マンゴーの特徴と栄養成分・期待できる健康メリットとは

食べ物辞典:マンゴー

クリーミーでジューシー、濃厚な風味で日本人を虜にしたマンゴー。夏頃に多く流通すること、ザ・トロピカルフルーツというお味から夏限定メニューにも多く使われています。水分やカリウムなどの夏場に嬉しい栄養補給にも役立ってくれますし、ダイエット中の甘味補給にも嬉しい存在。近年は肥満予防効果を示唆した研究報告も発表され、美容フルーツとしても注目されています。そんなマンゴーの栄養価や期待される健康メリット、食の歴史、注意点などをご紹介します。

マンゴーのイメージ画像:食べ物辞典トップ用(slowbeauty)

和名:芒果/檬果
英名:Mango
学名:Mangifera indica

マンゴーのプロフイール

マンゴーとは

トロピカルフルーツの1つとして日本でもお馴染みのマンゴー。ねっとりとした食感と濃厚な甘さはそのまま食べても美味しく、手軽に購入できる冷凍マンゴーを半解凍で食べるとそれだけで贅沢なシャーベットに。ドライフルーツも至るところで販売されていますし、初夏の頃には外食産業・製菓店などでマンゴーフェアが開催される機会も多く、夏を知らせるフルーツとしても定着しています。沖縄や九州などで国産マンゴーも多く生産されており、初競りで一つ10万円の値がつく宮崎マンゴー「太陽のタマゴ」などの存在も話題になりました。高級フルーツの一つとしても周知されていると言えるのではないでしょうか。

価格面だけではなく、風味としてもドリアンが“果物の王様”と呼ばれるのに対して、マンゴーは“果物の女王”と称される果物の一つでもあります。強烈な香りと濃厚なドリアンと比べると、濃密な甘さを持ちながらも酸味や瑞々しさを併せ持つ上品な風味は確かに女性的な印象もあるかもしれません。また同じく果物の女王と称されるマンゴスチンチェリモヤと共に“世界三大美果”とも表現され、美容に効果的な栄養素が摂れる果物として多くの女性に支持されている存在でもあります。風味はしっかりと濃厚なのに、他の果物と比べて極端にカロリーが高くないのも嬉しいところ。

マンゴージュースやスムージなどの飲み物・マンゴープリンやケーキなどの製菓原料だけではなく、オリーブオイルと和えてサラダにしたり、カレーやソースの甘味にとお砂糖の減量にも役立ってくれますよ。余談ですがマンゴーの未熟果実はコリコリした歯ごたえと酸味があることから、アジアや中南米では調味料や野菜感覚で用いられることもあるそう。梅干しのような味のするアチャール(ピクルスのようなペースト)・粉状にしたものはアムチュールという酸味料に利用しているそう。東南アジアでは未成熟果実に塩を、中南米では唐辛子をつけて食べるなど、日本人にはなかなか思いつかないような食べ方もされています。

そんなマンゴーはウルシ科マンゴー属に分類される、学名Mangifera indicaという果樹もしくはその果実。同じウルシ科の食材としてはカシューナッツピスタチオがあります。世界的では500以上もの品種が作られており、ブドウバナナオレンジりんごに次いで第5位の生産量を誇る果物です。主要品種は卵型で果皮がオレンジ色~赤色系のアップルマンゴー、果皮が緑~黄色のキーツマンゴー系、平べったく縦長な形で種もヘラのような形のペリカンマンゴー(カラバオ)の3系統。このうち日本で栽培され流通しているマンゴーの大半はアップルマンゴー系品種で、アーウィンマンゴーやメキシカンマンゴーと呼ばれているもの・宮崎県産の「太陽のタマゴ」や鹿児島の「夏姫」などのブランドマンゴー類、ミニマンゴーもアップルマンゴー系です。

また、沖縄県を中心に大玉のキーツマンゴーも生産されていますが、ペリカンマンゴー(カラバオ種)はフィリピンからの輸入品が大半。そのほかマンゴーの種類としては輸入物ではマンゴーの王様と言われるアルフォンソマンゴー、タイ産でマハチャノ種とナンドクマイ種を総称したタイマンゴー、ピンクから黄色のグラデーションの果皮を持つピーチマンゴーなどもあります。

