ビワ(枇杷/びわ)の栄養成分や効果効能
|薬効から大薬王樹とも呼ばれるが、毒性に注意…

枇杷(びわ)イメージ

枇杷(びわ)とは

初夏になると青果コーナーに登場する明るいオレンジ色の果実、ビワ。輸入ものやハウス栽培などで通年流通する果物も少なくない中、未だ季節感を感じさせてくれる食材の一つでもありますね。ころんとした卵型と温かみのある色味は“ほっこり”する印象がありますが、残念なことに現在の日本、特に若い世代にとってはあまりポピュラーではないとも言われています。上品な酸味と甘味・柔らかくジューシーな食感が特徴で、コンポートや「びわのしずく」などゼリー系のお菓子にも使われていますが、加工品を含めて食べたことがないという方も少なくないようです。

ビワは果物として以外に健康食品感覚で利用される枇杷の葉も知られた存在。漢方では葉や果実のほかに種子・花・根など様々な部位が活用されており、古くは薬の王様を意味する“大薬王樹”と呼ばれていた植物として紹介されることもあります。生薬は置いておくにしろ、日本でも枇杷葉茶やビワの葉風呂などが民間療法として定着しています。ビワ葉エキスを配合したローションやクリームなどスキンケア商品も多いので、使っていることもあるかも知れません。ちなみにビワの花は秋から冬にかけて咲きます。お花は地味めですが、杏仁豆腐や桜餅にも例えられるような良い香りがしますよ。

ビワは植物分類上バラ科ナシ亜科ビワ属に属する樹木で、大まかには梨・リンゴ・カリンなどに比較的近い植物として紹介されることもあります。学名はEriobotrya japonicaとされていますが、原産は日本ではなく中国南西部。現在流通しているビワの品種は西日本で多く栽培される“茂木”もしくは東日本で栽培される“田中(房州ビワ)”の二つが代表格で、そのほかビワの旬よりも2ヶ月ほど前から出荷される“長崎早生”や、千葉県富浦町の主力品種である大房・静岡県土肥地域の白いビワ土肥・果皮と果実が白色っぽい色をした白茂木などもありますね。ビワというと種が大きく可食部が少ないというイメージを持たれることもありますが、2004年には千葉県で“希房”という種無しビワなども誕生していますよ。

元々が暖かい地域の植物であるビワは、寒さに弱いため栽培できる地域が限られています。日本での栽培は千葉県辺りが北限とも言われています。生産量第一位は長崎県で、二位が千葉県(房総半島)、その後ろに鹿児島・香川・和歌山県などが続きます。ビワは生育が遅い部類の樹木で、ことわざの「桃栗三年 柿八年…」に続く言い回しの一つには「枇杷は九年でなりかねる」というものもありますよ。また収穫量が安定しないこと・食の多様化や様々な輸入果物の普及・ビワ農家さんの高齢化などの問題もあり、全国の収穫量は4千トンを切るほど少なくなっています。収穫量の少なさに加え、果実は痛みやすいこともあり、今や高級果物の一つとして扱われることもあるほど。

収穫量・消費量共に減少傾向にあると言われているビワ(果実)ですが、食べてみるとマンゴーに近いけれどさっぱりしていて美味しい・ほっとする味と感じる方も多いそうですよ。古くから食されているフルーツではありますが、初めてもしくは久しぶりに口にすると新たな感動があるかも知れません。栄養面でもカロテノイド類・ポリフェノール類・クエン酸などの有機酸類などが含まれているから健康メリットが期待されています。

枇杷(びわ)に含まれる栄養や成分に期待できる働き・巷で言われる効果効能の理由とは?

