黒豆(黒大豆)とその栄養成分・効果効能
|大豆の栄養+アントシアニンを含む美容食?!

食べ物辞典:黒豆

お正月料理から健康茶にまで使われている黒豆。黒大豆と呼ばれることもあるように大豆の仲間で、大豆と同じく枝豆や納豆などの形でも使用されています。栄養価としては大豆とほぼ同等で、かつ黒色の元となるアントシアニン系色素を含んでいることが特徴。女性領域のサポートをはじめ視機能保持・メタボ予防など現代人に嬉しい働きも期待されており、大豆と同等以上の健康メリットある食材として日本だけではなく欧米でも注目されていますよ。そんな黒豆の歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。

黒豆/黒大豆のイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:黒豆(くろまめ)
英語:Black soybeans

黒豆(黒大豆)のプロフイール

黒豆(黒大豆)とは

お正月の“おせち料理”の定番とも言える煮豆や、炒り豆として目にすることの多い黒豆。甘く煮た黒豆は好き嫌いが別れますが、近年はパック入りの蒸黒豆なども流通していますので料理の手間なくサラダ豆などにも使えるようになっています。大豆レシチンや大豆イソフラボンなど大豆特有の栄養成分に加えてアントシアニン系ポリフェノールを豊富に含む健康食材として注目されたこともあってか、黒豆茶・黒豆ココア・黒豆スイーツなど様々な商品も発売されていますね。日本では菓子・スナック感覚で食べられることが多いですが、欧米ではペーストにしてフムスを作ったり、キドニービーンズ感覚でスープやサラダなどにも使用されています。

ちなみに、黒豆がおせち料理の定番となったのは黒色が日焼けや健康を、丸い形が太陽に、豆というがまめ(まじめによく働く、よく気がつくなどの意)に通じるためと言われています。加えて黒い色は邪気を払うと考えられていたことと合わせて「一年間の厄を払って、今年一年を元気に働けますように」という願いが込められているのだとか。理由は全く違いますが、現在でも健康食・アンチエイジングフードとして食べられていることを考えると経験的に黒豆の健康効果を感じていたようにも思えますよね。お正月の黒豆は皺がないふっくらとした形に仕上げる地域が多いですが、上記に加えて「皺のよるまで長生きする」ようにシワを寄せて似た黒豆の方が縁起が良いとする地域もあります。失敗してしまった時もプラスにとらえて美味しく頂いて下さい。

黒豆は黒大豆とも呼ばれる通り、黒豆は種皮にアントシアニン系の色素を含む大豆(学名Glycine max)の品種の総称で、黒く丸い外見から“ぶどう豆”とも呼ばれています。大豆は日本で一般的に食べられている薄黄土色の黄大豆の他に、白大豆・赤大豆・茶大豆・青大豆やその仲間の鞍掛豆など様々な種類があり、黒大豆(黒豆)もその一つ。なので流通量は少ないものの枝豆にも黒豆品種のものはありますし、豆腐・納豆・きな粉など黄大豆と同じ加工がなされています。黒豆は「丹波の黒豆」が有名ですが、丹波の黒豆というのは黒豆の種類ではなく丹波地方(兵庫県篠山市~京都府京丹波町周辺)で生産される黒豆のこと。品種は篠山市付近で栽培されていた“丹波黒”や、京都府京丹波町の“和知黒”などを始め、北海道の光黒系品種を始め雁喰・玉大黒・信濃黒など全国で様々な品種が作られています。

大豆とほぼ同じ植物でもありますし、栄養価としても大豆と黒豆は非常に似た存在です。大豆には含まれていない黒色の元、アントシアニン系色素を含んでいるという特徴があるため、大豆と同等以上の健康メリットが期待できる食材として注目されています。大豆イソフラボンやポリフェノール含有量が高いとされる小粒品種「黒千石」に免疫力向上やアレルギー症状を抑えるインターフェロンγの生成を促す働きを持つ可能性が報じられ、話題になったことも記憶に新しいですね。アメリカでも人気健康情報番組『The Dr. Oz Show』の司会者であるコロンビア大学心臓外科教授マホメット・オズ博士の“new favorite superfood”として紹介され、多数の健康メリットを持つスーパーフードの一つとして注目されました。

