マンゴスチンの栄養成分・効果効能
|果皮に含まれるポリフェノールも話題だが…

食べ物辞典:マンゴスチン

マンゴスチンは黒っぽい赤紫色をした果皮と、外側からは想像できないジューシーな果肉を持つトロピカルフルーツ。生での輸入が解禁され、「果物の女王」とも称される上品な風味が楽しめることから日本でもファンが増えている果物です。果肉部分の栄養価は高くないため嗜好品・自分へのご褒美感の強い果物ではありますが、果皮にはキサントンやアントシアニンなどが多く含まれ高い抗酸化力を持つことが報告されています。化粧品原料や香料にも使われていますね。そんなマンゴスチンの歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。

マンゴスチンのイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:マンゴスチン
英語:mangosteen

マンゴスチン(茫栗)のプロフイール

マンゴスチンとは

黒っぽい球状+黄緑色の大きな萼(ヘタ)が特徴的なマンゴスチン。小振りなこともあり個性的で作り物のような外見ですが、ミカンのように大きな房に分かれた雪白色の果肉を持ちます。ニンニクにも似た見た目ですが、その実とてもジューシー。ブドウとライチの中間のような、クリーミーでありながら弾力もある食感を楽しめます。また風味もライチ・ピーチ・イチゴ・パイナップルをバランス良く混ぜたようなと表現され、甘味と酸味のバランスがよく上品。クセがないことからトロピカルフルーツが苦手な方でも受け入れやすいですよ。

マンゴスチンはチェリモヤパイナップルと共に“世界三大美果”の一つとして紹介されることの多い果物。パイナップルが入るかマンゴーが入るかは意見が別れますが、マンゴスリンとチェリモヤは固定ですね。また東南アジアではドリアンが「果物の王様」と称されるのに対し、マンゴスチンは「果物の女王」とも呼ばれています。世界三大美果と混じって「美果実の女王」と紹介されることもあります。甘さはあれど爽やかで上品な風味は確かに女性的な印象がありますし、女王と呼ばれるのはマンゴーとの食べ合わせが良いからだとも言われています。ちなみに名前にMango(マンゴー)と付きますが、マンゴスチンとマンゴーは全く別の植物。呼び名はマレー語・インドネシア語の“manggis(マンギス)”に由来するという説が一般的です。

マンゴーなどと比べると日本ではそこまでメジャーとは言えませんし、フレッシュなマンゴスチンよりも冷凍ものやジュースなどに加工されたものの方が馴染みがあるかもしれません。女性であれば石鹸・化粧品の配合成分としてマンゴスチンを見かけた記憶のある方もいらっしゃるかもしれません。余談ですがマンゴスチンの果皮にはキサントンをはじめとするポリフェノールが豊富に含まれていることが分かっており、美容面ではアンチエイジングや美白効果が、医療面ではガンの抑制などに繋がるのではないかと期待されています。

ともあれフルーツとしては馴染みのなかったマンゴスチンですが、生での輸入が解禁されてからは少しずつ流通するようになり「タイフェスで生のものを初めて食べて感動した」など、その味に魅了された方も増えています。生マンゴスチンの流通時期は4月~9月頃まで、6~7月が旬と言われています。イベント時や流通の関係で100円代で購入できることもあるようですが、インターネットのお取り寄せなどで生マンゴスチンを購入しようとすると価格は1個あたり400円位が相場。冷凍マンゴスチンの2~3倍くらいになります。マンゴスチンの大きさはミカンと同じくらいですから、気軽に取り入れるというよりは「自分へのご褒美」という感覚で購入される方の方が多いのではないでしょうか。

マンゴスチンの歴史

マンゴスチンの起源は分かっていませんが、おそらく東インド諸島(スンダ列島・モルッカ諸島)で誕生したのではないかと考えられています。マレー半島を中心とした東南アジアでは食べられていたそうですし、葉はお茶に、果実の外皮は染料や感染症の治療などに医薬品感覚で利用していたと伝えられています。果実(果肉)もフルーツとして食べるだけではなく、皮膚炎症のケアなどに外用薬として用いられていたのだとか。その美味しさや薬効の高さから東南アジアの国々では「神の食べ物」と呼ばれ大切にされていたそうです。

