たらの芽(楤の芽)の栄養成分・効果効能|
苦みで春のデトックス? 強壮食材とも言われる理由は?

たらの芽イメージ

たらの芽(楤の芽/タラノメ)とはとは

春を感じさせる食材の一つに数えられる、たらの芽。独特のほろ苦さやほっくりした食感・濃厚なコクから山菜をあまり食べないという方にも好まれ“山菜の王様”と呼ばれることもあります。天然物であれば「桜の花が咲く頃にたらの芽が出る」という言い回しで旬の時期が表現されることもあります。子どもの時は嫌いだったけれど、大人になると不思議と恋しい味になった・春にたらの芽の天ぷらを食べるのが楽しみになったという方も少なくないのではないでしょうか。

植物としてはウコギ科タラノキ属に分類され、同じく山菜として食されるウド(独活)と比較的近い存在です。たらの芽が生えるタラノキの特徴は幹や枝の表面に、白っぽい色をした鋭いトゲが沢山あることが挙げられます。タラノキの語源もトゲの古語がタラである・棘が多く手を痛めやすい木=テアラシノキから変化したのではないか、などトゲと関連したものが多くありますよ。タラノキの変種にはメダラと呼ばれるトゲの少ないタイプもあり、それに対してトゲが多いタラノキをオダラやノダラと呼ぶこともあります。

たらの芽は需要の高い山菜ですが、天然物の摂取量には限度があるため栽培も行われています。栽培されているのは棘が少ないメダラ系が多く、また品種にもよりますが概ね天然物よりも苦味・エグみが少ないと言われています。ハウス栽培ものはたらの芽特有の風味も弱いですが、クセが少なく食べやすい・肌や色が綺麗などのメリットもあり、早いものでは12月下旬くらいから出荷されています。

天然物は山菜採りで人気のある存在ですが、乱獲が原因で数が減少していることも指摘されています。採取するのはある程度の大きさがある木の先端から伸びる1番上の芽・その横に斜めに伸びる2番の芽まで。摂り尽くしてしまったり幹を傷つけると枯れてしまうので、来年も芽吹いてくれるようマナーを守るようにして下さい。

和食においては「春の皿には苦味を盛れ」という言葉もあります。これは旬の食材を食べようというだけではなく、栄養を溜め込もうとする冬場の体から、春になり体の代謝が活発になっていくための変化をサポートしてくれると考えられているためだとか。苦味を持つ春野菜は冬の間に体に蓄えていた脂肪や老廃物などの排出を助けることで、季節の変わり目の体の変化をサポートしてくれる存在ということですね。現在で言うところのデトックス食材という位置付けであったのかもしれません。タラの芽は栄養価が高く、強壮・強精効果があるとも言われています。

たらの芽(楤の芽/タラノメ)に含まれる栄養や成分に期待できる働き・巷で言われる効果効能の理由とは?

たらの芽は季節感がある食材で、日常的な栄養補給源というよりは嗜好品というニュアンスがあります。しかしビタミン・ミネラルなどの含有も比較的多く100gあたりの27kcalと低カロリーな食材でもありますから、旬の時期には意識的に取り入れることで栄養バランスを整えるのにも役立ってくれるでしょう。

タラノメはこんな方にオススメ

  • 疲労回復・栄養補給に
  • お酒をよく飲む方
  • 二日酔いの予防・軽減に
  • むくみやすい方に
  • 血行不良・冷え性に
  • 便秘気味の方
  • 血糖値が気になる方
  • 血圧が気になる方
  • 貧血の予防・緩和
  • 妊婦さんの栄養補給に
  • 肌荒れ・肌老化予防
  • 白髪予防に

下記ではこうしたお悩みがある方にたらの芽が良いとされる理由を詳しくご紹介します。タラノキには抗酸化作用を持つビタミンE・骨へのカルシウム沈着を助けるビタミンKが多めなので、閉経前後の女性にもおすすめですよ。

エネルギー補給・疲労回復

たらの芽は水分含有量が比較的多い食材ですが、タンパク質と糖質を4%程度と同じくらい含んでいます。このためエネルギー補給源としてバランスが良い食材と考えられますし、疲労回復に役立つとされるビタミンB1も100gあたり0.15mgと野菜類の中ではトップクラスに入るほど多く含まれています。ビタミンB1は炭水化物を体を動かすエネルギーへと変換する際に必要な補酵素(チアミンピロリン酸)の原料となることで、摂取した栄養(炭水化物)をエネルギーとして行き渡らせる働きが期待できます。

