パパイヤ(パパイア)とその栄養成分・効果効能
|パパイン酵素・青パパイアについても紹介

パパイヤ(パパイア)イメージ

パパイヤ(パパイア)とは

マンゴーと並んで代表的なトロピカルフルーツの一つに数えられる果物、パパイヤ。国内産地である九州~沖縄県の方以外であればドライフルーツとしてのほうが親しみがあるかもしれませんし、同じような色・形状をしたマンゴーとパパイアの記憶が混じってしまうという方も少なくないのではないでしょうか。パパイヤの特徴といえるのは果皮が厚く、半分に割るとメロンのように種が沢山出てくること。また風味もわりと淡白でマンゴーような甘さ・濃厚さはなく、味よりも香りを楽しむ食べ物と称されることもあります。独特の食感と香りは好き嫌いが別れますがハマると病みつきになりますし、台湾名物のパパイア牛乳やハワイのパパイヤボードなど旅行の楽しみとされているスイーツもありますね。

果物として食べる以外に、タイ料理などでは青パパイヤ(グリーンパパイヤ)を野菜として利用されていることも知られています。千切りにした青パパイヤを使ったサラダ“ソムタム”が有名ですね。沖縄の方々も青パパイヤを料理に使いますし、フィリピンや台湾などでも野菜として使われているそうです。料理用に使う甘みの少ない青パパイヤという種類があると思われがちですが、青パパイアは未完熟状態のパパイアのこと。野菜として食べるのにより適したもの・フルーツ用として美味しく食べられるようにと品種改良されたものもありますが、フルーツとして食されるものと基本的には同じパパイヤです。

地域や使うタイミングによって野菜・果物のどちらに該当するか微妙なところですが、農林水産省的な分類としては数年にわたり収穫可能な木本性のものは“果物”に分類されていますから、パパイヤも果物に含まれています。ちなみにパパイアに漢字を当てるときは「蕃瓜樹」もしくは「木瓜」など“瓜”の文字が使われることが多いですが、パパイヤはウリ科ではなくパパイア科なので別物。木に瓜のような果物がなることから命名されたと言われています。そのほか切ると果実・葉などあらゆるところから白い乳液状の果汁が出てくることから「乳瓜」と呼ばれることもあります。

呼び名にも使われているこの乳液、実はタンパク質分解酵素が沢山含まれています。少し前に「青パパイヤの酵素がダイエットに良い」とメディアで取り上げられ話題になったこともありますね。余談ですがパパイヤに含まれている“パパイン酵素”はタンパク質分解酵素であり消毒作用もあることから、化粧品などにも用いられています。ニキビ対策に良いとされる酵素洗顔などの石鹸類や、抑毛ローションで“パパイア酵素”の文字を見たことがある方も多いのではないでしょうか。

パパイヤ(パパイア)に含まれる栄養や成分に期待できる働き・巷で言われる効果効能の理由とは?

パパイヤはビタミンCを非常に多く含み、食物繊維も豊富な部類に属します。そのほかビタミンやミネラルも果物としてみると含有量は少なくありませんので、栄養バランスが比較的良い良い果物とも称されています。100gあたりのカロリーは完熟38kcal、青パパイヤであれば39kcalとなっています。下記では果物として食されるパパイヤ(完熟したもの)を主体に紹介しておりますので、青パパイヤについては後記の青パパイヤについてを御覧ください。

パパイヤはこんな方にオススメ

  • 胃もたれ・消化不良の予防に
  • 便秘気味の方
  • 疲労・エネルギー不足に
  • 夏バテ予防・軽減に
  • むくみがちな方
  • 若々しさを保ちたい
  • 生活習慣病予防に
  • ストレスが多い方
  • 風邪を引きやすい方
  • 免疫低下が気になる
  • 肌のアンチエイジングに
  • シミ予防・紫外線対策に
  • 肌荒れが気になる方に
  • (青)代謝アップ・肥満予防に

