白菜(はくさい)の特徴と栄養成分・期待できる健康メリットとは

食べ物辞典:白菜

淡白でクセのない味わいから、お漬物やお鍋の具の一つとして定番となっている白菜。アメリカでは和食に使われる野菜ということで“Napa cabbage”とも呼ばれていますが、実は明治に入ってから日本に伝わった中国野菜です。栄養価としてはビタミンCとカルシウムがやや多いこと、生100gあたり14kcalと低カロリーなことが特徵。クセがなく様々な料理に使用しやすいことと合わせて不足しがちな栄養補給をサポートしてくれるでしょう。そんな白菜の歴史、含まれている栄養成分や期待される健康効果について詳しくご紹介します。

白菜/ハクサイのイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:白菜(はくさい)
英語:Napa(Nappa) cabbage
学名:Brassica rapa subsp. pekinensis

白菜のプロフイール

白菜(ハクサイ)とは

寄せ鍋やたらちり鍋など鍋料理やお漬物など、家庭料理でもよく使われる白菜。漬物では程よいシャキシャキ感・煮込むとととけるような食感に変化しますし、味の主張もないことから幅広い料理に使われていますが、主役というよりは名脇役と言ったポジションの野菜です。白菜はクセのない淡白な食材なので塩・味噌・醤油・キムチなど何ベースでも合いますし、11月~2月頃が旬であることもあり鍋料理には欠かせないという方も少なくないのではないでしょうか。硬めの食感や葉とは異なる風味から「芯は好きじゃない」という方もいらっしゃるものの、白菜自体は口に入れたくないというほど嫌われることも少ない野菜の一つとも言えます。

植物として見ると白菜はアブラナ科アブラナ属に分類され、ラパ種の変種の一つとして扱われています。同じくブラッシカ・ラパの変種とされている野菜にはカブ水菜小松菜などがありますし、中国野菜のチンゲンサイも同じくブラッシカ・ラパ系統品種。チンゲンサイは日本ではシロナと呼ばれることがありますが、中国語では“白菜(パクチョイ)”と表記されます。野菜として見間違うことはありませんが、文字上だけならば注意が必要ですね。そのほか同じアブラナ属という点ではキャベツとも比較的近い植物ではありますが、同じく結球する野菜として同列で紹介されるレタスだけはキク科なので植物としては遠い関係と言えます。

白菜という種が確立したのは中国で、主に中国や日本など東アジアで食されています。このため西洋のキャベツに対して、白菜は東洋を代表する葉野菜であると紹介されることもありますよ。日本で栽培されている品種だけでもかなりの数がありますが、その形状によって大きく結球形・半結球形・不結球形の3つに分けられています。結球形は更に頭部分の葉が重なった円筒形(包被型)・頭部の葉が重ならずやや尖った形の砲弾形(包合型)に分けられており、流通量が多いのは結球・円筒形。半結球タイプは“山東菜”や“長崎白菜”など葉先の開いたもので、不結球タイプの“広島菜”などは白菜と言うよりは小松菜などに似た形状をしたものになります。一般的に食べられている白菜は葉が淡い緑色のものですが、葉が紫色をしている紫白菜・内側の葉の色がオレンジ色をしているオレンジ白菜と呼ばれるものもありますね。

ちなみに白菜の英名を“Chinese cabbage”と習った方も多いのではないかと思いますが、これは広義だと中国野菜全般を指してしまうそう。欧米で白菜は食に使う食材の一つとして認識している方が多いため、日本人のイメージする白菜を伝えたい時は「Napa(Nappa) cabbage」と言うと伝わりやすいのだとか。日本で白菜はお漬物に使われる以外では、お漬物か汁物など加熱用として用いられることが多かった食材ですよね。しかし、近年白菜が広まりつつあるアメリカではサラダ野菜としての利用が主で、日本でもツナやごま油などと組み合わせてサラダとして食べられることが増えていますね。特に紫白菜は加熱すると変色してしまいますので、入手した際はサラダ・和え物にして食べるのがおすすめです。

白菜の栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

白菜は栄養価の面でも「名脇役」ポジションの野菜です、ビタミンC・ビタミンB1・B2・B6などのビタミン類、カリウム・カルシウム・マグネシウム・亜鉛などのミネラル分や食物繊維を含んでいます。際立って含有量が多いものはありませんがバランスよく幅広い栄養素を摂取するのに適した食材なのです。用途や栄養価という面で見ると、キャベツよりもレタスと似た印象があると言えるかも知れません。白菜の栄養価は熱や水に弱いものが多いので生で食べたほうが健康メリットが期待できるという声もあります。

白菜鍋イメージ

白菜の効果効能、その根拠・理由とは?

