【Pecan nuts】ペカンナッツ/ピーカンナッツの栄養・効果

ペカン/ピーカンナッツイメージ

ピーカンナッツとは

ナッツブームの影響からか、日本でも近年知名度が高まったナッツの1つピーカンナッツ。英名では「Pecan」と表記されるため、読み方によってピーカン・ペカン・ペカンと片仮名表記が変わりますが同じものです。学名はCarya illinoiensis、北米原産のクルミ科落葉樹です。脂肪分が多い実(ピーカンナッツ)をつけることから、は別名「バターの木」とも呼ばれているのだとか。

種子(胚乳)部分であるピーカンナッツ(ペカンナッツ)もクルミによく似ていますが、やや平たく細長い形状をしているのが特徴。外皮(殻)はくるみよりも柔らかく手でも簡単に割ることが出来ます。味もクルミに近いですが、クルミよりも渋さ(苦味)がなくまろやか。クセが少なく甘味が強いためお子様や渋みの苦手な方でも食べやすいのが特徴です。チョコレートやキャラメルなどとの相性が非常に良く、日本では和三盆などと合わせたお菓子も作られています。

ちなみに原産地のアメリカでピーカンナッツはピーナッツに次ぐ人気第二位のナッツで、“アメリカのおふくろの味”と言われる「ピーカンパイ」はハロウィン・サンクスギビング(感謝祭)・クリスマスなど、アメリカの秋冬行事にも欠かせない存在だそうです。特別な日以外にもシリアルやおやつとしてなど日常的に食べられている、アメリカでは親しみのあるナッツのようです。

ピーカンナッツの歴史

ピーカンナッツはアメリカ中西部ミシシッピ川流域からメキシコ東部が原産とされています。古くからネイティブアメリカンは秋~冬の貴重な食料としてピーカンナッツを採取・食用としており、発酵飲料(お酒)を作るのにも利用していたと考えられています。Pecan(ピカン/ペカン)という呼び名はアルゴンキン族の言葉で石で割る必要のあるナッツを表す「pacane」に由来しているそうです。

1600年代後半~1700年代前半頃にメキシコ北部でスペイン系移民による栽培が行われるようになります。1700年代後半には米国大統領ジョージ・ワシントンやトーマス・ジェファーソンもピカンの木の移植を試みました。1800年以降はピーカンナッツの商業取引が行われるようになり、より大きな種子や薄い殻を持つように品種改良が進められていきます。

1880年以降は栽培品種の伝播と共に大規模な商業栽培が広まっていきます。全世界で消費されるものの約8~9割はアメリカで栽培されたもの。ちなみにピカンには500以上と言われるほど多くの品種がありますが、シャイアン、カイオワなどネイティブアメリカンインディアンの部族にちなんで命名された品種も多いそうです。

ピーカンナッツはこんな方にオススメ

  • 手軽に栄養補給をしたい
  • 生活習慣病が気になる
  • アンチエイジングに
  • 生活習慣病予防に
  • 貧血気味の方
  • 便秘気味の方
  • 糖質を控えたい方
  • ダイエットサポートに
  • 若々しい肌を保ちたい
  • くすみ・乾燥が気になる

ピーカンナッツの主な栄養・期待される効果

ピーカンナッツの最大の特徴は「バターの木」という別名の通り脂質が多いこと。全体の約72%が脂質(脂肪分)と言われており、クルミ(約60%)やピーナッツ(約57%)など他のナッツ類よりもかなり高い割合となっています。良質の脂質が多く低糖質・19種類以上のビタミンやミネラルを含むことなどから、健康維持やダイエットをサポートしてくれるナッツとして注目されています。

アンチエイジング

ピーカンナッツには抗酸化作用のあるビタミンEの一種、γ(ガンマ)トコフェロールが100gあたり25.0mg含まれています。このγトコフェロール含有量はナッツ類トップクラスと言われていますし、その他エラグ酸やカロテノイド系色素など抗酸化に役立つ成分も含んでいます。

ピーカンナッツが健康食材として注目を浴びるきっかけになったのも米国農務省がORAC(活性酸素吸収能力)を発表し、その数値と実用性を考慮した「抗酸化物質を多く含む食品」のランク付けにおいて14位にランクインしていたためだとか。現在ORACは基準値として利用されていませんが、高い抗酸化作用・アンチエイジング効果が期待できるナッツとして現在でも多くの方に支持されています。

生活習慣病予防

ピーカンナッツは70%以上が脂質のナッツと言われると健康に良くないように感じてしまいますが、含まれている脂質の多くが「良質の油」と言われる不飽和脂肪酸特に100gあたり37000mgとオレイン酸が多く、そのほかにn-3不飽和脂肪酸やn-6不飽和脂肪酸も含んでいます。