大航海時代頃になると東西交易のためにマレー半島・インドネシア間をヨーロッパの船が行き来するようになり、1735年にはフランス人L.Garciaによってマンゴスチンの詳細な記録が報告されます。歴史上は彼がマンゴスチンの発見者とされており、マンゴスチンの学名“Garcinia mangostana”も彼にちなんで命名されました。1800年代に入るとセイロンなどで栽培が試みされるようになり、1810年にタイで栽培が成功したことを皮切りに各国でマンゴスチンの栽培が行われるようになっていきます。

マンゴスチンの歴史の中で必ずと言って良いほど登場するのがイギリスの“ビクトリア女王”で、彼女はマンゴスチンを大層気に入り「領土にマンゴスチンがあるのに、食べたい時に味わえないのは遺憾だ」と言ったという伝承もあります。ビクトリア女王とマンゴスチンまつわる伝承にはそれ以外にも、新鮮な果物を届けたら誰であっても100ポンド払う・騎士の位を授けると言ったなどいくつかありますし、これらの話は後世に作られたものだとも言われていますが、そのくらい人々を魅了したとも捉えられますね。

現在私達が食べている果物の多くは長年の品種改良によって味を高めていますが、マンゴスチンは“単為生殖”と呼ばれる植物で交配による品種改良が出来ないという特徴があります。古い時代から味が変わっていないと推測されますから、他の果物が今ほど美味しくなかった時代にマンゴスチンの味は現在以上に高く評価されていたのかもしれませんね。ちなみに日本でもマンゴスチンの栽培は試みられていますが、まだ成功はしていないため輸入品に頼っています。かつては検疫の関係で冷凍ものもしくは加工品のみの輸入でしたが、2003年には青果の輸入が許可されるようになり日本国内にいても生のマンゴスチンが食べられるようになりました。

マンゴスチンの栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

近年キサントンやアントシアニンなどが多く含まれていること・抗酸化力が高いことなどが注目されているマンゴスチンですが、ポリフェノール類はほとんどが果皮に含まれています。通常私達が食べる果肉(仮種皮)部分の栄養価はあまり高くなありません。果皮に含まれる成分と期待される働きについては後記のマンゴスチンの果皮に期待される働きとは?を御覧ください。

マンゴスチンのイメージ02

マンゴスチンの効果効能、その根拠・理由とは?

疲労回復・夏バテ予防に

マンゴスチンはビタミン類の中でビタミンB1を100gあたり0.11mgと比較的多く含んでいます。ビタミンB1は糖代謝をサポートする働きがありますから、疲労物質(乳酸)の代謝を高める働きが期待できるでしょう。糖代謝は疲労物質の蓄積を予防するだけではなく、体を動かすためのエネルギーを生み出すにも必要不可欠です。タンパク質や脂質の代謝に関わるビタミンB2・B6・パントテン酸なども含まれていますし、マンゴスチンは即効性のあるエネルギー源とされる糖質も多く含んでいることから疲労回復に役立つと考えられています。

またビタミンB1は水溶性で汗とともに失われやすく、夏場は特に意識的に摂取したい栄養素の一つとされています。同じように夏場に失われやすいミネラルであるカリウムもマンゴスチンに含まれていますから、夏バテ予防にも役立ってくれるでしょう。そのほかビタミンB1は消化液の分泌を促すことで食欲増進に役立つのではないかという説もありますよ。南国発のフルーツであるだけに、暑い時期に適した食材と言えるでしょう。

便秘・むくみ予防に

マンゴスチンは食物繊維を100gあたり1.4g含み、かつ不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がバランス良く含まれています。食物繊維含有量が他の果物類よりも特出して多いと言うわけではありませんが、デザートなど通常のお食事に加えて摂取することで不足分をカバーしてくれると考えられます。

カリウム含有量は100gあたり100mgと果物類の中で多い部類ではありませんが、抗酸化作用や血管拡張作用を持つビタミンEは0.6mgと比較的多く含まれています。ナトリウムとバランスを取り合うことで体内の水分量を正常に保ってくれるカリウム・血行を促すことでむくみ改善にも繋がると考えられているビタミンEが補えることと合わせて、むくみ予防にも役立つ可能性があります。

