ひらたけ(平茸)とその栄養成分や効果効能
|クセがなく低カロリー! ビタミンB群の補給にも…

食べ物辞典:平茸(ひらたけ)

呼び名の通り平たい形状をしている事と、ジューシーで旨味がしっかり感じられることが特徴とされるヒラタケ。日本では平安時代以前から食されてきたキノコですし、温帯域に広く分布しているため世界的に食されているキノコでもあります。クセやキノコっぽい香りが少ないので好き嫌いが少なく、様々な料理に使いやすい食材でもあります。栄養面としてはビタミンB群を多く含むことが特徴で、カロリーも低いことからダイエット中のお食事にも使われていますよ。そんなヒラタケのの歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。

平茸のイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:ヒラタケ
英語:hiratake mashroom/oyster mushroom

ひらたけ(平茸)のプロフイール

ひらたけとは

ヒラタケは味や香りに特別目立った特徴こそないものの、キノコ類の中ではジューシーな食感がありきちんと旨味も感じられる食材。現在は定番のキノコとは言い難い食材となっていますが、実は日本では非常に古くから食されてきたキノコの一つ。また、日本以外に朝鮮半島・中国をはじめ世界中の温帯に広く分布しており、世界で最も一般的に栽培されているキノコ類の一つとも称されることもありますよ。欧米ではその平たい形状が牡蠣に似ているとして“オイスターマッシュルーム(Oyster mushroom)”と呼ばれています。

ひらたけはヒラタケ科ヒラタケ属に分類される食用きのこで、学名はPleurotus ostreatus同属種には白っぽい色をしたウスヒラタケ(薄平茸)・ピンク色をしたトキイロヒラタケ(朱鷺色平茸)などが知られている他、ヒラタケとは付きませんがエリンギもヒラタケ属に分類されている仲間です。現在の日本では同属であるエリンギをはじめエノキタケブナシメジなどからするとややマイナーな存在となっています。これは生の状態だと日持ちが悪かったことなどから平成に入った頃からブナシメジと生産量が逆転し、そのまま減少傾向にあるためだとか。

天然物であれば梅雨時期から初秋にかけて採取されるのがウスイヒラタケ、晩秋から春が旬なのがヒラタケと別れています。特に寒い時期に採れたものは地域によって“寒茸(カンタケ)”と呼ばれることもあります。ただし他のキノコ類と同様に、ひらたけも現在流通しているものの多くは菌床栽培によって生産されています。ちなみに最近スーパーなどでよく見かける“霜降りひらたけ”というのは、ホクト株式会社さんが日本のひらたけと欧米のヒラタケ(エリンギなど)を交配して開発した新品種のキノコ。呼び名の通り霜降り状の濃淡があることが特徴で、一般的なヒラタケよりも肉厚で型崩れしにくいことも評価されていますね。

ひらたけの外見としては軸が細め・カサがやや歪なエリンギのようなキノコを連想される方が多いのではないでしょうか。こうしたひらたけは比較的早い時点で収穫・出荷されたもので、成長が進むと傘がどんどん開いていき波打つように変形するものもあります。色も若いうちは濃ブラウンですが成長とともにモカ~灰色へと淡い色に変化していきます。また天然物は軸を伸ばしてまっすぐに生えるものでもなく、立ち木に発生したものは木と密着するように扁平なものが多数重なり合って群生します。この場合外見は舞茸に近く、木にフリルが付いたようにも見えますね。毒キノコのツキヨタケとも非常によく似ているのため、きのこ狩りによる誤食・中毒も少なくないそうです。

と言っても近年は菌活ブームの影響や、様々な料理に使いやすい“霜降りひらたけ”の登場などで献立に加えてみたという方も増えています。日本だと炊き込みご飯やお味噌汁・醤油ベースの炒めものなど和食に使うイメージが強いですが、欧米ではソテーやスープの具などにも平茸が利用されています。オイスターソースなど中華風の味付けや、ハーブと組み合わせてバターソテーにする・シチューに入れるなど洋風レシピとの相性も良いので活用してみて下さい。ヴィーガンの方にも人気があるキノコの一つだそうで、イカや貝などの代用品感覚で使われることもあるようですよ。

