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【韮】ニラの栄養・効果

ニラ(韮)イメージ

ニラとは

餃子やレバニラ・ニラ玉など、スタミナ食材としてお馴染みのニラ。名前に“ニラ”を付ける料理名が多い割には主役というより引き立て役のような地味な印象のニラですが、独特の香りから薬味にもなりますし、香気が強い野菜の中では比較的好き嫌いが少なくお子さんにも受け入れられやすい存在です。調理法も和食もしくは中華料理やナムルなどアジアンテイストな印象がありますが、ハンバーグやオムレツ・パスタなどにも使うことが出来ます。

ニラはヒガンバナ科ネギ属の多年草で、植物の分類上はネギと近い存在です。地域によっては「ニラネギ」「乞食根深(※根深はネギの別名)」などネギの仲間であることがわかる呼び名もありますね。ニラが「二文字(ふたもじ)」と呼ばれるのも、葱(き)が一文字に対して韮(ニラ)が二文字なのが由来なのだとか。ネギが冬の野菜であるのに対し、ニラは夏というイメージのある方も多いかと思います。しかしニラの旬は春、伸びた葉がまだ柔らかい頃が最も美味しいと言われています。夏にニラという印象が強いのは真夏でも収穫できること・栄養価が高く胃腸の働きを助ける硫化アリル(アリシン)が入っていて夏バテ対策に良いなどの理由からのようです。

ニラに大きく葉ニラ・黄ニラ・花ニラの3つに分けられ、最も一般的に食されているのは緑色の「葉ニラ」です。黄ニラは品種的には葉ニラと同じですが、軟白栽培によって作られています。別名“ニラもやし”とも呼ばれており、柔らかさや甘さが強い・臭みが少ない・生食できることが特徴です。花ニラ(韮菜花)は中華料理でよく使われており、名前の通りニラの花茎とその先に付く蕾部分を食用とします。葉ニラ品種でも食べることは出来るようですが、現在は花ニラ専用の品種も開発されています。和名でハナニラと呼ばれる園芸植物イフェイオン(Ipheion uniflorum)はハナニラ属に属する別種で、外見も良く似ていますので家庭菜園などを作られている方は注意してください。

ニラは寒さや暑さに強く、同じ株から何度も収穫できるうえひとつの株で年に数回収穫できるという生命力が強く栽培しやすい野菜です。そのため国内では北海道から沖縄まで全国的に栽培されていますし、中国・韓国を始めとしたアジア地域でも親しまれている食材です。アジアでは定番の野菜である反面、独特の香りや食感から欧米では好まれていない存在と言われています。ですが最近は欧米でも和食の1つとしてラーメン&餃子が人気のようですし、ニラを使ったアジア料理も広く受け入れられていますから今後は変わってくるかもしれませんね。

ニラの歴史

ニラの原種と言える存在は東アジア、中国北部~モンゴル辺りに自生していたと考えられています。中国や東南アジアでは3000年前、遅くとも紀元前のうちに栽培が行われていたようです。また2000年以上昔(前漢時代)に編纂され、現存する中国最古の医学書と呼ばれている『黄帝内経』の『素問』にも“野菜の中で最も体を温める作用が強く、人体を益する。”と記されているため、薬効も古くから認められていたと考えられます。

日本にニラが渡来したのは弥生時代頃という説が有力で、『古事記』には“賀美良(かみら)”、『万葉集』では“茎韮(くくみら)”、『正倉院文書』には“彌良(みら)”としてニラの記述が見られますから、奈良時代にはニラは知られた存在であったと考えられます。平安時代に編纂された日本最古本草書(薬物事典)『本草和名』には和名は古美良(こみらと書かれており奈良~平安初期までニラは“みら”と呼ばれていましたが、平安時代後期頃に「にら」という呼び方に転訛し、時代とともにこちらの呼び方のほうが主流となっていったようです。また平安中後期頃からはニラの栽培も行われるようになっていきます。
ちなみに当時のニラは食べ物(野菜)というよりは薬草・薬用食材という位置付けで、食べる場合も薬膳として粥に入れるなどするのが一般的だったようです。一方で香りが強いこと・精がつくことから仏教・精進料理ではニンニクなどと並んで“禁葷食(五葷)”の1つとして食べることを避けるべき野菜ともされていました。ちなみにインドの伝統医学アーユルヴェーダでも同じような理由から、ニラやニンニクなどのネギ類は避けるべき食材とされているそうです。

