いんげん豆(隠元豆)とその栄養成分・効果効能
|金時豆と隠元豆、色による成分の違いも紹介

赤いんげん豆(金時豆)イメージ

隠元豆(いんげんまめ)/金時豆とは

隠元豆(インゲンマメ)という名前の知名度こそ高いものの、どういった料理に使うのか・どんな豆かと聞かれると不安になる方も少なくないのではないでしょうか。植物としてはマメ科インゲン属に分類され、学名はPhaseolus vulgaris。世界中で主食もしくはタンパク源として食されているため品種数も非常に多いですが、大きくはサヤインゲンとして若さやごと食べられる“軟莢種”という種類と、完熟後に種子部分のみを食べる“種実用種”に分かれています。同種ですがサヤインゲンは未熟な状態のインゲンを食べるため、枝豆などと同様に野菜に分類されます。

⇒サヤインゲンについてはこちら

完熟後に種子(豆)のみを食すインゲン豆の種類としては、外見から大きく白色系・有色(単色)系・有色系(斑紋入り)系の3つに大別されます。最も有名なのは有色・単色系で赤インゲン豆の“金時豆”あたりではないでしょうか。大正金時や福寿金時などというのは金時豆の品種名で、キドニービーンズと呼ばれるものも赤インゲンマメに分類されます。斑紋入りのものではうずら豆・虎豆などが代表的で、ピントビーンズと呼ばれているものも基本的には輸入されたうずら豆の事です。

白インゲン豆は白餡の原料として使われる毛亡(手亡)や甘納豆ほか和菓子に使われる大福豆などが含まれます。フランス・イタリア調理では煮込み料理に白いんげん豆を使うことが多いと言われていますし、一時期はダイエットサプリの原料などとしても見かけましたね。こうして見ると“インゲン豆”と呼ばれてどんな豆なのかイメージしにくいのは、種類名のほうが定着しているためと言えるかもしれません。

ちなみに花豆(ベニバナインゲン)や藤豆(フジマメ)と呼ばれているものは同じくインゲン属ですが別種。関西ではフジマメをインゲンマメ・インゲンマメはフジマメと呼び方が逆になっている地域もあるそうので、出身地によって連想するものが違うという事もあるかもしれません。そのほか地域によって菜豆(サイトウ)・ササゲ・千石豆(センゴクマメ)など様々な呼ばれ方をしています。英語では“common bean”と言うそうですから、諸外国でも一般的に食べられている豆であることがうかがえますね。

隠元豆/金時豆に含まれる栄養や成分に期待できる働き・巷で言われる効果効能の理由とは?

いんげん豆の主成分は糖質で、世界的にはタンパク源として食されているとも言われる通りタンパク質も豊富に含みます。大豆や落花生などと異なり脂質の含有量が少ないことが特徴で、カロリーは乾燥状態で100gあたり333kcal、茹で100gであれば143kcalとご飯(白米)よりも少ないため脂質やカロリーを抑えたい時にも利用されています。

いんげん豆はこんな方にオススメ

  • ミネラル不足が気になる
  • 疲労・疲労感がある
  • 集中力低下が気になる
  • 便秘気味・腸内環境を整えたい
  • むくみを予防したい
  • 貧血気味の方
  • お酒をよく飲む方に
  • 若々しさを維持したい
  • 血圧が気になる方
  • 生活習慣病の予防に
  • ダイエットのサポートに
  • 肌のアンチエイジングに
  • 肌荒れ・ニキビ予防に
  • 薄毛・抜け毛予防に

下記ではこうしたお悩みがある方にいんげん豆が良いとされる理由や、豆の色による含有成分の違いなどをご紹介します。

栄養補給・疲労回復

インゲン豆(金時豆)は『日本食品標準成分表』に記載されている100gあたりの栄養成分量としてみるとカリウム・カルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛等のミネラル類を豊富に含む食材。ミネラルの中ではカルシウム含有量が100gあたり130mgとやや少ないですが、カルシウムの吸収を助けるリジンが含まれていることから吸収率は良いと考えられます。豆類ですから一度に100g摂取することこそ少ないでしょうが、豆ご飯や肉料理の付け合せ・小鉢料理として献立に取り入れることで不足しがちなミネラルの補給源として役立ってくれるでしょう。

