ケールとその栄養成分や効果効能
|美容食としても注目される、緑黄色野菜の王様!

食べ物辞典:ケール

栄養価の高さから「緑黄色野菜の王様」とも称されるケール。欧米を中心に栄養価の高いスーパーフードの一つとして紹介されたことで人気が高く、アメリカでは「Queen of Green(青野菜の女王)」とも呼ばれています。青臭い・苦いというマイナスイメージもありますが、近年は生野菜として食べやすい種類も流通していますよ。栄養補給として優秀なことに加え、ルテインやイソチオシアネートなど抗酸化物質が多いこともケールの特徴。健康野菜として注目されているケールの歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。

ケールのイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:リョクヨウカンラン(緑葉甘藍)
英語:kale

ケール(緑葉甘藍/羽衣甘藍)のプロフイール

ケールとは

ケールは野菜としてだけではなく、青汁の原料としてもよく目にする食材。キューサイさんが青汁のCMで使った「まずい!もう1杯!」という台詞のインパクトもありますし、実際に強い苦味・独特の青臭さがあるため苦手に感じているかも少なくないのではないでしょうか? ある程度以上の年齢の方であれば“良薬口に苦し”を素でいく食材のようなイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれません。近年は飲みやすさを追求した美味しい青汁も多いものの、ケールを使った青汁は苦いので初心者は避けた方が良いという意見もメディアやネットで出回っているので未だマイナスイメージは残っていますよね。

しかし、近年は欧米で人気となり、日本でもスーパーフードとして紹介されたことで再注目されています。需要が増えたことで野菜として食べやすい品種が輸入されるようになったことも、使用される機会が増えた理由と言えそうですね。ケールはスムージーに使われるだけではなくサラダやパスタ・キッシュ・肉料理など様々に利用されており、アメリカではオーブンで焼いたケールチップスも人気なのだとか。炒め物や肉巻きななど和食系レシピで一点作ることも出来ますし、細かく刻んでハンバーグや餃子などに混ぜ込むとお子さんでも食べやすいかもしれません。パンや焼き菓子などに使いやすいケールパウダーも販売されていますよ。

ケールは植物としてはアブラナ科アブラナ属に分類される、キャベツと近い種植物分類ではケールの学名はBrassica oleracea var. acephalaで、キャベツBrassica oleracea var. capitataと、どちらもヤセイカンラン(学名:Brassica oleracea)の変種として扱われています。ケールの和名も外見の特徴とキャベツの和名である“甘藍”を合わせて、緑葉甘藍(リョクヨウカンラン)もしくは羽衣甘藍(ハゴロモカンラン)と付けられています。ちなみに同じくヤセイカンランを元とする種にはブロッコリーカリフラワー、イタリア料理で使われているカーボロネロ(黒キャベツ)などもあります。白菜などが含まれているB. rapa系統と共に、アブラナ属の中で農作物として馴染み深い野菜が多く含まれている種と言えますね。

ケールの全体的な特徴としてはキャベツと異なり結球しないことが挙げられますが、ケールにも実は様々な品種があり葉の形なども異なっています。約50品種があると言われていますが、食用としては葉に縮みやシワが多いスコッチケール系・葉が青緑色でしわが少ないシベリアンケール系・縮れやシワがほとんど無く葉が幅広のコラードケール系の三種類が主に使われています。このうち青汁に使われるのはスコッチケール系の品種が多く、野菜として食べる場合には葉の縮れが少ないコラード系の品種が多く使われています。

品種にもよりますが、葉が平でツルリとした形状のコラード系品種が葉が柔らかく苦味や青臭さが少ない傾向にあるので食べやすいそう。この辺りはパセリに近い感覚と言えるかもしれませんね。また近年は増田採種場さんのソフトケール(サンバカーニバル)など、食べやすさに重点を置いた苦くないケールも開発されています。そのほかケールとメキャベツの交配種プチヴェール、ケールとカーボロネロの交配種であるゴズィラーナ(カーボロリーフグリーン)などの品種も作られています。柔らかくクセが少ない新芽のうちに摘み取ったベビーケールもサラダ用として流通していますね。野菜として使ってみたいけれど苦味が気になる場合には、サラダケールやベビーケールなどを選んでみるのがオススメです。

