アマランサス(赤粟/仙人穀)とその栄養成分や効果効能
|キヌアよりもミネラルが豊富!? 注目成分は…?

食べ物辞典:アマランサス

アマランサスは栄養価の高さから「スーパーグレイン(驚異の穀物)」とも呼ばれる食材。南米原産のヒユ科植物で、高栄養価でグルテンフリー・栽培しやすいことから世界的に注目されている食材です。日本では江戸時代から東北を中心に栽培されており、恐山の修行僧達が食べていたという伝承から“仙人穀”とも呼ばれていますよ。キヌアと似た印象のアマランサスですが特にミネラルが多いことが特徴で、農薬不使用の国産品が流通しているため安心感が高いのもメリットと言えます。そんなアマランサスの歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。

アマランサスのイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:仙人穀/赤粟
英語:Amaranthus

アマランサス(仙人穀)のプロフイール

アマランサスとは

日本ではNASAが認めるスーパーフードとしてキヌアが有名になりましたが、アマランサスも同様にスーパーフードの一つに数えられる存在。世界的に注目されるきっかけは世界保健機構(WHO)が高たんぱく質・高栄養価の穀物として、アマランサスを「未来の食物」と称したためとも言われていますよ。またアメリカ航空宇宙局(NASA)でも栄養価の高さ・過酷な環境下でも生育することなどから「21世紀の主食」と評価し、宇宙飛行士の食料にも取り入れが検討されたそう。

そんなアマランサスはヒユ科ヒユ属(Amaranthus/アマランサス属とも)に分類される、南米が原産の植物。便宜上“穀物”と称されていますが、イネ科ではないので厳密には擬似穀物と呼ばれます。消費者目線では「雑穀」と総称していますが、ソバやキヌアなどはアマランサス同様に擬穀類で、ヒエ・アワはイネ科なので穀類に含まれてますよ。ちなみに同じく擬穀類で南米原産・高栄養価穀物とされるキヌアはヒユ科アカザ属と同科別属。食味や外見もよく似ていますが、そこまで近い植物ではありません。

通常「アマランサス」という呼び名はアマランサス属に属される植物全体を指し、分類法によっても異なりますが70種以上の種があるとされています。その中には種子が食用とされているものいくつかありますが、日本で主に食用と種子として流通しているものは学名Amaranthus caudatus和名では赤粟(アカアワ)や仙人穀(センニンコク)、もしくは紐鶏頭(ヒモゲイトウ)と呼ばれている種です。日本では江戸時代後半くらいから栽培されており、東北を中心に食用利用されてきたことが分かっています。仙人穀という和名についても、青森県にある恐山の修行僧たちがアマランサスを食べていたことが由来という説がありますよ。

国産アマランサスは白米の普及などで衰退し、インコなど鳥・小動物のエサという扱いを受けたり、一部のアレルギーがある方向けとして生産されていた程度だったそう。しかし近年は栄養価の高い食材として欧米で人気になり注目されたこと、アレルギーがなくともグルテンフリーを心がける方が増えたなどの関係もあり再評価されています。秋田県や岩手県など始め北海道や長野県などでも栽培が行なわれており、完全無農薬や化学肥料不使用のアマランサス(仙人穀)も作られていますよ。国産キヌアも作られてはいますが、農薬不使用・国産品という安心感のある商品を買いたい場合はアマランサスのほうが流通量が多くなっています。

ちなみに量販店などで流通しているアマランサスは白~黄土色系が主流ですが、キヌアと同じく赤色・黒色のアマランサスもありますよ。また「驚異の穀物」と称されるアマランサスの種子の方が注目されがちですが、アマランサス(属)には多くの種がありますが、大まかには穀類(種子)用・野菜用・観賞用の三種類に分けられており、野菜用のものは葉を食べるために栽培されています。アマランサスの葉には鉄分などのミネラルが多く含まれていることが認められており、種子だけではなく葉もスーパーフードに含めるという声もあるほど。最近は日本のスーパーでももアマランサスの葉が置かれていることがありますし、家庭菜園用の種も販売されています。

