ブルーベリーとその栄養成分・効果効能
|目のサポートに注目される理由とは?

食べ物辞典:ブルーベリー

アイケア成分として注目されるアントシアニンを含むことから、健康補助食品などでもお馴染みとなっているブルーベリー。冷凍されたものをそのままヨーグルトにトッピングしたり、スムージーに加えたりと手間がかからず取り入れやすい果物でもありますよね。アントシアニンによる疲れ目の軽減・視機能保持が注目されがちですが、実はビタミンEや食物繊維補給にも役立ってくれる存在ですよ。そんなブルーベリーの種類や歴史、栄養価と期待される健康・美容メリットについて詳しくご紹介します。

ブルーベリーのイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:ヌマスノキ/アメリカスノキ
英語:Blueberry

ブルーベリーのプロフイール

ブルーベリーとは

キレイな青紫色との果皮と甘酸っぱい味風味から、ケーキやジャムフルーツソースなどの材料としても人気のブルーベリー。見た目や風味だけではなくBlue-berry(青い小果実)という呼び名の由来でもある濃い青色の色素成分「アントシアニン」の機能性も注目され、健康をサポートしてくれる果物としても親しまれています。アイケア用サプリメントの原料としてもよく見かける存在ですし、抗酸化作用を持つポリフェノールとして美肌・アンチエイジングフルーツとして取り入れている方も少なくないのではないでしょうか。

食材として目にする機会の多いブルーベリーですが、植物としては北アメリカ原産のツツジ科スノキ属シアノコカス節に分類される果樹の総称。和名としてはヌマスグリもしくはヌマスノキなどと呼ばれています。ちなみにブルーベリーと同じくスノキ属の植物にはコケモモ・ビルベリー・クランベリー・ハックルベリーなど俗に“ベリー系”と言われる果物が多く含まれています。ただし食材としては同じ並びで扱われることも多いものの、ストロベリー(イチゴ)ラズベリーなどのキイチゴ類はバラ科なので植物としては全くの別物となります。

ブルーベリー=スノキ属シアノコカス節の種は多く、栽培品種を含めると300種類以上のブルーベリーがあると言われています。食用に栽培されているものとしては大きく6系統に分けられていますが、日本で食されているものは“栽培種”のハイブッシュブルーベリーとラビットアイブルーベリー(V.virgatum)の2系統に、酸味が強い“野生種”のローブッシュブルーベリーを加えた3系統とされています。大まかな特徴としては栽培種は食べるために品種改良がなされているものですから、野生種よりも酸味が抑えられ甘みが強いことが挙げられます。ハイブッシュブルーベリーはさらにノーザンハイブッシュ(Vaccinium corymbosum)系・サザンハイブッシュ(V.australe)系、ハーフ・ハイブッシュ系の3つに分けられています。

寒冷地での栽培にはハーフハイブッシュが、暖かい地域ではノーザンハイブッシュもしくはサザンハイブッシュが適していると言われていますが、ハーフハイブッシュ系は極寒冷地向けの品種であり国内であれば北海道の一部地域を除きノーザンハイブッシュ系でも十分に栽培することが出来ます。このため日本で栽培されているブルーベリーの系統としてはノーザンハイブッシュ系・サザンハイブッシュ・ラビットアイの三種が主流と言われています。全ての系統が栽培できると言われる関東を挟んで、北はノーザンハイブッシュ系が、南はサザンハイブッシュもしくはラビットアイが多く栽培されているようです。

一時期は加工食品がメインでしたが現在は輸入品を合わせると通年青果が流通していますし、必要分ずつ使いやすい冷凍果物としても多くのお店で見かけることが出来るようになりましたね。日本で最もブルーベリー生産量が多いとされるのは長野県で全国の約2割。次ぐ生産地としては東京都や茨木・群馬など関東圏での収穫が多くなっていますが、東北~北海道や九州など広範囲で栽培がなされています。ブルーベリーは基本的に栽培しやすいと言われており、春に花・秋に紅葉と季節感もあることから家庭菜園・園芸用としても人気ですよ。

ブルーベリーの歴史

ブルーベリーのルーツとなる植物は南アメリカにあったのではないかとも言われていますが、ブルーベリーとして確立したのは北アメリカのため北米原産とされています。文献・資料等が少ないためはっきりとは分かっていないようですが、古くから北米に住んでいたネイティブアメリカン達は数年年前からブルーベリーを食べてきたと伝えられています。彼らはブルーベリーの果実を生もしくは乾燥されて食料としていたほか、葉やジュースを薬としても用いていました。また本格的な栽培こそ行われていませんでしたが、周囲の植物を取り除いたり燃やすことでブルーベリーの成長を助けていたとも言われています。歴史的記録としてブルーベリーが多く登場するようになるのは、ヨーロッパからアメリカ大陸への入植が盛んになる1600年代初頭から。