下記ではこうしたお悩みがある方にパパイヤが良いとされる理由や、代表成分と言える消化酵素(パパイン)についてなどをご紹介していきます。

消化促進・便秘予防

パパイアの代表成分といえるのがタンパク質分解酵素パパインではないでしょうか。この酵素の働きから、肉料理との相性が非常に良いフルーツの一つとしても知られていますね。パパインはタンパク質分解酵素と呼ばれていますが、炭水化物・タンパク質・脂質の3大栄養素全てを分解する働きがあることが報告されています。このことからパパインは胃もたれ・消化不良の予防や改善に役立ち、焼けがするときはパパイヤを少し食べると良い、なんて民間療法もありますね。

またパパイヤは消化酵素だけではなく、100gあたり2.2gと食物繊維も豊富に含んでいます。食物繊維とパパインが相乗することで胃腸機能サポートに高い効果があつろ考えられています。便を柔らかく保つ働きがあるビタミンCやマグネシウム含有量も多くなっていますから、便秘気味の方にも適した食材と言えるでしょう。ビタミンCは腸内で善玉菌のエサとなることで善玉菌を増殖させ、腸内環境を整える働きもあります。

疲労回復・強壮

パパイヤにはクエン酸などの有機酸が豊富に含まれていると言われています。こうした有機酸類は糖代謝を行うクエン酸回路(TCA回路)の働きを良くし、代謝を良くする働きがあると考えられてます。筋肉痛などの原因として疲労物質“乳酸”がよく挙げられていますが、この乳酸もクエン酸回路内で生成される物質です。クエン酸回路が潤滑に回ることで乳酸の元となる物質(焦性ブドウ糖)の蓄積抑制・乳酸の代謝を高めることに繋がると考えられます。

際立って多くはありませんが、パパイヤには代謝に関わるビタミンB群・栄養補給をサポートしてくれる消化酵素パパインなども含まれていますから、相乗して疲労回復や体力回復などに役立ってくれるでしょう。またマカの代表成分として知られる“ベンジルイソチオシアネート”がパパイヤにも含まれていることも報じられており、そちらからも疲労回復や滋養強壮効果が期待されています。

夏バテ予防・むくみ軽減

消化を助けてくれることに加えてビタミンやミネラルをバランスよく含んでいることもあり、パパイヤは夏バテ対策としても適した食材と考えられます。夏場に失われやすく不足が夏バテの原因にもなるカリウムも100gあたり210mgと果物類の中では多い部類に属しますし、クエン酸も食欲増進や疲労物質の代謝促進から夏バテ対策に効果が期待されている成分。これらの成分の補給や水分補給源として役立ってくれるでしょう。

またカリウムは体内でナトリウムとバランスを取り合い、水分バランスを保っているミネラルでもあります。塩辛いものを食べた後にむくみやすいのはナトリウムが過剰になることで体が水分を取り込み、血中ナトリウム濃度を一定に保とうとするため。カリウムはナトリウムや水分の排出を促し、むくみの改善をサポートしてくれます。パパイヤにはカリウムの運搬を助けたり、正常な体液循環を保持する働きのあるマグネシウムも100gあたり26mgと豊富に含まれていますから、むくみ対策としても効果が期待できるでしょう。

老化・生活習慣病予防

パパイヤは100gあたりのビタミンC含有量が50mgと高く、同グラムで比較した場合はレモン果汁とほぼ同じとなります。加えてβ-カロテンやβ-クリプトキサンチンなどのカロテノイドも多く含まれています。これらの成分は抗酸化作用を持ちますから、増えすぎた活性酸素が体内の脂質・タンパク質・DNAなどに悪影響を及ぼすことで起こる老化や様々な病気を防ぐ働きが期待できます。

抗酸化物質は過酸化脂質の生成を防いでくれますし、パパイヤに含まれている消化酵素パパインには血中の悪玉(LDL)コレステロール減少作用があることも報告されています。ビタミンCにはコラーゲン生成を促すことで血管を靭やかに保つ働きもありますし、ナトリウムの排泄を促して心臓への負担を軽減することで高血圧予防に有効とされるカリウムも含まれていますから、相乗して高血圧や動脈硬化などの生活習慣病予防に役立ってくれるでしょう。