黒豆(黒大豆)の歴史

はっきりと断定されていませんが、大豆は中国北東部からシベリアにかけての地域が原産とする説が有力です。この一体に分布していたツルマメを4000年以上前から栽培するようになり、後に大豆として作物化していったと考えられています。黒豆についても分化時期などについては分かっていませんが、原産国とされる中国では、4000年ほど前から黒豆の栽培が行われていたと言われているそう。約2000年前の薬物書である『神農本草経』にも黒豆の効能についての記述が見られます。日本には縄文~弥生に既に大豆栽培が行われていたと言われていますが、黒豆(黒大豆)がいつ伝わったのかは定かではありません。

はっきりと黒豆のものと分かる国内での記録は935年に記された『倭名類聚抄』以降と言われており、おそらく平安時代には大豆とは別に黒豆の栽培・利用が行われていたと考えられています。ただし当時は大豆のように食用としての利用ではなく、煎じて薬として使うのが主だったそう。平安貴族や富裕層は現在で言う“黒豆茶”を有難がって飲んでいたのかもしれませんね。鎌倉時代になると大豆と共に黒豆の栽培が拡大し、食材としても活用されるようになりました。室町時代には砂糖の代わりとして甘味を持つ豆とこんにゃくを炊き合わせた「座禅豆」がお節料理の1つとしてお正月に食べられるようになり、戦国時代には緊急時用の栄養補給品「兵粮丸」の主原料として武士や忍者に携帯されていたそう。

江戸時代には丹波篠山藩主・青山忠講が8代将軍徳川吉宗に丹波の黒豆を献上したという記録が残っています。また、江戸後期の本草書『本草綱目啓蒙』には「薬方の大豆は皆黒大豆、黒豆の事」という記載があることから、食用として定着した江戸時代であっても黒豆は薬効高い大豆と認められていたことがわかります。皮のみを黒豆衣もしくは黒大豆皮・蒸した黒大豆を醗酵させた後に乾燥させたものは豆豉もしくは香豉として使い分けられていたそうですから、生薬として重視されていたようにも感じます。

ちなみに、黒豆=お正月料理の定番となったのは江戸時代頃。なぜ黒豆の煮豆が“おせち料理”として広まったのかは諸説あり、座禅豆を食べる風習が全国に伝わったとする説・江戸の高級料亭「八百善」が正月向けに甘く煮た大豆を提供したことがきっけとする説などが有力視されています。幕末頃の書籍にはお正月のお節料理の代表として「座禅豆(黒豆)」の記載があることから、江戸時代後期には正月料理に欠かせない存在となっていたことがうかがえます。

黒豆の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

黒豆も大豆と三大栄養素の比率は同じくらいで、タンパク質を毛布に含みます。『日本食品成分表』によると黒豆100gあたりのカロリーは乾燥状態で414kcalと、大豆よりも若干低いものの大差はありません。多少の差はあるものの、大豆と同じくビタミン類やミネラル類を豊富に含んでいます。大豆の特徴成分であるイソフラボン類を含むことに加え、大豆に含まれていない黒豆特有の成分としてポリフェノールの一種であるアントシアニンを含むことが特徴と言えます。

ちなみに100gあたり289kcalという記述も見られますが、こちらは“ぶどう豆(beans cooked with sugar and salt)”として掲載されている数値なので“煮豆”として料理した場合。乾燥大豆100gあたりのカロリーや必須栄養素と比較してしまわないように注意が必要。

黒豆の煮豆イメージ

黒豆(黒大豆)の効果効能、その根拠・理由とは?