当時入植者達はヨーロッパから様々な作物も持ち込んでいたものの、土地や気候の違いから新大陸での農業は上手く行かず食料が不足していました。先住民たちは入植者にトウモロコシなどアメリカ大陸の作物の植え方、食料を補うためブルーベリーの採取や乾燥を教えたと言われています。ブルーベリーの乾燥果実が入ったスープを恵んでもらったという逸話もあります。この入植時の食糧危機を救った食物としてブルーベリーは広く知られるようになっていき、現在でもブルーベリーはアメリカでは「命の恩人」、ヨーロッパでは「スモールフルーツ」と呼ばれているそうです。19世紀半ばくらいまで野生のブルーベリーは土地の所有権に関わらず、近所の人が自由に採取できたと言われています。しかし19世紀後半になると“商品”としての価値が重視され、野生種が管理されるようになりました。20世紀初頭には様々な野生種を集めた栽培化・品種改良も行われるようになり、ハイブッシュブルーベリーやラビットアイブルーベリーなどが確立していきます。

日本にブルーベリーが伝わったのは第二次世界大戦後の1951年、北海道農業試験場が初とされています。後にそのナエが東京農工大学へと渡ると「ブルーベリーの父」とも呼ばれる岩垣駛夫教授らによって栽培法が研究され、1968年には東京都小平市に日本発のブルーベリー栽培園が作られました。1980年後半になると一般の種苗業者によるブルーベリーの導入が進み、各地で栽培が行われるようになります。1990~2000年代に健康ブームの影響などから消費者の認知・需要が高まったこともあり、2000年を越えてから作付面積・収穫量が急増していきました。

ちなみにブルーベリーに含まれているアントシアニンが注目されるきっかけとして、第二次世界大戦中にブルーベリー好きなイギリス空軍パイロットが「実家から送られてくるブルーベリージャムを食べた後は薄暗い中でも物がはっきり見えた」と証言したという逸話がよく紹介されています。彼の食べていたのはブルーベリーではなくビルベリーやニンジンなどのというバージョンもありますし、この話自体がイギリス軍による捏造という見解も多いそうです。ともあれ、こうした話を受けてか各国ででブルーベリーについての研究が進み、アントシアニン色素が様々な機能を持つ可能性が報告されるようになったそうですよ。

ブルーベリーの栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ブルーベリーはビタミンE・ビタミンC・食物繊維を多く含む果物で、カロリーは100gあたり49kcalブルーベリー20粒が概ね40gとされていますから、1粒あたり約2kcalの計算になります。あまりカロリーを気にせずに食べられるというのも嬉しいポイントですし、視機能サポートなど様々な働きが期待されるフラボノイド系ポリフェノールのアントシアニンを含むことから抗酸化・健康維持を手助けをしてくれる果物としても注目されています。

ブルーベリーのイメージ

ブルーベリーの効果効能、その根拠・理由とは?

ビタミン補給に

際立って多く含まれているのはビタミンEくらいですが、ブルーベリーはビタミン類を広く含む果物です。ビタミンE含有量は100gあたり1.7mgとキウイフルーツを上回るほど多いですし、代謝に関わるビタミンB群も広く含まれているためビタミン補給に役立つと考えられています。また100gあたり9mgとビタミンCの含有量自体は特に多いわけではありませんが、捨てる部分がないこと・生のままビタミンCを壊さずに食べることができることから、体内での保留時間が短いビタミンCの補給に役立ってくれると考えられます。

ただしβ-カロテン(ビタミンA)の補給については巷で言われているほど期待できないので注意が必要です。ブルーベリー100gあたりのβ-カロテン含有量は55μg、レチノール活性当量は5μgとされています。ビタミンをたっぷりと補給するために食べるというよりは、通常の食生活で不足しがちな分を補ってくれる存在と考えたほうが良いでしょう。

便秘予防・腸内環境サポート

ブルーべリーは100gあたりの食物繊維総量が3.3gと果物類の中でも食物繊維量が多い存在。これはブルーベリーは生のまま皮ごと・種ごと食べられる果実であるという点も大きいと言われています。同グラムあたりの含有量で比較した場合、ブルーベリーはバナナミカンの約3倍の食物繊維を含んでいる事になりますから、食物繊維の補給に非常に適した果物の一つと考えられています。