そのほかβ-クリプトキサンチンには脂質・糖代謝を改善する働きが報告されていることから、糖尿病予防にも効果が期待されています。ちなみに完熟パパイヤに含まれているカロテノイドはβ-カロテンよりもβ-クリプトキサンチンの方が多くなっており、赤肉種系のものであればリコピンが多いと言われています。

ストレス軽減・風邪予防

パパイヤにレモンと同じくらい豊富に含まれているビタミンCは抗酸化やコラーゲン生成促進以外にも様々な働きを持つ栄養素です。その働きの中にはアドレナリン・ノルアドレナリン・コルチゾールなどの副腎皮質ホルモンの合成を助けるというものもあります。これらホルモンは「抗ストレスホルモン」とも呼ばれ、ストレス下でその状況に対応するため分泌されることが多い存在。このためビタミンCを不足なく補うことでストレス耐性を高めることに繋がると考えられています。パパイヤには同じく副腎皮質ホルモンの合成に関わるパントテン酸も含まれていますので、補給源として役立ってくれるでしょう。

そのほかビタミンCは自らが病原菌を攻撃する働きがあるほか、抗ウイルス作用を持つインターフェロンの分泌促進作用が認められています。免疫反応を調節する働きを持つ副腎皮質ホルモンの原料でもありますから、ビタミンCは免疫力を正常に保つことで風邪やインフルエンザ予防にも役立つとされています。間接的な働きにはなりますが腸内善玉菌活性化も免疫力保持に繋がりますし、コラーゲン生成促進はウイルス侵入抑制に役立つと考えられます。

美白・美肌保持

パパイヤに含まれているビタミンCやカロテノイドなどの抗酸化物質は肌細胞の酸化を抑制することで、シミやシワ・たるみなどの肌老化予防にも役立ってくれます。また特に多く含まれているビタミンCは抗酸化以外にもメラニン色素の生成に関わるチロシナーゼの働きを阻害することでシミ予防や美白に、コラーゲン生成促進を促すことで肌のハリ・弾力アップにも有効とされています。β-クリプトキサンチンにもヒアルロン酸合成酵素を活発化させる働きが報告されていますから、乾燥肌対策にも効果が期待できるでしょう。

またビタミンCのように豊富というほどではありませんが、パパイヤには肌の健康を保持するのに欠かせないビタミンB群やミネラルも含まれています。食物繊維やビタミンCによる便秘改善・腸内フローラのバランス改善などからも肌荒れの改善が期待できます。紫外線ケアやアンチエイジング用にとしてはもちろんのこと、きれいな肌を保つためにも役立ってくれるでしょう。

青パパイヤの栄養成分について

未完熟状態で収穫される青パパイアはβ-カロテンなどのカロテノイド類が少なく、ビタミン・ミネラル類の含有量はさほど変わりません。甘くはないものの炭水化物量やカロリーもほとんど変わりませんが、消化酵素やポリフェノールなどに差があると考えられています。

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ダイエットサポート

人の体には大きく分けて消化酵素と代謝酵素の2タイプの酵素がありますが、物を多く食べる方は消化酵素の生産が優先されるようになり代謝酵素が少なくなってしまうと考えられています。タンパク質・糖質・脂質全ての消化をサポートできるパパイン酵素を摂取することで消化酵素が補強され、代謝酵素の不足改善につながると期待されています。代謝酵素が十分に生産されると代謝が高まり、余分な脂肪を蓄積しにくくなる=太りにくくなる考えられます。

ダイエットに役立つ可能性があると取り上げられたのはパパイヤではなく「青パパイヤ」ですが、これはパパインが果実が熟すにつれて減少してしまうため。青パパイヤの消化酵素量は完熟パパイヤの約10倍とも言われており、パパインの働きをより得たい場合は青パパイアを摂取したほうが効果的とされています。ただしパパイヤは体を冷やす食品に分類されており、食べ過ぎると冷えによる体調不調や代謝低下を起こしてしまう可能性もあります。特に冷え性の方は食べ過ぎに注意しましょう。

