豆苗(とうみょう)とその栄養成分や効果効能
|ビタミン補給に嬉しい、再収穫可能スプラウト

食べ物辞典:豆苗

カイワレ大根と似た見た目の豆苗。えんどう豆のスプラウトで、加熱してもシャキシャキと歯ごたえを楽しめること、ほんのりと豆っぽい風味があるのが特徴です。通年価格が安定しており、手軽に再収穫出来るエコ野菜でもありますね。他のスプラウトと同様に栄養面でも優れた存在で、β-カロテンやビタミンB群などビタミン類を豊富に含むこと・抗酸化物質の補給にも繋がることが注目されています。不足しがちな栄養を手軽にサポートしてくれる、豆苗の歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。

豆苗のイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:豆苗
英語:pea sprouts

豆苗(とうみょう)のプロフイール

豆苗とは

豆苗は栄養面での優秀さが紹介されることも多く、価格もリーズナブルなことからここ10年くらいで急速に流通量が増えたスプラウト野菜の一つ。外見は似ていますがカイワレ大根は辛味と苦味があり香味野菜に近い印象であるのに対して、豆苗はアクやクセが少なくほんのりとした甘み・豆っぽさがあることが特徴。“豆の苗”と表記されていますが、豆のスプラウトならば何でも豆苗になるというわけではなく、えんどう豆の若芽のことを豆苗と呼んでいます。

エンドウは完熟した豆(赤豌豆/青豌豆など)こそ馴染みの薄い方もいらっしゃいますが、完熟直前の種実であるグリーンピース・軟莢種と呼ばれる種類を未完熟のうちに採取したサヤエンドウやスナップエンドウなど様々な形で食されている食材。日本で販売されている豆苗はえんどう豆から発芽させたスプラウト野菜ですが、発祥の地である中国ではある程度まで育てたエンドウから芽の先端だけを摘み取って食べられていたと言われています。この方法では収穫できる時期も量も限られていたため、一部の特権階級・富裕層の人や特別な行事にしか食べることが出来ない食材だったようです。富裕層は春に発芽した新芽を食べ、庶民は大きく育ったエンドウの先から出る新芽を食べていたという話もありますよ。

日本でも昭和頃までは高級中華料理店でしか扱われていないレア食材でしたが、近年は生産管理が行き届くハウスもしくは植物工場で栽培されています。水耕栽培で温度・水の量がコントロールしやすいことから価格が安定しており、施設内で生産されているので虫がつく心配がない=無農薬栽培が主なことも嬉しいですね。また豆苗は根付きで買ったものであれば、その根(+豆)の部分を水に浸して再び発芽させることが出来るエコ野菜でもあります。通年安定して1パック100円前後という時点で家計にも優しい食材ですが、更に再収穫して食べられることから「コスパ最強の野菜」としても評価されています。栄養価の高さと合わせて、季節や天候などの影響で野菜が値上がりしている時は特に有り難い存在ですね。

豆苗は炒め物やお浸しなど加熱して使われることが多いですが、生のままでも食べることも出来ます。ただし生のままの豆苗はサヤエンドウの風味を濃縮したような、少し青臭い風味があります。よく豆苗にはエンドウの風味があると称されますが加熱したものは若干香りと甘みがある程度ですので、生食の方が好き嫌いが別れるでしょう。栄養価を取るなら生・味を取るなら軽く加熱したものという声もあります。あまり豆苗を使っていないという方は、加熱しても栄養価が全てなくなってしまう訳ではないので炒めものなどから取り入れてみると良いかも知れません。

豆苗/えんどう豆の歴史

豆苗の元となるエンドウは中央アジアから地中海沿岸にかけての地域が原産と考えられています。人類は約1万年前からえんどう豆を採取して食用としてきとも言われ、古代オリエント地方などで農耕が始まると麦類とほぼ同時期(紀元前7000~6000年頃)に栽培が行われていたことが分かっています。初期の農業で栽培されていた豆類にはレンズ豆やヒヨコ豆などもありますが、えんどう豆はそれよりも先に栽培されたこともあり「世界最古の豆」とも呼ばれていますよ。農耕の歴史とほぼ同じだけ、えんどう豆の栽培の歴史もあると言えるでしょう。

