つるむらさき(蔓紫)の栄養成分や効果効能
|夏サポートやカルシウム補給に役立つ健康野菜

つるむらさき(蔓紫)イメージ

つるむらさき(蔓紫)とは

近年スーパーや八百屋さんでも見かける機会が増えてきたツルムラサキ。ゴーヤーやノビルなどと共に沖縄の島野菜の一つ“地紅(ジービン/ジュビン)”としてご存知の方もいらっしゃるかも知れません。まだ全国的にメジャー・家庭料理でよく使われる野菜とは言い難いツルムラサキですが、野菜好きな方や、健康意識の高い方を中心に注目が高まっています。ほうれんそうよりも優れた栄養価を持つ食材であると紹介されたこと、健康維持に役立つとされるネバネバ食材であることも大きいでしょう。

ツルムラサキは植物としてはツルムラサキ科ツルムラサキ属に分類されています。外見・風味が似ており栄養価の比較対象として引き合いに出されるホウレンソウとは全くの別物ですね。“つるむらさき(蔓紫)”という名前から日本にあった食べられる野草の一つのようにも思われがちですが、原産は東南アジアとされています。とは言えホウレンソウっぽいと感じるのは万国共通なのか、英語ではIndian spinach(インディアン・スピナッチ/インドホウレンソウ)もしくはCeylon spinach(セイロン・スピナッチ/セイロンホウレンソウ)などと呼ばれています。中国では木耳菜・広東語で潺菜、蔓が紫色のものは臙脂菜とも呼ばれているそう。

呼び名から蔓(茎)が紫色をしているようなイメージがありますが、茎の色については品種次第。つるむらさきという和名は、葉のつけ根に紫の実をつけることが由来と言われています。ツルムラサキの品種は蔓や葉が紫がかった“赤茎種”と、茎が緑色でしっかりとした“緑茎種”の二系統に大きく分けられます。茎が紫色のもののほうが原種に近いと言われていますが、食用として国内で流通しているのは食味の良い緑茎系品種が主流だとか。葉、茎、花軸とほぼ全体が食べられるものの、通常食用とされるのは15cm程度の若い茎と葉部分です。

沖縄県・温かい地域の野菜というイメージもありますが、ツルムラサキの栽培は福島・宮城・山形など東北でも行なわれており、この3県で全国収穫量の半分以上を生産しています。そのほか徳島県や埼玉県などでも栽培されていますし、ハウス栽培も盛んなので全国的にほぼ通年手に入る食材と言えそうですね。露地栽培では6~8月が旬の夏野菜。栄養価の高さも勿論ですが、夏場にあまり採れない葉物野菜であることも評価されています。

食べ方としてはおひたしにしたり、味噌汁やジューシーの具材もしくは薬味感覚で使われているそう。日本では和え物や炒めものなど比較的あっさりめのレシピに使われることが多いですが、海外ではペーストにしてカレーにしたり、クリームソースで煮込まれたりもされているようです。独特の少し青臭いような風味があり、肉厚で加熱するとモロヘイヤに似たぬめり(粘り気)が出ますが、風味のイメージとしてはほうれんそうに近いので活用幅は広そうですね。独特の風味や食感から好き嫌いは分かれるものの、ハマってしまう方も少ないないそうですよ。

つるむらさき(蔓紫)に含まれる栄養や成分に期待できる働き・巷で言われる効果効能の理由とは?

ツルムラサキは全体重量の約95%が水分で、3大栄養素はあまり含まれていません。そのため生100gあたりのカロリーは13kcalと、風味が似通っていることから引き合いに出されるモロヘイヤほうれんそうよりも更に低くなっています。低カロリーで糖質や脂質含有量も少ないため、ダイエット中の方にも適した食材と言えるでしょう。

ツルムラサキはこんな方にオススメ

  • 栄養バランスが気になる方
  • 胃腸の調子が良くない方
  • 夏バテの予防・解消サポートに
  • 便秘・むくみやすい方
  • 腸内環境を整えたい方
  • カルシウム不足が気になる
  • 骨粗鬆症を予防したい方
  • 活性酸素が気になる
  • 若々しさを保ちたい方
  • 生活習慣病の予防サポートに
  • ストレス耐性を高めたい
  • イライラしやすいと感じている
  • 免疫力を高めたい方
  • 風邪・インフルエンザ予防に
  • 疲れ目・ドライアイ予防に
  • 肌のアンチエイジングに
  • 肌の乾燥や肌荒れが気になる
  • 内側からの紫外線対策に