ケールの歴史

ケールは南ヨーロッパ・地中海沿岸地域が原産と考えられています。原種であるヤセイカンランから分化した時期がはっきりしていないため現在のケールと同じものであったのかは不明瞭なようですが、一説では紀元前2000年頃には既に栽培されていたのではないかとも言われています。ちなみにケール(Kale)という呼び名はケルト人(Kelt)が由来とされており、イベリア人が栽培していたヤセイカンランをケルト人が栽培・伝播していく中で誕生した野菜だからではないかと言われています。

紀元前のうちに古代ギリシア・ローマでケール栽培が行われ、ある時は野菜として、ある時は医薬品(ハーブ)として利用されていたのではないかと考えられています。古代ギリシアではケールの葉でペースト状にしたものを包んで蒸し焼きにした、現在で言うロールキャベルのようなものが家庭料理として食べられていたそうですよ。薬理学と薬草学の父と言われる古代ギリシアの医者ペダニウス・ディオスコリデスも薬用植物としてケールを記載していたと言われています。ピタゴラスがキャベツを「元気と落ち着いた気分を保つ野菜」として評価したと伝えられていますが、年代的にこれはキャベツではなくケールだったのではという見解もあります。ケールは土壌や気候の変化に強く冬でも枯れないことが評価され、中世期までにはユーラシア大陸の広い範囲で栽培が行われていたようです。

日本にケールが伝わったのは江戸時代初期(18世紀頃)と考えられています。貝原益軒が編纂し1709年に刊行された本草書『大和本草』にはオランダナとしてケールの記載があることから、オランダ人によって伝えられたのでしょう。ただし当時の日本では食用として定着せず、品種改良されたものが“葉牡丹”と呼ばれ観葉植物として楽しまれていただけでした。食材としてケールが注目されるようになったきっかけは第二次世界大戦後、食糧不足による栄養失調を打開すべく遠藤仁郎博士が“青汁”を考案したことと言われています。余談ですがヨーロッパでも中世後期からは他の食材に押されてあまり重要視されていなかったものの、第一次・第二次世界大戦中による食糧難で再評価した国があるそうです。

昭和18年、遠藤仁郎博士によって“青汁”が考案された当初はキャベツや大根菜などの搾り汁が原料として使われていたそうですが、栄養価や収穫時期が決まっているなどの難点がありました。遠藤博士の研究によって栄養価が高く通年収穫が可能な食材としてケールが使われるようになり、ケールの青汁・日本国内でのケール栽培が普及していったと言われています。日本では1990年代にバラエティ番組の罰ゲームやTVCMなどの影響から青汁の知名度が高まり、健康ブームも相まって知名度が急上昇。同様にアメリカで1990年代に栄養豊富な食用野菜として取り入れられるようになります。2012年にはアメリカからフランスへ引っ越したKristen Beddardが、フランスでケールが販売されていないことに衝撃を受け「ケールプロジェクト」という普及活動を行ったこと・その著書も話題となったようですよ。

ケールの栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ケールは「野菜(緑黄色野菜)の王様」とも称される通り、その栄養価の高さが注目されている食材です。様々な栄養素を含んでいますが、特にミネラル類であればカルシウム、ビタミン類であればビタミンCが豊富。必須栄養素以外にもカロテノイド類のβ-カロテンやルテイン・イソチオシアネート(スルフォラファン)・クロロフィルなどを含んでおり、様々な健康メリットが期待されています。カロリーは生100gあたり28kcal。

ケールサラダイメージ

ケールの効果効能、その根拠・理由とは?

免疫力向上・風邪予防

ケールはβ-カロテンを生100gあたり2900μgと豊富に含む緑黄色野菜の一つ。β-カロテンは抗酸化作用を持つカロテノイドであると同時に、必要に応じて体内でビタミンAに変換されるプロビタミンAの一つ。ビタミンAは皮膚や粘膜の保持・強化に関わり喉や鼻などの粘膜を丈夫にする働きがありますから、呼吸器粘膜の強化によってウィルスの侵入を防いで風邪やインフルエンザに罹りにくい状態を作る手助けが期待できます。加えてケールには生100gあたり81mgとビタミンCも豊富に含まれており、コラーゲンの生成を促すことで細胞を密に繋ぐことからもウイルスの侵入を抑制することに繋がると考えられます。