マンゴーはインド周辺と温暖な地域が原産で、主産国もインドや中国・タイ・メキシコなど暖かい地域。日本国内の主産地としても沖縄県・九州・和歌山県と温暖な地域が挙げられます。しかし、実は北海道の十勝地方でも「白銀の太陽」というブランドマンゴーが生産されています。完全ハウス栽培、旬が真冬という珍しさもあって注目されていますよ。

マンゴーの栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

マンゴーは黄色~オレンジ色の果肉で、色素成分でもあるカロテノイドを多く含んでいることが特徴。100gあたり64kcalと甘さを強く感じる割にはカロリーはそこまで高くありません。葉酸やビタミンE含有量も青果類の中では多め。下記では『日本食品標準成分表』に“マンゴー/生”として掲載されている栄養素の含有量を参考に作成しておりますが、マンゴーには様々な品種があります。品種や生育条件により栄養素は異なる部分があることをご了承ください。

マンゴーのイメージ画像

マンゴーの効果効能、その根拠・理由とは?

夏バテに

夏が旬の果物でもあるマンゴーは夏バテ予防に適したフルーツとして紹介されることもあります。その理由として考えられるのが、全体重量の約80%が水分であり、糖質とカリウムの補給にも役立つという点。夏バテを起こしてしまう原因は様々ですが、大量の汗をかくことでカリウムが失われ低カリウム血症状態になる・水分不足を起こすのも一因。マンゴーは100gあたり170mgのカリウムを含んでおり、水分とエネルギー転換の早いブドウ糖など糖質も摂取することが出来ます。体に水分を留めるナトリウムが少ないため脱水対策としては弱いですが、夏場に不足しがちなビタミンB群なども含まれているので夏バテ予防の一つとして役立ってくれる可能性はあるでしょう。

便秘・むくみ予防

マンゴーの食物繊維量は生100gあたり1.3gと果物類では中堅的なポジション。100gあたり水溶性食物繊維が0.6g、不溶性食物繊維が0.7gと、水溶性食物繊維の割合が高いことが特徴です。水溶性食物繊維は水に溶けてゲル化することで便の固さを調節したり、善玉菌の栄養源となるプレバイオティクスの効果を持つことが認められています。マンゴーは水分も合わせて摂取することが出来ます、便を柔らかくする・腸内善玉菌の増加を助ける働きが期待されているビタミンCも含んでいます。このためマンゴーは便秘予防や腸内環境を整えるサポートにも取り入れられています。

また、カリウムは夏バテ予防だけではなくむくみ対策としても役立つ可能性があるミネラルでもあります。細胞内外の浸透圧を調整するミネラルで、カリウム不足状態でナトリウム濃度が高まると私達の体は水分を取り込むことでナトリウム濃度を一定に保とうとします。カリウムが足りていれば余剰ナトリウムの排出を促してくれるため、ナトリウム濃度を保つために蓄えられていた水分の排出にも繋がる=むくみが軽減されると考えられます。カリウムの補給に役立つマンゴーもむくみ、特にカリウム不足で起こりやすい夏のむくみ・濃い味付けを食べた後のむくみ対策として効果が期待されています。水分不足もむくみの原因になりますから、水分も補給できて一石二鳥ですね。

免疫力サポートに

マンゴーは生100gあたりβ-カロテンを610μg、ビタミンCを20mg含んでいます。β-カロテンは体内で必要に応じてビタミンAへと変換され皮膚や粘膜を保持・強化に利用される栄養素。ビタミンCもコラーゲンの生成を助けることでウイルス侵入抑制を防ぐ働きがあり、断定はされていませんが免疫機能との関わり・呼吸器感染症と全身感染症の予防に対する有効性も示唆されています。共に抗酸化作用を持つ栄養素でもありますから、酸化ストレスによる免疫機能の低下を予防する働きも期待できます。

