【花茗荷】ミョウガの成分・効果

ミョウガイメージ

茗荷(ミョウガ)とは

独特の香りや苦味を持つミョウガは好き嫌いが別れますが、さっぱりとした風味と見た目にも綺麗なことから冷奴やお素麺の薬味として夏場によく利用されています。季節感のある薬味としてのほか、天ぷらや甘酢漬けなど野菜としても使われることがありますし、地域によってはミョウガの葉で包んだみょうがぼち(茗荷餅)・みょうが饅頭が初夏の味覚として親しまれています。

ミョウガはショウガ科ショウガ属に属す多年草で、生姜の近縁種に当たります。ショウガ・ミョウガと呼び名(音)も似ていますが、これは古い時代には香りの強い方をを「兄香(せのか)」、弱いほうを「妹香(めのか)」と呼んでいたものが転化してそれぞれの名となったためと考えられています。
一般的にイメージする赤っぽい芽の様な形状のミョウガは「花みょうが」とも呼ばれるように花(花蕾)部分です。花蕾部分以外に茎(偽茎)を軟白栽培し弱光で薄紅色に着色させた「みょうがたけ」も食用野菜として利用されています。花ミョウガは夏~秋が旬、ミョウガタケは春が旬ですが栽培に手間がかかるためあまり流通していません。

仲間である生姜は世界中で利用・栽培されていますが、ミョウガは日本のほか中国・台湾・韓国などの一部地域でしか利用されていません。中国の一部地域でも食用されているそうですが基本的には生薬としての利用が主ですので、ミョウガを食材として認識・栽培しているのは世界でも日本だけなのだとか。ゴボウと並んで日本固有の食材と言っても過言ではない存在です。英語でも和名そのままの「Myoga」もしくはJapanese gingerと呼ばれています。

茗荷(ミョウガ)の歴史

ミョウガは東アジアの温帯地域が原産です。現在は日本でも本州~沖縄県まで広い範囲に自生していますが、野生種がないことや人間の生活圏以外に見られないなどから、古い時代に大陸から持ち込まれたと考えられています。6世紀頃に記された中国の農業専門書『斉民要術』に栽培法や用途などの記述があり、古くから栽培が行われていたとされています。日本でも正倉院文書や延喜式などに記述が見られることから、かなり古い時代から食用されていたと考えられています。

食用とは離れますが、天台宗の円仁が唐から請来したインドの神(摩多羅神)のシンボルがミョウガという説もあります。摩多羅神の側にもミョウガ・ミョウガを持った童子が書かれることが多くみられるそう。戦国時代以後は天台宗の摩多羅神の神紋して利用されていまいしたし、ミョウガという名前が“冥加”に通じ、神仏の加護を得られる縁起の良いモチーフとして家紋にも利用されるようになっていきます。

ところでミョウガというと「物忘れがひどくなる」「馬鹿になる」などの俗説があり、食べるのを控えているという方もいらっしゃるようです。この話の発端はお釈迦様の弟子だった周梨槃特(スリハンドク)という方の故事に由来しています。彼は自分の名前を覚えられず、名荷(みょうが)=名札を首から下げたことさえ忘れてしまったそう。死後、墓から生えてきた草に彼にちなんで「茗荷」という名がつけられたと言われています。その他に生薑(生姜)との混同などがあったとする説もあります。

身近なところでは宿屋夫婦が「暑気払いに効果がある」という名目でミョウガ尽くしの献立を提供し、お客に財布を忘れさせようとした民話『みょうが宿』がよく知られています。この話がミョウガ=物忘れというイメージが一般化した大きな要因とも言われています。しかしお話の中でもお客さんが財布を忘れてはいきませんし、近年の研究ではミョウガが集中力や記憶力向上に役立つ可能性があることが報告されています。物忘れの心配はせずに、夏バテ防止に取り入れてみてください。

茗荷(ミョウガ)はこんな方にオススメ

  • 血行不良・冷え性の方
  • 冷えから悪化する痛みに
  • むくみの予防・緩和に
  • 夏バテ・エアコン負けに
  • 食欲不振・消化不良に
  • 風邪予防・喉の痛みに
  • ストレス・神経疲労に
  • 気分がスッキリしない方
  • 集中力アップ・眠気覚ましに
  • 目の酷使・疲労が気になる方
  • 老化を予防したい方

茗荷(ミョウガ)の主な成分・期待される効果

ミョウガは約95%が水分で100g12kcalと低カロリーな反面、ビタミンやミネラルの含有量自体はさほど多くありません。しかし芳香成分や辛味成分などの働きがありますので、薬味として少量利用するだけでも健康維持に効果が期待できます。

