【南瓜仁】かぼちゃの種/パンプキンシードの栄養・効果

かぼちゃの種/パンプキンシードイメージ

かぼちゃの種の主な栄養・期待される効果:後半

排尿障害・むくみケア

女性、中でも高齢の女性に多い急激な尿意や尿漏れなどを起こす過敏性膀胱・頻尿などの排尿障害は女性ホルモンバランスの乱れが原因の一つと言われています。かぼちゃの種がこうした排尿障害の軽減に役立つとされるのは、リグナンの働きによってホルモンバランスを整える働きによると考えられています。そのほかの成分も、不飽和脂肪酸やミネラルなどが尿道を開閉する筋肉の働きを調整する・抗酸化成分が筋力低下を防ぐ、など排尿機能を正常に保つ手助けをしてくれるでしょう。

またドイツでかぼちゃの種は女性だけではなく、男性の前立腺肥大症やそれに伴う排尿障害の改善にも用いられています。かぼちゃの種に含まれるリグナン類や植物ステロールがテストステロンの働きを抑え前立腺の肥大を緩和すると考えられており、臨床実験でも有効性が報告されています。カボチャの種子や抽出物を定期的に摂取することで前立腺肥大予防にも役立つと言われいます。

過敏性膀胱、前立腺肥大、頻尿などのトラブルがない方でも、かぼちゃの種はむくみの予防・緩和という嬉しい働きが期待できる食材です。カリウムはナトリウム量・体内の水分量を調節する働きからむくみ解消に意識的に摂取されているミネラルですが、マグネシウムもまたナトリウム量の調整機能があり、血液・リンパ液の循環を正常に保つために働きます。100g中にカリウム840mg、マグネシウム530mgと両成分を豊富に含むカボチャの種は、むくみ対策に役立つ食材として若い女性にも利用されています。

貧血・冷え性の緩和

あまり鉄分補給源として注目されることはありませんが、かぼちゃの種は100g中に6.5mgと鉄分を豊富に含んでいます。大さじ1杯程度(10g)でも乾燥プルーン50g食べた以上の鉄分が補給できる計算になります。また赤血球膜を丈夫に保つ働きがある亜鉛も7.7mgと豊富で、赤血球の合成に関わる葉酸も含まれています。造血に欠かせない成分の手軽な補給源として、漢方や薬膳で養血作用があるとされる「松の実」がありますが、同グラムで比較した場合の鉄分・亜鉛・葉酸量は僅差ではあるものもカボチャの種のほうが上。
ただしホルモン作用のあるリグナンを含んでいるため妊娠中・授乳中などは注意が必要です。少量を食べる程度であれば問題ないと言われていますが、心配な方はヒマワリの種(サンフラワーシード)を利用したほうが良いでしょう。

またカボチャの種には血液・リンパ液の循環を正常に保つマグネシウムが豊富に含まれているほか、血液や血管の状態を整えるリグナンやβ-カロテン、ビタミンEなど抗酸化成分、しなやかな血管の原料となる良質のタンパク質などが含まれています。これらの成分の働きから血流の改善にもかぼちゃの種は役立つと考えられています。血行改善と貧血改善から冷え性の緩和などにも効果が期待できるでしょう。

ストレス・不眠対策

カボチャの種はセロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の原料になるアミノ酸「トリプトファン」を豊富に含んでいます。100g中のトリプトファン含有量は550mgと全食材中でもトップクラスで、同グラムで比較した場合はトリプトファンが豊富とされる大豆胡麻を上回ります。セトロニン分泌を高めるために“朝にバナナを食べる”という説がありますが、トリプトファンの含有量だけで見た場合はカボチャの種10gでもバナナ5本分が摂取できる計算になります。

神経伝達物質の合成を助けるマグネシウムや亜鉛などのミネラルも豊富に含まれていることから、カボチャの種はセロトニン不足を緩和しストレスを和らげる・心を落ち着かせるサポートをしてくれると考えられます。セロトニンの分泌が整うことで睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌が促進され不眠の緩和にも繋がると考えられていますから、ストレス対策や不眠対策にも役立つ食材であると考えられます。
ミネラルと同時に必要とされるビタミンB群(特にビタミンB6)の含有量はやや少ない傾向にありますので、マグロ・カツオなどの赤身魚を食べる、ヒマワリの種とブレンドするなどより効果が期待できます。