オリーブオイルの主成分としても知られるオレイン酸は酸化しにくい(過酸化脂質を作りにくい)という性質があり、悪玉コレステロールの低下にも有効とされています。ピーカンナッツは健康メリットの高い不飽和脂肪酸を多く含み、その分糖質量が低いためインスリンの分泌を抑え、糖尿病の予防にも有効と考えられています。加えて抗酸化作用のある成分も多く含んでいるため動脈硬化・心筋梗塞などをはじめとした生活習慣病予防全般に役立つと考えられます。

貧血予防・栄養補給

ピーカンナッツは100gあたり3.6mgの亜鉛・2.7mgの鉄分と、不足が貧血の原因になりやすい2大ミネラルを比較的多く含んでいます。鉄分不足によりヘモグロビンが正常に生成されない鉄欠乏性貧血は女性の貧血の主な原因としてよく知られています。亜鉛も赤血球膜の生成に必要とされる物質で、不足すると赤血球が脆く壊れやくなることで活動赤血球が足りなくなる「亜鉛欠乏性貧血」を引き起こす可能性があります。

ピーカンナッツはカルシウムやカリウム、リン、マグネシウムなどのミネラル、ビタミンEやビタミンB群、葉酸などのビタミンを幅広く含んでいます。際立って量が多いわけではありませんし、ピーカンナッツを100g食べるのは現実的ではありませんが、間食代わりに摂取したり、サラダなどにトッピングすることで貧血の予防改善に役立つほか、不足しがちなビタミンやミネラルを補給することが出来ます。

便秘の予防・改善

ピーカンナッツは100gあたり7.1gと食物繊維が豊富です。食物繊維の割合としては不溶性食物繊維が多く、腸の水分を吸収して腸内で膨らみ腸壁を刺激することで蠕動運動を促進する働き・腸内の老廃物・有害物質を絡め取って排泄させる働きが期待出来ます。

また脂質のオレイン酸も腸内で潤滑油のような働きをすると言われ、便の腸内移動~排泄をスムーズにする働きが期待されています。不溶性食物繊維は便通を促す反面、過剰摂取や水分不足で便を固め腸内で動きにくくしてしまうというデメリットがありますが、その点をオレイン酸がカバーすることで便秘の改善に役立ってくれるでしょう。

ダイエットサポート

高脂質・高カロリーのペカンナッツは一見ダイエットに適さない食材のように思いがちですが、近年のダイエットは脂質よりも糖質過多を肥満の原因とする考え方が主流です。ピーカンナッツは高脂質ですが低糖質(1粒0.1g以下)なので糖質制限ダイエットに適した食材と言えます。脂質が多く不溶性食物繊維も多いことから満腹感を得られやすく、小腹がすいた時の間食としてや食前に取り入れると良いと言われています。

またピーカンナッツは糖質・脂質・タンパク質の代謝を助けるナイアシン、酵素の働きを助けるマグネシウム、便通を促す食物繊維やオレイン酸、むくみの改善に役立つカリウムなど様々な栄養成分を含んでいます。1日10粒~18粒程度であれば肥満・ダイエットの効果を下げる原因となる心配は低いと考えられています。

ちなみに日本食品標準成分表“ペカン/フライ、味付け ”で100g中のカロリーは702kcal、USDAの成分表“Nuts, pecans”では691kcalとなっています。推奨上限の18粒で約200kcalとされていますから、1粒で11kcalくらいと覚えておくと把握しやすいかと思います。

肌老化予防・美肌保持

γトコフェロールを始めとした抗酸化物質を多く含むピーカンナッツはお肌のアンチエイジングにも効果が期待できる食材です。また脂質の主成分であるオレイン酸も皮膚を柔らかくする働きがあり、角質のゴワつきや乾燥・小じわなどの抑制・改善に有効と考えられています。抗酸化成分との相乗効果で若々しい肌を保つ手助けをしてくれるでしょう。

肌や粘膜を正常に保つ・血流を整える働きのあるナイアシン、貧血の改善に役立つ鉄分・亜鉛などの働きから、顔色の悪さやくすみ・肌の栄養不足状態の改善も期待出来ます。肌代謝を促進したり肌荒れ・炎症を抑制する働きがあるオメガ3系不飽和脂肪酸(αリノレン酸)もナッツ類の中では比較的多く含まれています。

ピーカンナッツの選び方・食べ方・注意点

フライされたものは酸化が早く、塩分などの摂りすぎの可能性ありますので、素焼き(ロースト)を選ぶようにしたほうが体には良いでしょう。いくら良質の脂質・低糖質とはいっても食べ過ぎには注意してください。

n-3不飽和脂肪酸は熱に弱い特徴があるため、生ピーカンナッツを選んだほうが良いと言われています。しかしn-3不飽和脂肪酸(αリノレン酸)の含有量は100gあたりピーカンナッツ0.99g、クルミ8.96gとナッツ類では群を抜いてクルミが多いため、オメガ3の摂取をメインに考える場合はピーカンナッツの生・ローストで考えるよりもクルミを選んだほうが確実です。