ふきのとう(蕗の薹)の栄養成分・効果効能|
春の山菜はデトックス&代謝サポートも期待?

ふきのとう/蕗の薹イメージ

ふきのとう(蕗の薹)とは

雪解けすぐにちょこんと顔を出すフキノトウ。路肩などの土の中、地域によっては雪の中から出ている鮮やかな黄緑色の頭を見つけて「春だなぁ…」とワクワク間を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。春の訪れを感じさせる植物であるのはもちろんですが、やや青っぽい香りや苦味などの風味もこれぞという春の味覚感に満ちていますね。お浸しや和え物など様々な使われ方をしていますが、特にポピュラーなのが“フキノトウの天ぷら”。天ぷら屋さんや和食屋さんでは早春~春に欠かせない存在とも言われています。

また食養・マクロビオティックの先駆者と言われる石塚左玄先生の著書『食物養生法』には“春は苦味、夏は酸味、秋は辛味、冬は脂”という下りがあるように、苦味のある春の食材を摂ることは四季に応じた体の変化をサポートしてくれるとも考えられています。苦味は気持ちを落ち着けたり、循環機能を助けて冬の間に体に蓄えていた脂肪や老廃物などの排出を促してくれるのだとか。冬眠から目覚めたクマが真っ先に食べるなんて話もあるそう。

春に食べられる山菜にはフキノトウ・たらの芽ウドタケノコなど様々にありますが、その中でもフキノトウの旬は地域にもよりますが1~3月頃と早いことが特徴。このため春一番の山菜・野草や“春の使者”とも称されています。ちょうど旬の時期でもあり、語呂がマッチする2月10日は「ふきのとうの日」にも制定されていますよ。

フキノトウは漢字で“蕗の薹”と書かれるように、煮物や炒め物などに使われるフキの薹=花茎(花を付ける軸)部分のことを指します。フキノトウと呼ばれている花茎は地面からポコリと顔を出しているので茎は無いように感じますが、実は茎は地中に伸びています。フキノトウが枯れた後、その地下茎から出てきた葉柄部分が一般的に“フキ”と呼ばれている部位となります。フキとフキノトウは同じ植物ですが、収穫時期・部位が違うため食感や風味は全くの別物ですね。ちなみにフキ・フキノウトウはキク科フキ属に分類される多年草なので、キク科植物にアレルギーがある方が“フキノトウアレルギー”を起こしたという報告もあるそう。

余談ですが、若い盛りが過ぎた・結婚適齢期を過ぎたことを表現するのに「薹(とう)が立つ・薹が立っている」という言い方があります。この言葉もフキやアブラナなどの野菜類が薹が立つ=花茎が伸びて固くなり食べられなくなる=頃合いを過ぎてしまったことから発生したそう。人に対してはなかなかに失礼な言い草ですが、花が咲いた程度のフキノトウは細かく刻んで“ふきのとう味噌”にするなど食べようはありますよ。

ふきのとう(蕗の薹)に含まれる栄養や成分に期待できる働き・巷で言われる効果効能の理由とは?

フキノトウはビタミンE・葉酸・カリウムを多く含み、含有量にバラつきはありますがビタミン・ミネラル類を幅広く含んでいます。100gあたり11kcalと低カロリーではあるものの大半のビタミン・ミネラル類を微量しか含まないフキと比べると、カロリーこそ43kcalと少し高く感じますが栄養価は高いと言えるでしょう。またフキノトウの苦味物質でもあるケンフェロール(kaempferol/ケンペロールとも)やフキノール酸などのポリフェノール、植物性アルカロイドなどにも様々な健康メリットが期待されています。

フキノトウはこんな方にオススメ

  • 胃腸の調子がよくない方
  • 便秘の予防・解消に
  • むくみ予防・改善
  • デトックスのサポートに
  • 疲労・疲労感の軽減に
  • 代謝を高めたい方に
  • 肥満・メタボ予防に
  • 若々しさの維持に
  • 高血圧・動脈硬化予防に
  • 妊婦さんの栄養補給に
  • 貧血の予防・緩和に
  • 骨粗鬆症が気になる方
  • 肌荒れ・肌老化予防
  • 白髪予防に

