ナツメ(棗/なつめ)とその栄養成分・効果効能
|女性に適した果物とされる理由、注意点なども紹介

棗(ナツメ)イメージ

棗(なつめ)とは

ドライフルーツなど“そのまま”食べるというよりは健康茶・薬酒などに加工された形で口にする機会の多いナツメ。食べたことがないという方も珍しくはありませんが、韓国・中華料理の材料やドライフルーツの1つとして知名度の高い存在ではありますね。また食用目的でなくとも庭木などとして日本でも栽培されています。市販されているものの多くは乾燥されたドライフルーツでですが、フレッシュな生のなつめはりんごのようなサクサクした触感で甘酸っぱいのだそう。国産品もありますが、酸味が強いので甘露煮や砂糖漬けにするなどの利用ほうがポピュラーではあります。

ナツメはクロウメモドキ科の落葉高木に分類されますが、混合しやすい存在として名前の似ている「デーツ(Date)」とも呼ばれるナツメヤシの果実があります。英語の場合でもナツメはジュジュベ(Jujube)もしくは“チャイニーズデーツ(Chinese-date)”と似た名前で呼ばれますし、私たちが目にする機会の多いものは乾燥されているため外見も似ています。しかしナツメがクロウメモドキ目であるのに対しナツメヤシはヤシ目と、植物分類的にはかけ離れた存在です。

果実の形状もナツメは長さ2~4cmほどのコロンとした形であるのに対し、デーツは長さ3~7cmでやや細長い形状、風味としてはナツメがさっぱり系、デーツはねっとりとした強い甘味があるのが特徴。そのまま食べたり砂糖(甘味料)の代用として用いられるデーツに対して、ナツメは乾果として食べる場合は「蜜棗」と呼ばれる砂糖漬け・蜂蜜漬けを乾燥させたもののように“甘さ”を足して加工されることが多い存在。ドライフルーツ感覚で食べられる方もいらっしゃいますが、味や皮が硬いことなどから好き嫌いは分かれるようです。

そんなナツメですが漢方や薬膳などで重要な果物と考えられている存在で、近年の日本では果物というよりも健康維持に役立つ食材として最注目されています。サムゲタンなどの薬膳料理に利用されていることが知られたためか、美容・健康維持・精神安定など様々なメリットも紹介されていますね。中国では古くから「一日食三棗、終生不顕老(ナツメを1日に3つ食べると老いない)」という言葉があり古くから老化防止食材として愛され、楊貴妃が食べていたとも伝えられています。またナツメの果実を乾燥させた生薬“大棗(タイソウ)”は日本薬局方にも収録されており、葛根湯など馴染みのある漢方薬にも配合されています。

棗(なつめ)に含まれる栄養や成分に期待できる働き・巷で言われる効果効能の理由とは?

ナツメは生でも食べられますが、一般に流通しているものは乾燥されたもの。下記では『日本食品標準成分表』に記載されている乾燥なつめの成分量を“ナツメ”としてご紹介します。ドライフルーツですから水分量が少なく全体重量の約7割が炭水化物となっており、100gあたり12.5gと食物繊維が多いのが特徴。ビタミン類ではビタミンB群、ミネラルではカリウムやカルシウムなどを多く含みます。

ナツメはこんな方にオススメ

  • 栄養の偏りが気になる方
  • ストレスが多いと感じる
  • 情緒不安定気味の方
  • 寝付きが良くない方
  • 貧血の予防・改善に
  • 妊娠中の栄養補給に
  • 冷え・血行不良
  • 更年期障害・PMSの緩和
  • 生理痛やイライラに
  • 便秘気味・むくみやすい方
  • ダイエットのサポートに
  • 肌荒れ・ニキビ予防
  • 肌のアンチエイジングに
  • 花粉症などのアレルギー対策

下記ではこうしたお悩みがある方にナツメが良いとされる理由や、女性に良い・美容面でも役立つと言われる理由などを詳しくご紹介します。

ストレス対策・精神安定

ナツメは水溶性のビタミンの一種でビタミンB5とも呼ばれるパントテン酸を比較的多く含んでいます。パントテン酸はエネルギー代謝・様々な酵素の合成に関与し、神経細胞の合成や神経伝達とも関わりがあると考えられています。また副腎皮質ホルモンの合成を助けることでストレス耐性を高める働きもありますから、心と体の健康維持に欠かせないビタミンと言えるでしょう。