アマランサスの歴史

アマランサスはキヌアと同じく南米もしくは中南米周辺が原産とされており、古いものでは栽培の歴史は8,000年以上(紀元前5000年頃から)という説もあります。栽培開始時期については諸説ありますが、紀元前のうちに栽培されていたということはほぼ確実と考えられています。マヤ・アステカやインカ帝国では豆類・トウモロコシなどと並ぶ貴重な食べ物として広く栽培されていたことが分かっています。

またアマランサスは染料としてや装飾品作りなどにも利用されていたと考えられていますし、葉は怪我の治療や下痢止めなど薬のよううにしても利用されていたようです。宗教的な意味合いでもアマランサスは非常に大切にされた食材で、アステカではアマランサスと蜂蜜を練り合わせたもので守護神の像を作り、祝祭が終わると食べるという風習もあったそう。メキシコの伝統菓子としてもアマランサスを固めた「アレグリア(Alegría)」がありますし、南米の祝祭「死者の日」では現在もドクロを模った“カラベラ”というお菓子が食べられています。クッキーや砂糖を固めたものが多いそうですが、元々はアマランサスを蜂蜜で固めて作られていたものでアステカ文明の名残とも言われていますよ。

そんな中南米で大切にされていたアマランサスですが、16世紀スペイン人達によってアステカやインカ帝国が征服されると悲劇に見舞われます。征服後に彼らはアマランサスの畑を焼き払い、所有者や栽培しようとした人には重い罰を与えたのだそう。こうしたスペイン人たちの施策からアマランサスは一時期生産が激減し、ほぼ忘れられた存在となっていたため「失われた穀物(lost grain)」とも表現されています。ちなみにスペイン人がここまで執拗にアマランサスを取り除こうとした理由としては、キリスト教信仰を強制するために宗教的に重要な意味を持つアマランサスが邪魔であった・アマランサスを使って作った神像を切り取って食べるのが生贄文化と繋がると考えられたなどの諸説あります。

スペイン人によって撲滅されたように言われるアマランサスですが、16世紀には食材ではなく観葉植物としてヨーロッパに持ち込まれています。過酷な環境下でも栽培できることが注目され、インドやネパールなどでも栽培が行なわれるようになったとされていますから、あくまでも中南米においてキリスト教の布教・先住民族の恭順化に害をなす存在と考えられた可能性が高そうですね。冒頭でも紹介したように日本へも江戸時代に観賞用として伝来しており、江戸後期には東北を中心とした一部地方で食用のため「赤粟」として小規模ながら栽培が行われていたことも分かっています。

アメリカやヨーロッパにおいてアマランサスが再び脚光を浴びるようになったのは1970年代とごく最近のことです。先住民族の文化や象徴としての重要性が考えられるようになったことに加え、栽培しやすく高栄養価な食材としてアメリカ科学アカデミーがアマランスやキヌアを将来有望な経済作物として取り上げたことが大きかったのだそう。このことが報じられると南米やインド・中国・ネパールなどの一部地域でしか栽培されていなかったアマランサスは健康食材として注目されるようになります。

アマランサス(仙人穀)の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

アマランサスやキヌアがスーパーフードとして脚光を浴びたのは、栄養成分が多いこと・グルテンフリーでアレルギー性が低いことの2点が大きいと考えられます。元々は飢餓問題対策としてや、セリアック病(グルテン不耐性・小麦粉アレルギー)やアトピー性皮膚炎の方などアレルギー疾患用の食品として取り入れられていました。

しかし近年はベジタリアン・ヴィーガンの方の栄養補給源としてや、健康やダイエットのためにグルテン減量を心がけている方、栄養バランスが気になる方まで様々な目的で広く取り入れられる食材となっています。不足しがちな栄養素を多く含んでいることに加え、アマランサスにはスクワレンやトコトリエノールなどの成分が含まれていることも注目されています。

アマランサスのイメージ02

アマランサスの効果効能、その根拠・理由とは?