ビタミンCは抗酸化や美肌への働きかけが取り上げられることが多い栄養素ですが、白血球の強化・抗ウイルス作用を持つインターフェロンの分泌促進作用など免疫力に関わる働きを持つ可能性が多く報告されているビタミンでもあります。ビタミンCは自らが免疫機能のように病原菌を攻撃してくれるという説もありますし、ケールに含まれている酵素のルビスコ(RUBISCO:リブロース-1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ)も実験では免疫グロブリンの産生を活発化させることで免疫力向上効果を持つことが示唆されています。そのほかケールにはアブラナ科野菜によく見られるイソチオシアネートも含まれていると言われていますから、こちらからも殺菌や免疫力向上効果が期待できます。

そのほか抗酸化物質の補給という面からも活性酸素(酸化)を抑止することで免疫力低下を防ぐ・免疫機能のバランスを整える働きが期待できます。こうした成分を合わせて補給できることから、ケールは免疫力の保護や向上、風邪・インフルエンザなどの感染症予防に役立つと考えられています。様々な栄養素を含む野菜ですから、栄養バランスを整えることからも体力・抵抗力アップを手助けしてくれるでしょう。

眼病・眼精疲労予防

ケールにはβ-カロテンだけではなく、同じくカロテノイドに分類されるルテインが含まれていることも注目されています。ルテインも優れた抗酸化作用を持つことから目の黄斑部や水晶体などを酸化ダメージから守り、眼病や視機能の老化を抑制する働きが期待されています。加えてルテインは「天然のサングラス」とも称されるように、スマホやパソコンの画面などから発生するブルーライト(青色光)を吸収して目を守る働きも報告されており、パソコン・スマホ・テレビなどに囲まれて生活している現代人の目を守ってくれる存在としても注目されています。

ルテインなどのカロテノイド以外にもケールにはビタミン類やポリフェノールなどの抗酸化物質が含まれていますし、β-カロテンはビタミンAに変換されることで目の粘膜を保持・ロドプシン再合成を高める働きが期待されています。β-カロテンの不足は夜盲症やドライアイの原因となる可能性もありますから、こちらも目の不快感や疲労が気になる方は意識的に摂取しておきたい栄養素と言えますね。β-カロテンやルテインの補給に役立つことからケールは疲れ目や眼精疲労、白内症や黄斑変性症などの予防に役立つと考えられます。

ちなみにケールのルテイン含有量は生100gあたり10mg程度と推測されており、同グラムで比較するとほうれんそうの約2倍ほどと言われています。β-カロテン含有量についてはほうれん草のほうが約1.5倍と多くなっていますが、ルテイン含有量としてはパセリと共にトップクラスの野菜として評価されています。まだ生野菜として通年手軽に手に入るとは言い難い存在ですから、入手できた時にはほうれん草の代わりに取り入れてみると良いでしょう。

骨や歯を丈夫に保つ

ケールはミネラル類の中でもカルシウムを多く含んでいます。100gあたりのカルシウム含有量は220mgと同グラムで比較した場合は牛乳やクレソンの2倍以上で、野菜類としてもトップクラス。カルシウムは私達の骨や歯を維持するために必要なミネラルで、不足すると歯が脆くなったり骨密度低下による骨粗鬆症リスクが高まることが指摘されています。このため丈夫な骨や歯の形成・維持する栄養素として、お子さんの成長のサポート・加齢による骨粗鬆症予防のために意識的に摂取したいミネラルの一つと言えます。

ケールにはカルシウムだけではなく、骨の構成に必要なマグネシウム・カルシウムが骨に沈着するために働くタンパク質を活性化してくれるビタミンKも含まれています。ケールのカルシウムは吸収率が良く乳製品以上に効率的にカルシウムを補給できるという見解もありますから、野菜として料理に使ったりケール青汁を取り入れることでカルシウム不足改善の手助けをしてくれるでしょう。骨粗鬆症予防としてはカルシウムの吸収・沈着を助けたり血中カルシウム濃度を一定に保つ働きを持つビタミンDを含む食材と組み合わせるとより効果が期待できます。

ストレス・イライラ対策

カルシウムは骨や歯を丈夫に保つ働き以外に、マグネシウムとバランスを取り合いながら神経伝達を正常に保つ・神経の緊張や興奮を鎮めるなどの働きも担っています。この働きから抗ストレス・精神安定に役立つミネラルとしても注目されており、カルシウムとマグネシウムの適切な摂取はイライラなどを落ち着ける精神安定剤のような役割を果たすという説もあります。日本人の食事としてはカルシウムが不足傾向にあることも指摘されているため、カルシウム補給源としてケールはイライラなどの軽減やストレス耐性を高める働きが期待されています。