ビワはビタミン・ミネラルを広く含んでいる食材ではありますが、必須栄養素の含有量は全体的にそう高くありません。β-カロテンやβ-クリプトキサンチンなどのカロテノイド類が含まれており、ビタミンAの補給に役立つものの、それ以外のビタミン類はあまり多くありません。ビタミンCやカリウムが豊富だと紹介されることもありますが、生100gあたりの含有量はビタミンCが5mg・カリウムが160mgと果物類でも中堅程度となっています。

しかしカロテノイド以外にクロロゲン酸などのポリフェノール類が多く含まれていることから、アンチエイジングフルーツとして注目されています。抗酸化物質量としてはぶどう(巨峰)と同等以上とする見解もあり、ビタミンAとして働くカロテノイドと合わせて美肌作りにも効果が期待されていますよ。

ビワはこんな方にオススメ

  • 疲労回復・筋肉痛予防
  • 抗酸化を心がけている方
  • 若々しさを保ちたい方
  • 血圧が気になる方
  • コレステロールが気になる方
  • 生活習慣病の予防サポートに
  • 風邪をひきやすい方
  • お腹の調子が良くない方
  • ダイエットのサポートに
  • メタボ予防に
  • 肌の調子が悪い方
  • ニキビ・乾燥が気になる方
  • 内側からの紫外線対策に
  • 疲れ目・ドライアイ予防に

下記ではこうしたお悩みがある方にビワが良いとされる理由や、ビワの薬効成分と称されるものの有害物質として農林水産省から注意勧告が出されている“アミグダリン(シアン化合物)”についても詳しくご紹介していきます。

疲労回復促進

食品成分表に記述がないため明確な含有量こそ分かりませんが、ビワにはリンゴ酸やクエン酸などが含まれていると考えられています。こうした有機酸類は体内で糖質をエネルギーにするための代謝回路、TCAサイクル(クエン酸回路)の構成物質でもあります。疲労の原因とも言われる“乳酸”やその元となる“焦性ブドウ糖”などもTCAサイクルに関係する物質です。クエン酸などの有機酸を外側から補うことでクエン酸回路の働きを活発化させる働きが期待されていますから、クエン酸を始めとする有機酸類の補給は疲労回復や筋肉痛予防などに繋がると考えられます。疲れた時に果物や酸っぱいものが良いと言われるのも、こうした働きと関係があるのかもしれませんね。

ビワの摂取はクエン酸などの有機酸のほか、ブドウ糖などの糖質(炭水化物)の補給にも繋がりますから、エネルギー補給と代謝回路活発化と両方から疲労回復を手助けしてくれるでしょう。また特徴的と言えるほど多くはありませんが、代謝に関わるビタミンB群やエネルギーを作り出すカルニチンの合成に関わるビタミンCなどのビタミン類もビワには含まれています。β-カロテンやβ-クリプトキサンチンなどのカロテノイドを筆頭とした抗酸化物質も含まれていますから、活性酸素の抑制からも疲労・疲労感の軽減が期待できます。

アンチエイジング(抗酸化)

オレンジ色をしたビワの果実には生100gあたりβ-カロテンが510μg・β-クリプトキサンチンが600μgとカロテン類がたっぷりと含まれています。赤肉メロンスイカなどよりは劣るものの、β-カロテン当量として見ても100gあたり810μgと果物類ではトップグループに入ります。同グラムで比較するとマンゴーを上回り、緑黄色野菜とも肩を並べられるほど。β-カロテンやβ-クリプトキサンチンは抗酸化作用を持つカロテノイドの一種ですし、ビワにはそれ以外にタンニンやクロロゲン酸などのポリフェノールも含まれています。

またβ-クリプトキサンチンはβ-カロテンやリコピンなどの他のカロテノイドよりも体内での保持時間が長いことが特徴とされており、長期間に渡って抗酸化をサポートしてくれるのではないかとも考えられています。若干ではありますがビワにはビタミンCとビタミンEも含まれていますから、様々な抗酸化物質の補給源として活性酸素による細胞や筋肉などの酸化を予防してくれるでしょう。酸化は体の様々な機能低下や老化の原因にも数えられていますから、内側からの老化予防としても役立ってくれそうですね。

高血圧・生活習慣病予防

抗酸化物質の補給は動脈硬化など生活習慣病の予防にも繋がると考えられています。これは血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が血管内膜内で活性酸素により酸化されて出来た“酸化LDL(過酸化脂質)”と呼ばれる物質が動脈硬化の原因の一つとされているため。この酸化LDLはマクロファージによって処理されますが消失する訳ではなく、ドロドロした粥状物質となって蓄積してプラークを形成し、粥状(アテローム)動脈硬化となります。このため酸化LDLの生成抑制に役立つ抗酸化物質の補給は、動脈硬化のリスク低下に繋がると考えられています。