目の疲労軽減・視機能サポートに

黒豆の代表成分であり、黒豆と呼ばれる「黒」色の色素成分でもあるアントシアニンはアイケア機能が期待されているポリフェノールの一つに数えられます。これはアントシアニンは目の網膜に存在するロドプシンの再合成を促す働きが報告されているため。私達の目はロドプシンが分解される際に生じる電気信号が脳に伝わることで目に写ったものを認識することが出来ます。ロドプシンは分解された後に再合成され、再び分解を繰り返していますが、この再合成の流れが滞ることで目の疲れやかすみ・ぼやけるなど影響が出てきます。

かつてロドプシンの再合成能力が低下するのは加齢によるものと言われていましたが、近年はテレビやパソコン・スマホなどを見続けることが多くなったことで年齢を問わず多くの方が抱える問題となっています。このためロドプシンの再合成を促すアントシアニンの摂取が疲れ目やかすみ目などの軽減策として注目されており、アントシアニンを豊富に含む黒豆も目の疲れが気になる方に適した食材と考えられています。

ただし目の酷使などによる疲れ目の原因はアントシアニン不足・ロドプシン再合成低下によるものだけではありませんので、軽減に繋がる可能性があるという程度であることは念頭に置いておいた方が良いでしょう。その他アントシアニンは抗酸化作用を持つポリフェノールでもあるため、酸化ダメージによって発症する白内障・緑内障の予防に繋がるという説もあります。

疲労回復・栄養補給に

黒豆は大豆同様にビタミンB群が多く、特に糖代謝の過程で酵素をサポートする補酵素として働くビタミンB1を100gあたり0.72gと豊富に含んでいます。加えて黒豆は「畑の肉」とも称される大豆とほぼ同量・同質のタンパク質を含んでいます。黒豆に含まれているアミノ酸も“大豆ペプチド”と呼ばれるアミノ酸とたんぱく質の中間の性質を持つとされるアミノ酸連鎖体の形で含まれていると考えられます。大豆ペプチドを構成するアミノ酸はバランスが良く肉体(筋肉)疲労と脳疲労の両方の回復に役立つと考えられていますから、相乗して疲労回復効果が期待できるしょう。

黒豆はタンパク質だけではなく脂質や炭水化物・ビタミン・ミネラルなどを幅広く含む食材でもあります。必要なすべての栄養素をカバーできるというわけではありませんが、不足しがちな栄養を補うことで体全体の機能を整えるサポートをしてくれる存在と言えるでしょう。またアルギニンやグルタミンなどのアミノ酸は免疫力の保持・向上による風邪予防などの効果も期待できますし、抗酸化物質の補給にも繋がりますから、健康維持としても取り入れたい食材と言えます。

精神安定・脳機能サポートに

黒豆には精神安定などの働きが報告され“ハッピーホルモン”とも呼ばれるセロトニンの原料となるトリプトファンを筆頭に、精神安定に関わるリジンやロイシン・イソロイシン・グルタミン酸などのアミノ酸が含まれています。加えて正常な神経伝達機能を保持するのに必要とされるカルシウムとマグネシウム、カルシウムの吸収を促進する働きがあるリジンも含まれています。大豆ペプチドも肉体(筋肉)疲労と脳疲労の両方の回復に役立つと考えられていますから、ストレスや神経疲労、それに起因するイライラや不安感・気持ちの落ち込みなど情緒不安定さの軽減にも効果が期待できるでしょう。

また、大豆や黒豆に含まれている脂質(リン脂質)の一種であるレチシンは脳や神経の働きをサポートするために必要な情報伝達物質の材料となる物質でもあります。このため脳や神経の働きを正常に保つために必要な「脳の栄養素」とも呼ばれ、脳機能活性化による記憶力や集中力を高めるなどの健脳効果が期待されています。脳機能を高めるだけではなく、精神安定のサポートに繋がる可能性もあるでしょう。

貧血予防・血流サポートにも

黒豆にも大豆同様にコレステロールや中性脂肪を減少させ血液・血管を綺麗にする働きが期待されてる大豆レシチン・過酸化脂質の生成を抑制することでスムーズな血流の保持をサポートしてくれるサポニンが含まれています。アントシアニンも血中コレステロール低下や抗酸化作用によって血液循環を正常に保持する手助けをしてくれますから、相乗して血行促進による冷え性の改善・代謝向上などの効果が期待できます。血行が良くなることで肩こりや頭痛・倦怠感・慢性疲労や疲れやすさなどの軽減にも繋がるでしょう。