ストレス対策として

マンゴスチンに多く含まれているビタミンB1は中枢神経や末梢神経など、神経機能を保持することにも関係しているビタミンです。これはビタミンB1が脳のエネルギー源となるブドウ糖を利用するために必要なビタミンであるためで、ビタミンB1が不足した場合は脳機能が低下しイライラや不安・集中力の低下などを起こすことがあります。近年ではビタミンB1がより直接的に脳内神経伝達物質を正常に保つ働きも報告されており、脳機能や精神面を健康に保つ・アルツハイマー予防などに役立つのではないかと考えられています。

同じくビタミンB群に数えられ、エネルギー代謝・様々な酵素の合成・神経細胞の合成や神経伝達などに関わりがあると考えられているパントテン酸も、マンゴスチンには比較的多く含まれています。パントテン酸は副腎皮質ホルモンの合成を助けることでストレス耐性を高める働きもありますから、ストレス対策としても効果が期待できるでしょう。マンゴスチンは贅沢な果物に分類されますし味も高く評価されていますので、自分へのご褒美として食べることも気分転換になりますね。

肌荒れ予防に

マンゴスチンにはビタミンCが100gあたり3mgと微量しか含まれておらず、ビタミンEも0.6mgと果物類の中ではやや多いくらいの部類。果肉部分にはカロテノイドなどの色素成分もほぼ含まれていませんから、肌のアンチエイジングや美白などの面ではあまり期待しないほうが良いでしょう。

しかし肌に対してメリットがないというわけではありません。皮膚の新陳代謝を高めることに関係しているビタミンB1を筆頭としたビタミンB群が多く含まれていますから、血行を促すビタミンEの働きを合わせて肌荒れの予防・軽減に役立ってくれるでしょう。またパントテン酸はコラーゲンを産む線維芽細胞を活性化させる・ビタミンCの働きを助けることでコラーゲン生成を促すなどの働きも持つとされていますから、食べるときはビタミンCを豊富に含むものと食べ合わせると良いでしょう。

マンゴスチンの果皮に期待される働きとは?

マンゴスチンの果皮にはキサントン(Xanthone)と呼ばれるポリフェノールが豊富に含まれていることが分かっています。キサントン類はこれまで約200種類が発見されていますが、マンゴスチンはそのうち約40種類が含まれているのだそう。そのほかアントシアニンやカテキンなどの抗酸化物質も含まれており、非常に高い抗酸化力を持つと考えられています。

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抗酸化(アンチエイジング)に

活性酸素は私達の体を守るためにも必要な存在ですが、体内で過度に発生してしまうと体内の脂質・タンパク質をはじめDNAなどに悪影響を及ぼし、老化や様々な病気を引き起こす原因になると考えられています。体内であれば活性酸素と脂質で生成された過酸化脂質の蓄積によって引き起こされる動脈硬化などが、美容面では肌のコラーゲンが劣化することで起こるシワやたるみなどが挙げられます。抗酸化物質の摂取はこうした現象の予防=アンチエイジングに有効考えられることから、抗酸化物質を豊富に含むマンゴスチンの果皮がアンチエイジング食材として注目されています。

正常な免疫力のサポート

活性酸素による細胞へのダメージを抑えることは様々な体機能を保持することにも繋がり、免疫力低下を予防することにも役立つと考えられています。キサントンなどの抗酸化物質を豊富に含むマンゴスチンも免疫力を正常に保つサポートに有用と考えられていますし、マンゴスチンエキスの摂取実験では免疫機能を高める働きが見られたことも報告されています。

またガン細胞の発生・増殖にも遺伝子を傷つける活性酸素が関係しているのではないかとの見方があります。実験ではマンゴスチン果皮エキスを培養したガン細胞に加えることでガン細胞の現象が見られたことも報告されており、がん予防や抑制にも役立つのではないかと注目されているようです。