加えてビワに含まれているクロロゲン酸やタンニンにはLDLコレステロールの低減作用を持つ可能性も報告されています。また血管内を綺麗に保つことは血液の流れをスムーズにすることにも繋がりますし、ビワの果実にはカリウムやβ-クリプトキサンチンなど血圧上昇を抑える働きも期待される成分も含まれています。このためビワは高血圧や動脈硬化、心筋梗塞・脳梗塞など生活習慣病発症リスク低減に効果が期待されています。

そのほかβ-クリプトキサンチンに2型糖尿病にみられるインスリンの抵抗性を改善する・血糖値を安定させるなどの働きを持つ可能性があることが、クロロゲン酸には発がん物質の生成を抑制する可能性があることも報告されています。抗酸化も糖尿病合併症をはじめ生活習慣病以外にも様々な病気の発症リスク低下に繋がることが期待されていますから、若々しく健康でいるための手助けとなってくれるかも知れません。

免疫力保持・風邪予防

ビワの栄養成分の中で特徴的と言えるβ-カロテンやβ-クリプトキサンチンはプロビタミンA(ビタミンA前駆物質)と呼ばれるカロテノイドで、体内で必要に応じてビタミンAへと変換されることが認められています。ビタミンAは皮膚や粘膜の健康維持に関わる脂溶性ビタミンで、喉や鼻などの粘膜を保護・補強することで細菌から体を守ってくれる働きもあります。呼吸器粘膜が強化されることで風邪などのウィルスが侵入するのを抑制する働きが期待できますし、胃腸粘膜の保護から消化機能を整えることにも繋がるので体力低下が気になる時にも良いでしょう。

またビワに含まれているタンニンには殺菌作用があるため、粘膜強化と合わせて風邪予防をサポートしてくれるでしょう。ビタミンAとして利用されなかったカロテン類や、クロロゲン酸などが抗酸化物質として働くことからも免疫力低下を予防してくれるとも考えられます。風邪予防の民間療法などでは枇杷の葉の方がよく用いられていますが、もっと日常的な意味ではビワの果実も風邪をひきにくい体作りをサポートしてくれますよ。

便秘・下痢の軽減

ビワは食物繊維を100gあたり1.6gと、果物類では比較的多く含んでいます。同グラムのオレンジグレープフルーツと比較すると約2倍の含有量となりますから、食物繊維補給源としても役立ってくれるでしょう。加えてタンニンは収斂作用によって下痢を軽減する・腸内の悪玉菌を減少させる働きも期待されているため、相乗してお腹の調子を整える手助けをしてくれるでしょう。

肥満予防

ビワに含まれているクロロゲン酸は近年ダイエット成分として注目されている存在でもあります。これは糖新生・血糖値の上昇を抑制する作用を持つ可能性が報告されているためで、マウスを使った実験では糖尿病予防に対する有効性が期待できるという報告もあるそうですよ。血糖値の上昇を抑えることからも脂肪蓄積予防に繋がりますし、クロロゲン酸には脂肪燃焼促進効果も期待されています。

加えてカロテノイドの一種β-クリプトキサンチンも脂肪細胞の肥大化を抑制する働きが期待されており、ヒト試験でも内臓脂肪・体重などに減少が報告されています。このためクロロゲン酸とβ-クリプトキサンチンを含むビワも、ダイエットサポートに役立つのではないかと注目されています。ビワは100gあたり40kcalとカロリーも低く、果物類の中では炭水化物量も少なめなので取り入れやすいですね。