また米や小麦などの穀物類に不足しているとされる必須アミノ酸のリジンがインゲン豆には比較的多く含まれているということも特徴的です。リジンはタンパク質の合成に必要不可欠なアミノ酸であり、かつ抗体・ホルモン・酵素などの合成に関わり体組織の修復や成長に必要とされる存在でもあります。またブドウ糖や脂肪の代謝を促進することで肉体疲労の回復や集中力アップに繋がると考えられており、リジン不足は疲労感・めまい・貧血・肝機能低下などの症状を起こす可能性があることも指摘されています。インゲン豆には代謝に関わるビタミンB群や鉄分などのミネラルも豊富に含まれていますから、疲労感・倦怠感・ぼんやり感など「パッとしない」状態が続いている方にも適しているでしょう。

便秘対策・腸内環境改善

インゲン豆は乾燥状態で100gあたり19.3gと非常に多くの食物繊維を含む食材でもあり、茹で状態でも13.3gと全体重量の1割以上が食物繊維となっています。同グラムで比較した場合はごぼうの約2倍・さつまいもの約3倍の食物繊維量となりますから、十分に食物繊維補給源として役立ってくれるでしょう。食物繊維の比率としては不溶性食物繊維が多く含まれているため、便のカサを増やして腸を刺激することで蠕動運動を促す働きが期待できます。

加えてインゲンにはアク(灰汁)成分とも言われ、苦味・えぐみの元となっているサポニンという成分が含まれています。サポニンには界面活性作と呼ばれる水に馴染みにくい物質を混ぜ合わせる乳化剤のような働きがあることから、腸内で便の硬さを適度に調節し排便をスムーズしてくれるのではないかという説もあります。とは言っても不溶性食物繊維が多く食べ過ぎは便を固めてしまう可能性もあるので便秘改善用としては水分補給を心がけるようにしましょう。またお腹がハリやすい方・下痢をしやすい方は食べ過ぎに注意しましょう。

そのほかインゲン豆に含まれているデンプンの一部は加熱料理して冷ますことで“レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)”に変化する事も報じられています。レジスタントスターチは消化器官内で消化されにくい=食物繊維化された状態であるため「茹でた後の食物繊維料が大幅に増加する」とも表現されていますね。小豆ひよこ豆も同じような性質を持つとされていますが、レジスタントスターチと食物繊維の合計としてみるとインゲン豆が一番食物繊維が多くなるという説もあります。このレジスタントスターチは腸内善玉菌をエサとなる働きも持っていますので、便秘の改善だけではなく腸内フローラのバランスを良くしてくれる働きも期待されています。

貧血・むくみ予防

ミネラルが豊富な食材とされるインゲン豆は乾燥状態100gあたり6mgと鉄分も比較的多く含んでいます。主菜となることは少ない食材ですから、献立に加えることで不足しがちな鉄分の補給をサポートしてくれるでしょう。「造血のビタミン」と呼ばれる葉酸や、「造血のミネラル」と呼ばれるモリブデンを筆頭に亜鉛や銅などの造血に関わるミネラル類の補給にも繋がります。貧血予防としては鉄分の吸収をサポートしてくれるビタミンCやクエン酸を含む食材と合わせて摂取するとより効果的です。

またインゲン豆にはナトリウムとバランスを取り合うことで、体内の水分バランスを整えてくれるカリウムも乾燥状態100gあたり1500mgと豊富に含まれています。加えてサポニンも利尿作用が期待されている成分ですから、カリウムとサポニンが相乗して働くことでむくみ改善にも効果が期待できるでしょう。ちなみに同グラムで小豆と比較した場合、カリウムはほぼ同量・鉄分は小豆を上回る含有量となっています。貧血やむくみの女性には小豆が良いと言われていますが、インゲン豆(金時目)も便秘改善と合わせて女性の健康サポートにも役立ってくれそうですね。

二日酔い対策

インゲン豆は野菜や果物に多いビタミンCやβ-カロテンなどの含有量こそ低いものの、ビタミンB1やB6を筆頭としたビタミンB群を多く含んでいます。中でも茹で100gあたり0.18mgとモロヘイヤと同じくらい多く含まれているビタミンB1は糖質代謝の過程で酵素をサポートする“補酵素”として働くことが知られていますが、アルコールを分解する際に必要とされるビタミンの一つでもあります。通常アルコールはアセトアルデヒドに分解された後、ALDH2(アセトアルデヒド脱水素酵素)によって酢酸へと変換されることで無毒化されています。