また生100gあたり81mgと豊富に含まれているビタミンCも、副腎皮質ホルモンや神経伝達物質の合成に関与することから“ストレスと戦うビタミン”と称される存在。特に副腎皮質ホルモンはストレス下で分泌されることが多いため別名「抗ストレスホルモン」とも呼ばれており、ストレスなどにより分泌量が増えるとビタミンCの消費も激しくなります。原料が足りない場合はストレスに対しての反応が取れにくくなるため、ビタミンCの適切な補給もまたストレス耐性を高めることに繋がると考えられています。

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便秘・むくみ対策

ケールは100gあたり3.7gと食物繊維を多く含む野菜でもあり、便秘の改善をサポートしてくれると考えられています。特にサプリメントや青汁などの健康食品に配合されている濃縮されたものであれば、少量でも食物繊維補給源としてかなり有用でしょう。ケールに含まれている食物繊維は不溶性食物繊維が多いため、便のかさを増やすことで腸を刺激し蠕動運動を促してくれるでしょう。食物繊維以外にビタミンCも便を柔らかく保つ・腸内善玉菌のエサになり善玉菌を活発化させるなどの働きを持つと考えられていますから、合わせてお腹の調子・腸内環境を整える働きも期待できます。

またケールは100gあたり420mgとカリウムも豊富なため、むくみ対策にも取り入れられています。カリウムはナトリウムの排出を促すことで、ナトリウム濃度を保つために保持されていた余剰水分を排出させる=利尿作用を持つとされるミネラル。むくみの原因はナトリウ過多以外にも様々ですが、ケールには血行促進作用が期待できるビタミンEをはじめ、血流を正常に保ってくれる抗酸化物質も豊富に含まれています。複合的にむくみの予防や軽減にアプローチしてくれる可能性がある食材であると言えるでしょう。

貧血予防・妊娠中の栄養補給

ケールはあまりビタミンB群を豊富に含む野菜ではありませんが、葉酸は100gあたり120μgと比較的多く含まれています。葉酸は赤血球の合成に関わることから“造血のビタミン”とも呼ばれ不足すると悪性貧血(巨赤芽性貧血)のリスクが高まることが指摘されているだけではなく、タンパク質や核酸(DNAやRNA)の合成・神経細胞の代謝などに関わることから胎児・赤ちゃんの健全な発育をサポートしてくれる栄養素でもあります。このため妊娠・授乳中の方は一日の推奨摂取量が多く設定されていますし、近年は妊活系サプリメントとしても使われているビタミンですね。

葉酸の補給だけではなく妊娠中に不足しやすいカルシウムの補給に役立つことや、免疫力をサポートしてくれるビタミンCやβ-カロテンを含むこと・便秘の予防に役立つことからもケールは妊娠中の栄養補給源として、また健康維持をサポートしてくれる食材として注目されています。葉酸を含むことから貧血予防に役立つとも言われていますが、日本人に多い貧血は鉄分が不足することで起こる鉄欠乏性貧血。ケールの鉄分含有量は100gあたり0.8mgとさほど多くはありませんので、鉄分補給や貧血予防を第一に食材を選ぶ場合であれば葉酸・鉄分量共にケールよりも多いほうれん草をチョイスした方が効率的ではあります。予防や栄養バランスのサポートとしては十分に役立ってくれますが、ケールも万能野菜ではありませんので過信は避けましょう。

老化予防(抗酸化)

ケールにもアブラナ科の食材の特徴成分とも言える抗酸化物質のイソチオシアネートが含まれています。ブロッコリーの特徴成分として紹介されることも多いイソチオシアネートの一種である含硫化合物“スルフォラファン”もケールに含まれており、嫌われる原因でもあるケールの独特の苦味もイソチオシアネート・スルフォラファンによるものと言われています。イソチオシアネート(スルフォラファン)は高い殺菌作用と活性酸素除去作用を持つことが報告されており、スルフォラファンの抗酸化作用は3日間効果が持続するという特徴もあります。