下記ではこうしたお悩みがある方にツルムラサキが良いとされる理由について詳しくご紹介します。ホウレンソウよりも優れた栄養価であると言われていますが、栄養成分によってホウレンソウのほうが勝っているもの・ツルムラサキのほうが含有量が多いものがありますよ。

栄養補給・胃腸サポート

成分によりバラツキがありますが、ツルムラサキはビタミン・ミネラル類を広く含む食材です。特にビタミン類ではビタミンCとβ-カロテン、ミネラル類ではマグネシウムとカルシウムを多く含んでいます。特にカルシウム・ビタミンC・ビタミンK含有量はほうれんそうを上回ることもあり、効率の良い補給源として注目されています。

加えてツルムラサキには「モロヘイヤのような」と例えられる独特のぬめりがあります。このネバネバ感はモロヘイヤオクラなどと同じく、ムチン(ムチン型糖タンパク質)と呼ばれる成分によるもの。ムチンは私達人間の体内にも存在しており、粘膜を保持したりその働きを高める役割があります。ツルムラサキのネバネバ成分であるムチン型糖タンパク質は私達の体内にあるムチンとは別物ですが、ムチンをサポートする働きが期待されており、強酸性である胃酸から胃粘膜を守る胃腸粘膜保護作用が期待されています。

またムチン型糖タンパク質にはタンパク質分解酵素が含まれているため、同時に摂取したタンパク質の分解を促し吸収をサポートする働きもあると考えられています。多くはありませんがツルムラサキには3大栄養素の代謝に関わるビタミンB群も含まれていますし、生100gあたり67mgと豊富に含まれているマグネシウムも各酵素を活性化させることで消化や代謝をサポートしてくれるでしょう。豊富な栄養価と合わせて疲労回復効果が期待できますし、夏が旬の野菜でもありますから夏バテ予防にも役立ってくれそうですね。

便秘軽減・むくみ対策

ネバネバ食材の一つにも数えられるツルムラサキ。食感などから便秘に良さそうなイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。しかしツルムラサキの食物繊維含有量は100gあたり2.2gと、食味の似ているモロヘイヤやほうれんそうよりは少なめとなっています。補給源としては十分に役立つ食物繊維量ですが、ツルムラサキでないと効率が悪いということはありません。ツルムラサキ100gあたりの食物繊維の比率としては水溶性食物繊維が0.6g/不溶性食物繊維が1.6gとなっており、不溶性食物繊維が多いので蠕動運動の促進や腸の老廃物を掻き出す働きなどが期待できます。

ムチン(ムチン型糖タンパク質)も水溶性食物繊維に分類される成分で、腸内で善玉菌のエサとなることで腸内フローラのバランスを整える働きがあると考えられています。ツルムラサキに豊富に含まれているビタミンCも便を柔らかく保つ・腸内善玉菌を活発化させるなど水溶性食物繊維様の働きが期待されていますから、総合的に見てバランスよくお腹の調子を整えるサポートをしてくれるでしょう。便秘対策や腸活として取り入れられることがあるのも納得ですね。カロリーの低さと合わせて肥満予防にも効果が期待されています。

加えてツルムラサキは100gあたり210mgとカリウムも含まれています。カリウム含有量は野菜類の中でも多い部類ではありませんが、カリウムを運搬してくれるマグネシウムが豊富なこと・ビタミンEやビタミンCなど血管と血流をサポートしてくれる成分も含まれていることから、むくみ軽減にも役立つと考えられています。ちなみに生100gあたりのカリウム量として比較するとほうれんそうはツルムラサキの約3倍となりますが、茹でるのが基本であるほうれんそうに対してツルムラサキは生でも使える食材なので実際の摂取量としてはそこまで大きな差はないという説もあります。