この過程の中でもビタミンB1は消費されていますし、大量に飲酒してALDH2による分解が追いつかなくなった際にはビタミンB1を大量使って別ルートでのアセトアルデヒド分解も行われます。このためビタミンB1はアルコール・アセトアルデヒドの分解に必要な成分とされており、適切な補給は悪酔いや二日酔い予防・軽減に繋がると考えられています。またルコール摂取によって失われやすく翌日むくみ軽減に役立つカリウム・肝臓への脂肪蓄積予防効果が期待されるビタミンB6も含まれていますから、小豆と同じくお酒をよく飲む方のサポートとしても役立つ食材と言えるでしょう。

老化・生活習慣病予防

インゲン豆にはポリフェノールが含まれています。金時豆など赤もしくは黒インゲン豆であればアントシアニン系色素が、白インゲン系であればフラボノイド(カテキン、エピカテキンなど)が多く含まれている傾向にあると言われています。インゲン豆にはポリフェノール以外に抗酸化力を持つとされているサポニンも含まれており、かつてアメリカで抗酸化力の指標として用いられていたORAC値(酸素ラジカル吸収能/活性酸素消去能を数値化したもの)でもキドニービーンズ(いんげん豆)のスコアは豆類トップとされていました。種類・色によって含有量は異なりますが、ORAC値を元に考えた場合は赤ワインを上回る抗酸化力を持つという説・ワインの1.5倍の抗酸化力を持つ豆と称されることもあります。

抗酸化物質ではありませんが、インゲン豆に多く含まれているミネラルのモリブデンも酸化還元反応に関与する酵素の抗生物質となっているため抗酸化をサポートしてくれると考えられています。抗酸化作用は活性酸素による身体の酸化を防ぎ、体が持つ機能を正常に保持したり若々しさを維持するためのサポートをしてくれます。また血中脂質が活性酸素によって酸化されることで出来る過酸化脂質の生成を抑制することに繋がることもあり、生活習慣病などの予防に役立つと考えられます。インゲン豆には脂質の代謝を促す働きや血中脂質の低減作用が期待されているサポニンを含まれていますから、相乗して動脈硬化や高脂血症などの予防に役立ってくれるでしょう。カリウム補給と合わせて高血圧予防にも繋がると考えられます。

肥満予防・ダイエットサポート

エグみや苦味の元でもあることから食べ物としては嫌われることも多いサポニンですが、抗酸化作用の他に脂肪の代謝促進やブドウ糖と脂肪の結合抑制など肥満予防効果が期待されている成分でもあります。加えてインゲン豆にいんげん豆に含まれているアミノ酸のリジンは脂肪燃焼に必要なカルニチンの合成原料でもあり、脂肪燃焼のサポート成分としてサプリメントなどにも配合されている成分もあります。インゲン豆自体が豆類の中では脂質の割合が低い食材でもありますので、適切に取り入れることで肥満予防にも役立ってくれるでしょう。

そのほか食物繊維による満腹感の維持や便秘解消、カリウムによるむくみ軽減、抗酸化作用やビタミンB群の補給による代謝向上(基礎代謝低下予防)などダイエットサポートとして嬉しい働きも期待できます。ただし糖質量は多めなので、通常のご飯に加えてインゲン豆の煮付けなどを沢山食べてしまうと逆効果になる可能性もあります。ダイエットサポートとして取り入れる場合には“豆ご飯”にするなど主食のカサ増しとして加えると良いでしょう。

美肌・美髪サポート

抗酸化作用を持つポリフェノール類を多く含むことから、インゲン豆はシミ・シワ・たるみなど肌の老化現象抑制に役立つアンチエイジング食材としても取り入れられています。インゲン豆には皮膚・髪・爪の新陳代謝に関わるビタミンB群、特にタンパク質の代謝に欠かせないビタミンB6が多く含まれているため、抗酸化物質の補給と合わせて肌の新陳代謝向上・肌荒れ予防にも効果が期待できます。大人ニキビの原因となる過酸化脂質の生成を抑制してくれますから大人ニキビの予防にも繋がるでしょう。

またインゲン豆に含まれている必須アミノ酸のリジンはタンパク質の一種であるコラーゲンの生成にも必要な物質です。加えて近年は髪の健康を保つ働きがあることが注目され、薄毛・抜け毛の治療に対する有効性も報告されていますから、美肌・美髪保持をサポートしてくれるアミノ酸の一つと言えるでしょう。便秘やむくみの改善で老廃物蓄積が軽減されること・抗酸化作用によって血流が良くなるなどの働きも、肌や頭皮に栄養を活き渡らせ健康な状態に保つことに繋がります。貧血予防効果と合わせて肌のくすみ対策としても役立ってくれそうですね。

