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【松子仁】松の実の栄養効果

松の実(マツノミ)イメージ

松の実とは

サムゲタンをはじめとした“おうちで出来る薬膳系レシピ”の材料として登場することも多い松の実。かつて中国ではクコの実と同じように「松の実を1日に3回、毎日食べ続けると仙人になれる」と考えられていたため、滋養強壮に欠かせない食材として漢方や薬膳でも大切にされているのだとか。中国や韓国など東洋系の料理で使われるイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、イタリア他ヨーロッパや中東・北米料理でも使われています。松の実を使う洋食として知られているものではバジル・ニンニク・オリーブオイル・松の実で作るジェノベーゼソースがありますし、サラダやソテーなどにトッピング感覚で合わせることも多いですね。

松の実は英語ではPine nutやPine seed、イタリア語でpinoliと呼ばれています。呼び名の通り松の木にできる種子で、松に出来る球果(松ぼっくり/松笠)の中に入っている茶色い種子の中にある“胚乳”部分を食用としています。マツ属の樹木は世界的に見ると100種類以上がありますが、このうち松の実の食用に適したものは約20種類程度と言われています。ちなみに日本でお馴染みのクロマツやアカマツの種子は小さいため食用には用いられておらず、日本で松の実として流通している多くは朝鮮五葉松(チョウセンゴヨウ)の種子。そのほか北米のピニョン松、ヨーロッパのイタリア笠松などが代表的な食用種となります。

上記の通り松の実は中華やイタリアンなど各地で用いられていますが、人工的に受粉させて栽培することが難しいため価格面としては比較的高価な部類に入ります。松の実がない場合はアーモンドなど他のナッツを砕いて使うようアドバイスされているレシピも多いですよね。単体で食べるにはあまり味がしないことなどもあり、ナッツブームの最中でも大流行と言うほど脚光は浴びなかった印象があるかもしれません。
しかしピノレン酸という脂肪酸に食欲抑制作用が報告されていること・有名モデルが取り入れていることなどからダイエット食材として注目度が高まっているそう。また栄養価としてもアンチエイジングや美肌に有用な成分が含まれていると考えられることから、滋養強壮食としてだけではなく美容食としても期待されている存在です。

松の実の歴史

松の木は世界中、特に北半球の広い範囲に分布しています。食用に適しているとされるものもヨーロッパや中国を含むユーラシア大陸や北米など各地にあるため、各所において旧石器時代には採取し食べていたと考えられています。西洋方面では古代ギリシア人とローマ人は松の実を食べており、蜂蜜に漬け込んで保存もしていたそう。また旧約聖書『ホセア書』に書かれている“私は緑の糸杉のようだ。あなたはわたしから実を得る”という行は松の実を指していると言われていますから、ヨーロッパにおける食用・栽培の歴史は古いと推測されています。

中国では2000年ほど前に書かれた『列仙伝』という書物には、松の実を食べ続けたことで不老長寿の肉体を手に入れ仙人になった“屋全(アクゼン)”という人の伝承が残っています。中国では松の実を「長寿果」と呼ぶそうですし、こうした伝説から古くから仙人の霊薬・不老長寿の薬と考えられていたことがうかがえますね。後に記された『開宝本草』や『本草綱目』などの薬学書にも薬効がある食材として記載が残っています。薬膳料理や宮廷料理などに使われることが多いのも納得と言えます。

ちなみに日本で松の実を何時頃から食べていたのかははっきりわかっていませんが、『本朝食鑑』には朝鮮半島から最近移植していること・『大和本草』には日本の松の実より朝鮮から輸入されたものの方が美味しいことが書かれているそう。こうした記述から松の実を食べることについては江戸時代に知られていたと考えられています。しかし日本に多く自生する松から採れる松の実はあまり美味しくなかったため、中国・朝鮮半島ほど重視されなかったのではないかと考えられます。

松の実はこんな方にオススメ

  • 疲労・疲労感の軽減に
  • 手軽な栄養補給源として
  • 便秘気味・便が硬い方
  • 貧血・血行不良の軽減に
  • 冷え性改善のサポートに
  • アレルギーを軽減したい
  • 食欲を抑えたい方
  • ダイエット中の方
  • 若々しさを維持したい
  • 生活習慣病の予防に
  • 肌老化予防・美肌作り
  • 美髪作り・抜け毛防止

松の実の主な栄養・期待される効果

松の実は全体重量の7割以上と、脂質を非常に多く含む食材です。100gあたりのカロリーも690kcalとナッツ類でも高めですが、鉄分や亜鉛・マグネシウムなどのミネラルが豊富で、ビタミンEやビタミンB群も多く含んでいますので栄養補給源として役立ってくれるでしょう。
また脂質が多いと言うとマイナスイメージを持たれがちですが、オレイン酸やリノール酸、様々な効果が期待されている松の実特有のピノレン酸(P-リノレン酸)などの不飽和脂肪酸の含有が多いため適量であれば肥満や生活習慣病の原因となる可能性は低いとされています。

