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【無花果】いちじくの栄養・効果

無花果(イチジク)イメージ

無花果(いちじく)とは

独特の甘酸っぱい風味と、ツブツブの食感が特徴的なイチジク。全国的に見るとフレッシュなイチジクを食べたことのある方よりも、ドライフルーツもしくはコンポートやフィリングなど加工されたものを食べたという方の方が多いかもしれません。またイチジクというと薬膳料理に取り入れられているという印象がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは乾燥した実は無花果(むかか)、葉は無花果葉(むかかよう)として漢方の生薬でも利用されており、無花果の実には乾燥を抑える働きがあると考えられているためだとか。食材としても豊富な栄養価や、美容面・女性領域にも効果が期待されていることから近年再び人気を集めています。

植物分類でイチジクはクワ科イチジク属に分類される、落葉高木もしくはその果実のことを指します。イチジク属の総称ではなく学名Ficus caricaという種単体の呼称であり、同属の植物としては愛玉子(オーギョーチ)の材料となるカンテンイタビやインドゴムノキなどがあります。
イチジク品種としては世界規模で見ると100種類以上あるとも言われていますが、日本では明治末に導入された“桝井ドーフィン”と呼ばれる品種が主となっています。そのほか江戸時代から栽培されていたことから在来種とも呼ばれる“蓬莱柿”や、21世紀になってから福岡県で誕生した“とよみつひめ”などもあります。国内で生産されている品種は果皮が茶と紫と混ぜたよう色味のものが大半ですが、白・緑・ほぼ黒に見える暗紫色のものもあります。

ところでイチジクは漢字で“無花果”と書き、この由来は花を咲かせずに実をつけるように見えたためと言われています。しかしイチジクに花がないというわけではなく、実の中に入っている種のように見えるツブツブが花なのです。なので果実(果肉)と呼んでいる部分は厳密には食用とする部分は果肉ではなく小果と花托になるそう。実の中で花がつく、実を食べているようで花も食べているという不思議な果物ですね。ちなみにイチジクの中には受粉に関わったイチジクコバチが入っているという話もありますが、日本にはイチジクコバチがいないので国内生産されているものは受粉を必要としない単為結果性品種となっています。

イチジクの歴史

イチジクはアラビア南部辺りが原産と考えられており、ヨルダンの新石器時代の遺跡から1万1千年以上前のものと思われるイチジクが出土していることから“世界最古の栽培果樹”である可能性も示唆されています。また原産地に近いメソポタミアでは6000年以上前から栽培されていたことが知られています。フェニキアやクレタなどを中継して紀元前2000年には古代エジプトに、紀元前1400年頃にはギリシアへも伝わっていたと考えられています。古代エジプトの壁画にもブドウと共にイチジクが描かれたものがありますし、古代ギリシアでも紀元前のうちに無花果に関する記録が登場します。

イチジクは神話にもよく登場する植物です。古代エジプトでは冥界へ行く者達に乳とイチジクから作られた食物を与えるとして女神ハトホルは“南方のイチジクの女主人”とも呼ばれていたそうですし、生命力が高い植物としてミイラを入れる棺の材料としても用いられていたそうです。ギリシア神話でイチジクは豊穣の女神デメテルが人のために創った食物・古代ローマでは酒神バッカスが人々にイチジクの栽培法を教えたと考えられていたそう。イチジクを「不老不死の果物」と呼び始めたのも古代ローマ人がはじまりであったのだとか。

また旧約聖書の中では裸だったことに気づいたアダムとイブが体を隠すためにイチジクの葉を使ったとも言われていますし、実は知恵の実が林檎ではなくイチジクだったという説もあります。後にルネサンス芸術史上最悪の悲劇とも言われる、教皇ピウス9世がローマ中の男性像の性器を削り取るように命じた“大去勢”の補修にもイチジクの葉が使われているのも有名ですね。新約聖書の中では実がなっていなかったイチジクの木に怒ったイエス・キリストが「永久にお前の実を食べるものがないように」と呪いをかけるシーンもあります。