また大豆よりは劣るものの、黒豆も100gあたり5.7mgと鉄分を多く含んでいます。「造血のビタミン」と呼ばれる葉酸、「造血のミネラル」と呼ばれるモリブデンを筆頭に亜鉛や銅などの造血に関わるミネラル類も多いので、貧血予防にも役立ってくれるでしょう。血液不足が改善されることからも血液循環の改善や代謝向上に繋がりますし、鉄欠乏気味の時に起こる可能性があるイライラ・倦怠感・疲れやすさ・めまいなどの不定愁訴改善にも役立つと考えられています。

便秘・むくみ対策に

黒豆も大豆と同様に「大豆オリゴ糖」と呼ばれるオリゴ糖を含んでいると考えられるため、腸内の善玉菌の増殖・活性化を促して腸内フローラを整える働きが期待されています。乾燥黒豆の食物繊維量は100gあたり16.0gと同グラムで比食較した場合は大豆よりも若干食物繊維含有は低いですが、善玉菌のエサとなる水溶性食物繊維量は大豆が1.5gであるのに対して黒豆は1.4gと僅差となっています。このため整腸・腸内フローラの改善という点についてはさほど差はないと考えられます。また不溶性食物繊維も少ないわけではありませんから、便秘対策としても役立ってくれる可能性が高いと考えられます。

黒豆はカリウムも乾燥100gあたり1,800mgと、大豆には劣るものの乾燥状態・同グラムで比較した場合は小豆よりもカリウムを豊富に含む食材でもあります。このためナトリウムや体内に蓄積されている余分な水分の排泄を促し、むくみの軽減効果も期待できるでしょう。ナトリウムバランスの調整機能が報告されているγ-トコフェロール型ビタミンEや、利尿効果が期待されるサポニンなども含まれています。血行を良くする働きあると考えられますから、血行不良によって起こる下肢のむくみ軽減などにも効果が期待できるでしょう。

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老化(酸化)・生活習慣病予防に

黒豆に含まれているアントシアニンはポリフェノールの一つで、活性酸素を抑制する抗酸化力が非常に高いと考えられています。黒豆にはアントシアニンだけではなく他フラボノイド類やビタミンEなどの抗酸化作用をもつ成分も含まれています。一般的にビタミンEと呼ばれるα-トコフェロールだけではなく、β-,γ-,δ-トコフェロール量も大豆よりも多い傾向にありますから、抗酸化がより得意であると考えられます。このため黒豆は身体の酸化を防ぐことで若々しさの維持・生活習慣病などの予防に役立つ食材としても注目されています。

生活習慣病の多くは血中脂質の増加や、活性酸素が脂質を酸化させることで出来る過酸化脂質の蓄積が発症リスクを高めると考えられています。黒豆にも含まれている大豆サポニンは総コレステロール・中性脂肪値の減少が見られたことが報告されている成分ですし、レシチンも脂質の代謝を活発にさせることで血中脂質(コレステロールや中性脂肪)を減少させる働きがあると考えられています。抗酸化物質と合わせて高脂血症・動脈硬化症・高血圧などの予防にも役立ってくれるでしょう。

また、アントシアニンを使用した研究では内臓脂肪量の減少や、血清中アディポネクチン濃度が増加した事が報告されています。アディポネクチンというのは脂肪細胞から分泌される生理活性物質(アディポサイトカイン)の一種であり、血管修復やインスリン感受性を高める働きを持つことから“善玉ホルモン”と称されている存在。アントシアニンはこのアディポネクチンの分泌を亢進する働きを持つ可能性があるため、インスリンの働きを正常化して糖尿病予防に役立つのではないかと注目され研究が行われています。

