グァバとその栄養成分・効果効能
|スーパーフードにも数えられる、抗酸化力が期待

食べ物辞典:グァバ

グァバはアセロラに次いでビタミンCが豊富であると注目されているトロピカルフルーツ。「熱帯のリンゴ」とも呼ばれるさっぱりとした風味から、あまり好き嫌いなく食べられる果物と言えるかもしれません。カロリーも100gあたり38kcalと低めで、食物繊維とビタミンCを多く含んでいることから身体を気遣う方にも取り入れられていますよ。ビタミン補給源として役立つほか、特に赤肉種は抗酸化作用の高さも注目されています。そんなグァバの歴史や種類・栄養効果について詳しくご紹介します。

グァバのイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:蕃石榴
英語:guava

グァバ(番石榴)のプロフイール

グァバとは

グァバは「熱帯のリンゴ」とも呼ばれるように、酸味と甘味の混じったサッパリ系の味が特徴。食感も比較的サックリとしとしており、全体的にクセがない果物とも言えますね。ねっとりとした甘みが苦手な方でも受け入れやすいと称されていますが、トロピカルフルーツ系の濃厚な甘みが好きな方にはやや物足りないと感じられることもあるよう。アジア圏では生グァバに粉末のプルーンや梅干し・特にタイでは唐辛子を付けて食べることが多いのもそのためかもしれません。

近年はネットのお取り寄せなどもありグァバも青果として入手しやすくなったとは言え、沖縄県や鹿児島県など産地の方以外ではグァバジュースやジャム・お菓子類のフレーバーとしての方が馴染みがあるという方のほうが多いかもしれません。果実ではなく葉を原料とした「グァバ茶」もドラックストアなどの健康茶コーナーで見かけますね。

そんなグァバはフトモモ科バンジロウ属に分類されます。お茶などでシジュウムグァバ茶もしくはシジュウム茶という表記もありますが、これはグァバの学名がPsidium guajava(シジュウム・グァバ)のため。定義でグァバはこちらのみを指しますが、広義の場合はバンジロウ(Psidium)属全体を指す言葉としても利用されます。このためストロベリーグアバやイエローストロベリーグアバなどPsidium littoraleの変種とされるものも、果物市場ではまとめて「グァバ」呼ばれています。英名ではシジュウムグァバの事を“Common guava(コモングァバ)”と呼び分ける事もあるそうですし、和名でも蕃石榴(バンジロウ/バンザクロ)と呼んだ場合は単体の種を指す呼び名となります。ちなみに沖縄の方言ではバンシルーやバンチキロー、バンチュルなどと呼ぶそう。

グァバには沢山の品種がありますが、区分としては外見で呼び分けることが多いようです。実の形が球状のものはアップルグアバ・洋梨型のものはペアーグアバ・実が大きいものキンググァバなどがその代表。また別種で外皮・果肉ともに赤いグァバの近縁種がストロベリーグァバと呼ばれるのに対し、果肉のみが赤いシジュウムグァバは“スイカグァバ”と呼び分けます。もっとシンプルに赤実グァバ・白実グァバと大別することも多く、赤実系の方は柔らかい食感・白実系はサクサクした食感のものが多いようです。

グァバの歴史

タイやベトナムなど東南アジアやハワイなどで食べられるフルーツという印象があるグァバですが、原産はブラジルなどの熱帯アメリカと考えられています。南アメリカでは数千年前から食用とされていたことが分かっており、紀元前にはすでに栽培が行われていたのではないかという説もあるようです。ネイティブアメリカン達は果実を食べるほか、葉や樹皮を整腸・止瀉薬(下痢止め)や通経剤として利用していたとも伝えられています。

アメリカ大陸に到達した16~17世紀頃にグァバはアジアやエジプトなどの北アメリカへと紹介され、各地での栽培が行われるようになります。アジアでは果実だけではなく葉もお茶にしたり、収斂・止瀉用として利用していたそうです。中国でも未成熟果実を番石榴乾(バンセキリュウカン)・葉を乾燥させたものを蕃石榴葉(バンセキリョウヨウ)と呼んで生薬としても取り入れています。

ちなみにグァバがハワイに伝わったのは18世紀末、日本に伝わったのは1900年台初頭(大正時代)と言われています。和名は中国の“番石榴(バンセキリュウ)”をそのまま使っており、名前の由来は形がそのままザクロに似ていたためだとか。暖かい地域の植物であり霜に弱い性質があることから、国内では沖縄県や奄美大島・鹿児島県南部など一部地域でのみ商業栽培が行われています。