パントテン酸は腸内細菌によっても合成されるため、通常の食事では不足しにくいと考えられています。しかし腸内フローラが乱れていたり、アルコールやコーヒーをよく飲む方などは不足傾向にあることも指摘されています。ナツメはパントテン酸の手軽な補給源として役立つことに加え、ドライフルーツの中でも鉄分・カルシウム・マグネシウムなどのミネラルを多く含んでいます。こうした成分を補給できることからナツメは精神的なストレスへの耐性向上・ストレス性の不眠や胃痛など様々な不調の緩和に役立つ果物と考えられています。

不眠予防・軽減

ナツメは民間療法の中で精神的トラブルの他、不眠症のケアにも取り入れられています。成分的にもナツメに含まれているオレアミド(オレイン酸アミド化合物)という成分には神経の高ぶりを抑えることで睡眠を誘導する可能性があると言われており、睡眠障害や気分障害改善効果への研究が進むことが期待されているそうです。

また果物としては多いといえるミネラル類も睡眠に関わる働きを持つと考えられます。カルシウムは不足するとイライラや鬱などのほか不眠など精神的なトラブルを引き起こすと言われていますし、マグネシウムはハッピーホルモンと呼ばれるセロトニンを生成するのに必要になります。セロトニンは睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの材料となる存在でもありますから、体内時計・睡眠リズムを整える働きも期待できるでしょう。ナツメが精神安定・不眠症にオススメの食材と紹介されることが多いのも納得ですね。

貧血改善・妊娠中の栄養補給

鉄分が豊富な果物というとプルーンがよく知られていますが、100gで比較した場合は乾燥プルーンの鉄分が1.0mgに対し乾燥ナツメは1.5mgの含有量があります。この含有量はレーズンに次いで果物トップクラスに含まれると言われるほど。丈夫な赤血球を作るのに必要とされる亜鉛・鉄分の吸収を高める銅なども含まれていますから、貧血気味の方やめまい・立ちくらみを起こしやすい女性に良い食材とされています。

加えて「造血のビタミン」とも呼ばれる水溶性ビタミンの一種で赤血球を作るために欠かせない葉酸も、ナツメの場合は100gあたり140μgと比較的多く含まれています。葉酸はプルーンには3μg、レーズンには9μgしか含まれていませんから、まとめて摂取できるというのはナツメの強みと言えるでしょう。また葉酸は核酸をサポートすることで細胞の生まれ変わりを正常に行う働きがあり、胎児の正常な発育に不可欠な栄養素でもあります。このため妊娠中の場合は通常時の1.5倍量(1日400μg)が必要とされていますから、手軽に鉄分と葉酸を補給できるナツメは妊娠中の栄養補給源として活用しやすい食材です。

冷え・女性の不調緩和

ナツメは生薬として体を温め筋肉や神経の緊張を緩和させる働きがあると考えられています。成分的に見ても血液の循環を良くするビタミンP(フラボノイド系ポリフェノール)や、血液状態を整えるサポニンが豊富に含まれていることから、血流の改善効果が期待されています。ストレス耐性を高める働きもあると考えられることから、ストレスにより交感神経優位の状態が続くことで起こる血行不良の緩和にも役立ってくれるでしょう。血液循環そのものの問題以外にに、女性の冷えの原因としては血液そのものの不足=貧血が考えられますが、ナツメは貧血の改善に必要な鉄分や葉酸も補給できます。

ナツメには女性ホルモン様物質など、直接的に子宮に働きかける成分は含まれていません。しかし血液を補う・血液循環を整えて体を温める働きがあること、パントテン酸やミネラルなどの補給による抗ストレス・精神安定効果が期待できるなどから生理前~生理中、妊娠中、更年期などの症状の緩和にも用いられます。特に精神的な面で不調が出やすい更年期障害や月経前症候群(PMS)、冷えによって痛みが悪化する生理痛などの緩和に役立ってくれそうですね。女性が抱えやすいトラブルを肉体面でも精神面でもフォローしてくれるナツメは女性の強い味方と言えるでしょう。