栄養補給・疲労回復に

アマランサスはキヌアは甲乙つけがたいほどの高栄養価穀物として共に評価されている食材。白米の約2倍タンパク質を含んでいますし、アマランサスのタンパク質は溶解性が高く白米の3倍以上消化が良いという説もあります。脂質も白米よりも多く含まれていますが、脂質部分には不飽和脂肪酸やスクワレンが多く含まれていることが認められ健康メリットが期待されています。アマランサスはタンパク質(アミノ酸)や脂質以外にビタミン類やミネラル類も含んでいるため、バランスの良い栄養補給を手助けしてくれるでしょう。

加えて穀類の中では必須アミノ酸のバランスが良く、肝臓機能のサポートや疲労回復効果の期待されるリジンやメチオニンなども含まれています。特にリジンは代謝を促してくれるアミノ酸の1つで疲労回復に役立つと考えられていますし、脳へのエネルギー供給に関わることから集中力を高める働きも期待されています。栄養をバランスよく補えることからアマランサスは肉体疲労・脳疲労・疲労感など様々な“疲れ”の軽減にも期待されています。

骨粗鬆症予防・成長サポート

高栄養穀類と称されるアマランサスですが、玄米やキヌアなどと比べてミネラル含有が多いことが特徴でもあります。マグネシウム・亜鉛・鉄分などはキヌアよりも多く、特にカルシウム含有量については100gあたり160mgと同グラムで比較するとキヌアの3倍以上・白米の30倍以上にもなります。カルシウムは骨や歯を丈夫に保つことから、特に成長途中のお子さんや骨粗鬆症のリスクが高まる閉経後の女性に摂取が推奨されていますね。

アマランサスにはカルシウムとバランスを取り合っているミネラルで、骨の形成や維持にも関わるマグネシウムも多く含まれています。リジンもカルシウムの吸収をサポートする働きが期待されていますし、発育・成長促進にも関わるため、骨粗鬆症予防からお子さんの健康な成長サポートとしても役立ってくれるでしょう。

貧血予防・改善のサポート

アマランサスはミネラル系に強い擬穀類で、鉄分も100gあたり9.4mgと豊富に含んでいます。女性に不足しがちなミネラルと言われるカルシウムと鉄分、両方の補給に役立ってくれるのは嬉しいところですね。ちなみに同グラムあたりの鉄分含有量は白米の10倍以上・ホウレンソウの約4.5倍・キヌアと比較しても約2倍の量となります。ご飯に混ぜて炊くなどすると、鉄分補給に役立ってくれるでしょう。

ヘモグロビンの原料でる鉄分不足による“鉄欠乏性貧血”が女性の貧血の主な原因であることはよく知られていますが、亜鉛が不足することで赤血球膜の合成がうまく行かずに赤血球が壊れやすくなる“亜鉛欠乏性貧血”が意外に多いということも指摘されています。スポーツ貧血と言われているのも亜鉛不足が大きいと考えられていますし、自覚していない人も含めると亜鉛欠乏症貧血は鉄欠乏性貧血と同程度に多いという見解もありますよ。

アマランサスは100gあたりの亜鉛含有量も5.8mgとキヌアの1.8倍含まれており、鉄分&亜鉛含有量については穀類・豆類のトップと言える食材です。加えてヘモグロビンを作るために必要とされる銅・赤血球の合成に必要とされる葉酸も130μgと比較的多いので、貧血気味の方や造血に関わる栄養素、特にミネラルの不足が気になっている方に適した食材だと考えられます。

ストレス対策・精神安定にも

アマランサスは100gあたりカルシウムを160mg、マグネシウムを270mg含み、穀類の中では圧倒的にカルシウムとマグネシウムの含有量が豊富な食材です。マグネシウムとカルシウムは互いにバランスを取り合っているミネラルであり、神経や筋肉の興奮・抑制にも関係しています。この働きから抗ストレス・精神安定に役立つミネラルとしても注目されており、カルシウムとマグネシウムの適切な摂取はイライラなどを落ち着ける精神安定剤のような役割を果たすという説もありますよ。