かつては熱帯地域の栄養豊富なフルーツという程度の認識でしたが、1950年代頃からグァバの成分や作用について薬理学的な研究が行われるようになり、特にグァバの葉についての有効性についても報告がなされるようになります。近年はグァバ茶商品が血糖値上昇を抑えるトクホ商品として認定されたことで注目を浴びたほか、血糖値対策や花粉症対策に役立つ健康茶として取り入れられています。果実も抗酸化ブームの関係もありビタミンCが豊富なこと、アサイーピタヤなどと並んでスーパーフルーツの1つとして配合している商品があることなどから注目が高まっています。

グァバ(番石榴)の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

グァバは全体の9割近くが水分で炭水化物量は全体重量の約1割程度、そのうち半分以上が食物繊維のため糖質量の心配もさほど必要ないでしょう。カロリーも100gあたり38kcalと低めの果物です。食物繊維とビタミンC含有量が非常に高いことが特徴と言えます。

グァバのイメージ02

グァバの効果効能、その根拠・理由とは?

アンチエイジングに

グァバの果実には100gあたり220mgと多くのビタミンCが含まれています。レモン(全果)であっても100gあたりのビタミンC含有量は100mgですから、その2倍以上となるグァバは非常にビタミンCが豊富な果物と言えるでしょう。ビタミンCは活性酸素による酸化(老化)を予防する働きを持つ抗酸化ビタミンの一つ。摂取目安量は1日100㎎とされていますが、ストレス・紫外線・タバコやお酒のほかに有酸素運動やPCやスマホの使用でも消費されるため、生活習慣や環境によってはそれ以上の摂取が必要であるとも言われています。水溶性ビタミンのため食品から摂取する場合は過剰摂取の心配がほとんどありませんから、なるべくこまめに補給したい栄養素と言えるでしょう。

また赤肉種の場合はビタミンCだけではなくカロテノイド系色素であるβ-カロテン、β-クリプトキサンチンも含まれています。β-カロテンは抗酸化作用を保つ成分とされていますし、グァバ(赤肉種)のβ-カロテン含有量は100gあたり580μgと果物類の中では多い部類に入ります。β-クリプトキサンチンに関しては含有量もそこまで多くありませんし、まだ研究途上の成分であるためハッキリした効能は分かっていませんが、他カロテノイドと同じく抗酸化作用があると考えられています。これらのことから抗酸化作用によるアンチエイジング効果を期待する場合は赤肉種の方が適していると考えられています。

疲労回復・ストレス対策に

グァバは果物類の中では代謝に関わるビタミンB群を多く含んでいます。そのほか『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』にはクエン酸量が記載されていないため正確な含有量は分かりませんが、クエン酸が含まれていることからクエン酸回路(TCAサイクル)を活発化して疲労物質の代謝を促す働きがあるとする説もあります。ただしクエン酸の働きについては否定的な研究報告も多く、俗説の域を出ないという見解が主流にでもありますから、期待しすぎないほうが良いでしょう。

ビタミンB群、特に神経伝達物質の合成に関与するビタミンB6はストレスや精神的な面での疲労軽減にも役立つと考えられます。加えてグァバに豊富に含まれているビタミンCも副腎皮質ホルモンの合成に関与していますし、群を抜いて多いというわけではありませんが同じく副腎皮質ホルモンの分泌に関係するパントテン酸も含まれています。副腎皮質ホルモンにはアドレナリン・ノルアドレナリン・コルチゾールが挙げられ、ストレス下で分泌されることが多いため別名「抗ストレスホルモン」とも呼ばれています。このためビタミンCやパントテン酸はストレスを緩和・ストレス耐性を高める働きが期待され、これらの成分を適切に補うことは疲労回復やストレスへの抵抗性を高めることに繋がると考えられています。

便秘対策・腸内フローラに

グァバは100gあたりの食物繊維量が5.1gと多く含まれており、同グラムで比較した場合はアボカドに次いで青果類トップクラスでもあります。食物繊維の種類としては不溶性食物繊維が多く、便の量を増やして腸を刺激し蠕動運動を促す働き・腸内の老廃物の排出を促す働きに優れているでしょう。ビタミンCにも便を柔らかくする・乳酸菌のエサになり腸内フローラのバランスを整えるなどの働きが期待できますから、便通改善だけではなく腸内環境改善にも効果が期待できますね。

ちなみに下痢に良いという説もありますが、こちらはグァバ茶などに使われる“葉”に多く含まれているタンニンの働きによるところが大きいです。果実部分にはタンニンはそこまで含まれていませんし、食物繊維の比率としても100gあたり不溶性食物繊維4.4g・水溶性食物繊維0.7gと不溶性に大きく傾いていますので、下痢をしている方・しやすい方は食べ過ぎに注意したほうが良いでしょう。