紀元前1000年代には古代エジプトやギリシャでもエンドウの栽培が行われていたことが分かっていますし、ツタンカーメン王の副葬品の中からもえんどう豆が発掘されています。原産地を挟んで東にある中国にはおそらく5世紀頃までに伝播していたと考えられており、大宛国(フェルガナ)から伝わった豆ということで“豌豆”と名付けられたと言われています。えんどう豆の若い目を摘む=豆苗として食べるようになったのは中国が発祥とされていますが、誰が何時頃食べ始めたのかは分かっていません。

中国版wikipediaでは南宋時代には豆を発芽させたスプラウトを食べていたという記述がありますし、諸説ありハッキリとは分かっていませんがモヤシの起源としてもインドや中国が挙げられていますから、豆苗(エンドウの若芽)に限らず豆の若芽を食用とする風習が古くからあったと考えられます。日本には奈良時代~平安時代頃には中国からえんどう豆が伝わっていたことが分かっており、乾燥した豆を保存食として利用していたと考えられています。江戸時代には和菓子へと取り入れられたり、若さや(サヤエンドウ)を食べるようになったと言われていますが、豆苗を食べることはなかったようです。

日本で豆苗が広がったのは長い歴史の中で見ればごく最近、1970年代の日中国交回復以降となります。当初は高級中華料理店などでのみ取り扱われている馴染みのない中国野菜でしたが、1990年台半ばになると工場内での水耕栽培が行われるようになりスーパーなどに流通するようになっていきます。見方によっては現在私達が食べている豆苗は日本のオリジナル野菜に近いものがあるのかも知れませんね。平成20年前後には異常気象などの関係から野菜全般の価格が高騰した中で手頃な値段で購入できたこと・栄養価の高さが紹介される機会が増えたことで一気に普及していったと言われています。国内トップシェアの村上農園さんでは豆苗の出荷量は2006年から2016年までの10年間で6倍に増加したことも報じられています。

豆苗の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

豆苗は栄養価が高い野菜とされており、特にβ-カロテンやビタミンB群などビタミン類を豊富に含んでいます。100gあたり24kcalとカロリーが低いこと・抗酸化作用を持つビタミン類を多く含んでいることなどから美容野菜としても取り入れられている食材です。

成分含有量の参考とさせていただいている『日本食品標準成分表(七訂)』には豆苗として“トウミョウ/芽ばえ(Peas/sprouts)”と“トウミョウ/茎葉(Peas/stem and leaves)”2つの記載があります。スーパーなどで販売されている一般的な豆苗はスプラウトの方と考えられるため、ここでは“トウミョウ/芽ばえ(Peas/sprouts)”の数値を元に紹介しています。ちなみにβ-カロテン量が100gあたり4700μgとほうれんそう以上・ビタミンEが3.3mgとニラ以上に含まれていると紹介されることもありますが、これは“トウミョウ/茎葉”の方の成分量との比較と考えられます。

豆苗イメージ

豆苗の効果効能、その根拠・理由とは?

栄養補給・疲労回復に

豆苗はスプラウト野菜。根元についている豆を食べるわけでもありませんが、栄養価としては豆と緑黄色野菜の両方の特徴を持ち合わせた存在として注目されています。スプラウトや葉物野菜類としてはタンパク質含有量が多く、豆類と比べると糖質・脂質が低いのでタンパク質を補給源として役立ってくれるでしょう。ビタミンやミネラル類も含まれていまし、栄養バランスが気になるときに献立に加えやすいことも魅力ですね。

加えて豆苗には三大栄養素の代謝に関わるビタミンB群も多く含まれており、特に糖代謝に関わるビタミンB1が100gあたり0.17mgと野菜類の中ではトップクラスに入るほど多いことも特徴です。脂質代謝に関わるビタミンB2やタンパク質代謝に必要なビタミンB6なども多く含まれていますから、相乗して代謝を促して“疲れ”の軽減をサポートしてくれるでしょう。またビタミンB1は糖代謝をサポートすることで疲労回復効果に役立つほか、糖から分解されたエネルギーを使って活動する脳の疲労軽減・機能保持にも関係しています。このため脳疲労やストレス性の疲労感・夏バテ対策など幅広い効果が期待されています。