下記ではこうしたお悩みがある方にふきのとうが適していると言われる理由や、アレルギー性などの注意点についてご紹介していきます。

便通改善・胃腸機能サポート

フキノトウは食物繊維総量が生100gあたり6.4gと、同グラムで比較した場合にはゴボウを上回るほど食物繊維を豊富に含む食材でもあります。6.4gの食物繊維のうち5.4gと大半を占める不溶性食物繊維は、消化管内で水分を吸って膨らむことで腸を刺激し、蠕動運動を促す作用があると考えられています。腸内の老廃物を絡め取って排泄させる働きも期待されています。

またフキノトウの独特の香りの元とされる成分はフキノリドと呼ばれ、消化液の分泌を促すことで胃腸機能の活発化・消化促進効果が期待されています。民間療法の中で苦味健胃薬として用いられているのも、この成分の働きが大きいと考えられます。フキノリドの働きと豊富な食物繊維により、便通を良くしてくれる働きも期待できるでしょう。ただし不溶性食物繊維は水分を吸ってしまうので便が固くなりやすい方は注意が必要ですし、食べ過ぎは下痢を起こす可能性もありますから多量摂取は避けるようにしましょう。

むくみ軽減・デトックス

私達の体は塩分を取りすぎると、血中ナトリウム濃度を保つため血液に水分を取り込もうとする性質があります。塩辛い食事の後にやけにのどが渇いたり、身体がパンパンに浮腫んでしまうのもこのため。フキノトウにはナトリウム排出促進作用を持つカリウムが生100gあたり740mg/茹で100gあたり440mgと非常に多く含まれています。茹で状態であっても同グラムのキュウリの2倍以上の含有量になりますから、カリウム補給源としてむくみ予防・改善に役立ってくれるでしょう。

加えてフキノトウの苦味成分である植物アルカロイドには、肝機能や腎機能の向上作用があるのではないかと考えられています。肝臓と腎臓は老廃物や毒素の無毒化・排出を担っている臓器であるため、活発に働くことで体内の老廃物や有害物物質の排出促進に繋がると考えられます。フキノトウは便秘改善・腸の老廃物排出をサポートしてくれる食物繊維も豊富ですから、相乗してデトックスサポートとしても効果が期待できるでしょう。冬の間に溜め込んだ脂肪や老廃物などのリセットに、と言われるのも納得ですね。

疲労回復・代謝向上

古くは滋養強壮や強精に良いと考えられていたフキノトウ。代謝に関わるビタミンB1,B2,B6が含まれていることに加え、胃腸機能向上効果に役立つとされる香り成分フキノリド・肝臓や腎臓機能を向上効果が期待される植物アルカロイドなども含まれています。またポリフェノールの一種であるケンフェロールはミトコンドリア機能を高める働きが高いことも報告されており、エネルギー産生率や脂肪燃焼を高めるなどの効果があるとする説もあります。

こうした成分が複合して働くことで、フキノトウは代謝向上や疲労回復に役立つと考えられています。デトックスにも役立つ食材ですので疲労感や身体のだるさ・重さなどの軽減にも繋がるでしょう。そのほか代謝に関わる成分が様々に含まれていること・脂肪燃焼向上に役立つと考えられるケンフェロールを含むことから、メタボリックシンドローム予防やダイエットサポートにも効果が期待されています。

抗酸化・生活習慣病予防

フキノトウは苦味成分でもあるケンフェロールやフキノール酸を筆頭として、クロロゲン酸やケルセチンなどのポリフェノールを豊富に含む食材と考えられます。またビタミンEが生100gあたり3.2mgと豊富で、β-カロテンやビタミンCも含まれていることから活性酸素を抑制・除去することで健康をサポートする働きが期待できます。酸化から体を守ることは細胞の劣化を予防することにも繋がりますから、アンチエイジング(老化予防)にも役立つと考えられています。

またポリフェノールやビタミン類などの抗酸化物質は、血中脂質と活性酸素が結びつくことで出来る過酸化脂質の生成を抑制する働きも期待できます。過酸化脂質は血管に蓄積して血液の通り道を狭めたり、血管の柔軟性を損なわせることで動脈硬化・血栓などのリスクを高めると考えられています。フキノトウはカリウム含有量が高い食材でもありますから、抗酸化作用と合わせて高血圧対策としても優れていると考えられます。