免疫力向上・風邪予防に

ビタミンCは自らが病原菌を攻撃する働きがあるほか、抗ウイルス作用を持つインターフェロンの分泌促進作用が認められています。また間接的な働きとして、コラーゲン生成促進によるウイルス侵入抑制・腸内フローラ改善による免疫力向上・抗酸化作用による免疫力低下予防なども期待できます。これらのことからレモンの2倍以上のビタミンCを含むグァバは風邪・インフルエンザ予防にも役立つと考えられます。

高血圧・動脈硬化予防に

グァバはあまりミネラルの多い果物ではありませんが、カリウムを100gあたり240mgと比較的多く含んでいます。カリウムというとむくみ対策に良いミネラルというイメージがありますが、これは味の濃いものを食べた後などにむくみやすくなるのは、血中ナトリウム濃度が濃くなりすぎないよう身体が水分を取り込み保持しようとするため。カリウムにはナトリウムとバランスを取り合い、ナトリウムが多いと排出を促してくれる性質があります。この働きからむくみ改善が期待できますし、血液量が増え心臓に負担がかかることで起こる高血圧の予防や軽減にも繋がります。

加えてグァバに多く含まれているビタミンCはコラーゲン生成を促すことで、毛細血管を丈夫にする働きがあります。抗酸化物質でもありますから活性酸素と脂質が結合してできる過酸化脂質の生成を防ぎ、過酸化脂質が蓄積して起こる動脈硬化の予防にも役立ってくれるでしょう。血流が良くなることで心臓への負荷が軽減しますから、こちらからも高血圧予防に繋がりますね。

美肌保持・美白サポートに

抗酸化作用やコラーゲン生成促進作用があるビタミンCを豊富に含むことから、グァバは美肌を心がける女性に注目される果物の一つでもあります。ビタミンCは抗酸化作用やコラーゲン生成促進によるシワ・たるみ予防のほか、メラニン色素の生成に関わるチロシナーゼの働きを阻害することでシミ予防・メラニン色素還元による美白効果も期待されています。ビタミンBの仲間に分類されるパントテン酸もビタミンCの働きを助けることで肌荒れやニキビ予防に役立ってくれますから、肌を健康に保持したり内側からの紫外線対策・アンチエイジングとしても心強い存在ですね。

グァバにはビタミンCと同時に摂取すると相乗効果を発揮すると言われているβ-カロテンやビタミンEも含まれています。ただし白肉種にはβ-カロテンなどのカロテノイドが含まれていません。抗酸化作用とビタミンAとして皮膚粘膜を守る働きがあるβ-カロテンはもちろんのこと、β-クリプトキサンチンもヒアルロン酸合成酵素の活性化作用が報告されていることから、肌の潤い保持に繋がる可能性が期待されている成分。肌荒れや乾燥が気になる方は赤肉種の方がおすすめです。

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糖尿病・肥満予防について

グァバに含まれているケルセチンなどのポリフェノール類は糖質をブドウ糖に分解する酵素(アミラーゼ)の働きを抑える働きがあり、小腸でのブドウ糖吸収率を抑える=血糖値の上昇を抑える働きがあることが報告されています。このため糖尿病予防に効果が期待されていますし、余剰な糖質が脂肪として蓄積されにくくなることからダイエットにも役立つのではないかと考えられています。

ただしポリフェノールが豊富に含まれているのはグァバの葉部分。果実部分にも若干のポリフェノールが含まれていますが、葉ほど豊富ではないこと・果物そのものの糖質量などからあまり期待はできません。果実も100gあたり38kcalと低カロリーで糖質も低い果物ですからダイエット中の間食に適していますが、血糖値上昇抑制・ダイエット効果を期待して食べすぎないように注意しましょう。

目的別、グアバのおすすめ食べ合わせ

グァバ(番石榴)の選び方・食べ方・注意点

グァバは丸みが強い形状で手に持った時に重みがあるもの・果皮がきれいな状態で色は緑が濃すぎない物(黄緑系の色)が良いとされています。触った時に弾力を感じるくらいの柔らかさで、香りがしっかりとすれば食べごろ。カチカチで全く匂いがしない時はまだ未熟なため、常温で追熟させてから食べて下さい。

グァバの注意点

グァバの種子は食べ過ぎるとお腹を壊す可能性があります。種子を食べられるように品種改良されいる品種もありますが、そうでない場合はメロンと同じように半分にカットしてワタ・種をスプーンで取り除いてから食べるようにしましょう。

グァバそのものは糖質も多くなく低カロリーな果物ですが、飲料他加工品になると糖・カロリーが高くなります。問題無さそうなドライフルーツやジュース類などでもお砂糖を使っているものがありますので食べ過ぎに注意しましょう。