疲れ目ケア・眼精疲労予防に

マンゴスチンの果皮の色素には目の網膜で光の情報を信号化する役割を担う「ロドプシン」の再合成を促す働きが報告されているアントシアニンが含まれています。私達の目はロドプシンが分解される際に生じる電気信号が脳に伝わることで目に写ったものを認識することが出来ます。ロドプシンは分解された後に再合成され、再び分解を繰り返していますが、加齢や目の酷使によってこの再合成能力が低下すると目の疲れやかすみ・ぼやけるなど影響が出てきます。

このためアントシアニンを補給することは、目を酷使し続けていることで起こるかすみ目・視力低下や眼精疲労の予防に繋がる可能性があると考えられています。またアントシアニンの持つ抗酸化作用は白内障や緑内障予防にも有効な可能性があることも報告されています。これらのことからアントシアニンを含むマンゴスチン果皮も目の健康維持に効果が期待されています。

糖尿病予防・ダイエットサポート

マンゴスチンに含まれる成分として、キサントン以外に「ヒドロキシクエン酸(HCA)」というものも注目されています。ヒドロキシクエン酸はガルシニアなどにも含まれている成分で、肝臓でのグリコーゲン合成を促すことで血糖値を一定に保つ働き・摂取した糖分や炭水化物が脂肪として蓄積するのを抑える働きなどが報告されています。

これらの働きからヒドロキシクエン酸は糖尿病予防に効果が期待されています。また空腹時に血糖値が下がるとグリコーゲンはグルコースに還元され、糖値の急激な低下を防ぐ働きを持っています。このため空腹感の抑制にも繋がると考えられており、上記の働きと合わせてダイエット用としても注目されているようです。

抗糖化・美肌用としても注目

近年老化の原因として酸化とともに“糖化”が取り上げられることも増えています。糖化はタンパク質と糖質が結合することで起こる現象で、サビつきと称される酸化に対して“焦げ付く”と表現されます。この焦げ物質は「AGEs(=終末糖化産物)」と呼ばれており、蓄積することで骨や血管がもろくなり病気の原因となる、肌に蓄積されると黄ぐすみの原因となる・コラーゲンを破壊し肌をボロボロにしてしまうなどの悪影響が考えられています。

マンゴスチンは豊富なポリフェノールによる抗酸化作用があるだけではなく、マンゴスチンエキスを使った実験では高い抗糖化活性が見られという報告もなされています。このため抗酸化+抗糖化作用で若々しい肌の保持に役立つのではないかと注目されています。アンチエイジング成分としてサプリメントなど内服するものだけではなく、化粧品原料としても取り入れられています。

マンゴスチンの選び方・食べ方・注意点

マンゴスチンを選ぶときは果皮は水分と弾力感があるもの、サイズが大きくお尻(ヘタの裏側)にある花のような凹凸が大きくクッキリしているものを選ぶと良いとされています。収穫されてから時間が経ったもの・保存状態の良くなかったものは果皮が乾燥し硬くなってしまいます。食べごろを逃したものも果皮が硬くなっていきますので、触ってみてカチカチになっているものは避けたほうが良いでしょう。購入後数日であれば冷蔵庫で保存できますが、湿った状態でないと皮が硬くなりますので新聞紙などを湿らせて包んでから入れて下さい。

皮付きのマンゴスチンを購入した場合は萼(ヘタ)を親指で押すようにして圧をかけ、皮を割るような感じで開いて食べます。固くて手で割りにくい場合は白い部分(仮種皮)を切らないように包丁で一周切れ目を入れると良いでしょう。汁が付くと着色してしまい、洗っても取れにくいので、皮を剥く時は衣服やデーブルクロスなどに付かないように注意しましょう。

マンゴスチンの注意点

タイ・ベトナムなどの東南アジア諸国では、生のマンゴスチンは砂糖やビールと組み合わせて食べてはいけないと言われているそうです。理由などははっきりと分かっていないそうですが、古くから食べてきた人々の知恵に従って避けるようにした方が無難かもしれません。

またホテルによっては果皮の色が調度品に付いてしまうことを嫌がり「室内への持ち込み禁止」としているところもありますので、ご旅行の際は確認するようにするとトラブルを避けられるでしょう。