ひらたけの歴史

ハッキリとした年代は分かりませんが、ひらたけも他の食用きのこ類と同じく日本人では古代から食べられてきたと考えられています。ひらたけについて記された文献としては平安時代に記された『今昔物語集』が知られています。この中では“藤原陳忠が馬に乗ったまま谷に落ちた際に大量の平茸を発見し、部下に自分よりも先に平茸を引き上げさせた”という話と“金峯山の僧が別当になることを企んだ僧が、別当に毒キノコ(和太利)を食べさせるために平茸と偽って供した”という話の二つが収録されています。どちらの物語からも当時ひらたけが美味しいキノコであることが知られており、重宝されていた食材であったことが伺えますね。

鎌倉時代初期に成立したとされる『宇治拾遺物語』の中にも丹波の国篠村に毎年大量に平茸が生えたというお話があります。国篠村の人々は毎年平茸を採って食べ、食べ切れない分は人に贈っていたそう。しかしある年に村人達の夢に数十人の法師が現れ「長年この村に仕えていたが縁が薄れ他所に移ることになった」と別れの挨拶をします。この夢を見た後は秋になっても山にひたらけが生えなくなり、説法の名人に相談すると「不浄の身で説法した法師は平茸に生まれ変わることがある」と言ったとか。また同じく鎌倉時代になって記された『平家物語』でも都に上洛した木曾義仲を猫間中納言(藤原光隆)が訪ねた際に、木曾義仲が「無塩あり、平茸あり」と言って無理やり平茸の汁物を振る舞うシーンがあります。

これは木曽義仲を礼儀知らずの田舎者振りを描いた滑稽譚だとか。鎌倉時代の書物はどちらもひらたけが悪者のように扱われており、その意図するものについては諸説あります。当時はまた貴重でなかった松茸よりもひらたけの方が人気があったのではないかという見解もありますから、高級品=強欲のようなイメージで使われたのかもしれませんし、逆に戦国時代以後には松茸のほうが重宝されるようになるため遷移時期であったのかもしれませんね。と言っても江戸時代に記された『料理物語』や『和漢精進料理抄』などにも平茸の料理法が記載されていますから、ポピュラーな食用キノコの一つであったことは間違いないでしょう。江戸時代のうちには原木栽培も行われていたのではないかと言われています。

ひらたけ(平茸)の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ヒラタケは100gあたり20kcalとカロリーが低く、ビタミン類の中ではビタミンB群を多く含んでいます。特にビタミンB1とパントテン酸含有量はキノコ類の中でもトップクラスで、ビタミンB2やナイアシンも比較的多い部類です。反面ミネラル類はあまり豊富とは言えず、食物繊維量もキノコ類の中では少ない部類に入ります。

平茸イメージ

ひらたけの効果効能、その根拠・理由とは?

疲労回復・ストレス軽減

ヒラタケはビタミン類の中でビタミンB群を比較的多く含む食材で、特に生100gあたりビタミンB1が0.40mgとキノコ類トップと言えるほど多く含まれています。ビタミンB1は別名チアミンやサイアミンとも呼ばれる水溶性ビタミンで、炭水化物を体を動かすエネルギーへと変換する際に必要な補酵素(チアミンピロリン酸)の原料となります。このため糖代謝を活発にすことで活動するためのエネルギーを作り出すサポートに役立つと考えられているほか、疲労や筋肉痛の原因と考えられる乳酸の元となる物質(焦性ブドウ糖)の蓄積抑制・乳酸の代謝を高めることで疲労回復を促す働きも期待されています。

またビタミンB1の補給は、糖を栄養源として活動する脳機能の保持にも関係しています。中枢神経・末梢神経の働きを正常に保つことでストレスへの抵抗力を高めたり、脳の疲労を軽減する働きも期待できるでしょう。ヒラタケには三大栄養素のエネルギー代謝に関わり、不足すると不安や抑うつなど精神面での不安定さ・神経障害の原因となることが指摘されているナイアシンも100gあたり10.7mgと豊富に含まれています。抗ストレスホルモン(副腎皮質ホルモン)の分泌に関わるパントテン酸の含有量も多いため、合わせて精神的な疲労感やストレス軽減にも役立ってくれるでしょう。