ヨーロッパからペルシャを経由して伝えられた中国でもイチジクは不老長寿の果物と考えられ、生薬としても用いられていました。日本への伝播については中国経由説・ヨーロッパから直接伝わったという説に分かれていますが、時期としては江戸時代に伝わったようです。当初は薬用植物として栽培されていたそうですから、中国の影響が大きかったと考えられます。生産量が増えてくると食用としても親しまれるようになり、また栽培が比較的安易であったため家庭の庭木としても広がっていきました。

イチジクはこんな方にオススメ

  • 胃もたれや胃痛に
  • 二日酔いの予防に
  • 便秘・むくみの予防に
  • 腸内フローラが気になる
  • アンチエイジング(老化予防)に
  • 生活習慣病予防に
  • 目の疲れが気になる方
  • 更年期障害の軽減に
  • 月経トラブル・PMS軽減に
  • ホルモンバランスが気になる方
  • 貧血気味の方
  • 紫外線・シミ対策(美白)に
  • 肌荒れ・乾燥が気になる方
  • 肌のハリや潤いを保ちたい

無花果(いちじく)の主な栄養・期待される効果

イチジクは生状態であれば全体重量の約84%が水分で、三大栄養素では14%強を占める糖質が主成分となっています。100gのカロリーは54kcalと野菜・果物の中では比較的高めですが、消化を助ける消化酵素類や糖の吸収を抑え血糖値変動を緩やかにするペクチンなども含まれていますから、大量に食べなければ特に問題はありません。

ペクチンなどの食物繊維のほか、多くはありませんがビタミンB1・B2・B6・ビタミンCなどのビタミン類をバランスよく含んでいます。また近年ではイチジクの果汁から抽出した「ベストアルデヒド」にガン細胞を麻痺させる・ガン細胞増殖抑制効果ある可能性も考えられており、研究が行われているようです。

胃もたれ・二日酔い予防

イチジクにはタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)の一種フィシンが含まれています。フィシンはタンパク質を分解することで消化を助け、胃の負担を軽減する働きがあります。余談ですがイチジクが肉料理に使われるのも、パイナップルなどと同じく肉のタンパク質を分解して柔らかくしてくれるためと言われています。

またイチジクにはフィシンに加えてアミラーゼやリパーゼなとの消化酵素も含まれていますから、タンパク質にかかわらず脂質や糖質の消化サポートととしても役立ってくれるでしょう。このため食後のデザートとしてイチジクを食べると胃もたれの予防や改善に役立つと考えられていますし、二日酔い予防にも効果的と言われています。

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便秘・むくみ対策

イチジクは100g中の食物繊維量が1.9gと全体で見ると果物類の中では「中の上」程度の位置ですが、そのうちの0.7gがペクチンなどの水溶性食物繊維となっています。水溶性食物繊維の含有量で見た場合は同グラムのリンゴオレンジの2倍以上、ドライフルーツを抜きにすると果物トップクラスに入ります。
水溶性食物繊維は便の水分状態を整え排便させやすい状態にしてくれるため、便秘の解消だけではなく下痢止めにも利用させる成分。便秘と下痢を繰り返すようなタイプの方も摂取できます。水溶性食物繊維は腸の善玉菌を活性化して腸内環境を整える働きも持っていますから、腸内フローラのバランスを整える働きも期待できるでしょう。

またミネラル類の中では100gあたりの生のイチジクで170mg・乾燥イチジクであれば840mgとカリウムが比較的多く含まれています。カリウムはナトリウムとバランスを取り合うことで、体内の余分な水分を排出する働きがあるのでむくみ対策にも繋がると考えられます。カリウムの運搬を助けるマグネシウムも生イチジクで14mg・乾燥状態であれば67mgとバランスよく含まれています。青果であれば一日の推奨量から考えると決して多いわけではありませんし、ドライフルーツを100g食べるというのも現実的ではありませんが、不足しがちな分を補うことでむくみ予防にも役立つと考えられています。

老化・生活習慣病予防

イチジクはクロロゲン酸やアントシアニン・エピカテキンなどのポリフェノール類、ルテインなどのカロテノイドを豊富に含む果物としても注目されています。これらポリフェノール類は抗酸化作用を持つため、加齢やストレス等によって活性酸素が過剰に発生し細胞を酸化させるのを防いでくれるでしょう。酸化を防ぐことは細胞の劣化・老化予防に繋がりますから、アンチエイジング食材として高い効果が期待されています。不老長寿の果物と言われていたのもあながち迷信と言い切れませんね。