疲労回復・栄養補給

松の実はビタミンやミネラルを豊富に含むナッツ類ですが、ビタミン類としてはビタミンEとビタミンB群が豊富に含まれています。ビタミンB群の中でも100gあたり0.61mgとビタミンB1を多く含むこと・良質な脂質やタンパク質の補給源となることから疲労回復や栄養補給源としても適していると考えられます。またビタミンEの抗酸化作用も疲労感の軽減や、酸化による免疫力低下予防に繋がるでしょう。

松の実が滋養強壮に良いというのもこうした栄養価の補給に役立つという面も関係しているでしょう。ただしビタミンCを含むという文献もありますが『日本食品標準成分表』によるとビタミンCは生であればTr/炒り松の実であれば0となっていますから、ビタミンC補給源としては期待しないほうが確実です。

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便秘予防・改善

松の実は東洋医学の考え方では「腸を潤し便通をよくする」食材とされており、便通を良くする働きを持つ食材ツィても用いられています。成分的に見ても食物繊維が100gあたり6.9g含まれていますから、一日10g程度の摂取でグレープフルーツ100gと同程度の食物繊維を補給できると考えられます。大量に摂取するものではありませんから主な食物繊維補給源とは言い難いですが、通常の食生活で不足しがちな食物繊維をカバーするという点では十分に役立ってくれるでしょう。

また松の実に含まれている脂質のうち、オレイン酸などの不飽和脂肪酸は腸内で潤滑油のような働きをして便の移動・排泄をスムーズに行うのを助ける働きがあると考えられています。このことからも「腸を潤し便通を良くする」と言われるに近い働きが期待できます。ゴマと同様に便が硬い・コロコロした形状の方や、便意はあるのになかなか出てこないというタイプの方に適しているでしょう。

貧血・冷え性軽減

松の実は鉄分が100gあたり6.2mgと豊富で、亜鉛も100gあたり6mgと多いことから「陸の牡蠣」とも呼ばれています。鉄分は赤血球を作っているヘモグロビンの成分として利用され、不足することで起こる鉄欠乏性貧血がよく知られています。亜鉛は赤血球膜に必要な成分で不足すると赤血球が脆くすぐ壊れてしまう=活動性血球が減少し亜鉛欠乏性貧血と呼ばれる貧血を起こす可能性があります。このため亜鉛と鉄分の両方が摂取できる松の実は貧血の予防・改善に有効とされています。

造血に関わる栄養素は亜鉛と鉄分だけではありませんが、松の実は鉄分の優秀や利用をサポートしてくれる銅・赤血球合成に関わる葉酸などの補給としても役立ってくれるでしょう。加えて血行をサポートしてくれるビタミンEやナイアシンなどのビタミン類、赤血球を柔らかくすることで血液循環をサポートする働きが期待されている不飽和脂肪酸の一種ピノレン酸なども含まれていますから、血行不良性による貧血改善にも効果が期待されています。代謝を促進するビタミンB群も含まれていますから、貧血改善・血行促進と合わせて冷え性の軽減にも効果が期待できるでしょう。漢方や薬膳でも松の実は温性=体を温める食べ物に分類されており、体を温める働きがある食材とされています。

アレルギー・かゆみ緩和

松の実の特異成分とされるピノレン酸はリノレン酸(オクタデカトリエン酸)の一種とされる不飽和脂肪酸です。大まかにオメガ6(n-6)系は炎症促進・オメガ3(n-3)系は炎症抑制方向に働くと考えられています。オメガ3系とオメガ6系は対になる作用を持つことでバランスを取り合っており、オメガ3系:オメガ6系=1:4の比率で摂取するのが理想的とされています。しかし近年の食生活ではリノール酸などのオメガ6系の不飽和脂肪酸摂取が過剰で、脂質摂取のバランスが崩れていることからアトピーなどのアレルギーが起こりやすくなっているのではないかという事も指摘されています。

ピノレン酸はγ-リノレン酸の異性体でありオメガ6(n-6)系脂肪酸に分類されている成分ですが、リノール酸を痒みなどの炎症の原因物質に変化させる酵素の活性を抑制し、炎症物質となるのを防ぐ働きがあるのではないかと考えられています。このためピノレン酸はアレルギー・炎症・発熱などの炎症を抑制する=抗炎症・抗アレルギー作用を持つ成分として期待され、ピノレン酸を含む松の実や松の実油はアレルギー軽減に役立つのではないかと注目されています。また松の実はピノレン酸を含む脂肪酸全体のバランスも良いので、脂肪酸のバランスを整えるという面でも役立つのではないかという説もあります。

ダイエットサポート

松の実に含まれているピノレン酸(オクタデカトリエン酸)は食欲を抑制するホルモンであるCCK(コレシストキニン)の分泌促進作用があることが報告されていることから、食欲抑制・ダイエットサポートを目的としたサプリメントなどでも利用されています。加えてピノレン酸やビタミンEなど血流をサポートしてくれる成分、代謝を促すビタミンB群なども含まれていますから食欲の抑制以外に代謝アップにも効果が期待出来ます。食欲を抑えつつ代謝が向上すれば体脂肪・体重減少に繋がりますから、ダイエット中のおやつ代わりなどに取り入れてみても良いでしょう。