アンチエイジング

青パパイヤは色が薄いため抗酸化力が弱いと思われがちですが、青パパイヤは赤ワインの約7.5倍のポリフェノールを含む・SOD様酵素を含むなどの説があり、高い抗酸化力を持つ食材であるという見解が主流になっています。ビタミンC含有量は100gあたり45mgと完熟したものよりもやや少なくなっていますが、ポリフェノールやSOD様酵素の働きで生活習慣病予防や肌のアンチエイジングなどにも高い効果が期待されています。

パパイヤ(パパイア)の選び方・食べ方・注意点

パパイア(青パパイア)は子宮収縮作用をもつ成分が含まれていると言われており、かつては東南アジアで避妊薬や堕胎薬代わりに用いられていたそう。そのため現在でも妊娠中の方は避けた方が良い果物とされています。熟したパパイヤであれば問題ないという説もありますが、安全のために摂取は控えたほうが無難でしょう。

完熟・未完熟共通してパパイヤは手に持った時にずっしりと重みがあり、果皮が綺麗で鮮やかな色をしているものを選ぶと良いとされています。果物として食べる場合は全体がしっかりと黄色になり、押すと少し弾力を感じる程度の柔らかさになったら食べごろとされています。芳香が出てくると良いとも言われますが、香りでは分かりにくいことも多いため色と弾力に重点を置くと確実でしょう。

まだ青かったり硬かったりする場合は新聞紙などに包んで常温(20℃前後)の場所で追熟させます。逆にいい具合に熟しているものを保存する場合は、ピニール袋などに入れて冷蔵庫で保存します。5日~1週間位持つとされていますが、早めに食べるようにしたほうが確実です。

効果アップが期待出来るパパイヤの食べ合わせ

パパイヤ(パパイア)の雑学色々

パパイヤの歴史

パパイアは熱帯アメリカが原産で、おそらくジュラ紀(約1億9960万年前~約1億4550万年前)には存在していたと考えられています。文献等に残っていないもののメキシコ・中米エリアに住んでいた人々は古くからパパイヤを食していたと考えられます。古代マヤ文明の遺跡“チチェン・イッツァ”周辺にもパパイヤが生えていたそうですし、マヤの人々はパパイヤの果肉をペーストにして皮膚炎症の治療に用いていた・生命の樹と呼ばれていたとも伝えられています。パパイヤを「万寿果」と書く由来は不明とされていますが、もしかするとそうした背景があるのかもしれません。

パパイアがヨーロッパ人に発見されたのは大航海時代、文献としては1526年に初めて登場したと言われています。隊員の一人が胃痙攣を起こした際にインディオの人がくれたパパイヤを食べると、すぐに症状が和らいだことにコロンブスが驚き持ち帰ったという話もあります。青パパイアは保存性が良いこと・壊血病予防に役立つことから船乗りたちに喜ばれ、後にアジア・アフリカなど世界中の熱帯地域に広まって行きます。パパイアという呼び名は、原住民が呼んでいた呼び名が訛ったものだそう。またスペインやポルトガルでは「Mamão(ママオ/マモン)」と呼ばれていますが、こちらは初めてパパイヤを見たスペイン人が母の乳房のようだと言ったことが由来だとか。

日本には明治時代にパパイヤが伝わりました。当時は中国語の蕃瓜樹もしくは万寿果と呼ばれ、気候が温暖な沖縄県や小笠原諸島などで栽培が行われるようになります。しかし木のように見える部分は茎で柔らかく台風に耐えられないなどの問題があり、全国に流通させられるほど安定した生産はできなかったそうです。パパイヤが日本で普及するようになったのは1968年に輸入が始まって以後とされています。

パパイヤにまつわる話として、2011年にウイルス抵抗性を付与した“遺伝子組換え(GM)パパイヤ”の輸入解禁が話題となったことを覚えていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。この解禁された遺伝子組み換えパパイヤはハワイ産のレインボーという品種だけで、表示義務が定められています。日本では遺伝子組換えではないパパイヤの方が主流でもありますから、過剰に心配する必要はないでしょう。