冬瓜(とうがん)とその栄養成分・効果効能
|ダイエット食材・暑さ対策に再注目される夏野菜

食べ物辞典:冬瓜

人によって食べる・食べないが大きく分かれる冬瓜。スープの具や煮物などに用いられることが多いですが、お漬物や酢の物などよりさっぱりとした食べ方も出来ます。クセのない淡白な風味は疲れた舌と胃腸をほっこりさせてくれますよ。キュウリなどと同じく水分量が多く低カロリーな食材で、ビタミンCとカリウムを比較的多く含んでいます。冬瓜とは呼ばれているもの夏野菜で、水分補給や夏バテ対策・内側からの紫外線ケアなど夏に嬉しい食材と言えるかも知れません。そんな冬瓜のの歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。

冬瓜/トウガンのイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:冬瓜(トウガン)
英語:winter melon/wax gourdなど

冬瓜のプロフイール

冬瓜(トウガン)とは

地域や年代によっては食べる習慣がなく「名前くらいは知っているけど…」という方も珍しくない冬瓜(トウガン)。漢字では冬の瓜と書くこと・寒い時期にも流通していることから冬に採れる冬野菜と思われがちですが、夏~初秋にかけての時期が旬で区分としては夏野菜。冬瓜という呼び名は貯蔵性の高さから、完熟したものは「丸ごと保存をすれば冬まで保つ」事に由来しているという説が有力ですよ。様々な野菜が流通するようになった戦後から使用される頻度は減っていましたが、近年は水分が豊富でさっぱりとした風味であること・エコブームなどの影響から“夏を快適に乗り切るための食材”として夏場に特集され再注目されつつあります。

呼び名に“瓜”が付くことからもうかがえるようにトウガンはウリ科トウガン属に分類される植物で、学名はBenincasa hispida野菜として食べているトウガンの果実部分の収穫時期は7~9月頃が最盛期です。ただし完熟すると皮が固くなり水分を閉じ込めて長期保存できることから、冬から春にかけての時期に流通させるために11月頃まで収穫は行われているそうです。一口に冬瓜と言っても、果皮が白っぽいものから濃い緑色のものなど見た目が異なるものも販売されていますよね。冬瓜は形状にによって丸みが強く果皮の色が淡めの“丸冬瓜”細長く俵に似た形状をしている“長冬瓜”系統の2つ、もしくは完熟しても白粉(ブルーム)が出ずに表面が艷やかな俵型の“沖縄冬瓜(琉球冬瓜)”を入れて3系統に大きく分けられています。沖縄冬瓜は沖縄と付きますが大阪府の特産品でも、全国的に多く流通しています。

ちなみに冬瓜は英語でそのまま“winter melon”と表現されるほか、表面がワックス状のコーティングされているように見えることから“wax gourd”とも呼ばれています。また古くから日本で食されてきたものの、古い時代は実の表面に生える細かい毛からカモウリ(加茂瓜・賀茂瓜)と呼ぶほうが一般的だったそう。江戸時代くらいから漢語「冬瓜(トウグヮ)」を日本語で言いやすくした「トウガン」という呼び方が定着したと考えられています。現在でも富山県ではカモリ・沖縄県ではシブイなど地域によって別の呼び方をされる場合もありますし、沖縄県では冬瓜の呼び名シブイの「シ(4)」と、トウガンの「トウ(10)」をかけて4月10日を「とうがんの日」と提唱しています。

冬瓜もキュウリと同じ様に果皮以外は白っぽく、水分が多いことから栄養の少ない野菜と考えられた時期もあります。通年様々な野菜が流通するようになったことや、世帯人数が減って大型のものは消費しきれないという事も使用頻度が減った要因と言えるかも知れません。しかし近年は使いやすい小さめのサイズも多く流通していますし、非常に低カロリーな事からダイエットに適した食材としても注目されています。加熱してもカブよりも歯ごたえが残ること、クセのない淡白な風味も再評価されているポイントかも知れません。夏バテや胃腸が疲れている時にも嬉しい、どこかホットするような優しい味わいです。

