アロニア(チョークベリー)とその栄養成分・効果効能
|肥満予防・美容食としても注目のミラクルフルーツ

食べ物辞典:アロニア

ブルーベリーよりもアントシアニンが豊富で、血糖値対策や肥満予防にも役立つ可能性があるスーパーフードとして注目されているアロニア。馴染みのない方も多いですが日本国内(北海道など)でも栽培されているフルーツで、チョークベリーとも呼ばれています。豊富なアントシアニンからアイケア系健康食品としても注目されていますし、動物実験ではアディポネクチン分泌促進や脂肪燃焼効果なども報告されています。ポリフェノールもたっぷりの美容食としてジワジワ注目されつつある、アロニアについて、歴史から栄養効果まで詳しくご紹介します。

アロニア/チョークベリーのイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:セイヨウカマツカ
英語:chokeberry/aronia berry

アロニア(チョークベリー)のプロフイール

アロニアとは

ブルーベリーよりも多くのアントシアニンを含む、ポリフェノールが豊富な果物として日本でも名前を見かける機会が増えているアロニア。と言ってもベリーMIXなどに配合されている事が多く、果物としての流通は極めて少ないので聞き覚えのない方も珍しくはありません。日本では密かに話題となっている程度ですが、実は欧米では「神様からの贈り物」や「奇跡のフルーツ」とも称され、スーパーフードやミラクルフルーツとして注目されているベリーの一つなんです。高い抗酸化作用による健康・美容効果が期待される他、アロニアに含まれるカロテノイドに脂肪分解促進作用が報告されたことからダイエット用としても注目されていますよ。

そんなアロニアは北アメリカが原産のバラ科樹木。日本ではアロニアという呼び名で定着していますが、アロニアはアロニア属(Aronia)に分類される植物全体を指す言葉。英語で果物として呼ぶ場合にはaronia berry(アロニアベリー)という呼び方よりも“chokeberry(チョークベリー/チョコベリー)”の方が一般的です。

ちなみに同じアロニア属の植物でも

  • 赤く熟すレッドチョークベリー
    (Red chokeberry:学名Aronia arbutifolia)
  • 黒紫色のブラックチョークベリー
    (Black Chokeberry:学名Aronia melanocarpa)
  • 2つの交雑種であるパープルチョークベリー
    (Purple chokeberry:学名Aronia prunifolia )

と三種類があります。色が違う栽培品種と言うわけではなく、別種という扱いなんですね。この三種のアロニアの中で、食品として主に利用されているのはブラックチョークベリーです。このため下記ではアロニア=ブラックチョークベリーとして紹介させていただきます。ちなみに日本にあるカマツカに似ていることから和名ではセイヨウカマツカとも呼ばれていますし、ブラックチョークベリーの果実もカマツカの実を黒紫色にしたような印象。産地である北海道民としては、ブルーベリー色のナナカマドと称したい代物です。

アロニアは北海道など一部地域で栽培されているものの、日本全国的に見ると知名度の高い果物とは言えませんでした。これは生食もできるものの、渋みが強く果物(青果)としてはあまり美味しくないことが理由。生のままヨーグルトに入れたりベリーソースに使われることもあるようですが、ジャムや飲料などの加工品・スムージーやサプリメント原料の一つとしての利用が主。しかし近年はダイエットやアンチエイジングなどに海外セレブが取り入れていると紹介された事で注目度が高まり、冷凍アロニアのお取り寄せなども出来るようになっています。

同じくスーパーフードとして人気になったアサイーは輸入に頼っている状態ですから、国産のものを購入できるというのも嬉しいところではないでしょうか。今後ブームが到来するかも知れない果物との声もありますし、道産子としてもハスカップと共にぜひ普及していただきたいと思っています。アメリカでは乾燥させたものをハーブティー感覚で飲むこともあるそうですよ。

アロニアの歴史

アロニアの原産地は北アメリカ。文献などが少ないため明確なことは分かっていませんが、北アメリカ先住民の方々にとっては親しみある食材の1つであったと考えられています。彼らは“ペミカン”と呼ばれる伝統的な携帯保存食の材料としてもアロニアを使っていたと考えられていますし、葉や小枝を煎じたものは鎮痛解熱剤のような感覚で利用していたと伝えられています。そのほかブラックチョークベリーは染料としても使われていたのだとか。北米にある遺跡の周辺などにもアロニアを見ることが出るそうです。