中国では明時代に記された薬物書『本草綱目』には“根・葉を煮て食べると胃腸を温める、降気・補虚・益腸作用があり、臓腑を調和して食を良くして腹中の冷痛を止める”などの薬効が書かれていますし、食べ過ぎると頭がすっきりしない・目が悪くなる・目やにが増える・冬に食べ過ぎると持病が再発するなどのデメリット、夏は臭みが出るという旬の時期についての解説や食べ合わせについてなどかなり細かい情報が書かれています。
日本でも江戸時代にはニラの本格的な栽培が行われるようになりますし、腹痛や下痢の治療薬としてニラを雑炊やお味噌汁に加えて食べていたそう。ちなみに戦国時代の武将である石田三成が最後に食べた食事が“ニラ雑炊”という逸話も知られていますが、これも捕らえられた石田三成が腹の調子が悪いと言って所望したと伝えられています。

野菜としてニラの栽培が行われるようになったのは明治時代。北海道や東北などの寒い地方では体が温まり精力がつく野菜として食べられることもありましたが、全国的に見るとニラの独特の強い香りが好まれず普及はしませんでした。ニラの消費急増は第二次世界大戦後に食が多様化し中華料理、中でも餃子が普及したことが大きく関わってきます。餃子が外食・家庭料理として定着することで日本人がニラの臭みに慣れ、レバニラ・焼肉やもつ鍋など様々なニラ料理が親しまれるようになったと考えられてます。

ニラはこんな方にオススメ

  • 疲労回復・体力増強
  • 食欲不振・消化不良改善
  • 慢性疲労感・倦怠感軽減
  • 老化・生活習慣病予防
  • ドロドロ血液が気になる
  • 血糖値・血圧が高めの方
  • 免疫力を高めたい方
  • 風邪・インフルエンザ予防に
  • 便秘改善・デトックス
  • 貧血の予防や緩和に
  • 妊娠中・授乳中の栄養源に
  • 血行不良によるコリや痛みに
  • 冷え性・代謝が悪い方に
  • ストレスが多い・不眠気味
  • イライラ・集中低下
  • やる気が出ない方
  • 肌のアンチエイジングに
  • 乾燥・肌荒れしやすい方

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ニラの主な栄養・期待される効果(前半)

ニラはβ-カロテン・ビタミンCなどのビタミン類、カルシウム・リン・鉄などのミネラルも多く含んでいます。特にカリウムや骨の健康維持に役立つビタミンK、造血作用のある葉酸やクロロフィルなども含まれていますから、女性が抱えがちな不調の予防にも役立つと考えられています。100gあたりのカロリーは21kcalと低く、食物繊維が豊富で腹持ちも良いのでダイエット中などにも役立ってくれるでしょう。

疲労回復・スタミナ強壮

ニラは独特の臭いがあるため嫌われることもありますが、この臭いの元はネギ・玉ねぎと同じ硫化アリル(アリシン)という様々な健康メリットが期待されている成分です。アリシンはビタミンB1と結合して「アリチアミン」という物質になります。アリシンはビタミンB1の吸収促進・ビタミンB1の持続時間を長くする働きがあると言われていますが、これはアリチアミンにビタミンB1と同様の働きを持ちつつ持続時間が長い性質があるためです。

ビタミンB1は糖質(炭水化物)のエネルギー代謝を助ける働きをしていますので、ビタミンB1吸収促進や維持によってエネルギー生成が活発化=疲労回復に効果を発揮してくれるでしょう。ビタミンB1の不足は慢性疲労感・だるさ・むくみ・手足のしびれなどの肉体面、イライラ・情緒不安定など精神面両方の不調を引き起こすとされている反面、サプリメントなどで過剰摂取してしまうと頭痛や痒みなど副作用を起こす可能性があります。ニラなどアリシンが含まれている食材とビタミンB1の含まれている食材を合わせて摂取することで、程よく必要な量のビタミンB1を摂取できますし、疲労回復や肉体の強壮、だるさ・イライラの緩和など様々な効果が期待出来ます。

アリシンはビタミンB1の働きをサポートするほか、香りを嗅ぐことで唾液や胃液などの消化液分泌を促す作用もあります。この働きで胃腸機能が活発化することで、食欲増進・消化促進にも効果が期待されています。ニラ自体が栄養価の高い野菜でもありますから、体に必要な栄養をしっかりと摂取できるようになるという点でもニラは役立ってくれるでしょう。
ニラにもビタミンB1は含まれているものの多くはありませんので、豚肉やレバーなどと組み合わせて摂取した方が効率的です。レバニラはまさにスタミナ定食の定番ですね。植物性食品であれば松の実ゴマなどの種実類・大豆・舞茸などもビタミンB1を多く含んでいます。