便秘改善・ダイエットサポート

カボチャの種は造血・血液循環をサポートする成分が豊富に含まれています。血行が良くなることで全身の細胞に栄養や酸素が行き届くようになりますし、ビタミンB群やミネラル類が酵素の働きをサポートしてくれることと合わせて内蔵・筋肉活動が増加=代謝アップにも効果が期待できます。加えてポリフェノールの一種であるリグナンにも血液中の脂質を排出させることで中性脂肪を抑制する抗肥満作用があると考えられています。
またトリプトファンやミネラルなど精神状態を整える栄養成分を含むことから、ストレスによって分泌され筋肉分解・脂肪合成・老化など嬉しくない働きを持つ「コルチゾール」というホルモンの分泌を抑制する働きも期待できます。

カボチャの種は100gあたり7.3gと食物繊維も比較的多く含み、便通をスムーズにするマグネシウムの含有量も多いので、ダイエット中に起こりやすい便通の改善にも役立ってくれるでしょう。硬さ・噛みごたえがある食感ですので少量で満腹感を感じやすいというメリットもあります。血流を促すことで蠕動運動など腸の働きを高める効果も期待できますからダイエット中ではなくても便秘気味の方には心強い味方となってくれそうです。

美肌・アンチエイジング

かぼちゃの種にはリグナンをはじめ、抗酸化ミネラルと呼ばれる亜鉛・マンガン・セレン、β-カロテンやビタミンEなどの抗酸化作用を持つ成分が幅広く含まれています。これら抗酸化物質は活性酸素によって引き起こされるシミ・シワ・タルミなどの肌老化の予防に役立ちますし、リグナンには抗炎症作用もあるため皮膚炎症や肌トラブルの予防・緩和にも役立つと考えられています。

亜鉛はビタミンCとともにコラーゲンの生成にも関係していますし、リグナンによるエストロゲン様作用と合わせて肌のハリや保水力維持などの美肌効果が期待できます。カボチャの種には鉄分や葉酸など貧血の予防・改善に役立つ成分も含まれていますので、血行不良によるクマ・くすみの改善、亜鉛と相乗して肌の新陳代謝を高めターンオーバーの正常化なども期待出来ます。ビタミンCが豊富なものと合わせて食べると良いでしょう。加えて亜鉛はタンパク質を髪の構成成分であるケラチンに再合成する際に必要とされる成分でもあることから、薄毛や抜け毛対策にもカボチャの種が役立つとされています。

 

ひまわりの種・スイカの種との比較

ナッツ・シード類イメージ

日本ではあまり「食材」として認識されていなかったカボチャ・スイカ・ヒマワリの種。三大栄養素の比率などは比較的近いですが、ビタミン・ミネラルの含有量にはハッキリと違いが見られます。どちらも食品ですから選ぶ場合には風味が大きなポイントとなるのはもちろんですが、サプリ感覚で食事に加える場合は成分を考えて選んでみると良いかもしれません。

大まかにはビタミン系ならヒマワリの種ミネラル系ならカボチャの種バランス型であればスイカの種と言えるでしょう。カボチャの種はミネラル含有量(カルシウム以外)が高いこと、ヒマワリの種は脂質・糖質の割合が高くタンパク質が少ないこと、ビタミン類の含有量が傾向にあります。スイカの種は良く言えばバランス型、タンパク質の割合が多くカロリーが最も低いのでダイエットにも向いています。

また女性ホルモン(エストロゲン)作用が期待されるリグナン類を含むカボチャの種、含まないヒマワリ・スイカの種という点も大きな違いになります。リグナンは食品から少量を摂取する程度であれば妊娠中でも問題ないとされていますが、フィトエストロゲンの摂取に不安がある方・妊娠中は控えたほうが良いとする声もあります。デリケートな時期においてはヒマワリの種・スイカの種のほうが安心感が高いかもしれません。

