【大麦】押し麦/もち麦の栄養・効果

大麦(押し麦)イメージ

大麦(押し麦)の主な栄養・期待される効果:後半

免疫力向上・風邪予防

大麦やオーツ麦、酵母、きのこ類などに含まれている水溶性性食物繊維の一種β-グルカンは、マクロファージやナチュラルキラー細胞など人間の免疫機能に関わる細胞を活性化させる作用が報告されています。免疫の関連物質インターフェロンの生成促進作用なども認められており、免疫系に関わる多くの因子を活性化させることで免疫力向上効果があると注目されている成分です。

β-グルカンは免疫力に働きかけることから風邪やインフルエンザなどの予防として、花粉症などのアレルギー症状の予防・軽減などに役立つと考えられています。また免疫機能を高めることから腫瘍抑制効果が認められており、ガン予防に対しても効果が期待されています。

ダイエット・肥満予防

水溶性食物繊維(β-グルカン)によるインスリンの分泌抑制効果は糖尿病予防だけではなく、ダイエット・肥満予防にも有用です。インスリンには血中の糖を脂肪として体内に溜め込む役割がありますから、この働きが抑えられることで“食べても脂肪蓄積がされにくい”という状態を作り出せると考えられています。また水溶性食物繊維は水に溶けるとゲル化し消化吸収をゆっくりにする働きがありますから、体感的な「満腹感」の維持にも役立ちますし、便秘・腸のむくみによる下腹ぽっこりの改善などにも役立ちますね。

他の食物繊維豊富な食材でも同じ働きが期待できますが、水溶性食物繊維の中でも特にβ-グルカンは「デブ菌」と言われている腸内細菌(ファーミキューテス門)を減少させる働きがあるという説もあります。このためβ-グルカンが豊富な大麦はダイエットに適した食材として注目されています。TVで白米1: もち麦1で炊いたもち麦ご飯を朝のみ食べるというダイエット方法が紹介された後は売り切れる店舗もあったそう。腸内環境が整う+デブ菌の減少によって代謝アップや太にくい体質(余分な糖や脂質を吸収しにくくなる)への体質改善が期待されています。

疲労回復・胃腸機能サポート

中医学の考え方を元にした薬膳で大麦は、胃腸の働きを助ける食材とされています。また大麦はビタミンやミネラルを多く含むため疲労回復にも良いとする説もありますが、栄養成分量的には白米よりも若干多い程度です多いですが際立って高いという訳ではありません。ただ水溶性食物繊維の働きによってカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などのミネラル吸収率が高まるという報告がなされていますから、大麦自体の栄養価というよりは一緒に食べた食材の栄養価の吸収・利用率を高めるという点の方が期待出来るでしょう。

もち麦について

世界規模で見ると大麦は“うるち性”品種が大半ですが、日本を含む東アジアにはもち性の大麦が存在しています。このもち性裸麦は「もち麦」と呼んで区別されています。うるち種はでんぷん(グルコース)がアミロースとアミロペクチンの2種で構成されていますが、もち種はアミロペクチンの割合が非常に高く“もち”と言うとおり、強い粘り気を持っています。

大麦(うるち種)は粘りがないため麺やパンへの加工は適さないとされてきましたが、近年このもち麦の特性を生かし、もちむぎ麺やもち麦パンなど加工品の開発・販売も盛んになってきています。またうるち性の大麦よりも食物繊維(β-グルカン)含有量が高いことから、「もち麦」の摂取・もち麦ご飯タイエッドなどが注目され、特に人気を集めています。

またもち麦は成熟すると紫色になるという特徴があり、地域によっては「スミレモチ」とも呼ばれています。過去は白いものほど良いという考え方もあり、色素成分の少ない種・精白したものなど白に近い色のものを使うのが主流でした。しかし近年はポリフェノールの一種「アントシアニジン」を多く含むことから、抗酸化作用によってより高い生活習慣病予防・アンチエイジング機能を期待できる穀物として“紫もちむぎ”も注目されています。

もち麦商品の大手メーカーである株式会社はくばく様のサイトによるともち麦100gあたりの食物繊維量は12.9gとなっており、多い分の食物繊維量はほとんど水溶性食物繊維とする説もあります。そのため水溶性食物繊維(β-グルカン)の働きとされる便通改善・血糖値上昇抑制・腸内環境改善やデブ菌減少などに、もち麦の方がより高い効果が期待されています。

もち麦の場合は鉄分やビタミンB群など食物繊維以外の栄養価が高いとする説もありますが、日本食品標準成分表の記載ではなく各商品メーカが掲載している数値によるもののため公正な比較はできません。鉄分やカルシウムなどのミネラル補給源として利用したい場合はキヌアアマランサスを加えたほうが確実と考えられます。

大麦(押し麦/もち麦)の選び方・食べ方・注意点

大麦に含まれる注目成分β-グルカンには「セカンドミール効果」と呼ばれる、次の食事の血糖値変動まで穏やかにする働きが報告されています。つまり朝食に大麦を摂取すると昼食の血糖値上昇をも穏やかにするということですから、大麦やもち麦の摂取は朝食・昼食にすると効果的であると言われています。

便秘がひどい方は一度に大量に摂取せず、徐々に摂取量を増やしていくほうが安全です。また腸内環境改善として取り入れる場合は1種類の食物繊維だけを摂り続けると腸内細菌が慣れてしまうとも言われていますので、「もち麦をたくさん食べたから良い」というのではなく様々な品目・食物繊維を摂取できるよう心掛けましょう。

大麦の活用方法・民間療法

大麦を乾煎りしたのち粉末状にしたものを飲むと腹部膨満感や食べ過ぎによる眠気対策に良いそうです。また大麦で作った麦粥でもお腹が張っている時や、二日酔い時のケアに良いと言われています。

朝から麦ご飯を食べるのはちょっと…という場合などは、茹で大麦に野菜や果物・豆乳・ヨーグルトなどを混ぜてスムージーにするという方法もあります。野菜や果物と混ぜることでビタミン類の補充や、ヨーグルトと混ぜることで便秘解消効果アップなど嬉しい相乗効果も期待できるでしょう。そのほか料理に利用しやすい大麦粉や大麦を使った麺・クラッカー・パンなどもあります。