ヨーロッパからの移民がアメリカ大陸へと移り住むようになると、先住民の知恵は失われていき、アロニアの食文化は途絶えてしまいました。移住民はアロニアを食べることはほとんどなく、主に食品や布の染料としてアロニアを利用しただけだったのだとか。英名chokeberryの“choke”は喉が詰まる・窒息するなどの意味がある言葉。生のままでは渋いアロニアは食用に適さない=喉が詰まるように美味しくないベリーだというのが由来とされています。

原産地では食材として利用されなくなったアロニアですが、耐寒性の高さから1800年後半にロシアに導入されて以降は東欧諸国で親しまれるようになります。元々寒い地域は果樹というものとあまり相性が良くありませんし、北欧~東欧はベリー文化が発達した地域でもあります。アロニアもジュースやジャムなどにすることで甘酸っぱい風味をもった果物として美味しく頂けることに気づいたのではないでしょうか。ロシアでは庭木として植える家庭もあり「黒い実のナナカマド」とも呼ばれて親しまれているのだとか。

アロニアはアメリカ原産の植物ではありますが、その栄養成分や健康メリットについての調査は東欧諸国を中心に行われ、健康にも良いメディカルフルーツの一つとして親しまれるようになっていきました。1940年代以降はロシアで商業生産も行われるようになり、逆輸入のような形でアメリカでも栽培・食品としての利用がなされるようになります。日本には1976年にロシアから北海道から種子が輸入され、豪雪地帯である大滝村などで農作物として栽培が行われ始めました。現在は北海道のほか、東北地方や長野県でも栽培が行わわれています。

アロニア(チョークベリー)の栄養成分・効果について

アロニアは熱・凍結に強い性質があり、通常は加工時に失わやすい栄養成分も損傷が少ない状態で摂取することが出来ると言われています。100gあたりのカロリーは47kcalとブルーベリーとほぼ同じくらい、ポリフェノール類・食物繊維を豊富に含むほかビタミンやミネラルも果物としては中堅程度に含んでいます。

100g中の栄養成分含有量につきましては botanical-online様記載の数値を参考にさせていただいております。サプリメントや加工食品・冷凍などアロニアの加工/状態によっても数値は異なりますので各メーカーサイト等にてご確認ください。

アロニア/チョークベリーのイメージ

アロニアの効果効能、その根拠・理由とは?

抗酸化(アンチエイジング)に

アロニアはカロテノイド色素(β-クリプトキサンチン、β-カロテン)やアントシアニン類、カフェー酸など様々な種類の抗酸化物質を豊富に含む果物として注目されています。生のままだとちょっと食べにくい独特の渋み・苦味もポリフェノールが豊富なことが原因なんです。ポリフェノール総量が多いことも報告され「アロニアはベリー類で最強の抗酸化力を持つ」とも称されるほど。

活性酸素は酸素を利用し代謝活動において自然にも発生する物質で、体内に侵入した細菌や異物の無害化など私達の身体を守る働きも持っています。しかし活性酸素は増えすぎると自身の細胞や血管などを酸化させ、様々な病気の発症リスクを高めたり老化を促進するなどの悪影響もある存在。このため優れた抗酸化作用によって酸化ストレスを抑えてくれると考えられるアロニアは、身体を若々しく健康に保つアンチエイジング食材として評価されています。

疲れ目対策・眼精疲労予防に

アロニアは様々なポリフェノールを含んでいますが、その中でも特徴成分と言えるのが黒紫色の色素成分であるアントシアニン。皮だけではなく果肉部分までしっかりと色づいているアロニアはブルーベリーの2倍~5倍にもなるほどアントシアニン量が多いことが認められており、同グラムあたりのアントシアニン含有量はハスカップやビルベリーなども上回ると言われています。アントシアニンは目の網膜に存在するロドプシンの再合成を促す働きがあることが報告されており、アイケア系サプリメントほか健康食品類に用いられるポリフェノール。