冬瓜の歴史

冬瓜はインドから東南アジア周辺地域が原産と考えられる植物。3世紀頃には中国にも伝播していたと考えられており、熱を冷ます働きや利尿作用に優れた食材として古くから利用されていたと伝えられています。漢方では種子を冬瓜子(とうがし)・白瓜子(はくかし)・冬瓜仁(とうがにん)・などと呼んで利尿剤、消炎剤、緩下剤として用い、外皮も冬瓜皮と称して利尿薬に利用するそう。そのほか中国の古い薬学書である『神農本草教』や『名医別録』には、冬瓜の種について“顔を白くする美容クリームの原料になり肌を滑らかにする”というような記載もあるそうで、現代で言う美肌・美白効果のある化粧品原料としても利用されていたのではないかと言われていますよ。

中国だけではなく原産地であるインドや東南アジアでも冬瓜はポピュラーな野菜の一つ。インドやフィリピンでは冬瓜を砂糖漬けにしたりお菓子作りに利用することもあるそうですし、冬瓜をスライスして砂糖・キャラメルなどと煮詰めた“冬瓜茶”というフルーツドリンクも定番だそう。南インドではカレーにも冬瓜を使い、インドの伝統医療であるアーユルヴェーダでも利尿・解毒・体の熱を冷ますなどの働きを持つ食材として活用されてきました。欧米ではアーユルベーダーや薬膳で使用される食材という印象の方もいらっしゃるようです。

中国から日本に冬瓜が伝わった時期はハッキリしていませんが、奈良時代の『正倉院文書』などに“冬瓜”や“鴨瓜”などの記述が見られるため奈良時代に仏教とともに中国から伝わったのではないかと考えられています。平安時代に成立した本草書(薬物辞典)『本草和名』には“白冬瓜、和名は加毛宇利(カモウリ)”と記載されていますし、『延喜式』にも“粕漬冬瓜”という記述があります。このため平安時代には栽培法や利用法などが知られていたと推測されます。冷蔵庫もハウス栽培も無い時代ですから、保存のきく冬瓜は貴重な冬場の食料でもあったでしょう。江戸時代では一般庶民にも広く食べられる、親しみのある野菜の一つに数えられます。松尾芭蕉の俳句にも登場しますし、冬瓜を切り売りしている様子が描かれた絵なども残っています。

ちなみに江戸時代中期の『当世武野俗談』という巷談集には、朝の味噌汁用に冬瓜の切り売りをしことで財を成した“冬瓜仁右衛門”という人の話が収録されています。現在は小ぶりな冬瓜もありますが、当時の冬瓜はかなり大きかったため一つ丸ごと買うのは大変だったようです。小型で持て余しにくいキュウリが改良され美味しくなったこと・食の洋風化・栄養価という考え方の普及などに伴い、戦後冬瓜の需要・生産量は減少していきます。一時期は産地や薬膳料理で見かけるくらいで家庭料理としてほとんど登場しなくなった時期もありますが、近年のダイエットブームや夏のエコ対策・節電意識の高まりから再び少しずつ注目を取り戻しています。

冬瓜の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

冬瓜はキュウリと同様に栄養価の低い食材とされた時期もありますが、水分含有率が高く100gあたり16kcalと低カロリーであるのはメリットでもあります。カリウムを豊富に含むことと合わせて夏場の水分補給やむくみ予防、カロリーの低さからダイエット中のお食事などにも取り入れられています。またビタミンCが比較的多いことから、夏のお肌のサポーターとしても役立ってくれる可能性があるでしょう。

冬瓜料理イメージ

冬瓜の効果効能、その根拠・理由とは?