老化・生活習慣病予防

ニラの香気成分アリシンには強力な抗酸化作用があることも注目されています。またニラは緑黄色野菜ですから抗酸化作用を持つビタミンであるβ-カロテン含有量も100gあたり3500μgと非常に多く含んでいますし、同じく抗酸化作用を持つビタミンEも2.5mgと豊富に含まれています。活性酸素は細胞を酸化させることで老化や様々な病気の発症リスクを高めると考えられています。このためニラは健康維持に役立つと考えられていますし、高い抗酸化作用からがん予防効果も期待されているようです。

ストレスなどによって過剰に発生した活性酸素は体内でコレステロール(LDL)を酸化させ、酸化LDLが血管内に付着し血管を狭めることで血栓・動脈硬化などのリスクが高くなります。アリシンやβ-カロテンなどの抗酸化物質は酸化LDLの発生を抑制してくれますし、アリシンは血液凝固を抑制する働きもありますので、ニラは動脈硬化や心筋梗塞・脳梗塞予防に役立つと考えられています。
またリシンはビタミンB1と結合して働くことで糖代謝を促進し血糖値の上昇を抑制する働きもあり、糖尿病予防にも効果が期待されています。ニラにはナトリウム過剰による高血圧を予防するカリウムも生100gあたり510mgと豊富に含まれていますから、循環系疾患や糖尿病予防にも役立ってくれるでしょう。

風邪・インフルエンザ予防

ニラには抗酸化作用を持つビタミン類やアリシンが含まれており、酸化によって引き起こされる免疫力低下を予防する働きがあると考えられています。アリシンはビタミンB1と結合して糖代謝を促してくれますし、ニラにはタンパク質や脂質の代謝をサポートするビタミンB2,B6や補酵素として代謝をサポートしてくれるマグネシウムなどのミネラルも含まれています。血液循環を整える働きと合わせて体を温めることからも免疫力向上に繋がると考えられますね。

よち直接的な働きとして、ニラに多く含まれているβ-カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換されることで、喉や鼻などの粘膜を保護しウィルスの侵入を防ぐ働きもあります。アリシンにも強い殺菌作用が認められており、ウイルスや細菌から体を守ってくれると考えられています。抗酸化作用や血行促進による免疫力向上効果と合わせて、風邪やインフルエンザなどの予防にも役立ってくれるでしょう。

便秘の改善・整腸

昔は「子どもが間違ってクギを飲んだら。ニラを食べさせる」という言葉や、強靭な食物繊維の働きによって大腸を活性化し便通を促すことから“食べる下剤”とも呼ばれていたニラ。食物繊維含有量は100gあたり2.7gと野菜の中では比較的多く部類に入るくらいですが、特にニラには不溶性食物繊維が多く(100gあたり2.2g)含まれています。不溶性食物繊維は腸の蠕動運動を促して便通を促進する働きがあります。
加えて緑色の色素成分でもあるクロロフィル(葉緑素)にも胃腸の中に付着した老廃物を吸着し排出されるデトックス効果が期待されています。これはクロロフィルは食物繊維よりも分子が小さいため、小腸の絨毛などより細かな部分まで綺麗に掃除してくれると考えられているため。ニラには便を柔らかくするビタミンCやマグネシウムも含まれていますので便通改善に役立ってくれるでしょう。便が固くなりやすい方はニラを食べた後こまめに水分補給を行うようにしてください。

ニラは食べる下剤だけではなく「食べる整腸剤」とも言われていた存在。これは単に便秘改善に良いというだけではなく、アリシンによる消化液の分泌促進・胃腸活発化作用・ビタミンB1の働きを助けて代謝を高める働き・抗酸化物質類による血流改善作用体を温めることなどが総合的に評価されたためと考えられます。またニラなどネギ属の食材は消化器保護作用を持っているという報告もなされています。ただし不溶性食物繊維は摂取量によっては下痢を起こす可能性がありますので、下痢をしている時にニラを利用するのであれば煮汁などを飲み本体(葉)は食べないようにした方が無難です。

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投稿日:2014/07/24 (更新)
by SlowBeauty