便秘・むくみ対策

ナツメは乾燥100gあたり12.5gとドライフルーツの中でも特に食物繊維が豊富な存在。実際に食べる量として3粒=8gで計算しても1g程度とキャベツやカイワレ大根50gと同等の食物繊維が補給できる計算になりますから、普段の食生活で不足しがちな分のサポートとして役立ってくれるでしょう。加えてナツメには腸を刺激し便通を良くする働きが期待できるサポニンも含まれています。食物繊維も便の量を増やすことで腸を刺激し蠕動運動を促す働きを持つ不溶性食物繊維の割合が多いので、便通改善に効果が期待できます。

また体内のナトリウム濃度を調節することで余分な水分排出を促す働きのあるカリウムも100g中810mgと果物・ドライフルーツの中でトップクラス。こちらは棗を15g、大体6粒程度の摂取でスイカ100gとほぼ同量のカリウムが補給できる計算になります。カリウムの運搬を助けたり体液循環をサポートしてくれるマグネシウムも含まれていますから、むくみの予防にも役立ってくれるでしょう。

肥満予防・ダイエットサポート

ドライフルーツは栄養価が高くなりますが、カロリーも高くなるので特にダイエット中は食べ過ぎに注意が必要な存在。ナツメの場合も乾燥100gあたりのカロリーは287kcalとやや高カロリーに見えますが、15gであればカロリーも43kcalですから5~6粒であればさほど心配は無いでしょう。食物繊維やカリウムなどの補給にも役立ちますし、ダイエット中に起こりやすい貧血対策にもなるのでメリットも大きいと言えるでしょう。

加えてサポニンには中性脂肪やコレステロールなどの脂質の酸化(過酸化脂質の発生)を抑制する働きや、ブドウ糖と脂肪の合体を防ぐことで脂肪蓄積を抑制する働きも報告されています。パントテン酸もエネルギー代謝、特に糖質・脂質の代謝にとって重要な成分ですから、代謝を高めることで脂肪蓄積を抑える働きも期待出来ます。食べるだけで痩せるというものではありませんが、ダイエットに励むと便秘・むくみがちになる方、代謝低下を防ぎたい方はおやつの代わりに取り入れてみても良いかもしれません。

美肌保持・肌荒れ予防

ナツメに多く含まれているパントテン酸は様々な代謝やホルモンの合成に関わっているビタミンです。肌に関してはコラーゲンを産む線維芽細胞を活性化させる・コラーゲンの生成に必要なビタミンCの働きをサポートする働きもあります。コラーゲンは肌にハリを与えるためシワやたるみを防ぐなど若々しい肌の維持には欠かせない成分ですし、お肌を外部の刺激から保護することで肌荒れを防ぐ役割も担っています。そのためパントテン酸はアンチエイジング系の化粧品を始めとした多くの化粧品やサプリメントに配合されています。ナツメにはビタミンPと呼ばれるフラボノイド系ポリフェノールなど抗酸化物質も含まれていますから、相乗してシワやたるみなどの肌老化予防に役立ってくれるでしょう。

そのほかパントテン酸には皮脂の分泌量を抑制したりストレスへの抵抗力を高める働きがありますし、ナツメは過酸化脂質の生成抑制効果が期待できるサポニンも含んでいますから、ニキビ予防にも効果が期待できると考えられます。便秘やむくみの改善から老廃物・有害物質の排泄が促進されることでの肌荒れ防止にも役立ってくれますし、血行を良くすることでくすみのない血色の良い肌作り・肌の新陳代謝向上などの効果も期待出来ます。

アレルギー軽減にも期待…

近年はナツメに含まれているフルクトピラノサイドという単糖類にアレルギー抑制作用があることが報告され、花粉症対策として役立つのではないかと注目されています。フルクトピラノサイドはヒスタミンなどを放出されるスイッチとなる、免疫グロブリンと呼ばれるタンパク質の一種「IgE抗体」の生成を抑制する作用があると考えられています。