むくみ・便秘対策として

冬瓜は95%以上が水分で、栄養素としてはカリウムを多く含んでいます。そのためむくみの解消や高血圧の改善効果がある低カロリー食として注目されています。ただし冬瓜100gあたりのカリウム含有量は200mgとキュウリと同等ではありますが、同グラムあたりの含有量で見ると野菜類の中で特に高いというわけではありません。利尿効果があるとされるのはカリウムの補給としてだけではなく、水分不足で体が必要以上に水分を保持してしまうことで起こる“むくみ”や、胃腸が弱っていることで低下した水分代謝などの緩和にも役立つためと考えられます。

冬瓜の食物繊維含有量は100gあたり1.5gとさほど多くはないものの、内訳が不溶性食物繊維1.0g・水溶性食物繊維0.5gと水溶性食物繊維が多いことが特徵。便秘の解消に理想的とされる不溶性:水溶性=2:1のバランスにピッタリ当てはまる数少ない食材の一つ。野菜の大半は不溶性食物繊維が多く、体質によっては食べ過ぎると便が固くなりすぎて便秘が悪化してしまう可能性がありますが冬瓜はそういったリスクが低いと言えるでしょう。加えて豊富な水分も便が腸の中で固くなりすぎてしまうのを防いでくれます。

ダイエットサポートにも

近年ダイエットに役立つ低カロリー野菜としても注目されている冬瓜。実は1000年以上前の中国の薬学書『食療本草』にも冬瓜は「痩せたい人は長期間続けて食べたほうがよく、反対に太りたい人は食べてはいけない」と書かれているそう。昔からダイエットに良い食材として利用されていたのかもしれません。現在でも100gあたり16kcalと非常に低カロリーな食材で、血糖指数(GI値)も低い食材として冬瓜はダイエット中の食事に取り入れられることがありますね。同グラムあたりのカロリーはモヤシ(大豆もやし)の半分位ですから、空腹感を感じるダイエットをしたくない方のサポートとして心強い存在と言えるでしょう。

カロリーと糖質ダウンに役立つことに加えて近年は冬瓜に含まれているサポニンについても、糖や余分な脂肪の吸収・蓄積を抑えてくれる働きを持つ可能性が報告されたことから注目されています。サポニンは種類が多く有効性についても研究段階ではありますが、食事を抑えるだけではなくサポニンの補給からもダイエットをサポートしてくれるのではないかという見解もありますよ。ミネラル補給を手助けすることからも筋肉増強や新陳代謝の低下に繋がる可能性がありますし、食物繊維やカリウムもカロリーから考えると豊富なため、ダイエット中に起こりやすい代謝低下や便秘・むくみ予防にも一役買ってくれそうですね。

免疫力向上・風邪予防

冬瓜は生100gあたり39mgとビタミンCを比較的多く含んでおり、同グラムのグレープフルーツを上回るほど。ビタミンCは白血球(好中球)の働きを高める・インターフェロンの分泌促進などの働きがあり、免疫力向上に役立つとされています。また抗酸化物質でもありますから活性酸素による酸化から起こる免疫力の低下を予防する働きも期待できるでしょう。

そのほかサポニンにもナチュラルキラー細胞を活性化することで免疫力向上作用が報告されていますから、ビタミンCと共に免疫機能をサポートしてくれるでしょう。これらの働きから風邪などの感染症予防に役立つと考えられますし、冬瓜は消化がよく胃腸に負担がかかりにくいため病中・病後の回復食としても適しています。

夏バテ・火照りケアに

冬瓜は水分量が多い夏野菜であり、地面よりも上に実る夏野菜でもあることから体を冷やす食材と表現されることもあります。中医学的な思考をベースにしている漢方や薬膳系の書籍では「冷え性の方は食べ過ぎに注意が必要」と紹介されることもあるほど。民間医療だけではなく栄養面からも水分とカリウムを豊富に含んでいることから、水分によって熱を冷ましたり、カリウムの利尿作用によって体内にこもった熱の排出を促す可能性があると考えられています。

またカリウムは電解質のバランス保持・神経や筋肉などのコントロールにも関わる存在で、カリウム不足は食欲不振や疲労感の原因ともなります。夏バテの原因の一つになどでカリウムが失われることが考えられていますから、冬瓜は夏場のカリウムと水分の補給源として夏バテ予防にも適しているでしょう。夏バテ以外にほてりや逆上せを感じている方にも適していると考えられていますし、味もさっぱりとしているので取り入れやすいですよ。