加えて活性酸素は脂質と結合することで過酸化脂質となり、動脈硬化や血栓などの発症リスクを高めることも指摘されています。イチジクには抗酸化物質以外にも悪玉コレステロールの低減作用や血糖値上昇抑制効果が報告されているペクチン、ナトリウムの排泄を促すことで高血圧予防に有用とされるカリウムなどが含まれています。ポリフェノール類の抗酸化作用と相乗して、生活習慣病予防にも役立ってくれるでしょう。

疲れ目・視力低下予防

イチジクに含まれているポリフェノールの一種アントシアニンは、目の網膜に存在するロドプシンの再合成を促す働きが報告されています。私達の目はロドプシンが分解される際に生じる電気信号が脳に伝わることで、目に写ったものを認識することが出来ます。ロドプシンは分解された後に再合成され、再び分解を繰り返していますが、加齢や目の酷使によってこの再合成能力が低下すると目の疲れやかすみなどの原因となるため、アントシアニンの摂取は目の疲れの軽減・視力低下予防に役立つと考えられています。

またカロテノイド系色素のルテインも目の健康維持に関わる成分です。ルテインは人の黄斑部や網膜に存在しており、紫外線やブルーライトなどの有害な光を吸収する・抗酸化作用によって活性酸素の発生を抑えることで目の疲労や老化・眼病予防効果が期待されています。含有量はさほど多くないですが、こうした成分を含んでいることからイチジクは疲れ目や視力低下を予防して目の健康を維持するサポートにも役立ってくれるでしょう。

女性特有の不調・貧血軽減

イチジクの種子部分には女性ホルモンのエストロゲンと同じような構造を持つ「植物性エストロゲン(フィトエストロゲン)」が含まれています。植物性エストロゲンはエストロゲンをサポートしてくれる成分として更年期障害の緩和に効果が期待されていますし、人本来のエストロゲンよりも作用がかなり弱いことからエストロゲン過多の場合には全体的なエストロゲン作用を弱める=ホルモンバランスを整える方向で働くとも考えられています。このためイチジク(種子)はホルモンバランスの乱れに起因する、月経不順・生理痛・PMS(月経前症候群)など様々な女性領域の不調軽減に効果が期待されています。

何かが際立って多いと言うほどではありませんが、ビタミンやミネラル類を幅広く含んでいることも栄養の偏りによる女性の不調軽減に役立つと考えられています。特に女性に不足しやすい鉄分やカリウムなどの補給源として適しているでしょう。生100gあたりの鉄分含有量は0.3gと小松菜などの緑黄色野菜と比べると少ないですが、果物としてはプルーンよりも鉄分量が多いため鉄欠乏性貧血の予防にも役立つと考えられています。植物性エストロゲンの働きと合わせて妊娠しやすい体を作りにも良いという説もありますよ。

肌荒れ予防・美肌保持

イチジクはメラニン色素を抑えることで美白効果が期待されているザクロエラグ酸を筆頭に、アントシアニン・エピカテキン・クロロゲン酸・没食子酸・ルテインなどの抗酸化物質を豊富に含んでいます。このため活性酸素を抑え細胞の酸化(老化)を防ぐ作用が強いと考えられており、美肌保持・アンチエイジングなど美容面でも効果が期待されています。肌老化や紫外線対策として取り入れる方も増えているのだとか。

加えてエストロゲンも「美肌ホルモン」と称されるように、肌の水分量を調整したり、コラーゲンやエラスチンの生成を促すなど肌をキレイに保つ働きが認められています・このためイチジクの種子部分であれば、加齢や生活習慣などによってエストロゲンが減少して起こる肌トラブルの軽減にも役立つのではないかと考えられています。イチジクには含有量こそ多くはないものの皮膚を健康に保つビタミンB群も含まれていますし、便秘による肌荒れの改善・腸内フローラの改善から善玉菌によるビタミン合成促進などにも繋がります。老化だけではなく肌トラブル全般のサポートに効果が期待できるでしょう。