ちなみにクロロゲン酸はコーヒーの健康成分として紹介されることも多いポリフェノールで、タンニンと共に苦みや渋みのもととなっている成分でもあります。ビワの場合は皮に多く、また果肉であれば種の周辺に多く含まれていると言われています。ビワなどの食材はコーヒーのようにカフェインを含んでいないのも嬉しいところです。ただし有効性が示唆されている実験では上記成分の抽出物などが使われていますから、ビワを食べてその程度の効果が期待できるかは未知数です。ダイエット目的の場合は適度な運動・食習慣の見直しと組み合わせて下さい。

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美肌・美髪保持

ビワに多く含まれているβ-カロテンやβ-クリプトキサンチンは体内でビタミンAに変換されることで、皮膚の保護や強化・新陳代謝促進などにも関与しています。ビタミンAには皮膚や頭皮の潤いを保つ働きもあるため、β-カロテンなどの補給は乾燥肌や皮膚炎症の予防にも役立つと考えられていますよ。ビタミンAは不足すると乾燥や角質化・ニキビやイボが出来やすくなる事も指摘されていますから、美肌・美髪を維持するためにしっかり補給したい栄養素の一つと言えます。ビタミンA(レチノール)を摂取するよりもプロビタミンA(カロテン類)を補給したほうが、過剰症の心配が少ないのもメリットと言えます。

またビワにはクロロゲン酸やビタミンCなどの抗酸化物質も含まれています。β-カロテンとβ-クリプトキサンチンも抗酸化物質として働いてくれますし、β-クリプトキサンチンは摂取実験においてヒアルロン酸量の増加・メラニン色素生成抑制などの働きも報告されています。ビタミンCにもコラーゲン生成促進やチロシナーゼ活性阻害による美白効果が期待されていますから、お肌の抗酸化・アンチエイジングにも役立ってくれそうですね。ビワが旬の時期は紫外線が気になり始める時期でもありますから、内側からの紫外線対策やシミ対策の一つとして取り入れてみても良いかも知れません。

ドライアイ・目の疲労にも…

β-カロテンから変換されるビタミンAは網膜で光を感知するロドプシンの生成にも利用されおり、不足すると網膜の光に対する反応を鈍化させてしまうことが分かっています。このためビタミンAへと変換されるβ-カロテンやβ-クリプトキサンチンの摂取は夜盲症の予防や改善効果が期待されていますし、ビタミンAは目の粘膜を保持して乾燥を防いでくれるためドライアイ対策にも役立つと考えられています。またビタミンAはロドプシンの再合成に関わる成分のため、目の疲れの緩和・視界をクリアにするなどの働きも期待されていますよ。疲れ目・眼精疲労が気になる方はアントシアニンだけではなく、ビタミンAの補給も合わせて行ってみて下さい。

枇杷(びわ)の選び方・食べ方・注意点

ビワを選ぶ時は果皮にハリがあり、傷や黒ずんだ部分がないものを選びます。ヘタがピンと張りのある状態であること・ビワの果皮は表面に産毛がしっかり残っていることも鮮度を見分けるポイント。産毛以外に白い粉(ブルーム)が付いていれば良品の可能性が高いです。品種により果皮の色には差がありますが、各々色が鮮やかで綺麗なものを選ぶと良いでしょう。ビワは置いておいても追熟しませんので、購入時点できちんと熟しているものを選ぶようにします。未完熟で酸味の強いビワは消化器を刺激する可能性があり、腹痛や下痢を起こしてしまうこともあります。特に胃腸の弱い方は、あまり酸っぱいものは食べないようにしましょう。

日持ちのしない果物として知られているため保存時はつい冷蔵庫に入れたくなりますが、ビワは冷やしすぎると甘みが抜けてしまうので常温保存が推奨されています。直射日光の当たらない、風通しの良い場所においておくと良いでしょう。冷たい状態で食べたい方は、食べる2~3時間前くらいに冷蔵庫(野菜室)に入れると美味しく頂けます。すぐに食べられない場合は冷凍すると味が落ちてしまうため、コンポートにして冷蔵庫に入れる・果実酒にするなどした方が良いようです。

ビワを食べる時は、手でお尻(底)皮から軸のある方に向かって皮を剥くのがおすすめです。お客様などにお出しする場合はアボカドのように包丁で種の周囲をぐるりと切り、二つに分けた状態で出すと綺麗ですよ。皮を剥いてから置いておくと変色してしまいますので、食べるまで時間が空きそうな時はレモン汁などをかけておきます。