カボチャ種・ヒマワリの種・スイカの種栄養比較

カボチャの種の特徴

カボチャの種の大きな特徴は女性ホルモン(エストロゲン)作用が期待されるリグナン類を含むこと。加えてホルモンバランスに関わる亜鉛などのミネラルも豊富ですから、エストロゲン不足による更年期障害や骨粗鬆症の予防・緩和、ホルモンバランスの乱れが気になると言った場合に適していると考えられます。リグナンが持つエストロゲン作用や抗酸化作用から美容面への働きかけにも効果が期待できます。

カボチャの種はカルシウム以外のミネラル含有率がトップですが、鉄分が多いものの葉酸が少ない・セロトニンなどの原料となるトリプトファンは多くもののセロトニン合成を助けるビタミンB6や精神安定に役立つカルシウム少ないなど、バラつきがあります。関連する栄養成分のバランスという点では他2つよりも劣るため注意が必要です。鉄欠乏性貧血の予防・改善に鉄分を補給したいなど、意識的に摂取したい成分がある場合には良いでしょう。

ヒマワリ・スイカの種の特徴

鉄分含有量が劣るものの葉酸やカルシウムの含有量が高いヒマワリの種、鉄分と葉酸をバランスよく含むスイカの種、共にリグナンを含まないこともあり妊娠中の栄養補給などに安心して摂取できるという特徴があります。またヒマワリの種は3つの中では最もビタミン類を多く含んでいます。

⇒ヒマワリの種の詳細

どの種も共通ですが、一日の摂取量は10~15g程度が良いとされています。高カロリー・高脂質の食材ですから食べ過ぎには注意が必要ですが、どちらも1日10gの摂取とした場合カロリーは60kcal前後・脂質量は5.5g前後・糖質は2g以下ですからさほど心配はありません。カロリー・糖質・脂質を少しでも控えたいという場合にはスイカの種の方が良いでしょう。

⇒スイカの種の詳細

かぼちゃの種/パンプキンシードの食べ方

かぼちゃの種やパンプキンシードとして販売されているものが緑色をしているのに対し、カボチャを料理する際に出てくるかぼちゃの種は白く、“わた”の中にあっただけに湿っぽい状態のものが出てきますよね。カボチャの下ごしらえの時に「食べたことのあるかぼちゃの種と違うような…」と感じることもあるかと思いますが、見慣れた緑色の「カボチャの種」は白い外皮の中にあります。
外皮を剥けばカボチャの品種を問わずに食用出来が、生のままだと剥きにくいので乾燥・加熱する工程が必要になります。

ちなみに販売されている“カボチャの種”の多くはペポカボチャ系統の種子のようです。理由はペポカボチャの種は外殻が存在せず、皮を剥くという工程が必要ないためです。

1.定番の作り方

カボチャの種をワタから取り出し、綺麗に水洗いしてぬめりを取ります。
水気を取ってザルなどの上に種を広げ、気候にもよりますが大体2~4日間くらい天日干しして乾燥させます。水分が抜けたものをフライパンなどで乾煎りし、外殻がパキパキした感じになる・ひび割れてきたら火を止めてください。

2.時短・簡単な方法

場所がない・時間がない・面倒くさいという場合は、洗った後しっかりと水気を拭き取ってそのままフライパンで炒めたり、電子レンジやオーブンで焼いても大丈夫です。レンジやオーブンを使う場合は熱ムラが出来やすいので途中でひっくり返す・混ぜるなどした方が良いでしょう。こちらも外殻の状態を見て加熱時間を調整してください。

冷ましてからハサミで外殻の端に切れ込みを入れ、手で殻を剥けば出来上がりです。

かぼちゃの種/パンプキンシード活用方法

カボチャの種は軽く塩(お好みで+胡椒)を振ってお菓子・おつまみ感覚で食べるのが定番ですが、ミュズリーやグラノーラに混ぜるなど普通のミックスナッツと同じように様々な使い方が出来ます。パンプキンスーブの上にカボチャの種が乗せられているものがありますが、意外とコーンスープやシチューなどにトッピングしても違和感なく食べられますし、サラダのトッピングにも活用できますね。

その他にもパン・クッキーなどの焼き菓子に混ぜる、揚げ物に加える、焙煎してお茶にするなどの活用法もあります。また種ごと生食できるコリンキー等の場合は丸ごとミキサーにかけてスムージーやディップソースなどにすることも出来るようです。