冷え・むくみ改善

ミョウガに含まれている芳香成分α-ピネン(アルファピネン)や辛味成分ミョウガジアールなどには血流を促す作用があるとされ、血行が良くなることから冷えの緩和に役立つと考えられています。ミョウガにはカンフェンという抗炎症作用を持つ芳香成分も含まれていますので、血行を促すことで身体を温める働きと合わせて、神経痛やリウマチによる痛みの緩和にも役立つと言われています。

またα-ピネンには発汗を促す・利尿作用を高める作用もあるとされています。ミョウガは際立って多いわけではありませんがカリウムも含んでいますので、血流改善と相乗してむくみの緩和にも効果が期待できます。血行促進や消化促進などの働きと合わせてデトックスに良いとする説もあります。

風邪予防・夏バテ対策

漢方(中医学)の考え方でミョウガは体を冷やす「涼性」に分類されているものが多いようですが、生姜の仲間であることや血流改善に役立つなどの理由からか「温性」に分類されているものもあります。成分的に見ても血行促進から身体を温める働き・発汗利尿によってこもった熱を排出する働きの両方があります。

そのため夏バテ・暑さ負けの緩和をはじめ、一日中空調の効いた室内にいることで夏バテかエアコン負けかわからない・身体が冷えて不調を起こしている場合などにも有効とされています。余分な熱を冷ましますが、身体を冷やし過ぎる心配は少ないので冷え性気味の方でも取り入れやすいでしょう。加えてα-ピネンには消化促進作用があるとされており、ミョウガの持つシャキシャキした食感や爽やかな風味と合わせて夏バテによる食欲減退時にも有効です。

またα-ピネンには免疫力向上作用が、カンフェンには抗菌・抗ウイルス作用や抗炎症作用があるとされています。風邪予防としても利用できますし、身体を温めつつ放熱を促す性質から解熱促進に、炎症を抑える働きから喉の痛みのケアにと、風邪をひいてしまった後からも症状緩和に活用できるでしょう。

ストレス対策・集中力アップ

ミョウガの芳香成分α-ピネンには神経系の興奮を鎮めることでストレス緩和やリラックス効果があるとされています。α-ピネンはアロマテラピーなどでは“森林浴効果”と称されており、精神・神経強壮にも役立つとされていますからストレス緩和だけではなくストレス耐性アップにも効果が期待できるでしょう。

またα-ピネンは大脳皮質を軽く刺激することで頭をシャッキリと覚醒させる働きもあるとされています。この働きから近年ミョウガは物忘れしやすくなるところか、集中力や記憶力を高める働きが期待されています。お昼ご飯などに取り入れることで眠気覚ましにもなりますし、夏バテ気味のどんよりした気分解消にも役立ってくれますよ。

老化予防・目の疲れケア

ミョウガの赤紫色は色素成分「アントシアニン」によるものです。アントシアニンはポリフェノールの一種で抗酸化作用がありますし、目の網膜にあるロドプシンの再合成を助けることで目の疲れの緩和や視覚機能改善・眼病予防などに有効とされています。

アントシアニン以外にも抗酸作用を持つビタミンC、ビタミンEやβ-カロテンを含みますが、ミョウガ100gあたりで見ても含有量は多くないため、薬味として利用する場合の摂取量は微量となります。ミョウガは抗酸化に関わる酵素の構成成分となり、抗酸化をサポートしてくれるマンガンを多く含んでいますので、抗酸化・アンチエイジングを考える場合は緑黄色野菜などと組み合わせて利用すると良いでしょう。肌への働きとしては血行促進効果からお肌のくすみ緩和などにも役立つと考えられます。

茗荷(ミョウガ)の選び方・食べ方・注意点

ミョウガのアク抜きは水に数十秒程度さらすだけで良いとされています。ミョウガの香りは揮発性が高いため、利用する直前に刻むようにして、水にさらす時間も短めにするとしっかりとした風味を残せます(※妊娠中の方はしっかりめにアクを抜くようにしてください)。色みを引き出したい場合はさっと湯通しして酢に付けると赤みが鮮やかになります。

茗荷(ミョウガ)のオススメ食べ合わせ

  • ミョウガ+ニンニク・タマネギ・味噌
    ⇒疲労回復・スタミナアップに
  • ミョウガ+キャベツ・ネギ・紫蘇・酢
    ⇒食欲増進に
  • ミョウガ+キュウリ・セロリ・牡蠣
    ⇒利尿・むくみ緩和に
  • ミョウガ+キクラゲ・大豆・黒豆・鶏肉
    ⇒月経トラブルの緩和に

茗荷(ミョウガ)の民間療法

ミョウガの絞り汁をとり、同量のお酒と混ぜてうがい液として利用すると喉の痛みを緩和してくれると言われています。口内炎の場合はミョウガの根を陰干しして煎じたものでうがいをすると良いそうです。

みょうがの葉の煎じ汁を入浴剤代わりに利用すると痔の緩和に良いと言われています。入浴以外に患部の洗浄用としても利用できるそう。