そのほかビタミンB2やB6・ビオチンなど代謝に関わる栄養成分も幅広く含まれています。たらの芽は単体で食べることが少ない食材ですから、お食事に組み込むことで栄養の偏りの軽減・エネルギー転換率を良くしてくれると考えられます。古い時代には今のように野菜などの栽培技術も発達していなかったこともありますから、強壮作用がある・精力減退に良いなどと言われていたのも納得ですね。

二日酔い予防・肝臓ケア

たらの芽にはアセトアルデヒドの分解を助けてくれるナイアシン(ニコチン酸)が100gあたり2.5mg・茹で100gの場合でも1.3gと多く含まれています。アセトアルデヒドはアルコール分解過程で生じる毒性物質で二日酔いの原因とも言われているため、ナイアシン摂取すると二日酔いの予防・軽減に繋がると考えられています。

また、たらの芽はナイアシン以外にもアルコールの代謝を促進させるビタミンB1などのビタミン類が補給できますし、苦味成分でありサポニンの一種であるエラトサイドという成分にはアルコールの吸収抑制作用、胃粘膜・肝臓保護作用がある可能性も報告されています。これらのことから、たらの芽はお酒を飲む方のお供にも適した食材と言えるでしょう。

むくみ・冷え性予防

むくみが起こる原因には様々なことが考えられますが、その一つに“塩分の摂り過ぎ”が挙げられます。ナトリウム摂取量が増えると、身体は血中ナトリウム濃度を保つため血液に水分を取り込む=簡単に言うと水で薄めようとする性質があります。たらの芽にはこのナトリウムの排出を促してくれるミネラルであるカリウムが生100gあたり460mgと多く含まれています。カリウムはナトリウムを排出させることで余分な水分も排出させる働きがありますから、むくみ予防に役立つと考えられます。

加えてたらの芽にはカリウムの運搬や正常な体液循環をサポートしてくれるマグネシウム、末梢血管を拡張することで血行促進効果が期待されるビタミンEやナイアシンも多く含まれています。こうした成分が複合して働くことで塩分濃度の高い食事によるむくみだけではなく、血行不良や循環不良など“巡り”が悪い事に起因するむくみ軽減にも繋がると考えられます。また血行を整えてくれる成分が含まれていますから、血行不良や冷え性の軽減にも効果が期待できます。

便秘予防・血糖値対策

たらの芽は食物繊維を多く含む食材でもあります。生100gあたりの食物繊維総量は4.2gで、同じく山菜であるウドの約2倍・キュウリと比較した場合は約4倍にもなります。食物繊維の内訳としては不溶性食物繊維が多い傾向にありますが、水溶性食物繊維量も1.1g含まれているので野菜類の中では多い部類と言えるでしょう。ちなみに山菜類ではフキノトウの方が食物繊維総量は多いですが、水溶性食物繊維量はたらの芽の方が上回っています

不溶性食物繊維は腸内で膨らみ腸壁を刺激することで蠕動運動を促進する働き・腸内の老廃物や有害物質を絡め取って便として排出させる働きが、水溶性食物繊維には便の硬さを調節したり腸内フローラを整える働きが期待されています。このため2タイプの食物繊維を豊富に含むたらの芽は便通改善に役立つと考えられます。

また水溶性食物繊維は水に溶けてゲル化することで食物の消化管移動速度をゆっくりにし、血糖値の急激な上昇を抑える働きもあります。苦味成分エラトサイドもラットを使った実験では糖質吸収阻害作用が報告されているため、たらの芽は血糖値上昇抑制・糖尿病予防にも効果が期待されています。

抗酸化・生活習慣病予防

抗酸化作用を持つビタミンEが100gあたり2.4mgと比較的多くは含まれていることから、たらの芽は抗酸化という点から酸化や老化予防に役立つと考えられます。サポニン類は過酸化生成の生成を防ぐ働きが報告されている成分でもありますし、たらの芽には抗酸化作用を持つβ-カロテンやビタミンCなどのビタミン類も含まれていることから、過酸化脂質の蓄積によって起こる動脈硬化・血栓などの予防にも繋がると考えられています。

そのほか血糖値の上昇を抑制する働きが期待できること、ナトリウム排出促進作用から血圧降下に役立つと考えられるカリウムを含むことなどから、たらの芽は生活習慣病予防にも役立つと考えられます。特に血圧が気になる方に適した食材とも言われていますが、天ぷらや濃い味付けにしたものを食べるすぎると逆効果になる可能性もありますので注意が必要です。