加えてナツメには炎症を起こした部分に発生する過剰な活性酸素を除去してくれるサポニンなどの抗酸化物質、パントテン酸(ビタミンB5)なども含まれています。パントテン酸は副腎皮質ホルモンの合成を助ける働きを持ち、不足するとアトピー・ぜん息・花粉症・アレルギー性鼻炎など様々な症状の原因になるという説もある栄養素。ナツメはフルクトピラノサイドやパントテン酸・ポリフェノールなどの抗酸化物質が複合して働くことでアレルギー緩和効果が期待出来ますし、便秘や血流の改善・ストレス耐性アップなど様々な働きから体質改善の手助けをしてくれるでしょう。

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棗(なつめ)の食べ方・注意点

乾燥ナツメの場合はビタミンCはほとんど含まれていません。鉄分の吸収を高めるためにも、コラーゲンの生成を促進するためにも、生フルーツやフレッシュジュースなどと組み合わせて摂取するとより効果的です。またビタミンE・βカロテンを含むとも言われていいますが、含有量は微量なので注意して下さい。

効果アップが期待出来るナツメの食べ合わせ

棗(なつめ)の雑学色々

ナツメ使用・食用の歴史

ナツメの原産地はアジア~西アジアと考えられており、原産地に近い中国では紀元前8000年頃の遺跡からもナツメが発見されています。また現在でも栽培が盛んな新疆ウイグル自治区辺りにおいても古代から貴重な食料・栄養源として重宝されていたようです。ナツメはかなり古い時代のうちから食用としての利用・栽培が行われていたと考えられ、栽培の歴史が最も古い果樹の一つとも呼ばれています。文献としても中国最古の詩篇『詩経』や前漢時代に編纂された司馬遷の『史記』など、古い時代からの記述が見られます。

中国最古の薬物書『神農本草経』にはおいてナツメ(大棗)は上品に分類され“久しく服すれば身を軽くし、年を長くする”食材とされています。インドでも棗は食材・生薬として用いられており、お釈迦様が断食苦行を行った時も“一日にナツメの実一つ”から始まったと言われています。伝統医学アーユルヴェーダでも棗は生薬として用いられているのだとか。
また古代中国では桃(もも)・李(すもも)・杏(あんず)・棗(なつめ)・栗(くり)の5つの果物を“五果”と呼び、五臓を養う働きのある重要な果物と考えられていました。五果は薬膳・宮廷料理などにも欠かせない存在として珍重され、現在でも薬膳料理などによく使われています。そのほか中国や韓国では赤い色から縁起物としても祝宴などに使われ、現在でもお祝いの際に登場することが多いのだとか。

日本への棗伝来時期はハッキリしていませんが、7世紀後半~8世紀後半の和歌集『万葉集』にナツメを詠んだ歌が見られることから奈良時代以前には伝来していたと考えられます。平安時代に入ると『延喜式』や薬学書『本草和名』などに「乾棗(ほしなつめ)」や「大棗(たいそう)」という記述が多く見られることから、栽培も行われ薬用としても利用されていたことがうかがえます。ちなみに“なつめ”という和名の由来については諸説ありますが、初夏に新芽を出す「夏芽」説・夏に実がなる「夏実」が変化したとする説などが有力です。

ナツメ活用法・民間療法

ナツメを煮出した「なつめ茶」にショウガとハチミツを入れて飲むと冷えの解消・精神安定に良い、寝付きを良くすると言われています。ナツメの煮物を作る時の煮汁をそのまま流用すると手軽でしょう。ナツメを焼酎(ホワイトリカー)に一週間程度漬け込んで作ったナツメ酒でも同様に血行促進・精神安定・不眠緩和効果が期待されています。

生薬としての棗:大棗の効能

大棗(乾燥ナツメ)は温性・甘味で、補虚薬・補気薬として主に利用されます。主な薬効としては補脾胃、強壮、補血、鎮静、緩和、利尿などの働きがあると考えられており、冷え・むくみ、貧血、腹痛、便秘や下痢、女性特有の臓躁(更年期障害やヒステリーなど)、筋肉の急迫、知覚過敏などの改善に有効とされています。疲労回復や免疫力を高めるなどの目的で利用されることもあるようです。

また生姜と組み合わせることで、強い作用を持つ薬物の性質を和らげる=副作用の緩和目的としても広く利用されています。科学的に見てもパントテン酸には有害な化学物質を解毒する作用があることが認められており、現代医療でも抗生物質による副作用の緩和・治療に取り入れられているそうです。