もありますが、抗酸化作用と合わせて何らかの有益性があるという説もありますよ。ゴーヤーには消化液の分泌を高める働きが期待されているモモルデシンも含まれていますから、風邪をひきにくい丈夫な体作りをサポートしてくれる可能性もあります。

むくみ・便秘対策に

ゴーヤーにはむくみの改善に効果があるカリウムが100gあたり260mg、同グラムで比較した場合はスイカの約2倍量が含まれています。カリウムが豊富なことからナトリウム(塩分)過多によって溜め込まれた水分の排出を促し、むくみの解消に良いとされています。抗酸化作用で血流が改善されることもむくみ緩和をサポートしてくれるでしょう。

ゴーヤーは100gあたり2.6gと食物繊維も含んでいますし、苦味成分モモルデシンも腸に刺激を与えることで蠕動運動を促す働きが期待されている成分。食物繊維は不溶性食物繊維の比率が多いためモモルデシンと相乗して便通改善や老廃物促進に役立ちますし、水溶性食物繊維の働きで腸内環境の改善に役立つ食材としても利用されています。

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ダイエットのサポートに

ゴーヤに期待される便秘やむくみ改善・デトックス効果などはスタイル維持にも繋がります。加えて糖尿病の緩和に役立つとする説もあるようにゴーヤーの苦味成分には血糖値低下・安定に対する働きが期待されています。このためインスリンが過剰な糖を脂肪として蓄積することを防ぐにも役立つのではないかと考えられています。

ゴーヤには糖質の代謝を高めるビタミンB1や、糖質の吸収を抑制する働きが期待できる食物繊維が含まれていますし、モモルデシンは肝機能を高めることで胆汁分泌を促進し脂肪分解を助けるとも考えられています。これらの成分が複合して働くことで、ダイエットのサポートや痩せやすい体作りという面でも効果が期待されていますよ。

美肌作り・肌老化予防にも

ゴーヤーはビタミンCが100g中76mgと豊富で、モルデシチン・チャランチンなどの苦味成分も抗酸化作用があります。肌細胞の酸化はシワ・くすみ・シミなどの原因となりますから、抗酸化物質の補給によって肌の老化予防にも一役買ってくれるでしょう。ビタミンCには抗酸化作用だけではなく、コラーゲンの生成促進作用や、シミやソバカスの原因となるメラニン色素を作るチロシナーゼの働きを防ぐ働き(美白効果)も認められています。内側からのアンチエイジングサポーターとしてだけではなく、内側からの紫外線対策・シミ予防としても役立ってくれるでしょう。旬の時期でもある夏に嬉しい野菜と言えますね。

加えてゴーヤには健康な皮膚作りに欠かせないビタミンB群、β-カロテンや、葉酸、鉄などの栄養成分も含まれています。ビタミンCほど際立って多いものはありませんが、カロリーを気にせず幅広く様々な栄養を補給出来るのも嬉しいポイント。血行不良・栄養バランスの偏りによって起こる肌荒れ、便秘による肌荒れや吹き出物予防にも役立ってくれそうですね。ちなみに漢方でゴーヤーは体内の余分な熱を取り去る作用のある食べ物(清熱類)に分類されており、中国の古い書物には「ニキビや口角炎が多いとき、苦瓜で治す」との記載もあるそうです。

目的別、ゴーヤーのおすすめ食べ合わせ

ゴーヤー/苦瓜の選び方・食べ方・注意点

ゴーヤーの特徴はなんと言っても“苦味”ですが、物によっては苦味が強すぎて食べにくいものもあります。塩もみして一晩水に浸すなどすると苦みを抜くことも出来ますが、長い時間水につけているとビタミンCなどの栄養素も流出してしまうため注意が必要。栄養素の減少を抑えつつ苦味を抜く方法としては塩もみをして少し時間を置くか、油で炒める・揚げる、薄切りにして米の研ぎ汁でさっと茹でるくらいが良いとされています。ゴーヤチャンプルーのようにイノシン酸を含む肉・魚と組み合わせたり、マヨネーズを加えたりしても苦味を感じにくくなりますよ。

美味しいゴーヤーの選び方・保存方法

ゴーヤーは同じくらいの大きさであれば手に持った時にズッシリと重さを感じるものを選ぶようにします。形としてはあまり大きすぎず、ふっくらと丸みのあり表面に艶がある物・少し硬すぎるかもと感じるくていハリのあるものが良いとされています。表面の突起(イボイボ)が細かめで密集していて緑色が濃いものの方が新鮮で栄養価が高く美味しいとも言われていますが、イボが細かく密集しているほど苦みも強くなる傾向があるので「苦いのが苦手」という方は注意が必要。苦くないゴーヤーが欲しい場合は緑色が淡めで突起が大きめのものを選ぶようにすると無難です。

ゴーヤーは水気も乾燥も苦手。苦手な環境に置かれるとすぐに鮮度が下がってしまいますし、常温で置いておくと追熟して色も黄色っぽく変化してしまいます。なので保存は基本的に冷蔵庫(野菜室)がベスト。表面に水分がある場合には水気を拭って、乾燥しないようにポリ袋などに入れてから保存してください。種やワタを向いておくと少し日持ちは良くなりますが、それでも冷蔵での保存可能期間は一週間~10日ほど。すぐに使用しない・沢山収穫したなどの場合であれば、中身を抜いて薄めに切ってから固茹でして冷凍しましょう。

ゴーヤーの注意点

ゴーヤーを食べすぎると人によっては腹痛や下痢を起こす可能性があります。また野菜として摂取する分には問題ないとされていますが、流産を誘発する可能性があることも指摘されています。葉酸が多いので妊娠中に適した食材と紹介されることもありますが、ゴーヤーは体を冷やす食べ物に分類されることもありますから、食べ過ぎには注意しましょう。

共益リノレン酸によるダイエット効果について

ゴーヤーの種子には脂肪酸の一種である共役リノレン酸(CLN)が含まれています。共役リノレン酸は内で「共役リノール酸(CLA)」へと変化し、脂肪の代謝を行うホルモン感受性リパーゼに働きかけることで脂肪の分解・代謝を促進する効果が報告されています。また血中の脂肪酸が白色脂肪細胞に戻るのを防ぐ働きがあるとも考えられており、脂肪燃焼サポート成分としてダイエットサプリメントなどにも配合されています。

完熟したゴーヤーの種子には約60%と言われるほど多く共役リノール酸の原料物質と言える共役リノレン酸が含まれていますが、普段野菜として食べている緑色のゴーヤー(未完熟ゴーヤー)からの摂取は期待出来ないとされています。ゴーヤーを食べるだけで代謝促進・脂肪燃焼効果があるとは考えないほうが良いでしょう。また動物実験では共役リノール酸を過剰摂取した場合、体に必要な脂肪(善玉コレステロールなど)までも減少させてしまい、逆に脂肪肝や糖尿病の発症リスクが高まる危険性も示唆されています。ゴーヤ茶やサプリメントなどを摂る場合も過剰摂取にならないよう用法・容量を守るようにしてください。

参考元:6 Benefits of Bitter Melon (Bitter Gourd) and Its ExtractMomordica charantia and Type 2 Diabetes: From in vitro to Human Studiesゴーヤー大好き!