妊娠中・授乳中の栄養補給

フキノトウは生100gあたり160μgと葉酸を比較的多く含んでいます。葉酸は赤血球合成に関わることから“造血のビタミン”と呼ばれていますが、それ以外にもタンパク質や核酸(DNAやRNA)の合成・神経細胞の代謝などにも関わる栄養素。特に妊娠・授乳中は赤ちゃんの健全な発育に不可欠な栄養素であることから、一日の推奨摂取量が多く設定されている成分でもあります。

葉酸は加熱調理で減少しやすい栄養素ですし、若干の毒性があるためフキノトウの多量摂取はお勧めできません。しかし旬の時期に通常量を食べる程度であれば、不足しがちな栄養素の摂取サポートとして役立ってくれると考えられます。妊娠中に起こりやすい便秘・むくみ軽減効果が期待できる食材でもありますから、春っぽさとともに味わってみて下さい。

貧血・骨粗鬆症予防

葉酸が豊富なことに加え、フキノトウは鉄分含有量も100gあたり1.3mgと野菜類の中では多い部類に入ります。ちなみに葉酸含有量はたらの芽と当程度ですが、鉄分量はややフキノトウの方が上回ります。鉄分の吸収や利用をサポートするビタミンCや銅、丈夫な赤血球膜の生成に必要とされる亜鉛なども含まれていますから、貧血気味の方にも適した食材と言えるでしょう。

貧血と並んで女性、特に閉経前後からの女性に多いトラブルとして挙げられるのが骨粗鬆症。フキノトウには骨にカルシウムが沈着するために必要なタンパク質を活性化させる働き・骨吸収を抑制する働きがあるとされ、骨粗鬆症予防に役立つと考えられているビタミンKが多く含まれています。カルシウムも100gあたり61mgと野菜類の中では比較的多く含んでいますから、骨を丈夫に保ちたい方のサポートとしても役立ってくれるでしょう。

肌荒れ予防・アンチエイジング

ビタミンEを筆頭とした抗酸化ビタミンや、ケンフェロール・フキノール酸・クロロゲン酸・ケルセチンなどのポリフェノールを含むフキノトウ。活性酸素はシワ・タルミ・シミなどの肌老化の原因となりため、酸化を抑えることで肌のアンチエイジングにも役立つと考えられます。ビタミンEは血管を拡張して血液循環を促す働きも持っていますから、肌のくすみが気になる方にも良いでしょう。

また際立って多い成分こそありませんが、皮膚の代謝・健康維持に関わるビタミンB群やβ-カロテンもフキノトウには含まれています。抗酸化・体内の老廃物排出が促されることと合わせて肌荒れの予防・軽減に繋がるでしょう。メラニン色素を作る材料として利用される銅も多いので、白髪予防にも役立つと言われています。

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花粉症などのアレルギー軽減について

フキに含まれているポリフェノールの一種で“フキノール酸”という成分は抗アレルギー作用があると言われており、花粉症軽減や咳止めなどの効果が期待されています。オリザ油化株式会社さんのカタログのなかでもフキ抽出エキスに脱顆粒抑制作用やロイコトリエンの遊離阻害・TNF-α産生抑制作用などアレルギー抑制に繋がる働きが見られたことが記載されています。

上記の資料はフキエキスのものなのでフキやフキノトウをそのまま食べてどの程度効果があるかは不明ですが、アルカロイド類の働きで肝臓・腎臓機能が整い血が綺麗になる、ケンフェロールの働きで免疫力が向上することからアレルギー軽減に役立つという説もあります。ただしフキノトウ自体がキク科植物でアレルゲンとなる可能性もありますし、肝毒性の問題から継続的な多量摂取は避けるべき食材でもありますから、食材として食べる場合には花粉症やアレルギー改善などは期待しないほうが確実でしょう。

ふきのとう(蕗の薹)の選び方・食べ方・注意点

フキノトウには肝毒性のあるペタシテニン(別名フキノトキシン)やセンキルキンなどのピロリジジンアルカロイド類が含まれています。ピロリジジンアルカロイド類は水に溶けやすい性質があるので、アク抜きをして食べれば特に問題はないと言われています。天ぷらなどはアク抜きをせずに料理するケースもありますが、多量に摂取し続けるものではないので深刻な健康被害は起こらないと考えられています。ただし多量に摂取し過ぎると肝臓にダメージを与える危険性もありますので、食べ過ぎには注意しましょう。