むくみ・便秘予防に

白菜の栄養素の中で比較的多いものがカリウムで、含有量は100g中220mgと野菜類の中で際立って多いと言うほどではありませんが、キャベツよりも若干多めとなっています。カリウムはナトリウムと競合して細胞内外の浸透圧を調整するミネラルで、ナトリウム量が多い場合はそれを排出させる働きもあります。ナトリウムだけが過剰になると人の体は水分を取り込んでナトリウム濃度を保つ働きがあるため、ナトリウムを排出させるカリウムの補給は取り込んだ水分の排出を促すことにも繋がります。このため白菜は味の濃いもの・レトルト食品をよく食べる方のむくみ対策に役立つと考えられますし、高血圧予防としても期待できます。

白菜は食物繊維も100gあたり1.3gと、カリウム同様に際立って多いとは言えないものの補給に役立つ程度の量は含んでいます。また茹でてしまうと半分くらい流出してしまいますが、生100gあたりでみるとビタミンCが19mgと比較的多く含まれています。ビタミンCは乳酸菌のエサとなって腸内環境を整える働きがあり、腸内環境を整えることで便秘改善のサポートにも効果が期待されています。白菜を食べて即便秘解消…とはいかなくとも便通改善を手助けしてくれる存在と言えるでしょう。水分量が多いので、水分不足から生じる便秘やむくみ予防にも繋がりますよ。

ダイエットのサポートとして

白菜は約95%が水分のため、100gあたりのカロリーは14kcalとかなり低カロリーな食材です。カロリーが低いと言われている野菜類の中でも下から数えられるほど低カロリーで、同じ鍋の具材として利用される長ネギやニラの半分のカロリー数ですまるまる1玉(※800~1000gとして試算)食べてもカロリーは110kcal~140kcalとスナック菓子の袋半分以下のカロリーですから、食事とあわせて摂るとカロリーダウンや食べ過ぎ防止に役立ってくれるでしょう。カロリーだけではなくGI値も23と非常に低いので、血糖値が気になる方や低インシュリンダイエット中の方でも安心して取り入れることができる食材と言えます。

また白菜には「モリブデン」という必須ミネラルの一つが豊富に含まれています。モリブデンは酵素による糖質や脂質の代謝を助ける働きを担っていると考えられており、不足すると代謝の低下や貧血・疲労感・神経過敏などを引き起こします。モリブデンは大量に必要な栄養素ではなく、サプリなどで長期間過剰摂取すると副作用や健康被害を起こすことが指摘されています。基本的に不足することは少ないのですが、ダイエット中は不足しがちになる栄養素の1つという説もありますから、白菜など身近な食材からしっかりと補給しておきたいところですね。

疲労回復・風邪予防に

白菜には抗ウイルス作用を持つタンパク質インターフェロンの分泌促進や、コラーゲン生成を促すことでウィルス侵入率を下げるなど免疫系のサポート効果が期待できるビタミンCが生100gあたり19mgと比較的多く含まれています。現在では四季を問わず様々な野菜・果物が食べられるようになりましたが、昔は冬場の貴重なビタミン補給源として白菜が風邪予防に取り入れられていたようです。加えて白菜は消化が良くお腹に優しいため病中病後の回復食としても適していますし、薬膳などでは余分な熱を冷ます作用があるとも考えられています。風邪をひいてお腹の調子が悪い時などにも役立ってくれるでしょう。

またビタミンCは抗ストレスホルモン(副腎皮質ホルモン)や神経伝達物質の合成にも関わっている存在ですから、不足なく補うことでストレス・ストレスによる疲労感や体調不良を緩和する働きも期待できます。際立って多いとは言えないものの、不足することで代謝や身体の機能低下を起こしてしまうビタミン・ミネラルが白菜には幅広く含まれています。白菜単体で疲労回復に役立つとは言い難いですが、豚肉などと組み合わせて食べることで栄養バランスを整えて疲労回復を促す働きも期待できます。

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骨粗鬆症予防にも期待

白菜に含まれているビタミン類の中で、最も含有が高いといえるのがビタミンK。ビタミンKはカルシウムを骨や歯に沈着させるために働くタンパク質の働きを高める作用が期待されており、骨の形成促進や骨吸収抑制(骨が分解されてカルシウムが放出してしまうことを抑える)に役立つと考えられています。この働きからビタミンKは骨粗鬆予防に役立つと考えられています。

骨の強度を保つために必要なカルシウムも100gあたり43mgと野菜類の中ではそこそこの量を含んでいますが、必要分をまかなえるほどではありません。骨密度を保って骨粗鬆症を予防したい場合などは、牛乳を組み合わてクリーム煮にするなどカルシウムが豊富な食材と組み合わせると効果的でしょう。同じくカルシウムの吸収・沈着を助けてくれるビタミンDとカルシウム両方を含む魚類やキクラゲとの組み合わせもオススメです。