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高血圧・動脈硬化予防に

ナトリウムの摂取量が多くなると、身体は血中ナトリウム濃度を一定に保つため血液中に水分を取り込みます。結果、血液量が増えて心臓に負担がかかり血圧を上げる原因となる場合もあります。このためカリウムを含む冬瓜もナトリウム排出を助け血圧を正常に保つ手助けが期待されています。またビタミンCは抗酸化作用によって血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の酸化を抑制し、動脈硬化や心疾患のリスク低減をサポートしてくれる可能性も。食事に冬瓜を取り入れることで自然に糖質ダウンにもなりますから、生活習慣病が気になる方のサポート野菜としても役立ってくれるでしょう。

肌のアンチエイジング・ニキビ予防

冬瓜に多く含まれているビタミンCは抗酸化作用だけではなく、コラーゲンの生成促進やメラニン色素生成阻害作用が認められている美肌作りにも嬉しいビタミンの一つ。肌細胞の酸化を抑えることでシワやたるみを予防する働きが、コラーゲン生成を促すことによってハリのあるお肌作りのサポートが期待できます。またビタミンCはメラニン色素の生成に関わる酵素チロシナーゼの働きを阻害することでメラニン色素の沈着を予防してシミを作りにくくするだけではなく、シミ等のメラニン色素を還元する(無色の還元型メラニンに変化させる)働きも報告されています。かつて「顔を白くする」と言われていたのも強ち迷信とは言えませんね。

っこうした働きから冬瓜は内側からの紫外線対策・肌の老化予防にも一役買ってくれると考えられています。そのほかビタミンCとサポニンは抗酸化作用などによって過酸化脂質の生成抑制にも効果が期待できます。過酸化脂質は大人ニキビの原因物質と考えられていますからニキビ予防に繋がる可能性もありますし、体内にこもった熱から起こる肌の乾燥・むくみ等によって老廃物が溜まることで起こる肌荒れの予防に良いという説もありますよ。

目的別、冬瓜のおすすめ食べ合わせ

冬瓜の選び方・食べ方・注意点

冬瓜は体を冷やす食べ物とされていますし、水分量の多さから冷えたものをたくさん食べてしまうと腹痛や下痢の原因になる可能性もあります。冷え気味の方やお腹の弱い方・妊娠中の方は食べ過ぎに注意し、スープなど熱を通して温かい状態で食べると無難です。体を温める食材や調味料と一緒に食べると冷えを軽減できるという説もあります。

美味しい冬瓜の選び方・保存方法

冬瓜を選ぶ時は表面に傷や痛みがなく、均一に色づいているものを選ぶようにします。水分が多い野菜ですから、持ったときにずっしりと重みがある物を選ぶようにすると間違いありません。表皮が濃い緑色でツヤツヤしているものが良品とされていますが、品種により表面に白い粉(ブルーム)を吹いているものもあります。ブルームはしっかりと熟した証なので避ける必要はありませんし、白い粉が多い方が新鮮かつ良品の可能性が高いですよ。ただし元々粉を吹かない沖縄冬瓜であったり、表面を磨いてから出荷されるものもあります。

カットしたものを買う場合であれば切り口が瑞々しく、果肉部分が透明感のある白色をしているものを選ぶようにします。種子が沢山詰まっていることも美味しいものを見分けるポイントと言われています。カットされた冬瓜は切り口や種の周辺から傷んでくるので、そこが変色しているものは避けたほうが良いでしょう。保存する場合も痛みが早くなるので、種・ワタを取り除いてからぴったりとラップを掛けて冷蔵庫に入れてください。

カットされていない冬瓜は冷蔵庫ではなく、風通しの良い冷暗所で保管します。半年間日持ちすると言われることもある冬瓜ですが、実際の保存期間は3ヶ月程度と考えたほうが良いでしょう。それも丸ごと(玉)の状態であればの話で、カットしたものは種やワタを取って冷蔵庫に入れたとしても日持ちは良くありません。早めに食べきるようにしてください。

参考元:Wax gourd – Wikipedia11 Amazing Benefits of Winter Melon (Wax Gourd)冬瓜 – いわき市役所