加えてアマランサスにはセロトニンやメラトニンの原料となるトリプトファンも含まれています。アマランサスに含まれているマグネシウムとビタミンB6はセロトニン・ドーパミン・GABAなどの神経伝達物質の生成に関わる栄養素ですから、まとめて摂取できることで利用率向上も期待できるでしょう。そのほかストレスに反応して分泌される副腎皮質ホルモンの合成・分泌に関わり「抗ストレスビタミン」とも呼ばれているビタミンB群の一種、パントテン酸も100g中1.69mgと穀類では多く含んでいます。こうした栄養素を広く含んでいることから、アマランサスはストレス対策や神経・精神面での健康維持にも役立つと考えられています。

便秘・むくみ予防に

アマランサスは100gあたり7.4gと、同グラムの白米の約15倍もの食物繊維を含む食材です。食物繊維の内訳としては不溶性食物繊維が多く含まれているため、腸を刺激することで蠕動運動を活発化させる働きが期待できます。また腸内の当廃物を絡め取るようにして一緒に排泄されてくれるので、腸内の老廃物排出にも繋がるでしょう。

加えてカリウム含有量も100gあたり600mと、穀類としてはキヌアと共にトップクラス。カルシウムとマグネシウムの関係と同様にナトリウムとカリウムもバランスを取り合っているミネラルで、細胞内外の浸透圧を調整する働きがあります。塩辛い食事などで血中ナトリウム濃度が濃くなると、身体はそれを正常に保つため水分を蓄え、結果としてむくみが起こります。カリウムはナトリウムの排泄を促進し水分排泄を促す働きがありますし、マグネシウムもカリウムの運搬サポート・血液循環の正常化などに関係するためむくみ改善に役立つと考えられています。

アマランサスには不足することで利尿能力が低下しむくみの原因になるとされるアミノ酸のメチオニンなども含まれています。このためアマランサスはむくみ予防・改善にも効果が期待されていますし、メチオニンはセレンと協力して有害重金属の排出を促す働きもあるため、デトックス面にも繋がる可能性があると注目されています。

抗酸化(アンチエイジング)に

キヌアやナッツ類などと比較すると、アマランサスは100gあたり1.3mgとさほど多くのビタミンEを含んでいないように感じられます。しかしアマランサスにはトコトリエノールと呼ばれるビタミンEの一種が含まれていることが分かっています。ビタミンEは大きくトコフェロールとトコトリエノールの二種類に分けられ、それぞれα、β、γ、δの4種類に更に分けられます。一般的にビタミンEとして紹介されるのはトコフェロール系で、簡易版の食品成分表であればα-トコフェロールの含有量がビタミンE量として表示されています。

日本食品標準成分表にも記載がないためか日本ではあまり注目されてないトコトリエノールですが、実はα-トコフェロールより高い抗酸化作用を持つことが報告されている成分。トコフェロールの50倍近くの強い抗酸化力を持つという説もあり、トコトリエノールは「スーパービタミンE」とも呼ばれアメリカを中心に研究が進められています。アマランサスはこのトコトリエノールを含んでいることに加え、抗酸化酵素の合成に必要なセレン(セレニウム)とセレンの運搬やクレアチン合成に関わるメチオニンも含んでいるため抗酸化にも役立つと考えられています。

妊娠中の栄養補給に

妊娠中に不足させたくないミネラル補給を手助けしてくれることから、アマランサスは妊娠中の栄養補給にも適した食材と考えられます。神経細胞の代謝・成長の補助など赤ちゃんの健康維持に関わる葉酸の含有量こそキヌアよりも低いものの、ミネラル含有量を考えると全体的に見て劣る食材というわけではありません。マグネシウムや鉄分・亜鉛も妊娠中の摂取推奨量は付加量がついている栄養素です。