私達が目に写ったものを映像として認識するためには、目の網膜にある「ロドプシン」というタンパク質が分解される際に生じる電気信号が脳へ伝わるというステップがあります。ロドプシンは分解された後に再合成され、再び分解を繰り返していますが、加齢などによってロドプシン分解・再合成の流れが滞ると目の疲れやかすみ・ぼやける・視力低下など原因となります。また近年では加齢以外にPCやスマホなどの使用による長時間の目の酷使もロドプシン再合成を低下させる原因となるのではないかと考えられます。このためロドプシンの再合成を促すアントシアニンの摂取が疲れ目・かすみ目などの軽減策として注目されています。

アロニアはアントシアニンが豊富なほか、ロドプシン合成や目の粘膜保持に関わるビタミンA(β-カロテン)も含んでいます。このためドライアイ対策としてや、抗酸化力の高さと合わせて酸化ダメージによって発症する白内障・緑内障の予防にも効果が期待されています。ただし疲れ目など目の不調の原因はアントシアニン不足・ロドプシン再合成低下によるものだけではありません。アントシアニンや抗酸化物質の補給が視力回復や眼精疲労改善に繋ることも医学的には認められていませんので、過剰な期待は避けたほうが良いでしょう。

生活習慣病予防にも

活性酸素は細胞の酸化・劣性を引き起こして老化を進行させるだけではなく、動脈硬化をはじめとする生活習慣病の発症リスクを高める事も指摘されています。活性酸素は血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を酸化させることで“酸化LDL(過酸化脂質)”と呼ばれる物質に変化させてしまいます。酸化LDLはマクロファージによって処理されますが、取り込んだマクロファージの残骸はドロドロした粥状物質となって血管内に蓄積してしまいます。この死骸が積み重なるとプラークができ、血管を狭めたり柔軟性を損なわせる原因となります。

抗酸化物質の補給は脂質の酸化を抑える事に繋がりますし、アロニアの黒紫色の色素でもあるアントシアニンには血小板の凝固を抑制する・血管を弛緩させる可能性があることも報告されています。β-カロテンにも悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の低減、β-クリプトキサンチンは血糖値コントロールを正常化し糖尿病や高血糖に起因する肝機能障害予防などへの有効性が報告されています。こうした働きを持つアントシアニン・β-クリプトキサンチン・β-カロテンなどをまとめて摂取できることから、アロニアは生活習慣病予防にも期待されています。

便秘予防・改善に

アロニア果実そのものは豊富な食物繊維を含んでいます。100gあたりの食物繊維は5.3gとされており、同グラムで比較した場合はバナナの約5倍、サツマイモの約1.5倍量となります。日本ではサプリメントとしての販売が主となっていますが、果実そのものをスムージやジュースにしたり、パウダーを活用するなどすると便秘の予防・改善のための食物繊維補給源としても役立ってくれると考えられます。

Sponsored Link

免疫力向上・アレルギー軽減にも期待

アロニアはアメリカ大陸のポタワトミ族などによって、伝統的に風邪の予防・治療に活用されてきた歴史があります。現在の研究でもアロニアに含まれているフラボノイド系ポリフェノールに抗菌作用が見られたことが報告されていますし、β-クリプトキサンチンにも免疫系を活性化することで免疫グロブリン(IgM、IgA)とNK細胞をサポートするインターフェロンの増加を持つ可能性が報告されています。β-カロテンも体内でビタミンAへと変換されることで呼吸器や腸などの粘膜保持に関わりますから、アロニアは抗菌・免疫力アップ・粘膜補強と三方向から免疫力アップを手助けし、風邪やインフルエンザなどの感染症を予防する働きが期待されています。

また、抗酸化作用は免疫機能を正常に保つ手助けすることで免疫過剰(アレルギー)予防に繋がると考えられています。アントシアニンにヒスタミン量を低下させる可能性があることも報告されていますから、アロニアは単に免疫力を高めるのではなく、免疫力の暴走によって起こるアレルギー症状を抑える働きも期待されていますよ。炎症を起こしたラットを使った実験では、アロニアの投与によって炎症が緩和されたことも報告されています。この結果からアロニアには抗炎症作用やアレルギー緩和作用もあるのではないかと考えられており、花粉症対策などにも取り入れられています。