また、人の体の中で最大規模の免疫器官は腸にあることが報じられ、腸管免疫系と腸内細菌の関わりがメディアでも多く取り上げられています。腸内フローラを整えることで免疫力の向上・正常化に繋がるのではないかと期待されています。マンゴーにはプレバイオティクスとして働く食物繊維も含まれていますから、ビタミン類の補給と合わせて免疫機能のサポートや風邪予防に繋がる可能性もあるでしょう。

妊娠中の栄養補給

マンゴーは100gあたり84μgと葉酸の含有量が青果類上位に入る果物。ブロッコリーほうれんそうには劣りますが、パプリカゴーヤーなど一部の緑黄色野菜を上回るほどに葉酸が含まれています。

葉酸は神経細胞の代謝・成長の補助・赤血球を作るのを助ける働きを持つビタミンの一種。胎児の正常な発育に不可欠な栄養素であることから、妊娠中や授乳中は一日の推奨摂取量が平常時よりも多く設定されています。近年は妊活サプリにも配合されていますね。マンゴーは葉酸の補給に役立つ果物ですし、便通や免疫力をサポートしてくれる食物繊維・ビタミン類も含まれています。このため妊娠中のお食事に適した果物として紹介されることもあります。

マンゴーは貧血予防にも良いと言われていますが、これは造血に関わる葉酸を多く含んでいることに起因しています。鉄分含有量は100gあたり0.2mgと微量ですので「鉄分補給に」と取り入れるのはお勧めできません。また、マンゴーは接触性アレルギーを起こす物質が含まれています。普段は平気であっても妊娠中や産後など体が敏感になっている時期にはアレルギーが出てしまう場合もありますので、注意して取り入れるようにしてください。

肥満予防・ダイエットのお供に

マンゴーはねっとりとした濃厚な甘さからカロリーが高い・糖質量が多いように感じられますが、全体重量のうち利用可能炭水化物は全体の15%程度、カロリーは生100gあたり64kcalと同グラムで比較した場合はどちらもバナナの8割程度。果物(青果)類全体として見ても特別多いと言うほどではありません。血糖値上昇指数(GI値)は文献によっても差がありますが概ね50~55の間くらい、バナナと同程度とされています。食べすぎには注意が必要ですがデザートや間食として適量を摂取する程度であれば問題ない食材と言えるでしょう。

食物繊維や甘味の補給に役立つだけではなく、2012年にはオーストラリアの研究チームによって“マンゴーの果皮と果肉の抽出物にレスベラトロールと同様の脂肪生成の阻害作用が見られた”というが報告が『Food & Function』に掲載されています。2016年には『FASEB Journal』に“マンゴーポリフェノールとそれらの微生物代謝産物は3T3L-1脂肪細胞の脂肪生成および脂肪蓄積を抑制する”という研究論文も発表されており、マンゴーの摂取が肥満と肥満関連疾患の予防に役立つ可能性が示唆されています。

研究はまだ始まったばかりで有効性の断定に至るものではありませんし、2012年に発表されたオーストラリアの研究ではマンゴーの品種により差があることも報告されています。マンゴーが直接的に脂肪生成を抑制するかは分かっていませんが、食物繊維や必須ビタミン・ミネラル類の補給や甘味の補給からもダイエットをサポートしてくれる可能性はあるでしょう。

抗酸化サポートにも

マンゴーはビタミンCとβ-カロテン以外に、ビタミンEを100gあたり1.8mgと豊富に含んでいます。この3つのビタミン類は共に抗酸化作用を持つことが認められています。ビタミンC含有はやや少なめですがはフルーツの中では珍しく水や加熱に強い性質があること・ビタミンCの吸収を高めるケルセチンなどのフラボノイド(ビタミンP)が含まれていることも特徴。ルテインやゼアキサンチンなどのカロテノイドも含まれていますから、抗酸化物質の補給にも役立ってくれるでしょう。

活性酸素/フリーラジカルによる酸化ストレスは体の持つ様々な機能を低下させたり老化を促進するリスクファクターとなることから、抗酸化物質の補給は体を若々しく健康な状態に保つことに繋がると考えられており、マンゴーはアンチエイジングフルーツとしても注目されています。