フキノトウの下処置としては最初に水で丁寧にゴミを落とした蕾を開き、必要に応じてバラします。ちなみに中にある花の部分も食べられますが、エグみが強くアレルギーを起こしやすい部位でもありますので取った方が無難です。アク抜き方法としては沸騰させたお湯にフキノトウを入れ、3分程度茹でたあと冷水に晒すのが最もシンプル。お湯に重曹や塩を入れる・塩で板ずりして後に茹でるなどの方法もあります。

フキノトウを選ぶ場合はつぼみが固く締まっており、中の花芽があまり見えないものを選びましょう。保存は新聞紙に包んでビニールに入れるなど乾燥対策を行い、冷暗所に置く・野菜室に入れます。香りが抜け風味が落ちやすいので、なるべく早く食べきるようにしましょう。摂取後時間が経つほどアクを感じるとも言われています。数日中に食べない場合であれば、アク抜きした後に冷凍したほうが良いでしょう。

山菜採りの際は、よく似た毒草に注意

山菜採りをする場合には、フキノトウと似た外見をした“ハシリドコロ”という毒草と間違えないよう注意しましょう。特に芽を出したばかりの蕾の時には外見が似ており、味もほろ苦く違和感が少ないので誤って食べてしまうことが多いそうです。

チェックポイントとしてハシリドコロは葉の裏側が全体的に紫色がかっている・フキノトウよりも縦長で葉の締りが甘いことが挙げられます。対してフキノトウは白い綿毛が生えている・莟を開くと小さい花がたくさん詰まっていることが特徴です。とは言え少なくない誤食報告がありますので、自信が持てない場合は採取するのを止めておくか、山菜に詳しい方に確認してもらうようにしましょう。

ふきのとう(蕗の薹)の雑学色々

フキノトウの歴史

蕗(ふき)は現在となっては数少ない日本原産の植物で、蕗やフキノトウは縄文時代には既に食されていたとも言われています。ゴボウと並んで日本産野菜としては最古とも称されており、7世紀頃の長屋王邸跡から発掘された木簡にも“蕗”について記されたものがあるのだとか。また『本草和名』や『新選字鏡』などの書物には布々岐・布夫伎・布由岐という表記が登場しています。

平安時代になると自生していたフキを集め、人の手による栽培も行われるようになったと考えられています。927年に書かれたとされる『延喜式』には3年に1度植え替えることや労力についての表記があり栽培に力を入れていたことがうかがえます。当時葉や葉柄=今で言うフキの部分は食用に、花蕾=フキノトウは薬用として利用されていたようです。そのほか「ふきの新芽を食べると若返る」なんて伝承もあったそう。

江戸時代になると本格的な栽培・販売が行われていたことが分かっており、当時のレシピ本『料理物語』や『素人庖丁』などにもフキノトウの料理方法が記されています。現在でもよく作られる蕗味噌(ふきのとうみそ)の他、味噌汁の具・下茹でしたものに味噌を塗って焼くなどの料理法もあったそう。また江戸時代には天ぷら屋が人気を博していましたから、フキノトウの天ぷらも食べられていたのかもしれません。

フキノトウの民間療法

フキノトウもしくはふきの葉の絞り汁はかつて虫刺され・打ち身や腫れなどのケアに利用されていたそうです。

フキノトウを陰干しした物を煮出して飲むと、咳止めになると言われています。その他このフキノトウの煎じ汁(ふきのとう茶)は風邪・痰切りなどにも使われていたそう。ケンフェロールやケルセチンなどのポリフェノールを含むことからアンチエイジングに良いという説もあるそうです。

フキ・フキノトウは“蜂斗菜(ホウトサイ)”とも呼ばれますが、これは掘り出した根茎を乾燥させたものを指すのが本式だそう。ただし葉などでも同様の効果が期待できるということで、毒性の少ない部位が使われることもあるそう。ちなみに款冬もしくは款冬花と呼ばれるものは日本のフキとは別の「フキタンポポ」という植物を原料としています。