栄養補給以外に、便秘やむくみ予防に役立つことも嬉しいポイントではないでしょうか。アミノ酸のリジンには免疫力向上効果も期待されていますので、栄養補給と合わせて妊娠中の健康維持に役立ってくれる可能性が高いと言えそうです。アマランサスやキヌアは白米を食べる時に加えるだけで手軽に栄養補給になりますし、つわり・食欲が無い時はサラダなどよりあっさりした食べ方に使うことも出来ますよ。

女性の身体のサポートにも

キヌアは女性ホルモン様物質(フィトエストロゲン)を含んでいるのではなかと言われています。このため更年期障害などに効果が期待されている一方で、エストロゲン様物質の過剰摂取は乳がんなどのリスクを高めるとの報告もなされている成分。食品から通常の量の摂取であれば問題ないとは言われていても「食べるのはちょっと不安」という方もいらっしゃるかと思います。

アマランサスはキヌアと異なりフィトエストロゲンを含んでいません。そのため直接的な女性ホルモンへの働きかけは期待できませんが、ホルモンの合成にビタミンB6、亜鉛、マグネシウムなどを含んでいますから、間接的にホルモンバランスを整える働きが期待されています。亜鉛は卵子の合成に使われる成分のため不足するとホルモンや卵巣の働きの低下に繋がり、生理不順や不妊症の原因となると考えられていますよ。女性に不足しがちな鉄分の補給にも役立ちますから、一石二鳥ですね。

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生活習慣病予防に

アマランサスは白米よりも糖質量が少なく、グリセリンインデックス値(GI値)・グリセミック負荷(GL値)が低い食材です。このため血糖値を急激に上げること無く、血糖値を長時間安定させてくれる食材と考えられます。糖尿病はインスリン分泌・インスリン作用に異常があるため血糖値が正常範囲まで低下しない(高血糖状態が続く)状態を指しますから、血糖値が上がりにくいアマランサスは食事改善に適した食材と考えられます。また日本人糖尿病患者の約95%とされるII型糖尿病の発症要因の1つに“インスリンを分泌する膵臓の疲労”が挙げられていますから、現時点で血糖値に問題はなくとも低GIを心がけることで予防に繋がる可能性もあるでしょう。

加えてアマランサスには高い抗酸化作用を持つとされるトコトリエノールを筆頭としたビタミンE類や、血圧上昇を抑えるカリウムやマグネシウム、血液中のコレステロールを燃焼させることで脂肪肝や動脈硬化予防効果が期待されるメチオニンなども含まれています。脂質もコレステロール低減作用が報告されているオレイン酸など不飽和脂肪酸類が多く、トコトリエノールにも中性脂肪減少効果が報告されているため、高血圧や動脈硬化など生活習慣病全般の予防にも効果が期待されています。

ちなみに食物繊維が豊富なことから血糖値を挙げにくい・コレステロールを排出されるという説もありますが、こうした働きが報告されているのは食物繊維のうち水溶性食物繊維。アマランサスの食物繊維は約85%が不溶性食物繊維となっており、水溶性食物繊維は100gあたり1.1gとされています。効果が全く期待できないというものではありませんが、水溶性食物繊維の補給をメインに考えている場合はアマランサスよりも押し麦など大麦系の方が適しているでしょう。

ダイエットのサポートに

私達の身体は食べ物(糖質)を食べると血糖値が上昇ますが、インスリンが分泌されることで血糖値が一定に保たれています。この時インスリンは血中のブドウ糖を細胞へと取り込むことで血糖値を正常に戻しますが、必要量以上の糖をグリコーゲンや脂肪として貯蔵する働きもあります。また血糖を優先的に使用するため脂肪燃焼を抑える働きなどもインスリンにはあります。

こうした働きから血糖値の急激な上昇を抑える食事は脂肪蓄積抑制・脂肪燃焼促進に繋がると考えられ、ダイエットとしても取り入れられています。白米ご飯を食べるよりも、アマランサスやキヌア・押し麦など雑穀米のようにして食べたほうが良いと言われるのも、栄養補給だけではなく血糖値が上がりにくくなることもあるのだとか。血糖値変動が少なく長期間安定していることは、過剰な食欲を抑えることにも繋がると考えられることから、間食や食べ過ぎ予防にも効果が期待されています。