肌荒れ予防・美肌保持サポート

白菜はビタミンCが豊富と言われています。ビタミンC含有量は生100gあたり19mgと野菜類の中では中堅的な位置付け、意外なことにビタミンCが豊富なイメージのある多くの果物よりも生状態であればビタミンC量は多いのです。同グラムで比較した場合はりんごの約5倍、ザクロスイカの約2倍程度のビタミンCが白菜には含まれているんですよ。加熱料理する場合はビタミンCが減少してしまうため白菜のほうが圧倒的にビタミンCが多いとは言えませんが、白菜にはカロリーや糖分が低いというメリットもあります。様々な料理に使える野菜でもありますから、食事の中で自然なビタミンC補給をサポートしてくれる可能性は十分にあると言えます。

ビタミンCは抗酸化作用を持つビタミンの一つであり、ストレスや紫外線などによって過剰に発生する活性酸素から体を守ってくれる栄養素の一つ。肌細胞の酸化はシワやたるみ・シミなどの原因にもなり、肌の老化を促進してしまう可能性があることからお肌のアンチエイジングにも取り入れられています。加えてビタミンCはメラニン色素の生成に関わるチロシナーゼの働きを阻害することでシミ予防効果があることも認められていますし、メラニン色素の還元を促すことで美白効果も期待されています。ビタミンCはコラーゲンの生成と保持にも必要な栄養素ですから、抗酸化以外の面からも若々しく美しい肌作りをサポートしてくれるビタミンと考えられています。

白菜にはビタミンCのほか、含有量自体は多くないものの皮膚や粘膜を丈夫にしてお肌の抵抗力を高めてくれるβ-カロチン(ビタミンA)も含まれています。イソチオシアネート化合物にも抗酸化作用が期待されていますから、美肌サポートとしても十分に役立ってくれる可能性はあるでしょう。またぬか漬けにするとビタミンB群と乳酸菌が増えるため、更に美肌効果がアップするとも言われています。お漬物類は手軽に摂取できるのも嬉しいポイントですね。

目的別、白菜のおすすめ食べ合わせ

白菜の選び方・食べ方・注意点

白菜は長時間茹でるとビタミンCやカリウムなどの栄養素がほとんど無くなってしまいます。料理での味や食感だけではなく栄養補給としても役立てたい場合であれば、白菜サラダやお漬物など加熱しない形で食べたほうが効果的ではあります。白菜に唐辛子やしょうが・にんにく・魚介を入れて漬け込んだキムチ、糠につけることでビタミンB群と乳酸菌を増加させたぬか漬けなどの漬物類が評価されているのも納得ですね。

お鍋やスープの具として使用する場合でも、溶けかけ・ペタペタになるまで茹でず、歯ごたえが残っている程度にすることが推奨されています。茹でたり煮込んだりする場合には、栄養素が流れ出ているスープ部分まで頂けるようなレシピにすると良いです。ただし元々栄養価が高い食材ではありませんから、神経質になりすぎる必要は無いでしょう。

美味しいハクサイの選び方・保存方法

白菜を選ぶ際は持った時にズッシリと重みがあるものが良いとされています。葉の緑色・茎の白色がそれぞれきれいな色をしており、特に芯の切り口が瑞々しく変色していないものを選ぶようにしましょう。カットで買う場合は切られた芯の部分(中心)が膨らんでいないものを選ぶと新鮮です。ちなみに白い部分にシミのような黒い点のようなものが入っているのは「ゴマ症」と言われ、肥料や温度などの環境ストレスに対してポリフェノールが蓄積して出来たものです。見た目はやや劣りますが、虫やカビ・病気などではありませんので食べても人体に問題はありません。

白菜は日持ちが良い野菜で、まるごと一玉であれば風通しの良い冷暗所で2~3週間位・冷蔵庫であれば約1ヶ月程度保存することが出来ます。一玉まるごと白菜を保存する場合は、新聞紙で包んで立てた状態で冷暗所もしくは冷蔵庫に保存します。水分が多いので、濡らしたキッチンペーパーなどで保湿するのではなく、通気性を良くする方が傷みにくくなります。新聞紙が湿ってきた場合は取り替えてあげてください。また、スペースの関係で横にしておきたい場合は重さや蒸れて腐ってしまわないように、時々向きを変えるようにしましょう。

白菜はざっくりと切れ目を入れてしまうとそこから鮮度が落ちてしまうため、カットしたものを購入した・少しずつ使用する場合であれば保存期間はもう少し短くなります。まるごと買って使用する場合は包丁で切れ目を入れるのではなく、外側の葉から剥いていくような形で使用したほうが鮮度が落ちにくいです。カット白菜を購入した場合はラップやポリ袋などにいれて冷蔵庫へ。芯を付けたままだと芯が葉から栄養を取ってしまうため、芯をくり抜くか包丁で切れ目を入れておくようにします。

【参考元】