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疲れ目・ドライアイ軽減

β-カロテンから変換されるビタミンAは網膜で光を感知するロドプシンの生成にも利用されています。このため不足なく補うことで目の疲れの緩和・視界をクリアにするなどの働きが期待できると考えられています。またビタミンAは目や呼吸器などの粘膜を正常に保持する働きもありますし、β-カロテンは抗酸化作用によって目のダメージを軽減する働きもあります。これらのことからβ-カロテンを豊富に含むマンゴーは目の疲れや乾燥予防に役立つと考えられています。

加えてマンゴーには同じくカロテノイドに分類される色素成分ゼアキサンチンも含まれています。ゼアキサンチンは目の黄斑部に存在する成分であり強い抗酸化作用を持つため、活性酸素によって水晶体が酸化しおこる白内障などの目の老化・黄斑変性症予防に効果が期待されています。またゼアキサンチンは紫外線やパソコンやスマホから発せられる青色光(ブルーライト)のような、活性酸素を発生させる光を吸収することで目を守る働きもあると考えられています。目の酷使が気になる方にのサポートにも役立ってくれるかもしれませんね。

美白・美肌保持

マンゴーは高い美肌効果・美容効果が期待できる果物としても注目されている食材。マンゴーには合わせて摂ると相乗効果が期待できるビタミンA(β-カロテン),ビタミンC,ビタミンEをはじめ、カロテノイド類・没食子酸やプロトカテク酸などのポリフェノール類などの抗酸化物質が多く含まれています。このため活性酸素が肌細胞を傷つける事を防ぎぐ働きが期待できますから、内側からの紫外線対策としてやシワ・タルミ・シミなどの肌老化予防に役立ってくれるでしょう。大人ニキビの原因とされる過酸化脂質の生成抑制にも繋がります。

抗酸化以外にも、βカロテン(ビタミンA)には皮膚の潤いを保つ、ビタミンCはコラーゲンの生成促進・メラニン色素生成抑制、ビタミンEには末梢血管の血流促進なども期待できます。葉酸やビタミンB6などはタンパク質の代謝を促進する働きがありますから、ビタミンCと共に弾力のある柔らかい肌を作る手助けをしてくれるでしょう。肌の状態を整える・美しい状態の維持をサポートしてくれる成分が沢山含まれた果物と言えますね。

目的別、マンゴーのおすすめ食べ合わせ

マンゴーの選び方・食べ方・注意点

美味しいマンゴーの選び方・保存方法

マンゴーは追熟する果物。フルーツとして美味しく頂きたい場合にはしっかりと置いておくのがおすすめですが、追熟に失敗してしまった時などはお菓子や料理に活用してみて下さい。マンゴーの果実がまだ青い時期にはビタミンC、果実が熟したものにはβ-カロテンの含有量が多くなると言われています。

国産マンゴーの多くは“完熟マンゴー”として出荷されていますが、流通の関係上もう少し熟した方が美味しいというものもあります。輸入物であればなおさら追熟が必要となりますから、未熟だと感じるものは指で軽く押すと少し凹むくらいの柔らかさ・甘い香りがするくらいまで常温で置いて追熟させるようにしましょう。

マンゴーは冷蔵庫に入れると低温障害を起こしてしまうため、熟したものは新聞紙などに包んで野菜室で保存します。数日週に食べない場合はカットして冷凍したほうが確実。ただし冷凍すると果肉の細胞が壊れてしまい、完全に解凍すると半ピューレ状になります。そのまま食べるならば半解凍くらいのタイミングがおすすめです。

マンゴーの注意点

マンゴーは「ウルシ科」の植物で、ウルシオールに似たマンゴールという接触性皮膚炎の原因物質が含まれており、唇の周りが赤くなる・かゆみを感じなどのアレルギー症状が出る場合があります。食べた直後ではなく数日後に発症する場合もあり、マンゴーにかぶれたと気づかないまま病院に行くとヘルペスなどと誤診される可能性もありますので、アレルギーを起こしやすい果物ということは念頭に置いておくと良いでしょう。

【参考元】