肥満予防・ダイエットサポート

黒豆は食物繊維やオリゴ糖・カリウムなど老廃物の排泄を促す働きのある成分を含んでいることから、デトックスサポートにも役立つと考えられています。大豆レシチンやサポニンによる血行促進による代謝向上効果、大豆サポニンにはブドウ糖と脂肪の合体を抑制する働きが報告されていますから、脂肪蓄積を抑制する働きも期待できるでしょう。大豆ペプチドに含まれるリジン・メチオニン・アルギニンなどのアミノ酸も脂肪燃焼作用があると考えられており、有酸素運動前に摂取すると脂肪燃焼酵素リバーゼの働きを活性化さるとも言われていますよ。

加えて、アントシアニンによって分泌が促されると考えられている善玉物質アディポネクチンにも肥満予防効果が期待されています。アントシアニンも脂肪吸収を抑制する働きがあるという説もあります。「大豆ダイエット」よりも「黒豆ダイエット」が広く行われているのはこのアントシアニンの働きも大きいでしょう。脂肪蓄積抑制・脂肪燃焼向上・老廃物排泄促進の3つのポイントからダイエットをサポートしてくれる食材として、黒豆は日本を始め欧米でも注目されている食材の一つ。栄養価が高い食材でもあり、糖質含有量が低く食物繊維が多い=満腹感の維持・食べすぎ予防に繋がるのも嬉しいところですね。

ただしダイエットにはバランスの取れた食事や適度な運動も必要ですから、通常の食事+黒豆を食べるだけで痩せるという期待はしないほうが良いでしょう。ご飯のカサ増しに加える・おやつ代わりに炒り黒豆を数粒ゆっくり噛むなどすると便秘やむくみ予防にもなりますし、運動前に摂ることで効率を高める働きは期待できます。健康維持やアンチエイジングにも役立ってくれるので一石二鳥、三鳥の食材であることは間違いないでしょう。

更年期障害・骨粗鬆症対策に

大豆に含まれている成分の中で、特に女性に注目されている栄養素として大豆イソフラボンがあります。大豆イソフラボンというはイソフラボン類の総称であり、大豆イソフラボンにはゲニステイン・ダイゼインなどの女性ホルモン(エストロゲン)と似た構造を持つ成分が含まれています。このため大豆(イソフラボン)の摂取はエストロゲンの急激な減少から起こる火照り・のぼせ・イライラ・不安・憂鬱など更年期障害と諸不調の軽減に効果が期待されています。黒豆も大豆と同じくイソフラボンを含んでいることから、更年期障害の予防や緩和に役立つのではないかと考えられています。

ちなみに近年スーパーイソフラボンとも呼ばれ、より高いエストロゲン作用を持つとされるエクオールは、ダイゼインが腸内細菌の働きによって変換されて産生される物質。しかし日本人の約半分しか必要な腸内細菌を持っておらず、特に若年齢層は高年齢層よりも低い傾向にあると言われています。エクオールがホルモン物質であることは認められているものの、イソフラボンのエストロゲン様作用については否定的な見解もあります。反対にイソフラボンそのものの弱いエストロゲン作用を示す・エストロゲン分泌を促すなどの働きを持つとする説も。実験でもエストロゲン作用については有・無両方の結果が報告されていますから、可能性がある程度に考えておくのが無難であります。

とは言え、黒豆にはレチシンやカルシウムなど精神面のサポートに役立つ成分も含まれているため、特に精神面の不調に関しては女性ホルモン様作用以外の面からもサポートが期待できるでしょう。またエストロゲンには骨にカルシウムを蓄えておく働きもあり、閉経後に女性の骨粗鬆症リスクが激増するのはエストロゲンの分泌の減少による影響が大きいと考えられています。黒豆はカルシウムも比較的多く、マグネシウム・マンガン・亜鉛など骨の維持に関わるミネラル類も広く含んでいることから、閉経後の女性の骨粗鬆症予防に適した食材としても評価されていますよ。

月経関係の不調軽減にも期待

大豆イソフラボンなどの植物性エストロゲン様物質の作用は、ヒト本来のエストロゲンの1/1,000以下と穏やかであると言われています。この性質からエストロゲンが過剰に分泌されている時には幾つかのエストロゲン受容体を埋め、全体的なエストロゲン作用を弱める働き(抗エストロゲン作用)もあると言われています。このため大豆イソフラボンは更年期など女性ホルモンが足りない場合には補う働きを、過剰分泌されているときは抑える働きをする=女性ホルモンのバランスを整える働きを保つ成分としても期待されています。