二日酔い対策

ヒラタケに多く含まれているビタミンB1は糖質をエネルギーに変える以外に、アルコール分解時に利用されるビタミンの一つでもあります。お酒を飲むほどビタミンB1の消費が激しくなることが認められており、飲んだ翌日の疲労感はビタミンB1不足によるものとする説もあるほど。またアルコールはビタミンB1の吸収を悪くしたり排出を早めてしまうことも指摘されており、アルコール依存症から起こるウェルニッケ脳症の原因としてもビタミンB1欠乏症が挙げられています。

ヒラタケはお酒をよく飲む方は意識的に摂取したいビタミンB1が多く含まれていますし、アルコール脱水素酵素やアセトアルデヒド脱水素酵素の働きを助けてくれるナイアシンも豊富な食材。ナイアシンも同様にアルコールを摂取するほど消費量が増え、不足した場合はアルコールの分解途中で生じるアセトアルデヒドの分解が滞ることで二日酔いの不快症状を引き起こしやすくなると考えられています。そのほかアルコール摂取に伴って不足しやすいカリウムなども含まれていますから、お酒を飲む前にヒラタケを食べると二日酔い対策・軽減に繋がる可能性があります。

便秘・むくみ予防

ヒラタケも他のキノコ類と同様に、低カロリーで食物繊維を豊富に含む食材として注目されています。ヒラタケに含まれている食物繊維は大半が不溶性食物繊維が占めており、多糖類の一種であるβ-グルカンが多く含まれていることから便通を整えたり腸内の老廃物の排出を促す働きが期待されています。と言ってもヒラタケ100gあたりの食物繊維量は2.6gとキノコ類全体として見ると少なめの部類。補給源としては十分に役立つ含有量ですが、ヒラタケが特に秀でているというわけではありません。

また、同じヒラタケ属であるエリンギよりはやや劣るものの、ヒラタケにはカリウムも生100gあたり340mgと比較的多く含まれています。カリウムはナトリウムとバランスを取り合う形で細胞の浸透圧を調整している電解質で、余分なナトリウムの排出を促す働きがあることからむくみ軽減をサポートしてくれるミネラルとして取り入れられている栄養素。血管拡張作用を持ち血液循環を整える働きが期待されているナイアシンもヒラタケには多く含まれていますから、合わせてむくみ予防・軽減にも効果が期待できるでしょう。

貧血予防・妊娠中の栄養補給

ヒラタケは貧血気味の方や妊娠中の方の栄養補給に適したキノコとして紹介される事もあります。これは生100gあたり92μgと葉酸がキノコ類の中でも多く含まれていること、鉄分含有量も0.7mgと比較的多いため。特に豊富に含まれている葉酸は赤血球の合成に必要なことから“造血のビタミン”とも呼ばれる栄養素で、不足すると悪性貧血(巨赤芽性貧血)のリスクが高まることが指摘されています。そのほか葉酸はタンパク質や核酸(DNAやRNA)の合成・神経細胞の代謝などにも関わる存在で、赤ちゃんの健全な発育にも不可欠な栄養素。妊娠・授乳中の方は一日の推奨摂取量が多く設定されていますし、妊活系サプリメントにも高確率で配合されていますね。

葉酸の補給というと緑黄色野菜をイメージされる方も少なくありませんが、ヒラタケは緑黄色野菜と肩を並べられるほど葉酸が豊富。様々な料理にもアレンジしやすい食材ですので、レシピに組み込むことで葉酸補給源の一つとして活躍してくれそうですね。鉄分も単体で十分な補給とは言えないものの、通常の食生活で不足している分のサポートとしては役立ってくれるでしょう。ただし日本人に多い貧血とされるのは鉄分が不足することで起こる鉄欠乏性貧血のため、貧血気味・鉄分をしっかりと摂取したい場合には過信しないようにしましょう。