免疫力保持・風邪予防に

日本で多く流通している豆苗は中国野菜として使われる成長したものよりもβ-カロテン量が少ない傾向にありますが、スプラウトの場合でも100gあたり3000μgとβ-カロテンを多く含む食材であることに違いはありません。β-カロテンは抗酸化作用を持つカロテノイドの一種で、抗酸化物質として働く以外に体内でビタミンAへと変換されるプロビタミンA(ビタミンA前駆物質)であることも認められています。ビタミンAは皮膚や粘膜の形成や維持に関わる脂溶性ビタミンのため、喉や鼻などの呼吸器粘膜を強化することでウィルスが体内に侵入するのを防ぐ働きがあると考えられています。

加えて豆苗にはビタミンCも100gあたり43mgと豊富に含まれています。ビタミンCもまた白血球の機能促進・抗ウイルス作用を持つインターフェロンの生成促進など免疫機能に関わる働きが期待されているビタミンですし、腸の善玉菌を活発化させることからも免疫力向上効果が期待されています。β-カロテンやビタミンCは抗酸化作用を持つビタミンでもありますから、直接的な免疫機能のサポート・抗酸化作用という二つの面から風邪やインフルエンザなどの感染症予防効果が期待できます。

アンチエイジング(抗酸化)にも注目

豆苗には三大抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンE、ビタミンC、β-カロテン(ビタミンA)がしっかりと含まれています。ビタミンACEは細胞の内外と働く場所が違い、かつ酸化物質を無害したことで機能が落ちしまったビタミンEに再び抗酸化作用を発揮させるようになるなど協力し合って働いています。このため合わせて摂取することで相乗効果によって、より高い抗酸化作用を発揮するとも言われています。

活性酸素は酸素を利用し代謝活動において自然にも発生する物質で、体内に侵入した細菌や異物の無害化など私達の身体を守る働きも持っています。しかし活性酸素は増えすぎると自身の細胞や血管などを酸化させ、様々な病気の発症リスクを高めたり老化を促進するなどの悪影響もある存在。体内には増えすぎた活性酸素を除去するための抗酸化酵素が存在していますが、現代人の生活環境は活性酸素発生要因が多いこと・加齢に伴って抗酸化酵素が減少することなどから、抗酸化物質の補給が若々しさや健康の保持に役立つとして注目されています。

このことから100gあたり3000μgと緑黄色野菜の中でも豊富なβ-カロテンを筆頭に、ビタミンCやEなどの抗酸化ビタミンも含まれている豆苗もアンチエイジング食材として評価されています。血管・脳などの老化や病気を予防して健康を保つだけではなく、美肌を保持するなど美容面でのアンチエイジングにも繋がりますよ。

生活習慣病予防のサポート

活性酸素は肌のシワからアレルギーまで様々なトラブルを引き起こす要因と考えられていますが、活性酸素が増えすぎることで発症リスクが高まるものとして動脈硬化などの血管疾患・生活習慣病が挙げられています。活性酸素は血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を酸化させることで“酸化LDL(過酸化脂質)”と呼ばれる物質に変化させてしまいます。酸化LDLはマクロファージによって処理されますが、取り込んだマクロファージの残骸はドロドロした粥状物質となって血管内に蓄積してしまいます。この死骸が積み重なるとプラークができ、血管を狭めたり柔軟性を損なわせる原因となります。

豆苗に含まれているβ-カロテン・ビタミンC・ビタミンEなどの抗酸化物質は活性酸素を除去することで、コレステロールや中性脂肪の酸化を抑える働きが期待されています。このため抗酸化は動脈硬化のリスクを低下に繋がると考えられていますし、スムーズな血流を保つことで高血圧予防にも役立つと考えられています。特別多いという訳ではありませんが、豆苗にはナトリウムの排出を促すことで血圧を正常に保つカリウムも含まれていますから、合わせて高血圧や動脈硬化、心筋梗塞・脳梗塞など生活習慣病発症リスク低減にも役立ってくれるでしょう。