ホルモンバランスを整える働きが期待されていることから、大豆イソフラボンは月経不順・少量月経・生理痛・月経前症候群(PMS)などエストロゲン分泌が少ないことだけが原因とも言いきれない、若い女性の月経に関するトラブルの軽減にも役立つのではないかと考えられています。イソフラボンの作用については賛否両説がありますが、黒豆はPMSなどのトラブルを訴える女性が不足傾向にあると指摘されているビタミンB6などのビタミンB群、亜鉛・マグネシウム・鉄分などのミネラル類も幅広く含んでいます。

また、PMSの悪化要因とされるむくみの軽減・生理痛や月経不順の悪化要因として挙げられる血行不良(冷え)の軽減にも効果が期待できますから、イソフラボン以外の面からも女性の健康サポートに役立ってくれるでしょう。ただしイソフラボンは過剰摂取で乳がんなどのエストロゲン依存性疾患の発症リスクを高める危険性も指摘されていますので、適量の摂取を心がけるようにしましょう。

美肌・アンチエイジングに

黒豆はビタミンB群やミネラルの含有量は概ね大豆よりも低い傾向にありますが、アントシアニンやビタミンEなど抗酸化作用を持つ成分は大豆よりも多く含まれています。このため黒豆は抗酸化作用によるアンチエイジング(老化予防)により高い効果が期待できると考えられています。大豆ぺプチドも皮膚のコラーゲン生成に必要なアミノ酸のバランスが良く肌弾力向上やシワ軽減に有効とされていますから、抗酸化作用と合わせて肌弾力向上やシワ・たるみの軽減効果が期待できるでしょう。肌のバリア機能改善作用に良いという説もあります。

そのほかエストロゲンは「美肌のホルモン」とも言われるくらい美肌に欠かせない成分で、肌の水分調節やコラーゲンの生成を促進する機能があると言われています。また女性らしい体のラインを作る働きもあり、生理後や恋をした時に女性が綺麗になるはエストロゲンの恩恵も大きいという説もあるほど。このため大豆イソフラボンの摂取でエストロゲン不足が軽減されることからも肌のハリ・ツヤの向上などが期待されています。

加えて皮膚の健康維持に必要なビタミンB群、特にタンパク質の代謝に欠かせないビタミンB6が植物性食品としては多く含まれていますから、肌荒れ予防にも役立ってくれるでしょう。脂質代謝に関わるビタミンB2も含まれていますのでアントシアニンなどの抗酸化物質と相乗して過酸化脂質を抑制し、大人ニキビの予防にも効果が期待できます。ビタミン類としてみると黒豆はビタミンAとビタミンCがほとんど含まれていませんから、美肌効果やアンチエイジング効果を期待する場合は緑黄色野菜や果物類などと組み合わせて摂取すると良いでしょう。

目的別、黒豆のおすすめ食べ合わせ

黒豆の食べ方・注意点

黒豆も大豆同様に蒸す・炒るなどの調理の方が栄養素が流れ出すのを防ぐことができます。また鉄鍋で煮るとアントシアニンと鉄が反応して色が悪くなる・効果が落ちる可能性があると言われています。

黒豆の注意点

大豆イソフラボンの摂り過ぎは月経不順や乳ガン・子宮ガン・子宮筋腫などのエストロゲン依存性疾患の発症リスクが高まることが指摘されています。食品安全委員会では1日あたりの摂取目安量の上限値は70~75mg、そのうちサプリメントなどの健康食品による上限値は30mgとしています。普通に大豆や黒豆・大豆製品を食べる分には問題無いと言われていますが、サプリメントなどと併用して過剰に摂取するのは控えましょう。婦人科系の疾患のある方であれば、医師に相談して大豆等の摂取量を確認することをお勧めします。

参考元:黒大豆の機能性研究会Evidence-Based Therapeutic Effects of Anthocyanins from FoodsSoybeans 101: Nutrition Facts and Health Effects