免疫力アップ・風邪予防

ヒラタケなどキノコ類に含まれている多糖類のβ-グルカンには免疫細胞の活性化・免疫の関連物質であるインターフェロンの生成を促す作用がみられたことが報告されています。この働きから風邪やインフルエンザなどの感染症予防としてキノコ類が注目されていますし、がん細胞の増殖を抑える可能性があるとして研究も行われているほど。ヒラタケには皮膚や粘膜を健康な状態に保ってくれるビタミンB群も多く含まれていますから、複合して免疫力向上効果が期待されています。

加えてヒラタケはビタミンDを含む食材としても免疫力のサポートが期待されています。ビタミンDは免疫バランスを調節する役割を持つ可能性が高いことも報告されている栄養素。東京慈恵会医科大ら国際共同研究チームからはビタミンD欠乏を改善することでインフルエンザ発症率が減少することが報告されており、世界的にもインフルエンザやアレルギー疾患発症との関係が研究されています。ビタミンDは日光を浴びるとヒトの体内でも合成される成分ですが、近年は日光を浴びる機会が少ない・紫外線を極度に避ける方が増えたことでビタミンD合成が不十分であることが指摘されています。このためビタミンDの経口摂取は免疫力向上によるインフルエンザ予防やアレルギー軽減に繋がるのではないかと考えられています。

生活習慣病予防

ヒラタケに含まれているβ-グルカンはコレステロールを吸収することで体外への排出を助ける働きも期待されています。ラットを使った実験ではヒラタケの摂取で血漿中および肝臓コレステロール値の低減が見られたことも報告されており、血小板凝集抑制作用や高い抗酸化作用を持つとする説もあります。ヒラタケにはβ-グルカン以外にも悪玉コレステロールや中性脂肪低下作用によって動脈硬化や高脂血症予防効果が期待されているナイアシン、ナトリウムを排出させることで血圧上昇を抑えるカリウムも含まれています。過酸化脂質の分解を促してくれるビタミンB2も生100gあたり0.4mg舞茸に次いできのこ類では多く含まれていますから、合わせて生活習慣病予防をサポートしてくれるでしょう。

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ダイエットのサポートに

ヒラタケは生100gあたり20kcalと低カロリーで、脂質・糖質の含有量も低いことからダイエット中のお食事にも適した食材と言えます。カロリーが低いだけではなく糖質・脂質・タンパク質の代謝に必要な酵素(酸化還元酵素、脱水素酵素)の補酵素として働くナイアシンやパントテン酸、糖代謝に関わるビタミンB1など代謝に関わるビタミンB群が多く含まれていることもポイントと言えます。代謝が活発に行われると余剰分が脂質として蓄えられにくくなる=太りにくくなることに繋がると考えられます。

食物繊維やカリウムの補給源として、老廃物の排出を促してくれることもダイエットのサポーターとして心強いですね。ヒラタケのレクチンは食欲抑制作用作用を持つ可能性があるという報告もなされていることから、ダイエット食材としても注目されているようです。ただしヒラタケは様々な栄養素をバランスよく含んでいるという訳ではありませんので、ヒラタケを大量に食べるなど偏った摂取は避けバランスの良い食事を心がけるようにして下さい。不溶性食物繊維が多いので食べ過ぎは腹痛や下痢・便秘の悪化を起こす可能性もあります。

肌荒れ予防・美肌保持

ビタミンB群はエネルギー代謝と関わりが深い栄養素であると同時に、皮膚の健康維持や新陳代謝を助けてくれる存在でもあります。特にビタミンB2は成長促進やタンパク質の再合成に必要なことから“発育のビタミン”や“美肌のビタミン”と称される存在で、不足症状としては肌荒れ・脂漏性皮膚炎・口内炎・口角炎・爪が割れるなどが挙げられています。過酸化脂質を分解・除去する働きもありますから、若々しく綺麗な肌を保つためには不足なく補っておきたいビタミンの一つと言えるでしょう。

そのほかナイアシンも代謝をサポートして皮膚や粘膜の保持やニキビ予防、毛細血管を広げることで肌へ酸素や栄養素の補給を助けるなどの働きが期待されています。パントテン酸もビタミンCの働きを補助することで肌や髪の健康を維持し、抗酸化やコラーゲン生成促進など肌のアンチエイジングにも役立つと考えられています。ヒラタケにはビタミンCはほとんど含まれていませんから、ビタミンCが豊富な食材と組み合わせて摂取すると相乗効果が期待できそうですね。