骨粗鬆症予防に

豆苗は生100gあたり210μgとビタミンKを多く含んでいます。ビタミンKは腸内細菌によっても合成されるため極端な欠乏は少ないと言われていますが、肝機能が低下している方・抗生物質の投薬を受けている方などは不足しやすい傾向にあると言われているビタミン。また、食事摂取基準では一日の摂取推奨量は150μgと豆苗100g以下の数値になっていますが、多量に摂取しても健康被害が見られないため食材から多めに摂取する分には問題ないとされています。

ビタミンKの働きとしては血液凝固因子を活性化する働きがある他、カルシウムが骨に沈着するために働くタンパク質(オステオカルシン)を活性化する働きがあることも認められています。この働きからカルシウムを骨に定着させて骨の形成を促す・骨量(骨密度)を保持するための栄養素として、骨密度の低下や骨粗鬆症が気になる方はカルシウムやビタミンDと共に意識的に摂取したい栄養素の一つとされています。慢性的なビタミンK不足は骨粗鬆症だけではなく頭蓋内・消化管出血を起こしやすくなる可能性も指摘されていますから、健康維持のためにも取り入れたい栄養素ですね。

豆苗はカルシウムの吸収を高めてくれるビタミンC含有量が多い野菜でもありますが、100gあたり7mgとカルシウム含有量自体は多くありません。お子さんの成長サポートや骨粗鬆症予防として取り入れる場合はカルシウムが豊富な食材と組み合わせて食べるようにしましょう。味にクセがないのでミルクスープなどにも加えられますよ。

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血行不良・冷え性予防に

豆苗はβ-カロテンなどの抗酸化物質を豊富に含み、血液や血管を綺麗に保つ働きが期待できる食材。ビタミンCはコラーゲンの生成を促すことで毛細血管を丈夫に保つ働きもありますし、ビタミンEやナイアシンなど血管拡張作用を持つ栄養素も含まれていますので、血行不良や末端冷え性の方にも食材と考えられます。また冷え性の改善に関しては豊富に含まれているビタミンB群も代謝機能をサポートすることで熱生成を促すことからも、体温を高める手助けをしてくれるでしょう。

鉄分含有量は100gあたり0.8mgとあまり多くはありませんが、植物性鉄分(非ヘム鉄)の吸収を促進するビタミンCは豊富。鉄分不足が気になる方の場合はほうれんそう小松菜・レバーや卵などと組み合わせて摂取することで、鉄分補給・貧血予防をサポートしてくれるでしょう。ビタミンCを損なわせず、生のままサラダなどに入れられるのも嬉しいポイント。貧血・鉄欠乏性貧血の予防からも血行不良や冷え性の軽減にも繋がる可能性があります。

便秘・むくみ対策として

豆苗の食物繊維量は生100gあたり2.2gと野菜類の中で特に多いという程でもありませんが、不溶性食物繊維が多く含まれていることから便のかさを増やし腸の蠕動運動を促す働きが期待されています。また豆苗に豊富に含まれているビタミンCも便を柔らかく保つ・腸内善玉菌のエサになるなどの働きが期待されていますから複合して便通を良くしたり、腸内環境を整える手助けをしてくれるでしょう。ちなみに豆苗がデトックスに良いという説も便通改善や、不溶性食物繊維が腸内の老廃物排出を促してくれるという事に起因しているようです。

同様にナトリウムの排出を促すことで利尿作用を持つとされるカリウム含有量も100gあたり130mgと、かいわれ大根よりは多いものの野菜類の中では下の部類。同グラムで比較した場合はさやえんどうの約半分となりますので、カリウム補給源としては期待しないほうが良いでしょう。ただし豆苗には抗酸化物質が豊富ですし、血行を促してくれるビタミンE・自律神経や体液循環に係るマグネシウムなども含まれているため、むくみの予防や改善に役立つ可能性はありますよ。東洋医学系の分類では、豆苗は水分の巡りを良くしてくれる食材とする説もあるようです。

妊娠中・授乳中の栄養補給に

豆苗は生100gあたり120μgと、小松菜よりも多くの葉酸を含んでいます野菜類、とくに葉物野菜には豆苗以上に葉酸を含んでいるものも少なくありませんが、葉酸は水溶性ビタミンで茹でると流出してしまうため“生でも食べられる”ことも考慮すると豆苗は野菜類の中でも葉酸を豊富に含む食材と言えるでしょう。葉酸は赤血球の合成に関わる栄養素で悪性貧血(巨赤芽性貧血)の予防に役立つ他、タンパク質や核酸(DNAやRNA)の合成・神経細胞の代謝などにも関わる栄養素でもあります。