骨粗鬆症予防・貧血予防

ほうれんそうやモロヘイヤと比べるとやや弱く感じますが、ツルムラサキはミネラルも比較的多く含む野菜。特にツルムラサキに多く含まれているミネラルとしてはカルシウムが挙げられます。ツルムラサキ生100gあたりのカルシウム含有量は150mgと野菜類ではトップグループに入るほどで、同グラムで比較すると牛乳やヨーグルトを上回ります。カルシウムは骨や歯を丈夫に保つ働きがあるミネラルですし、ツルムラサキには骨の形成に関わるマグネシウムも多く含まれていますので、お子さんの成長サポートや骨粗鬆症予防に役立ってくれるでしょう。

骨粗鬆症予防という面では、カルシウムを骨に沈着させる際に必要なタンパク質を活発化させてくれるビタミンKもツルムラサキには多く含まれています。ビタミンKには骨からカルシウムが流出するのを防ぐ働きがあるとも言われていますから、骨密度が気になっている方のサポートとしても期待できます。骨粗鬆様予防として取り入れる場合はカルシウムの吸収を良くしてくれるビタミンDを多く含む魚類・乾燥きのこなどと食べ合わせるとより効果的です。

またツルムラサキは貧血予防に良い食材として紹介されることもありますが、鉄分含有量は100gあたり0.5mgと多くはありません。ほうれんそうよりも栄養価的に勝っていると言われることが多いですが、ホウレンソウの鉄分は100gあたり2mgとツルムラサキの約4倍。鉄欠乏性貧血気味の方・鉄分補給用として取り入れたい方であればホウレンソウをチョイスしたほうが確実でしょう。ちなみに葉酸も78μgとほうれんそう・モロヘイヤに比べると半分以下となっていますが、ツルムラサキは生のまま食べられるので生食すると損失が少なく補給効率は悪くないと言われています。

抗酸化サポート・高血圧予防

ツルムラサキは100gあたり41mgとビタミンCをたっぷりと含んでおり、β-カロテンも2900μgと緑黄色野菜の中でも豊富な部類に入ります。ビタミンEも含まれていますから、抗酸化のサポートとしても役立つ食材であると考えられています。ビタミンCとビタミンA(β-カロテン)・ビタミンEは互いの働きを助け合う存在でもあるので、同時に摂取することで相乗効果も期待できますよ。

抗酸化作用というのは活性酸素を抑制・除去する働きを指します。活性酸素というと悪者というイメージを持たれがちですが、私達が呼吸・代謝を行う中で必ず発生する物質であり免疫機能の一部として働くことで身体を守る働きもあります。活性酸素が有害視されているのはストレス・タバコ・紫外線などによって“過剰に”発生した場合で、増えすぎた活性酸素は体内の脂質・タンパク質・DNAなどに悪影響を及ぼすことが指摘されています。活性酸素増加要因は本人の努力だけではどうにもならない部分も多いので、抗酸化物質を補給することで活性酸素の増加・細胞の酸化を抑えることが健康維持に繋がると考えられています。

活性酸素は細胞を酸化させることで劣化・変性させてしまうため、老化現象や様々な病気の発症リスクを高めることも報告されています。抗酸化物質の補給は身体を若々しく保つだけではなく、LDLコレステロールの酸化を抑えることで動脈硬化予防などにも繋がると考えられます。ツルムラサキに豊富に含まれているマグネシウムも不足すると動脈硬化のリスクを高めることが指摘されていますから、相乗して血管の健康維持にも効果が期待できるでしょう。血管を綺麗に保つことで血流が阻まれ起こる高血圧の予防にも繋がりますし、ツルムラサキは血圧上昇を抑えるカリウムも含まれています。

ストレス抵抗力アップ

ツルムラサキに豊富に含まれているビタミンCは“ストレスと闘うビタミン”とも称される栄養素で、ストレス抵抗力を高める働きも期待されています。これはビタミンCが副腎皮質ホルモンや神経伝達物質の合成にも関係しているためで、特にアドレナリン・ノルアドレナリン・コルチゾールなどの副腎皮質ホルモンはストレス下で分泌されることが多く「抗ストレスホルモン」という別名もあるほど。ビタミンCが不足するとこうした副腎皮質ホルモンの生成・分泌が低下してしまい、ストレス状況下で適切な反応が取れにくくなります。