便通が良くなることからもダイエットのサポートに繋がりますし、ダイエット中に起こりやすい貧血や冷え性の予防にも役立ってくれそうですね。ただし松の実は100gあたり690kcalと高カロリーなため、食べ過ぎには注意が必要。一日の摂取量の目安は10~20粒程度とされており、この位の量であればカロリーも30kcal~40kcal程度なので気にならないでしょう。

動脈硬化・高血圧予防

松の実は100gあたりのビタミンE含有量が12.3mgと非常に多く、アーモンドには劣るもののナッツ類の中でもトップクラスに入る存在。ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれるように抗酸化作用を持つ脂溶性のビタミンのため、血中脂質が酸化して過酸化脂質となり血管を狭めてしまうことで起こる動脈硬化や血栓などの予防に役立つと考えられます。

ビタミンE以外にも松の実には悪玉コレステロール低減効果が期待できるピノレン酸などの不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。ピノレン酸には血流をサポートする働きも期待されていますから、抗酸化作用と合わせて血流関係のトラブルを予防してくれると考えられます。また血液が無理なくスムーズに循環することをサポートしてくれるため、高血圧予防にも有効とされています。

美肌・美髪保持

ビタミンE含有が多い松の実は肌を酸化ダメージから守ることで、シワやタルミなどの肌老化予防としても役立つと考えられます。また松の実に含まれているピノレン酸はアレルギーや炎症を鎮める働き期待されていますし、ビタミンB群には肌トラブルを防ぎ健康な状態に肌を保つ働きがありますから、肌荒れの予防に効果が期待できるでしょう。そのほか間接的な働きとして鉄分や亜鉛による貧血の改善、ビタミンEやピノレン酸による血行促進から、血行不良によるクマ・くすみの改善、肌の新陳代謝を高めターンオーバーの正常化なども期待出来ます。

肌だけではなく、松の実は髪の健康維持にも有効と考えられています。これは鉄分などの造血に関わる成分・血行をサポートしてくれる成分が豊富なこと、良質な植物性脂質・タンパク質が含まれているため。髪や頭皮の原料と、それを行き渡らせるための成分を補給できることから美しい髪を維持するにも役立ってくれるでしょう。亜鉛には薄毛の原因となる男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)の働きを抑制する効果があることも分かっていますから、美髪保持だけではなく抜け毛予防も期待できそうです。

松の実の選び方・食べ方・注意点

松の実は高カロリーかつ高脂質の食材です。炭水化物量が低い・不飽和脂肪酸が多く健康メリットがあるとは言われていても、過剰摂取はアレルギーの悪化や血栓など様々な病気の発症率を高める可能性も指摘されていますから摂取量には注意しましょう。目安は一日15~20粒(4g)程度、多くても1日10g以内の摂取に留めると良いと言われています。

松の実は脂質が多く、かつ小さいため酸化しやすいと言われています。購入時は鮮度が高いものを販売している信頼できる店舗を選び、密閉容器に入れて冷蔵庫で保存するようにしましょう。使い切れない場合は冷凍すれば2~3ヶ月持つとは言われていますが、使う分ずつ購入したほうが確実でしょう。

松の実に含まれているピノレン酸は朝鮮五葉の松の実にしか含まれていないと紹介されることもありますが、wikipedia(ピノレン酸のページ)によるとシベリアマツほかマツ属の種子に含まれる成分とされています。

松の実のオススメ食べ合わせ

  • 松の実+鶏肉・くるみ・米・クコの実
    ⇒滋養強壮に
  • 松の実+胡麻・生姜・小豆・ナツメ
    ⇒血行促進・冷え性緩和に
  • 松の実+かぼちゃ・豆苗・モロヘイヤ
    ⇒アンチエイジング・美肌作りに
  • 松の実+紫蘇・ハトムギ・レーズン
    ⇒アレルギー軽減に

松の実の民間療法

松の実とくるみをすり潰し、ハチミツで和えたものを食後に湯で溶かして飲むと空咳を止めると言われている。松の実のオイルも同様に咳など呼吸器系の炎症軽減に有効とされています。また痒い部分などに対して、松の実オイルを塗布する方もいるようです。

生薬としての松の実の効能

松の実は海松子(カイショウシ)もしくは松子仁(ショウシジン)などの呼び名で生薬としても用いられています。性質としては温性に分類され、補気養血・潤肺潤腸・潤沢皮膚などの効能があるとされています。基本的には上記でご紹介したものとほど同じで腸の働きを良くする・血を補う・肌を潤すなどとなりますが、そのほか咳止めや脳機能向上にも良いとされているようです。

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投稿日:2014/09/08 (更新)
by SlowBeauty