目的別、ひらたけのおすすめ食べ合わせ

ひらたけ(平茸)の選び方・食べ方・注意点

ヒラタケは生状態であれば他のきのこ類よりも痛みが早いという難点があります。形状やカサの色などは育て方・どの時点で出荷するかにより異なりますが、カサや軸にしっかりとハリがあるものを選ぶようにしましょう。カサは肉厚のものを選ぶようにしたほうが、旨みや食感が強く感じられると言われています。カサ部分に艶やハリがなく萎びたように見えるもの、変色しているようなものは避けるようにしましょう。

日持ちのしない食材のため購入後はなるべく早く食べ切るようにしましょう。冷蔵庫に入れる場合は乾燥と水気両方を避ける必要があるため買ってきたパック・袋に入ったままの状態で入れるか、ラップでしっかりと包んで冷蔵庫に入れるようにします。冷蔵庫に入れた場合でも日持ちは2日程度、それ以上使わない場合は冷凍保存した方が確実です。

ヒラタケはキノコ類の中でも水分量が多く解凍時に水分と旨みが出てしまうため、冷凍ヒラタケを使う場合は冷凍したまま投入できる汁物・煮物などに使うのがオススメです。また生の状態で使う場合でも長時間加熱していると水分が出てベチャベチャした食感になってしまうため、炒めものなどに使う場合は強めの火力で手早く加熱すると美味しく頂けます。

ひらたけ(平茸)の雑学色々

ひらたけの形について

ひらたけは菌床栽培(びん栽培)を行うと株立ち状になり、若い状態であればカサが小さく半球状の“しめじ型”になります。この特性からかつて栽培ひらたけが「しめじ」として流通していたこともあります。現在は袋栽培などで野生種に近い形にカサを大きく成長させひらたけとして流通していますが、長野県産の“信州しめじ”などその名残を留めている呼び名もあるようです。

ちなみに「しめじ」という呼び名は本来ホンシメジを指すという見解が主流ですが、定義がはっきりとしておらず同科同属であるブナジメジをはじめとするシメジ類や他のキノコの名前に使われるようになったそう。しめじ(ホンシメジ)は「香り松茸、味しめじ」とも味の良さが表現されていた食材ですから、魚で言うところの〇〇鯛のような感覚もあったのかもしれませんね。

ウスヒラタケについて

ウスヒラタケはヒラタケの近縁種として紹介されることが多い食材ですが、その食味や栄養価にはヒラタケと若干の違いがあります。呼び名の通りヒラタケよりもやや薄く、カサは白から薄褐色と淡めの色であることが特徴とされています。ただしカサの色は成長に伴って濃くなっていくので、馴染みのない方であればヒラタケかウスヒラタケか区別がつきにくいこともあるようです。また似た形状や色の白さからウスイロヒラタケとアワビタケは混同されていることもありますが、アワビタケは学名Pleurotus eryngii var. tuoliensisとされるエリンギに近い種類シコシコとした食感が特徴とされるアワビ茸に対して、ウスイロヒラタケはヒラタケよりも柔らかめの食感が特徴とされています。

栄養価の面ではウスヒラタケは100gあたりのカロリーは23kcalとヒラタケよりも若干高めで、ビタミンDが100gあたり2.4μg・食物繊維が3.8gとヒラタケよりもかなり多く含まれていることが特徴的。そのほかビオチンやビタミンB6もヒラタケよりもかなり多く含まれていますが、逆にカリウムやビタミンB1・ナイアシンなどウスヒラタケの方が劣る栄養素もあります。と言ってもウスヒラタケはスーパーなど量販店での流通が非常に少ないキノコのため、ブナシメジとエリンギなどように栄養価でどちらを使おうかと迷うことは無いでしょう。天然物であればヒラタケとウスヒラタケの収穫時期も異なっていますから、入手できたら美味しく頂いてあげて下さい。

参考元:きのこの栄養・健康成分(きのこ百科)ヒラタケ(きのこナビ)