ビワの種の毒性について

ビワをはじめ杏・梅などの未熟な果実や種子は、民間療法の中で薬効を持つ存在として扱われています。ビワの種子に含まれているアミグダリン(ビタミンB17)も薬効成分として紹介されることもある成分ですが、実際のところはシアン化合物と呼ばれる毒性物質。体内で分解されると生産を発生させ一定量を摂取すると急性中毒症状による頭痛・めまい・嘔吐などを起こす原因となりますし、高濃度になると死亡してしまう危険性もあります。

熟した果実などにも微量のシアン化合物は含まれているそうですが、通常量を食べる分には問題ない量だそう。ただし生のまま種子を食べたり、乾燥・粉末化した種子を健康食品として取り入れるのは危険であることが農林水産省から指摘されています。お酒に漬け込んむ・種子をしっかり炒るなどすればシアン化合物が分解されるとも言われていますが、死に至るほどの危険性がある成分であることを考えると使用は避けたほうが良いでしょう。

アミグダリンには鎮咳作用や血液浄化・強心などの効能があると囁かれ伝統的にも使用されてきたものではありますが、有効性に関する情報については科学的に十分な根拠がなく、有効性よりも健康へ悪影響を及ぼす可能性のほうが高いとも言われています。健康食品を購入する場合はシアン化合物の濃度がしっかりと検査されているものを選ぶようにし、不安な方は自作・摂取を避けるようにしましょう。

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参照元:ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう:農林水産省

効果アップが期待出来るビワの食べ合わせ

枇杷(びわ)の雑学色々

ビワの歴史

ビワは中国南西部からインドにかけての地域が原産と考えられており、紀元前からインドや中国では伝統医術の中で薬として使用されてきました。インドでお釈迦様が説いたことをまとめたとされる仏教経典『大般涅槃経』にも“ビワの木には枝や葉・根・茎すべてに大きな薬効があり、病者は香を嗅ぎ、手に触れ、舌に嘗めて、すべての病苦を治す”と記述されているそう。現在でも枇杷の木が“大薬王樹(薬木の王)”または枇杷の葉が“無憂扇(憂いを無くす葉)”と称されるのも、この経典の記述が発端なのだそうです。

古代中国の“五果”にこそ含まれていないものの、中国でも紀元前から生薬として利用されていたと伝えられています。諸説ありますが早ければ紀元前から、遅くとも6世紀頃までには栽培も行なわれており、ツボ(経絡)などと組み合わせて様々な療法の中に取り入れられていったようです。薬として使えることからビワの木があると病人がその葉を求めて列をなす=病人が寄ってくる縁起が悪い木、病人のいる家で植えられていたイメージから逆転して植えると早死する(死人が出る)など不名誉な迷信が残ってしまっている地域もあるのだとか。

日本には奈良時代頃に中国から仏教とともに生薬として伝来したと考えられており、一説では鑑真和尚が日本にビワを伝えた立役者であるとも言われていますよ。日本にも野生種のビワが自生していた・弥生時代から利用されていたという説もありますが、広く認識されるようになったのは奈良~平安期くらいであるとの見解が主流となっています。奈良自体には光明皇后の施薬院でもビワ(おそらく枇杷葉)が使われていたと言われていますし、平安時代には八咫烏が枇杷の葉を入れた巻物を病気だった烏丸大納言に献上し平癒したという伝承も残っています。

各地の民間療法において千年以上も利尿剤・咳止めなどから湿布まで様々に利用されてきたビワ。江戸時代には暑気あたり予防の清涼剤として「枇杷葉湯」が大ヒットしたとも言われていますが、果物としての歴史は比較的新しい部類に入ります。というのも元々日本にあったビワは種ばかりで食用には適さず、江戸時代中期から千葉県あたりで栽培は試みられていたものの、本格的な栽培は江戸時代末期に中国から大玉品種が導入されて以降となります。西の代表品種である茂木は長崎県茂木町に住んでいた女性が庭に蒔いたことが、東の代表品種である田中は植物学者の田中氏が自宅に蒔いたことが生産のきっかけだそうですよ。