加えてアマランサスにはカルニチンの構成に関わることから脂肪分解・代謝向上に役立つとされるリジン、エネルギー代謝の過程で働く100種以上の酵素の働きを助けるパントテン酸なども含まれています。むくみや便秘の改善もスタイル(外見)に関わってきますし、便秘改善やデトックスからも代謝低下にも繋がります。このためアマランサスは代謝低下を予防し、運動時などによる脂肪燃焼効率を良くする働きも期待されています。ダイエット中に不足しやすいミネラル類の補給にも役立ってくれますから、ダイエットサポートとしても心強い存在と言えますね。

アンチエイジング・美肌保持に

アマランサスには高い抗酸化力を持つビタミンE(トコトリエノール)や、体内に存在する抗酸化酵素の合成に必要なセレン・その運搬をサポートしてくれるアミノ酸のメチオニンが含まれているため、活性酸素が細胞を酸化することで起こる老化予防に役立つと考えられています。お肌に起こるシワやたるみ外見のアンチエイジングはもちろんのこと、酸化によって起こる様々な健康リスクを低下させる働きも期待されていますよ。

美肌という面で見ると、アマランサスには抗酸化物質以外にも肌に嬉しい栄養素がたくさん含まれています。豊富なタンパク質はコラーゲンの合成原料としても必要な栄養素ですし、トコトリエノールにはヒアルロン酸産生を促す働きも報告されています。加えて脂質の一種であるスクワレンも肌の新陳代謝を活発にする働きから美肌効果が期待されていますし、同じく脂質に含まれるオレイン酸も皮膚(皮脂)の構成物質で肌の乾燥などの予防に注目されています。こうした成分も含まれていることから、アマランサスは肌老化を予防して肌のハリや潤いをサポートしてくれる食材と考えられています。

肌荒れ・抜け毛予防にも

トコトリエノールなどの抗酸化成分は過酸化脂質の生成を抑制することでニキビ予防にも役立ってくれるでしょう。アマランサスに豊富に含まれているパントテン酸もストレスへの抵抗力を高める・ビタミンCの働きを助けてコラーゲン生成を促す働きがあるためニキビや肌荒れを防ぐ働きが期待されています。亜鉛やカルシウムなどのミネラルも不足するとニキビやダーンオーバーの乱れなどが起こることが指摘されていますから、栄養補給の面からも肌荒れ予防を手助けしてくれるでしょう。そのほかトコトリエノールにはメラニン色素生成抑制効果があるという説もあり、貧血予防と合わせて美白や透明感アップなどの働きも期待されています。

またミネラルは骨だけではなく髪を作るためにも必要な栄養価であり、不足すると白髪の原因になるという説もあります。タンパク質(アミノ酸)も髪の原料として必要ですね。特にリジンは髪や肌を構成するタンパク質のケラチン合成に関わる成分のため、抜け毛予防や美髪保持に役立つと考えられています。美髪保持や育毛のためにはケラチンの材料となるシスチンを多く含む食材と食べ合わせるとより効果的であるとも言われています。

アレルギー対策・改善食としても期待

アマランサスはキヌアと共にグルテンアレルギー(セリアック病)の食事療法に使えるグルテンフリー食材として、欧米を中心に注目されています。アレルギーがない方の間でもグルテンの依存性や食欲増進作用が問題視されたことや、セレブも実践している健康法・ダイエット法としてグルテンフリーが話題になったこともあり、アマランサスは広く健康食材として取り入れられています。現在アレルギーがない方の完全グルテンフリーは腸内細菌(善玉菌)の減少などが指摘されていますが、過剰に摂りすぎているグルテン量を減らすために取り入れている方も少なくないようです。