ブルーベリーの食物繊維は100gあたり不溶性食物繊維2.8g・水溶性食物繊維0.5gと不溶性食物繊維が多い傾向にあり、便の量を増やして腸を刺激し蠕動運動を促すことに繋がります。割合としては少ないものの、ブルーベリーは腸内の善玉菌のエサとして利用される水溶性食物繊維の補給にもなります。水溶性食物繊維は水に溶けてゲル化することで便の硬さを調節する働きもあることから、便秘・下痢両方の軽減が期待できる成分。このためブルーベリーの摂取は便を適度な形に保つ・腸内フローラのバランスを整えることにも繋がると考えられています。

こうした理由からブルーベリーは便通改善に役立つと言われていますが、食物繊維の割合としては不溶性食物繊維が多いこと・収斂作用を持つタンニンを含むことから摂取方法や体質によっては逆に便秘の原因となってしまう可能性もあります。便秘気味の方であれば食物繊維が豊富だからと一度に大量に食べず、お腹の様子を見ながら食べる量を調節していくようにしてください。民間療法ではブルーベリージャムが下痢の軽減・整腸効果を持つとしているものもありますが体質によって便秘や下痢の原因となる可能性もあります。また、市販のブルーベリージャムは砂糖が多いため避けたほうが無難。

視機能保持・眼精疲労予防に

ブルーベリーの代表成分として色素成分でもあるフラボノイド系ポリフェノール「アントシアニン」があります。ブルーベリーが目に良いと言われたり、アイケア系サプリメントほか健康食品類に用いられることがあるのもアントシアニンを含むことが一番の理由と言えます。これはアントシアニンに目の網膜に存在するロドプシンの再合成を促す働きがあることが報告されているためです。

私達が目に写ったものを映像として認識するためには、目の網膜にある「ロドプシン」というタンパク質が分解される際に生じる電気信号が脳へ伝わるというステップがあります。ロドプシンは分解された後に再合成され、再び分解を繰り返していますが、加齢などによってロドプシン分解・再合成の流れが滞ると目の疲れやかすみ・ぼやける・視力低下など原因となり、PCやスマホなどの使用による長時間の目の酷使もロドプシン再合成を低下させる原因となるのではないかと考えられます。このためロドプシンの再合成を促すアントシアニンの摂取が疲れ目・かすみ目などの軽減策として注目されています。

加えてブルーベリーにはロドプシンの原料となるビタミンA(β-カロテン)も若干含まれていること・アントシアニンは抗酸化作用を持つポリフェノールでもあるため、酸化ダメージによって発症する白内障・緑内障の予防に繋がると考えられることから視機能の保持に役立つのではないかと期待されています。ただし疲れ目など目の不調の原因はアントシアニン不足・ロドプシン再合成低下によるものだけではありません。ブルーベリーが目に良いというのも現段階ではデータが十分でないとされ民間療法の扱いになっています。軽減に繋がる可能性があるという程度の話という見解も多いので、過剰な期待は避けたほうが良いでしょう。

抗酸化・生活習慣病予防にも

目の不調軽減や視力回復効果については諸説ありますが、アントシアニンは抗酸化作用を持つポリフェノールでもあり、その抗酸化力はビタミンCの約5倍、カテキンに匹敵するという説もあります。またアントシアニンにはいくつか種類がありますが、ブルーベリーに含まれているアントシアニンは特に特に抗酸化力が強いデルフィニジンやシアニジンが多く含まれているとも言われています。アントシアニン以外にもブルーベリーには抗酸化作用を持つビタミンEがキウイを上回るほど多く含まれていますし、同じく抗酸化作用を持つビタミンCや抗酸化酵素の原料となるマンガンなども含まれています。

このためブルーベリーは抗酸化をサポートしてくれるアンチエイジングフルーツとしても注目されています。また、血中脂質の増加・活性酸素が血中脂質を酸化させることで出来る過酸化脂質・酸化LDLの増加や蓄積は、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病発症リスクを高めると考えられています。このため酸化抑制に繋がる抗酸化物質の補給は生活習慣病予防にも繋がるでしょう。アントシアニンには血中脂肪量や血糖値の上昇を抑制する働きを持つ可能性も報告されているため、より直接的な生活習慣病予防効果が期待できるという説もあります。

肌老化予防・美肌保持に

アントシアニン・ビタミンEを筆頭に抗酸化作用を持つ成分を含むことから、ブルーベリーは肌細胞の酸化によって起こるシワやたるみ・くすみなどの肌老化予防にも効果が期待できます。抗酸化作用以外にビタミンCにはコラーゲンの生成促進やチロシナーゼ酵素の活性阻害によるメラニン色素生成・沈着抑制=シミ予防効果も期待できます。ブルーベリーには同様にチロシナーゼ活性阻害作用があるアルブチンも含まれていることから、内側からの紫外線対策・美白サポート食材としても注目されています。