干しイチジクについて

干して乾燥させたドライフィグ(乾燥イチジク)は水分が減った分、鉄分やカリウムなどのミネラル類、ビタミンB群、ポリフェノール類や植物性エストロゲンの含有量が増えます。ただし乾燥イチジクを1日3個食べることで1日に必要な鉄分やカルシウムが摂取できるという声もありますが、1日の推奨摂取量には足りません。1日の不足分を補える程度と考えておくと良いでしょう。

生と乾燥とで特に差が顕著なものは食物繊維量で、生100gあたりでは1.9gですが、乾燥イチジクであれば10.7gと非常に多くなります。便秘が気になる方・食物繊維を補給したい方には乾燥したものの方が効率的であるとも言われています。また同グラムで比較した場合はカリウム量も5倍近くに増えますし、一般的にビタミンEとして記載されるα-トコフェロールこそ大差ありませんがγ-トコフェロール量も75倍とかなり多くなります。抗酸化力はα-トコフェロールに劣ると言われていますがγ-トコフェロールは水分バランスを調整することでむくみ軽減効果が注目されているビタミンですから、むくみが気になる方もカリウム量以上の効果が期待できるかもしれません。

ドライフィグ(乾燥イチジク)のデメリットとしては、水分が減ったことで糖質量とカロリーも高くなっていることが挙げられます。全体重量のうち約75%が炭水化物、100gあたりのカロリーは291ckalとされていますから、食べ過ぎると肥満や糖尿病のリクスを高めてしまう危険性もあるでしょう。植物性エストロゲンについても通常量の食材から摂取する程度であれば問題はないとされていますが、ドライフルーツをたくさん食べた場合は過剰摂取になってしまう可能性もあります。一日3個、多くても5個以内程度の量にしておくと無難でしょう。

無花果(いちじく)の選び方・食べ方・注意点

青果のいちじくを買う際は全体的にふっくらと丸みが強く、果皮がきれいなもの・良い香りがするものを選ぶようにしましょう。切り口に白っぽい液が付いているものは新鮮であると言われています。

ポピュラーな赤褐色~紫色のものであればしっかりとヘタまで色がついているもの・お尻が割れかかっているものが完熟した証。未熟ないちじくの実を食べる胃を痛めたり食欲を失うことがありますので、しっかりと熟したものを食べましょう。ただしお尻の部分がくっきり割れ過ぎているものは熟れすぎなので避けてください。

イチジクは傷みやすいので買ったものは乾燥しないように袋に入れて冷蔵庫で保存し、数日中に食べきりましょう。食感には若干の変化があるので一晩置いたほうが食べやすい、エチレンの発生量が多いリンゴなどと一緒に置くと追熟するという説もありますが、基本的に追熟しない果物とされていますので長々置いておくのは避けたほうが確実です。

イチジクのオススメ食べ合わせ

  • いちじく+ザクロ・柿・ぶどう・アボカド
    ⇒美肌・アンチエイジングに
  • いちじく+パイナップル・ホタテ・りんご
    ⇒消化促進に
  • いちじく+ヨーグルト・バナナ・クルミ
    ⇒便秘予防・改善に
  • いちじく+白ごま・はちみつ・梨・ビワ
    ⇒乾燥対策に

無花果(いちじく)の民間療法

イチジクの葉を袋に入れて煮出したものを入浴剤として利用すると血行促進効果があると言われています。冷え性の軽減をはじめリウマチや神経痛・痔などの緩和にも良いのだとか。また痔の軽減としてはイチジクの根または皮を煎じた汁に布を浸し、湿布のように患部に当てるというバリエーションもあるそうです。
そのほかイチジクの茎などから出てくる白い乳液を塗るとウオノメ・タコ・イボ取りが出来るというものもありますが、かぶれる危険性が高いので注意が必要です。

生薬としての無花果の効能

イチジクの果実を点鼻で乾燥させた“無花果”は便秘改善や、肺を潤わせ喉の痛みや咳を抑える働きがあると考えられているようです。また葉を乾燥させたものは“無花果葉”もしくは“唐柿葉”と呼ばれ、煎じて飲むと高血圧や糖尿病予防・外用であれば痔などの炎症緩和や冷え性に良いとされています。入浴剤として利用するというのもこの薬効に由来しているのかもしれません。葉を干したものは薬ではなく、健康茶の一つとして飲まれている方もいらっしゃるようです。

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投稿日:2014/08/22 (更新)
by SlowBeauty