またグルテン以外に食物性アレルギーのアトピー性皮膚炎にアマランサスが有効であり、御飯やパンに約10%混ぜて調理すると、アレルギーが回避できるという報告があることからアレルゲン除去食品(アレルギー用食品)としても利用されています。除去食だと栄養素が偏ってしまいがちですが、アマランサスを取り入れることで不足しがちな栄養素をバランスよく摂取できるようになる点も評価されています。

目的別、アマランサスのおすすめ食べ合わせ

アマランサス(仙人穀)の選び方・食べ方・注意点

アマランサスは粒が非常に小さく砂や土などが混ざり込んでしまっている可能性があるため、食べる前にしっかりと洗う必要があります。目の細かいザルを使って洗うのが最も良いと言われていますが、なければ茶漉しなどを使うのがおすすめです。ボウルや炊飯器のお釜などでも出来ます。

アマランサスは様々なレシピに使われていますが、最も簡単な取り入れ方としては白米に混ぜて一緒に炊くこと。白米1合に対してアマランサスは大さじ1くらいが基本とされています。水加減は白米の時と同じもしくは少し多めにする程度でOK。単独だと食べにくく感じる方もいらっしゃいますが、白米と混ぜると食べやすくなりプチプチとした食感がアクセントになります。

またアマランサスを単体で炊く場合には、茹で上がってから数分程度“蒸らし”時間を置くと水を吸ってくれるのでパサパサしにくくなりますよ。短時間だとプチプチ食感、じっくり煮ると少し粘りが出てモチモチした食感になります。ちなみにカロリー自体は白米と余り変わらないので、ダイエットに使いたい場合はアマランサスご飯にするよりもアマランサスをスープに入れて雑炊感覚で食べたほうが効果が期待できます。食感としては米よりも焼きたらこなどに近く、その触感を生かして佃煮などに魚卵もどきとして使う方も多いのだとか。

そのほかアマランサスをポップコーンのように弾けさせた“ポップアマランサス”というのもよく使われています。作り方はフライパンを加熱してからアマランサスを入れる、コゲないように揺らすだけ。少しすると種がポンポンと弾け始めるので、フタをしておくと良いでしょう。これを作っておくとサラダのトッピングにすぐ加えることが出来ますし、ヨーグルトなどにも加えやすくなります。

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アマランサスの注意点

物によってはかなり苦味(渋み)があるとも言われるように、アマランサスには小豆なども含まれているサポニンという苦味成分が含まれています。これも洗うことで流出するので、風味としても食べやすくなるでしょう。そのほかシュウ酸やフィチン酸なども若干含まれていることから、一晩浸水させてからしっかり洗うのが最も良いという声もあります。ただしメーカによってサポニンなどの除去がなされ水洗い不要のものあるので、パッケージをよく見るようにしましょう。

サポニンは抗酸化作用など有益な働きも報告されていますが、過剰摂取は胃腸を刺激する・腸粘膜に穴があく(リーキーガット)原因になる場合があるという報告もあります。そこまで極端な例は稀なようですが、消化不良を起こして下痢になる可能性があること・アマランサスは不溶性食物繊維が多いのでいきなり食べ過ぎると便秘になってしまう可能性があることも指摘されています。慣れないうちは一日の摂取量を大さじ2杯程度に留めるようにしましょう。非加熱のものは食べられません。

アマランサスの葉の栄養について

アマランサスは種子だけではなく茎葉も食べられる植物で、地域によっては野菜として販売されています。沖縄県で「ちゃーびらさい(ちゃーびら菜)」と呼ばれているもので、野菜ソムリエ読谷暮らし様によるとほうれんそうを上回るほどカルシウムや鉄分を多く含んでいるそうです。また葉物野菜としてはタンパク質が多いとも言われており、食物繊維なども多いと考えられるためこちらも健康野菜としてジワジワと注目されています。