このためビタミンCの補給はストレス抵抗力アップに繋がると考えられていますし、ツルムラサキには神経伝達やホルモン分泌に関わるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルも豊富に含まれています。カルシウムやマグネシウムには神経の興奮や緊張を緩和してイライラなどを抑える働きも期待されていますから、ビタミンC補給と合わせてストレス軽減や精神安定のサポートとしても効果が期待できるでしょう。

ビタミンCはストレス・紫外線・タバコやお酒のほかに有酸素運動やスマホなどの使用でも消費される存在。体内に留めておける時間も短いので、小まめに補給すると良いと言われています。ツルムラサキが旬の夏場は紫外線も気になる時期ですから、手軽にしっかりと補給できるのは心強いですね。葉野菜類は茹でることでビタミンCが流出していますが、ツルムラサキは生もしくはサッと茹でて食べられるということもビタミンC補給に適しています。

免疫力強化・風邪予防

ツルムラサキやモロヘイヤ・オクラなどネバネバ系の食材に含まれているムチン(ムチン型糖タンパク質)は、胃粘膜以外に喉や鼻などの呼吸器粘膜の保護・強化も手助けしてくれると考えられています。呼吸器粘膜の機能が低下しているとウィルスが体内へ侵入しやすくなってしまうため、ムチンの補給は免疫力を高めることにも繋がると考えられています。腸内環境を整える働きも免疫力向上に繋がりますから、ネバネバ食材は免疫力保持や健康維持のサポーターとして注目されています。

加えてツルムラサキには体内でビタミンAへと変換され、呼吸器を始めとする粘膜の健康維持に役立つβ-カロテンも多く含まれています。ムチン型糖タンパク質と合わせてウィルス侵入を防ぎ、風邪やインフルエンザの予防をサポートしてくれるでしょう。同じく豊富に含まれているビタミンCにも抗ウイルス作用を持つインターフェロンの分泌促進作用や自らが病原菌を攻撃するなど、免疫機能に関する様々な働きを持つ可能性が報告されています。抗酸化作用からも免疫力低下予防に繋がりますから、風邪を引きやすいと感じている方にもおすすめの食材と言えます。

ドライアイ・目の疲労軽減

β-カロテンから変換されるビタミンAは網膜で光を感知するロドプシンの生成にも利用されおり、不足すると網膜の光に対する反応を鈍化させてしまうことが分かっています。欠乏症状の一つとして夜盲症が挙げられていますし、ロドプシンの再合成がスムーズに行われなくなることで目の疲れや視力低下を起こす可能性も指摘されています。このためビタミンAやプロビタミンA(β-カロテンなど)の補給は目の健康維持にも役立つと考えられています。

またビタミンAは目の粘膜を保持する働きがあることから、乾燥を防いでくれるためドライアイ対策にも役立つと考えられています。糖タンパク質のムチンも粘膜維持のサポートが期待されていますから、補給することで目の潤いを維持してドライアイや目の不快感を予防に繋がる可能性も注目されています。目には“ムチン層”と呼ばれる保護層があることからも、重要性はうかがえますね。

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美肌保持・紫外線対策

ビタミンAは粘膜系以外に、皮膚の保護や新陳代謝とも関係するビタミンです。このため体内でビタミンAに変換されるβ-カロテンの補給は肌荒れや乾燥・角質化などの予防にも有効と考えられていますし、ビタミンAとして使われなかった分は抗酸化物質として働いてくれるのでダブルでお肌の健康をサポートしてくれるでしょう。加えてムチン型糖タンパク質にも皮膚の保護・保水性を高めて乾燥を予防する働きが期待されていますから、ツルムラサキは肌荒れや乾燥対策としても役立つと考えられています。

ツルムラサキにはβ-カロテン以外にもビタミンC・ビタミンEと抗酸化をサポートしてくれる成分が多く含まれていますし、特に豊富なビタミンCはコラーゲン生成促進・チロシナーゼ活性を阻害してメラニン色素生成を予防する美白効果なども期待されています。こうした成分を含むツルムラサキはシワやたるみなどの肌老化予防や、内側からの紫外線対策・シミ予防のサポートとしても役立ってくれるでしょう。ムチン型糖タンパク質はお肌の元になるタンパク質の吸収を助けてくれる働きもあるので、タンパク質と組み合わせて食べるとより高い効果が期待できますよ。