そのほかビタミンEには末梢血管を拡張させて血流を促す働きもありますから、肌のくすみを軽減して透明感を高めることにも繋がります。ビタミンEの働きと便秘改善や腸内フローラのバランスが整うことから、肌荒れの軽減にも効果が期待できるでしょう。ブルーベリーは抗酸化ビタミンとしてはビタミンA(β-カロテン)含有量が少なめとなっています。ビタミンAは皮膚の保護などにも関わる成分ですから、抗酸化や肌荒れ軽減を期待する場合はβ-カロテンを多く含む食材と組み合わせて使うとより効果的でしょう。

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そのほか期待される働き

『わかさ生活研究所』さんがマウスを使った実験ではアントシアニンにヒスタミン量を低下させる可能性が報告されています。この実験からアントシアニンを含むブルーベリーも花粉症軽減に役立つのではないかという説がありますが、実験で用いられたのはブルーベリーではなくアントシアニンを主体とした“ビルベリーエキス”とされています。また人に対しての有効性や必要なアントシアニン量などは分かっていませんので、ブルーベリーを食べて花粉症が和らぐという期待はしない方が確実でしょう。

そのほかブルーベリーに含まれているアルブチンは尿中で分解されハイドロキノンになることで利尿・尿路殺菌作用を持つと考えられることから、女性に多い膀胱炎などへの予防改善に効果的であるという説もあります。

目的別、ブルーベリーのおすすめ食べ合わせ

ブルーベリーの選び方・食べ方・注意点

ブルーベリーのアントシアニンは時間が経つと酸化して黒ずんでしまうため、スムージなどに使う場合はレモンなどを加えると色をキレイに保つことが出来ます。ケーキなどの生地に混ぜ込んで使う場合は、冷凍したブルーベリーを使うと生地全体が青く染まってしまうのを防ぐことが出来ます。

ブルーベリーは熟したものを収穫後すぐに食べるのが風味・栄養価ともに最良と考えられていましたが、イギリスのチェスター大学がレザーヘッド・フード・リサーチと共に発表した論文によると「3分の2の野菜や果物は冷凍したほうがビタミンCや抗酸化物質の含有量が高くなる」ことが2013年にTV『論文!ザ・ワールド』で紹介されています。ブルーベリーも冷凍した方が抗酸化作用がアップすると紹介された果物の一つ。冷凍してしまうか、新鮮なものは生のまま食べるかは意見が分かれますが、数日中に食べない場合は冷凍した方が良いでしょう。

美味しい~の選び方・保存方法

生のブルーベリーを選ぶ際は、果皮の色が濃くハリのあるものを選ぶようにします。実が丸々としっかりしていて、大粒のもののほうが甘みがあると言われています。小粒のものはアントシアニンが多く取れるというメリットがありますが、渋みを感じやすくなるというデメリットがあるそう。ブルーベリーは追熟せず、収穫後時間とともに鮮度が落ちていく果物のため出来るだけ早めに食べきるようにしましょう。冷蔵庫で2週間程度は保存できると言われていますが、鮮度は落ちていくので注意が必要。

ちなみに表面に付いている白い粉(ブルーム)は果実から自然に分泌されているもので、熟した新鮮な果実に見られるもの。避ける方もいらっしゃいますが美味しい証とも言われていますので、ブルームが付いているものがあればそれを選ぶのもオススメ。ブルームは鮮度を保ってくれるので食べる直前まで洗い流さないようにします。

ブルーベリーのミネラル含有量について

ブルーベリーはミネラルが豊富と紹介されることもある果物ですが、それは「ベリー類の中では」という但し書きが付くもの。鉄分・カリウム・マグネシウム・銅などを幅広く含んでいますが、100gあたりの含有量として見た場合はどれも豊富とは言い難い存在です。マンガンが多く骨量保持に良いと言われることもありますが100gあたりの含有量は0.26mgとバナナと同程度でありますし、基本的に不足の心配はない栄養素とされていますからマンガン目当てで食べるのは現実的ではありません。全く無意味という訳ではありませんが、ブルーベリーを食べてミネラルの補給をしようと考えるのは避けた方が良いでしょう。

参考元:ブルーベリーの歴史20 Evidence-Based Health Benefits of BlueberriesBlueberries: A Healthy Tasty Fruit