加えてケールはβ-カロテン・ビタミンC・ビタミンEと抗酸化に関わるビタミン類を豊富に含んでいます。ビタミンA(β-カロテン)・ビタミンC・ビタミンEは働きが異なるため同時に摂取することで相乗効果を発揮する栄養素でもありますし、ケールにはルテインやSOD酵素など抗酸化をサポートしてくれる多様な成分も含まれています。こうした様々な抗酸化物質を補給できることから、ケールは活性酸素による細胞の酸化を抑えて身体を若々しく健康に保つ手助けをしてくれるアンチエイジング食材としても評価されています。

生活習慣病予防

活性酸素は細胞の酸化・劣性を引き起こして老化を進行させるだけではなく、動脈硬化をはじめとする生活習慣病の発症リスクを高める事も指摘されています。LDL(悪玉)コレステロールが活性酸素と結合すると“酸化LDL(過酸化脂質)”と呼ばれる物質に変化し、これを処理したマクロファージの残骸はドロドロした粥状物質となって血管内に蓄積することが認められています。このマクロファージの死骸が積み重なるとプラークとなり、血管を狭めたり柔軟性を損なわせ動脈硬化の原因となると考えられています。

抗酸化物質の補給は酸化LDLの生成を抑制することで、動脈硬化や血栓の発症低下に繋がると考えられています。ケールにはイソチオシアネート(スルフォラファン)などの抗酸化物質だけではなく、コラーゲン生成を促すことで血管を丈夫に保つ手助けをしてくれるビタミンC・ナトリウム排出を促してくれるカリウムも含まれていますので、合わせてコレステロールや血圧が気になる方のサポートとして役立ってくれるでしょう。ケール抽出物を使った実験でも中性脂肪値やコレステロール値の改善が見られたという報告がなされているようです。またⅡ型糖尿病マウスを使った実験では血糖値の低下・アディポネクチンの増加が見られたという報告もなされており、血糖値コントロールによる糖尿病予防効果を持つ可能性も示唆されています。

デトックス・ダイエットサポート

ブロッコリーやケールに含まれているスルフォラファンは肝臓で働くグルタチオン・S・トランスフェラーゼという有害重金属を無害・排出してくれる解毒酵素の生成を促進することで、体内の解毒機能を高める働きが期待されています。またスルフォラファンの構成物質には硫黄が含まれていることから、キレート作用によって水銀や鉛などの有害ミネラルの排出を促す働きもあると考えられます。こうした働きからスルフォラファンはデトックス成分としても注目されています。お酒の摂取前にケールを食べておくと悪酔い予防にもなるという説もありますよ。また解毒機能を高める訳ではありませんが、ケールには食物繊維やカリウムなど老廃物の排出を促してくれる成分も含まれていますからスルフォラファンと相乗して体内を綺麗に保つ働きが期待できるでしょう。

便秘やむくみの軽減からも即時的なサイズダウンが期待できますし、スルフォラファンによる解毒機能向上・デトックス効果は代謝を高めることで太りにくい体質作りをサポートしてくれると考えられます。糖尿病予防として注目されているように血糖値上昇抑制やインスリン抵抗性の改善にも効果が期待できますから、そちらからも肥満予防に繋がる可能性があるでしょう。ケールを食べたり青汁を飲んで痩せる(脂肪が燃焼する)という可能性については微妙なところですが、食事や運動のバランスを考えた健康的なダイエットのサポーターとしては役立ってくれそうですね。

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肌老化予防・美肌保持

ケールにはビタミンCやビタミンE、β-カロテン・ルテインなどの様々な抗酸化作用を持つ成分が含まれています。このため肌細胞の酸化を抑制し、酸化によって引き起こされるシワやシミ・たるみなどの肌老化を予防する働きも期待されています。ビタミンA(β-カロテン)・ビタミンC・ビタミンEは同時期に摂取することで互いの作用時間を延長するなどの相乗効果も期待出来るとして“ビタミンACE(エース)”と称されることもある存在。ケール生100gあたりにはβ-カロテンが29000μg、ビタミンCが81mg、ビタミンEが2.4mgと、どれも一日の推奨摂取量の1/3以上含まれていますから優秀な補給源と言えるでしょう。

抗酸化以外にもβ-カロテン(ビタミンA)の補給は肌のバリア機能向上や乾燥肌予防に、ビタミンEは血行を良くして肌の新陳代謝を良くしてターンオーバーを整える働きも期待できます。ビタミンCもコラーゲン生成促進やシミやソバカスの原因となるメラニン色素を作る酵素(チロシナーゼ)の働きを阻害することによる美白効果が報告されており、美肌保持や紫外線対策として意識的に摂取したい栄養素と言えますね。スルフォラファンにも同様にチロシナーゼ活性抑制作用がある可能性が報告されていますし、ルテインも目だけではなく肌を紫外線などの有害光から保護する働きが期待されています。