この働きから葉酸は赤ちゃんの健全な発育に不可欠な栄養素とされており、妊娠・授乳中は一日の推奨摂取量が400μgと多く設定されている成分でもあります。近年は妊娠する2ヶ月前から葉酸を摂取するのが望ましいという見解が多いことから、妊活中にも摂取したい栄養素としてサプリメントなどにも配合されていますね。豆苗は手軽な葉酸補給源の一つと言えますし、葉酸以外にも風邪予防に役立つβ-カロテンやビタミンC、便秘対策になる食物繊維など妊娠中のサポートに嬉しい栄養素が含まれています。味にクセがないことや食感の良さからつわりがあるときでも食べやすいのも魅力ですね。

肥満予防・ダイエットサポート

豆苗は100gあたり24kcalというカロリーの低さや、糖質・脂質量が少ないことからダイエット用のお食事にも取り入れられています。料理のかさ増しに役立つほか、食物繊維が含まれていること・シャキシャキとした噛みごたえなどから満腹感を高めることにも繋がります。ビタミンB1・B2・B6など代謝を促してくれるビタミンB群も多く含まれていますので、摂取した栄養素や付いてしまった脂肪をエネルギーとして変換しやすくする働きも期待できるでしょう。

ダイエット中に不足しやすい栄養の補給・肌荒れ予防などにも役立ってくれますが、豆苗ですべての栄養素を補えるわけではありません。全ての食材に言えることですが、一つを過信して大量に食べるのではなく品目数をしっかりと取ってバランスの良い食事を心がけるようにしましょう。豆苗は食べて痩せるものではなく、健康的なダイエットをサポートしてくれる食材です。

美肌保持・紫外線対策としても

β-カロテンを筆頭に、ビタミンCやEなどの抗酸化ビタミンを含む豆苗は、美肌効果が期待できる食材として女性からも注目されている野菜の一つ。ビタミンACE(※Aはβカロテン)はそれぞれ得意とする作用場所が違いますし、互いに助け合うことで繰り返し抗酸化作用を発揮してくれるなど合わせて摂るとメリットが大きい栄養素。高い抗酸化作用が期待できますから、肌細胞の酸化によって起こるシワ・シミ・くすみ・たるみなどの肌老化予防に役立ってくれるでしょう。

また、これらのビタミンは抗酸化以外にも美肌をサポートする働きを持っています。β-カロテンはビタミンAに変換されることで皮膚粘膜の保持に働きかけ、お肌の乾燥を予防したり新陳代謝を整える働きがあります。ビタミンCはコラーゲンの生成を促進することで肌のハリを高める働きが期待されていますし、メラニン色素の生成に関わる酵素チロシナーゼの働きを阻害するシミ予防効果・メラニン色素還元による美白作用なども報告されています。ビタミンEも血行を促すことで肌荒れやくすみの改善をサポートしてくれますよ。

こうした働きから豆苗は紫外線対策やシミ予防など美白にも役立つと考えられていますし、血行を整えることでくすみを軽減し肌の透明感を高める働きも期待されています。ビタミンB群も代謝向上だけではなく皮膚粘膜の保持に関係する美肌ビタミンで、特にビタミンB2はお肌の再生や脂質コントロールによるニキビ予防効果が注目されています。こうしたビタミン類を幅広く含む豆苗は、肌の老化予防から肌荒れ・ニキビ・乾燥など様々な肌トラブルの予防や改善に役立ってくれるでしょう。

目の疲れ・乾燥軽減にも…?