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琵琶と枇杷の語源について

リュートの仲間とされる弦楽器に「琵琶(びわ)」と呼ばれるものがあります。七福神の一人である弁財天が持っている楽器ですね。漢字こそ違いますが同じビワという呼び名で、楽器の琵琶は胴(ボディ部分)の形も果物の枇杷に似ているように感じられます。枇杷の木の方が古くから存在していた事も考えると、果樹の名前が先で、それに見立てて楽器を琵琶と命名したように感じます。しかし実はその逆で、ビワと呼ばれるようになったのは楽器のほうが先なのだとか。

南房総いいとこどり様のビワの語源について解説されているページでは、2世紀頃に記された『釈名』に“枇杷はもと胡(中央アジア)の地に出づ。前に押して弾くのを批といい、手前にひくのを把という”という表記がなされていることが紹介されています。枇杷というのは楽器の名前ではなく、元々はダウンストローク=批・アップストローク=把という弾き方の呼び方だったんですね。ちなみに枇杷は英語で日本のものはbiwa、中国のものなどはpipaと発音されるそうですが、2世紀頃の呼び方もピパの方が正解だそうです。

この弾き方が呼び名として定着し、楽器(琴)の一種という意味で琴という字を付けて“琵琶”へと文字が変化していったと言われています。植物の方の琵琶についてはおそらく5~6世紀頃、原生していたビワの木を見て「楽器の琵琶の形をした実のなる木」ということで木偏を付け“枇杷”と命名されたと考えられています。この時期は枇杷の栽培が行なわれ始めた時期とも重なるそうですから、地域独自の呼び方ではなく共通の呼称が必要だったということもあるのかも知れません。

ビワ・ビワの葉の民間療法

枇杷はビワの葉温灸・ビワの葉入浴・ビワ葉パスターなど民間療法でも様々な使われ方をしている植物です。種子を使ったものもありますがよく使われているのは葉部で、身近なところではビワの葉を乾燥させたビワ茶などもありますね。びわの葉や種子については血圧・血糖値・中性脂肪の低減や、発がん抑制、肝機能向上などを持つ可能性が示唆されている報告もありますが、はっきりと分かっていないというのが実情のようです。

身近な民間療法としてはビワの種をホワイトリカーなどに三ヶ月以上漬け込んで作った“ビワ酒”は疲労回復や食欲増進効果がある・風邪予防に良いと言われています。自作できる“ビワの葉エキス”と呼ばれるものも、概ねこのビワの種を使った薬酒と同じもの。効果の程は分かりませんが、湿布として使うとニキビや水虫などの皮膚トラブルに良いとする説もあります。

またビワの葉は入浴剤としても利用されており、乾燥肌やアトピー対策として取り入れている方もいらっしゃるようです。入浴剤として利用する場合は綺麗に洗った生葉を使う・お酒に漬け込んだエキスを入れる2通りの方法がポピュラー。皮膚疾患や痒み以外に冷え性や肩こり・腰痛などにも良いと言われていますが、肌に合わない場合もあるので初めて使う場合などは注意して入浴するようにしましょう。

生薬としてのビワ

かつて「大薬王樹」と呼ばれていた通り、ビワは各部位がそれぞれ生薬としても利用されきた歴史があります。現在利用されているのはビワの葉を乾燥させた枇杷葉(ビワヨウ)くらいですが、かつては種子を琵琶核・花を琵琶花・根を琵琶根として使い分けられていたのだとか。現在でもビワの種子については様々な健康効果があると言われていますが、信憑性が高い情報がほとんどないことに加え、アミグダリンなどによる危険性が考えられることから当サイトでは記載しません。

枇杷葉にもアミグダリンが含まれていることが分かっていますが、こちらは種子よりも量が少なく、煎じてお茶などにして通常量を飲む程度であればリスクは低いと考えられています。生薬としての効能では健胃・鎮咳・去痰作用などがあるとされており、呼吸器系の不調などに利用されているそうです。