そのほか間接的な働きとはなりますが、便秘改善や解毒機能向上・デトックス効果からも吹き出物や肌荒れ予防に繋がる可能性があるでしょう。抗酸化作用と合わせて過酸化脂質の増加が原因で起こる大人ニキビ予防にも効果が期待できます。こうした成分をまとめて摂取できるケールは若々しい肌を保ち、幅広い肌のお悩み軽減をサポートしてくれる美容野菜としても注目されています。ハリウッドセレブ達も取り入れているスーパーフードとして紹介されるのも納得ですね。

不眠改善効果について

ケールはメラトニンを豊富に含む食材として睡眠の質を整える働きも期待されています。メラトニンは必須栄養素ではなくセロトニンから体内合成される脳内ホルモンの一つで、通称“睡眠ホルモン”と呼ばれるように松果体から分泌されると自然な眠気を促す役割があります。ただし人間の体内で作られる夜間メラトニン量と同じレベルを外部補給によって作り出すには50μg程度のメラトニン摂取が必要ではないかとの説が強いものの、ケールのメラトニン含有量は100gあたり4.3μg(4300ng)程度と言われています。

他にもメラトニンを含む食材はありますが概ね含有量は0.1μg以下となりますから食材類の中で含有量が多いことは間違いありませんが、必要量を考えると「体内リズムを整え不眠改善や睡眠の質を高める」とは言い難いところです。メラトニン補給+神経系の興奮を鎮めてくれるカルシウムやマグネシウムの補給によってケールが睡眠改善に役立つ可能性はありますが、謳い文句として言われているような劇的な不眠改善効果・眠剤のような医薬品に準じるような効果を期待するのは避けましょう。

目的別、ケールのおすすめ食べ合わせ

ケールの選び方・食べ方・注意点

ケールは野菜類でもトップクラスと言えるほどビタミンCを多く含んでいますが、ケールに含まれているビタミンCは水溶性かつ熱に弱いという弱点があります。ビタミンC以外にもケールには水溶性の栄養成分が含まれていますから、なるべく生で使うか短めの加熱時間で調理するのがオススメです。

栄養を余すところなく摂取するという面では長々下茹でしたり煮込んだりしないほうが効果的ですが、苦味が気になる場合は少量の塩を入れたお湯で下茹でしてから利用すると風味が和らぎます。ケールは加熱するほど甘みが出る野菜でもありますから、お好みや目的に合わせた料理法で活用してみて下さい。カルシウムやβ-カロテンなどは調理しても失われにくいですし、油と組み合わせて摂取することでβ-カロテンの吸収率もぐんと高まりますよ。

ケールの注意点

ケールにもブロッコリーなどと同様に、ヨウ素の取込みを阻害するゴイトロゲンと呼ばれる物質(チオシアン酸塩など)を含むことが指摘されています。通常量であれば人体に影響はないと言われていますが、大量に食べ続けると甲状腺の機能低下を引き起こす可能性が指摘されています。妊娠中の方・甲状腺系の疾患がある方などは摂取量に注意しましょう。

そのほかシュウ酸カルシウムが多いことから結石ができやすい方、カリウム含有量が高めのことから肝臓疾患のある方も摂取に注意したほうが良いと言われています。ビタミンKも100gあたり210μgと非常に多く含まれていますので抗血液凝固薬を服用中の方も注意したほうが良いでしょう。

美味しいケールの選び方・保存方法

生のケールを選ぶ時は他の葉物野菜と同様に、葉先までしっかりと瑞々しさがあり緑色が濃い物を選ぶようにします。青汁やグリーンスムージーに使うのであれば葉が大きいもの、逆にそのまま食べる場合であれば葉が大き過ぎず柔らかめのものを選ぶようにすると使いやすいでしょう。保存は乾燥しないよう湿らせたキッチンペーパーで包んでからポリ袋などに入れ、冷蔵庫の野菜室へ。あまり日持ちなしないので数日中に食べない場合は固めに茹でてから水気を切り、冷凍したほうが確実です。

参考元:
The Kale Project10 Health Benefits of Kaleメラトニンを多く含む食べ物一覧