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豆の色による成分の違い

金時豆など赤インゲン系

赤インゲンの赤色はアントシアニン系のポリフェノールによるものとされています。アントシアニンは目の網膜に存在するロドプシンの再合成を促す働きが報告されている成分で、加齢や目の酷使による目の疲労・かすみ・ショボつきなどの改善効果が期待されています。またメタボリックシンドローム予防・花粉症などのアレルギー症状軽減に対する有効性が報告されており、ダイエットや花粉症対策に役立つのではないかという見解もあります。

白・斑紋インゲン系

ポリフェノールの一種であるフラボノイド(カテキン、エピカテキンなど)を多く含みます。また白いんげん豆に含まれるファセオリン(α-アミラーゼ・インヒビター)にはα-アミラーゼを阻害することでブドウ糖の吸収を抑制する働きが報告され、肥満予防効果が期待されています。

しかし「白インゲン豆ダイエット」がメディアに取り上げられブームとなったものの、嘔吐・下痢などの健康被害を引き起こしたことがあります。白インゲン豆に含まれているレクチンというタンパク質は大量摂取や加熱が不十分な状態での摂取すると毒性があります。そのためしっかりと加熱を行う必要がありますが、加熱しすぎるとファセオリンの活性が損なわれるとする説や、ダイエットに十分な量を摂取するためにはかなりの量を食べなければいけないという説があります。これらのことから、白インゲン豆の接油によってブドウ糖吸収を阻害し「食べても太らない・太りにくい」というダイエットは現実的とは言えないでしょう。試してみたい方はファセオラミン(白インゲン豆抽出物)サプリメントを利用した方が確実に摂取できます。

隠元豆/金時豆の選び方・食べ方・注意点

乾燥状態のいんげん豆/金時豆を使って料理する場合は、下準備として軽く洗った後に8時間程度浸けて戻す必要があります。茹でる時は茹でこぼす・煮汁を一度入れ替えてアク抜きするのが一般的ですが、こうした茹で方をした場合はサポニンやカリウムなどの水溶性の栄養価の流出が多くなります。栄養をしっかりと残したい場合はひたひたの水位をキープして小まめにアクを取りつつ煮たほうが良いとされています。

金時豆ほか赤~黒っぽい色をしたものは鉄鍋で煮るとアントシアニンと鉄が反応し、色が黒ずみきれいに仕上がらない場合があります。また開封後は酸化が始まるので「乾燥だから腐らないし」と思わず、早めに使い切るようにしましょう。

効果アップが期待出来るいんげん豆の食べ合わせ

隠元豆/金時豆の雑学色々

いんげん豆の歴史

インゲン豆は中央アメリカからペルーあたりにかけてのエリアが原産と考えられており、南北アメリカ大陸では古くから作物として栽培が行われていたことが分かっています。ネイティブアメリカンの間でコンパニオンプランツとして共生栽培が行われていた“3姉妹”と呼ばれていた作物としてトウモロコシカボチャ・豆が挙げられていますが、この豆というのもインゲン系の豆であったのではないかと考えられています。アステカ帝国では税としても扱われていたそうですよ。

コロンブスのアメリカ大陸到達後、15~16世紀にインゲンはスペイン人によってヨーロッパへと伝えられます。当時ヨーロッパでポピューラーな豆としてソラマメがありましたが、古代ギリシアの数学者ピタゴラスが嫌った理由ともされる遺伝性の酸化還元酵素の欠陥による「ソラマメ中毒」の問題がありました。そのためインゲンは中毒を起こさずに食べられる安全性の高いとして受け入れられ、また育てやすい植物であったこともあり広く栽培が行われるようになります。

インゲン豆はヨーロッパを経由して16世紀末には中国と伝わり、17世紀頃には中国から日本へともたらされたと考えられています。インゲン豆の伝播としては1654年に明国(中国)の僧侶で、日本三禅宗のひとつ黄檗宗の開祖として有名な隠元禅師(インゲン)が長崎に来た際に持ち込んだという伝承がよく知られていますね。インゲン豆という呼び名も隠元禅師がもたらした豆であることにちなんで命名されています。実際にこの時隠元禅師が伝えた豆はインゲンではなくフジマメだったのではという見解もありはっきりしていませんが、現在も隠元禅師の命日(1673年04月03日)にちなんで4月3日はインゲン豆の日とされています。

いんげん豆活用法・民間療法

いんげん豆の葉を煎じて飲むと整腸作用・精神安定作用があるという説があるようです。