β-カロテン(ビタミンA)は肌だけではなく粘膜の保持にも関わる栄養成分のため、ドライアイの予防や軽減に役立つ可能性もあります。またるビタミンAは網膜で光を感知するロドプシンの生成にも利用される成分のため、不足なく補うことで視界をクリアに保つ・目の疲れを軽減することにも繋がるでしょう。ビタミンB1は目の疲れやコリの緩和・視神経の機能保持に、ビタミンB2は目の粘膜保持や充血予防に、ビタミンB6は水晶体の代謝向上にと、ビタミンB群も視機能のサポートに欠かせないビタミンとしても紹介される栄養素ですよ。

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中華料理に使われる豆苗(若い茎葉)について

『日本食品標準成分表(七訂)』には豆苗として“トウミョウ/芽ばえ(Peas/sprouts)”と“トウミョウ/茎葉(Peas/stem and leaves)”2つの記載があり、上記では“トウミョウ/芽ばえ”の方の記載数値を豆苗の栄養成分として紹介させていただきました。もう一つの方の“トウミョウ/茎葉”はスーパーなどではあまり売られておらず、中華料理屋さんで提供される豆苗炒めなどに使われているものを指します。茎の部分がスプラウトよりも太く、全体的に緑色が濃いことが特徴的ですね。

見た目通りスプラウトよりもある程度まで育った若芽から摘み取られた葉茎の方がβ-カロテンを多く含んでおり、生100gあたりのβ-カロテン含有量は4100μgとスプラウトの1.5倍以上また食物繊維も豆苗(葉茎)の場合は100gあたり3.3g・ビタミンCも79mgと1.5倍以上になっていますし、ビタミンE(αトコフェロール)の場合は3.3mgとスプラウトの約2倍量が含まれています。葉酸など一部スプラウトが上回るものもありますが、豆苗(スプラウト)よりも豆苗(葉茎)の方がほとんどのビタミン類・ミネラル類を多く含んでいると考えられます。

あまり流通していない食材ではありますが、見かけた場合は是非食べてみてください。ただし食味としてはスプラウトよりもやや硬めで風味も濃厚なので、好き嫌いは分かれるかも知れません。また比べた場合は劣るというだけで、多く流通しているスプラウトタイプの豆苗も栄養を豊富に含む緑黄色野菜であることには違いありません。いろいろな料理に使いやすいだけではなく、価格面でも優秀な食材ですから是非活用してください。

目的別、豆苗のおすすめ食べ合わせ

豆苗の選び方・食べ方・注意点

豆苗は工場でしっかりと栽培から出荷までが管理されているのであまり個体差はありませんが、購入時は葉の緑が濃いもの・葉先まで瑞々しくピンとしていることを確認しましょう。根がついていないものであれば茎の切り口が萎びていたり変色していないものを選ぶようにします。根付きのものの方が日持ちがしますので、当日中に食べない場合は根付きの購入をお勧めします。

豆苗はミネラル類も含んでいるものの、傾向としてはビタミン類に強い食材です。ビタミン類は熱で壊れやすい性質がありますし水溶性のものは茹でると茹で汁の方に流れ出てしまうため、栄養素を余すところなく使いたい場合はサラダなど“生食”が最も適しています。またβカロテンなどの脂溶性ビタミン類は油を加えることで吸収率がアップするので、ナッツやツナなどと混ぜたり、少量の油が含まれているドレッシングを使うと良いでしょう。加熱する場合は汁部分も摂取できるスープ類や、あまり熱を加えすぎないようにさっと油で炒めるのがおすすめです。

豆苗の再収穫方法と注意点

根付きの豆苗を買った時は茎から上を切り取った後、残った根と豆の部分をお皿やペットボトルなどに入れて水を入れて栽培することで再収穫することが出来ます。メーカーさんによっては「ここで切って植えてね」という目安の線を袋に印刷してくれているものもあるので参考にしてみてください。ちなみに一回再収穫した時点で豆に含まれている栄養を使い切ってしまうので、二度目の再収穫については上手くいかないことが多いようです。

豆苗には注意が必要な成分などは含まれておらず、摂取上限量が決められていたり、過剰摂取した場合の悪影響・副作用などがある食材ではありません。注意すべき点としては不溶性食物繊維が多いので大量に食べた場合は下痢や便秘の悪化などお腹の調子が見られてしまう可能性があること、自宅で再収穫した豆苗は雑菌が付いている可能性があるので加熱調理用として使ったほうが確実であると言われています。余程上手くいかない限り、再収穫された豆苗は購入したときよりも細めで見栄えは劣ります。個人的には炒めものなどに使うのが無難ではないかと思います。

参考元:産経ニュースHealth Benefits and Uses of Pea Shoots