つるむらさき(蔓紫)の選び方・食べ方・注意点

ツルムラサキは生でも食べられると言われるようにアクは強くありませんが、ホウレンソウなどと同じく“シュウ酸”が含まれる食材です。生状態であっても一日に数百グラム程度の摂取であれば特に問題ないと考えられていますが、結石ができたことのある方などは注意したほうが良いでしょう。

ツルムラサキを選ぶ際は、葉と茎が瑞々しく柔らかさのあるもの・全体が綺麗な色をしているものを選ぶようにします。葉はしっかりと肉厚でシャッキリと生きの良いものを選びます。葉先が萎れていたり変色しているものは避けると良いでしょう。葉野菜の常にもれずツルムラサキも乾燥に弱いので、保存する場合は湿らせたキッチンペーパーや新聞紙に包んでからボリ袋に入れ、冷蔵庫(野菜室)で保存すると良いでしょう。立てて保存した方が痛みません。それでも日持ちは2~3日程度とされていますから、それ以上に保存したい場合は固めに下茹でして冷凍するようにしましょう。

ツルムラサキは風味としても栄養価としても、油と相性の良い食材。少量の油と組み合わせることでβ-カロテンなど脂溶性の栄養素の吸収効率が良くなりますし、独特の青臭さ・土臭さも軽減されます。加熱しすぎると風味が損なわれたり青臭さを強く感じるようになるので、お浸しや炒めものとして使う場合はサッと火を通す程度にしましょう。葉と茎を切り分けておくと茹で時間が短く済みます。

臭みが気になる時は天ぷらにしたり、ごま油やバターなど風味の強いものと合わせる・カレーなど濃い味付けの料理に使うと良いと言われています。カレーやスープなど汁部分も食べられる料理法に取り入れると、水に溶け出してしまった栄養素も余さず補給できるので一石二鳥ですね。

効果アップが期待出来るツルムラサキの食べ合わせ

つるむらさき(蔓紫)の雑学色々

ツルムラサキの歴史

ツルムラサキは原産地とされる東南アジアや、その周辺国である中国・インドなどで紀元前から食べられていたと考えられています。インドの伝統医術アーユルヴェーダでも利用されていたと伝えられていますし、漢方でも全草を落葵もしくは天葵と呼んで消炎剤として、花は落葵花と呼ばれ解毒用に利用されていたそうです。それ以外に果実は紫色の染料として、全草は解熱や利尿・根は収斂作用による下痢止めなど民間医薬として中国南部~インドにかけて広範囲で利用されていたと考えられています。ネパールの民間療法では葉の絞り汁を風邪薬代わりに飲むというものもあるのだとか。

ツルムラサキが日本に伝わった時期についてはハッキリと分かっていません。文献としては平安時代に中国の医学・薬学書に記述されていた薬に和名を当てはめた『本草和名』の中で、落葵(ラクキ/ツルムラサキの葉、全草)に「加良阿布比」という和名が付けられているものの、当時日本に現物が伝わっていたのかは分かっていないそうです。ツルムラサキが渡来していたということが分かる資料としては江戸時代初期に林羅山が編纂した薬物和漢名対照辞書『新刊多識篇』が最古とされており、こちらでは「豆留牟良佐岐(つるむらさき)」と現在と同じ呼び名が記されています。

また江戸時代の本草学者である貝原益軒が記した『菜譜』には“わかき苗も、葉も食らうべし”と紹介されています。しかし同書の中ではツルムラサキの実で御幣などの紙を染めていたという記述もあり、江戸時代には食材としてではなく染料としての利用が主だったと考えられています。ツルムラサキが野菜として本格的に栽培され、食材として認知されるようになったのは1970年代以降と言われています。中華料理が人気になったことで、チンゲンサイなどと共に中国野菜として普及したとも言われています。

ツルムラサキ食の先駆けと言える沖縄県でも、栽培されるようになったのは戦後の食糧難の時期からだとか。ただし沖縄県では在来種が自生していたとも、便秘・利尿・解熱用として民間療法で使われていたとも言われていますから、もう少し古い時代から食されていたのかも知れません。中国野菜として一部で知られていたツルムラサキは健康志向の高まり・1990年代から2000年代に起こった沖縄ブームによってより広く知られる食材となりました。