糖尿病予防・ダイエットに

抗酸化作用の高さと共にアロニアが美容面で注目されている理由として、抗肥満効果が報告された事も挙げられます。2012年には米国農務省からチョークベリー抽出物によってアディポネクチン分泌が促される可能性が報告されたことで、抗肥満食材としても注目されるようになりました。アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、脂質代謝に関与したり・インスリンの働きを正常化してグルコース代謝を高めることから「善玉ホルモン」とも称される存在。日本からも2015年に北海道大学大学院農学研究科農学部から、アロニア由来のアントシアニンを肥満ラットに投与した際に血糖値の上昇が抑えられたこと・内臓脂肪の減少が見られたことが報告されています。

こうした報告からアロニアは血糖値の上昇を抑え、糖尿病予防に役立つ可能性がある食品として研究が進められています。またアディポネクチンは脂質の代謝に関わることから「やせホルモン」とも紹介されることがあるホルモンですし、カロテノイド(β-クリプトキサンチン)にも脂肪の代謝を高める働きがあると考えられており、脂肪蓄積を抑えたり、内臓脂肪・皮下脂肪両方の脂肪燃焼を促す働きが期待されています。このため肥満予防やダイエットサポートに役立つ可能性もあると、健康食品の成分として配合されることもありますよ。

そのほかタンニンによる渋みが食欲を抑えるという説もありますし、果実そのものであれば食物繊維も豊富なため便通改善や血糖値コントロールに役立つとも考えられます。しかし上記の働きも研究段階であり有効性が認められたものではありませんし、アロニアジャムなどの加工品は風味優先で砂糖などが多く含まれている場合もあります。脂肪燃焼を促すからとジュースやジャムなどを食べすぎると糖質のとりすぎになってしまう可能性もありますので、あくまでも補助的に取り入れるようにしましょう。

肌老化予防・美肌保持にも

カロテノイドやアントシアニンほか様々なポリフェノールを含むアロニアは、抗酸化物質の補給源として肌・外見のアンチエイジングにも効果が期待されています。細胞の酸化はシミ・シワ・たるみなどを引き起こす原因ともなりますから、内側からも抗酸化物質を補給することで若々しさの維持に繋がると考えられます。アロニア自体にはビタミンCやビタミンEも含まれていますので、そちらからも抗酸化や肌のターンオーバーを助けてくれる可能性もありますよ。

またβ-カロテンはビタミンAに変換されることで、皮膚や粘膜を形成する上皮細胞の生成や保持に関わります。ビタミンAの不足は皮膚の新陳代謝低下や乾燥・ニキビなどの原因となりますから、しっかりと補給しておきたい所ですね。β-クリプトキサンチンも同じくビタミンA前駆体として作用しますし、摂取実験ではヒアルロン酸量の増加・メラニン色素生成抑制などの働きも報告されています。抗酸化作用+αで肌のハリを保持したり、シミを予防する働きも期待できるでしょう。

アロニア(チョークベリー)の取り入れ方

日本でアロニアはまだあまり流通しておらず、サプリメントが最も多いかと思います。その他にジャムやアイスクリーム・ケーキなどのお菓子類もありますが、こちらの場合は糖質の関係上食べ過ぎには注意が必要です。デイリーに使いたいという方は冷凍果実や100%ジュース・パウダーなども購入して自分で味を調整したほうが無難でしょう。

また苗も販売されているので、ご自分で栽培されている方もいらっしゃるようです。寒い地域の植物と言われていますが、暑さにも比較的強いため北海道・東北以外でもアロニアの収穫は可能のようです。高温・乾燥・風当たりの強い場所であれば、さほど手はかからず病原虫もつきにくい・人工授粉も不要なため果樹の中では初心者でも育てやすいと言われています。

参考元:10 Best Benefits Of ChokeberriesThe 13+ Benefits Of ChokeberriesHistory of the Aronia