貧血予防・妊娠中の栄養補給

たらの芽は生100gあたり160μgと葉酸を比較的多く含んでいます。また際立って多いとは言えないものの鉄分も0.9mgと野菜類の中では多めで、亜鉛・銅・ビタミンCなど造血に関わる栄養成分を広く含んでいます。このためたらの芽は貧血予防に役立つと考えられています。

また葉酸は赤血球合成のほか、神経細胞の代謝・成長の補助を助ける作用があり、妊娠・授乳中は赤ちゃんの正常な発育に不可欠な栄養素とされ一日の推奨摂取量が多く設定されています。たらの芽100gとなると10個以上を食べる計算になりますから必要分の葉酸全てをたらの芽でカバーできるものではありませんが、旬の時期であれば季節感を楽しむと同時に栄養補給が出来て良いでしょう。妊娠中に起こりやすい便秘・むくみ対策としても役立ってくれるでしょう。

美肌・美髪保持

たらの芽は何らかのビタミン・ミネラルが際立って多い食材ではありませんが、ビタミンE・β-カロテン・ビタミンCと抗酸化作用を持つビタミン類、タンパク質の代謝に必要なビタミンB6、メラニン色素を作る材料であり白髪予防効果が期待される銅などを幅広く含んでいます。このため抗酸化作用によるアンチエイジング、肌荒れ予防などのサポートとしても期待されています。

β-カロテンは体内でビタミンAに変換され皮膚の保護・ターンオーバー促進などにも役立つと考えられていますから、季節の変わり目で肌の調子がイマイチという時にも良さそうですね。皮膚炎予防因子として発見され、アトピー性皮膚炎などの軽減効果が期待されるビオチン・脂質代謝に関わり過酸化脂質を分解する働きから大人ニキビ予防に役立つとされるビタミンB2の補給にもなります。

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たらの芽(楤の芽/タラノメ)の選び方・食べ方・注意点

たらの芽は小さいうちは柔らかく苦味などの風味が薄く、大きくなるにつれ風味が強くなると同時に硬さや苦味も増していきます。このため3~5cmくらい芽が伸びている時が味のバランスが良いタイミングと言われています。全体的に綺麗な緑色をしているものを選ぶと良いでしょう。苦いのがダメ…という方はもう少し小さいもの・つぼみの状態のものを選ぶと食べやすいです。

たらの芽は山菜の中では下処理が楽な部類。水で洗って汚れを落とした後、付け根の“ハカマ”と呼ばれる鱗のような茶色い部分を取り皮を剥くだけです。天ぷらにする場合は高温の油によってアクがなくなるのでそのまま調理できますが、和物や炒め物にする場合は水に晒してアク抜きをします。ただし小さくて柔らかいものであればアク抜きをしなくても食べられると言う方もいらっしゃいます。

たらの芽は香りが抜け風味が落ちやすいので、なるべく早く食べきるようにしましょう。新聞紙に包んで穴を開けたビニールに入れ冷暗所や野菜室に入れて保存すると良いとは言われていますが、それでも2~3日以内に食べきった方が無難。それ以上の期間であれば固めに茹でてから冷凍する・塩漬けにするなどして保存しましょう。

たらの芽(楤の芽/タラノメ)の雑学色々

タラノメの歴史

タラノキの原産は中国北東部とされており、いつ頃からはハッキリしませんが日本にも古くから伝わっていたと考えられています。平安時代に編纂された『本草和名』には多良・『倭名類聚抄』には太良という文字で記載されているそうです。名前の由来は諸説あり分かっていませんが、千年以上昔に既に“たら”という呼び名は定着していたようです。

タラの芽を野菜・山菜として食べる以外に、タラノキの樹皮を楤木皮(ソウボクヒ)、根皮は楤根皮(ソウコンピ/タラコンピ)と呼んで民間医薬としても利用してきました。生薬としては健胃・整腸・強壮などの効能があるとされており、トゲだけを集めたものは高血圧に良いとも言われているそう。樹皮やタラの葉などは現在に至るまで野草茶・健康茶の一種としても用いられていますし、近年は科学的な分析や研究も行われています。

タラノキの民間療法

タラ根皮の煎じたもの・タラの葉を原料とする健康茶“たらの葉茶”は血糖値上昇抑制効果が期待できると言われ、糖尿病予防に取り入れられています。また抗酸化作用を持つ成分が多く含まれているためアンチエイジングにも有効とされています。

生薬としてのタラノキの効能

タラの幹皮・根皮は健胃・整腸作用など胃腸機能のサポートに役立つ生薬として、胃潰瘍などの胃腸病に用いられるようです。そのほか強壮・強精薬としてや、中国ではリウマチや痛風などによる関節痛や神経痛の軽減に使われることもあるそうです。