サラダなど生でも食べられますが、やや青臭くエグみがあるため好き嫌いは分かれるところ。こちらは炒めものなど加熱&味がしっかり目のレシピに使うと良いでしょう。油とも相性が良いのでバターやオリーブオイルを使うと食べやすくなりますし、β-カロテンなど脂溶性成分の吸収率も高まると考えられます。

アマランサス(仙人穀)の雑学色々

アマランサス・キヌア・白米の栄養比較

 キヌアアマランサス白米
エネルギー368kcal358kcal356kcal
タンパク質14.12g12.7g6.1
脂質6.07g6.0g0.9g
炭水化物64.16g64.9g77.1g
食物繊維7.0g7.4g0.5g
鉄分4.57mg9.4mg0.8mg
亜鉛3.1mg5.8mg1.4mg
カリウム563mg600mg88mg
マグネシウム197mg270mg23mg
カルシウム47mg160mg5mg
ビタミンB10.36mg0.04mg0.08mg
ビタミンB20.318mg0.14mg0.02mg
ビタミンB60.487mg0.58mg0.12mg
葉酸184μg130μg12μg
パントテン酸0.77mg1.69mg0.66mg
ビタミンE2.44mg1.3mg0.1mg

※キヌアはUSAD/アマランサスと白米は日本食品標準成分表に記載されている数値となります。

 キヌアアマランサス白米
トリプトファン167mg181mg84mg
スレオニン421mg558mg220mg
イソロイシン504mg582mg240mg
ロイシン840mg879mg500mg
リジン766mg747mg220mg
メチオニン309mg226mg150mg
シスチン203mg191mg140mg
フェニルアラニン593mg542mg320mg
チロシン267mg329mg230mg
バリン594mg679mg350mg
アルギニン1091mg1060mg500mg
ヒスチジン407mg389mg160mg
アラニン588mg799mg340mg
アスパラギン酸1134mg1261mg570mg
グルタミン酸1865mg2259mg1100mg
グリシン694mg1636mg280mg
プロリン733mg698mg290mg
セリン567mg1148mg310mg

※キヌアとアマランサスはUSAD/白米は日本食品標準成分表に記載されている数値となります。

アマランサスのメリット

アマランサスの場合はキヌアと比較してもミネラル含有量が非常に高いことが特徴と言えるでしょう。鉄分や亜鉛はキヌアの約2倍、カルシウムについては3倍以上の含有量があると考えられます。貧血予防やミネラル補給源としてはより適していると考えられますし、食物繊維もやや多いので便秘の方にもオススメです。

また副腎機能を助ける抗ストレスビタミン「パントテン酸」や、睡眠の質に関係すると考えられているアミノ酸「グリシン」の含有量も多いのでストレス対策にも効果が期待できそうです。若干渋みや土臭さがあり食べにくいとは言われているものの、輸入品が多いキヌアに対してアマランサスは国産品・無農薬のものを比較的手に入れやすいことも魅力。加えてキヌアは女性ホルモン様作用を持つ可能性があると言われていますから、そうした面が心配な方・小さいお子さんと一緒に食べたい方にも適しているかもしれません。

キヌアのメリット

キヌアはビタミンB1,B2の含有量が多く、またGI値も米白が81なのに対してアマランサスは45・キヌアは35と低いと考えられています。その他に脂肪燃焼効果の期待できる栄養素として注目されている必須アミノ酸「メチオニン」含有もアマランサスを上回っていることから、代謝の向上を期待する場合や、健康的な食事でダイエット・肥満予防を行いたい、糖尿病予防として取り入れたい方などに適していると考えられます。

加えてキヌアには女性ホルモンとして働く成分(フィトエストロゲン)が含まれているという説もあるため、更年期障害や月経トラブルなどホルモンバランスに起因する女性特有の不調軽減・骨粗鬆症予防、もしくは美肌や女性らしいボディライン作りなどを目指している方にも良いでしょう。若干土臭いような風味があるとも称されるアマランサスに比べて、キヌアはどんな料理にも取り入れやすいこと・単体で食べやすいことも特徴と言われていますよ。

キヌアの詳細はこちらの記事へ