食べ物辞典:パクチー
独特の青臭い芳香から好き嫌いは分かれるものの、日本でも受け入れられつつあるパクチー。タイ語由来のパクチーを始め中国語由来の香菜・スペイン語のシラントロなど様々な呼び名で呼ばれていますが、植物としては香辛料として使用されるコリアンダーの茎葉部分が使用されています。カメムシのようなと称されるパクチーではありますが、芳香成分にはリラックス効果やデトックス効果などの有益な働きも期待されていますし、栄養豊富な食材でもありますよ。そんなパクチーの歴史や栄養効果について詳しくご紹介します。
和名:コエンドロ(葉)
英語:Chinese parsley/cilantro/Coriander leaves
パクチー/香菜/コリアンダーリーフのプロフイール
パクチーとは
2010年を越えたあたりから日本で急激に取り入れられる機会が増えたパクチー。パクチーを使った料理やパクチーフレーバーの商品が次々登場し、パクチーが好きな人を指した「パクチニスト」「パクチスト」なんていう造語も浸透してしまうほど。タイ料理を筆頭としたエスニック料理から広まったパクチーですが、「パク盛り」と呼ばれるようなパクチーをてんこ盛りや、パクチーを主役にした料理を食べるのは日本だけと言われています。東南アジアや中国以外にヨーロッパでもパクチーは料理には使われていますが、基本的に薬味・ハーブという感覚で加えられるもの。タイの方などは日本で山盛りのパクチーを見て、カルチャーショックを受けるという話も有名ですね。
インパクトが強すぎて忘れられがちですが、パクチーはカレーの香辛料として使われている“コリアンダー”と同じ植物。植物分類ではセリ科コエンドロ属に分類されており、果実(コリアンダーシード)と茎葉(コリアンダーリーフ)という2つの部分が主に使われています。1990年代以降のエスニック料理普及に伴ってタイ語のパクチーという呼び方が普及しました。パクチーという呼び方は基本的に生食する葉を指す時に使われると言われていますが、最近はパクチーという言葉が定着しているので乾燥葉に対しても使われることがありますね。日本においては香辛料として使われる果実が「コリアンダー」で、薬味もしくは香味野菜として使う葉を「パクチー」と呼び分ける方が多いのではないでしょうか。
ちなみにパクチーはコリアンダー(リーフ)の他にも様々な呼び方をされています。中華料理で使われている「香菜(シャンツァイ/シャンサイ)」というのもパクチーのことを指していますし、ベトナム語のザウムイ・ヒンディー語のダニヤーという呼び方も専門店では時々見かけますね。またパクチー・コリアンダーの和名とされている「コエンドロ」はポルトガル語で、アメリカやメキシコでよく使われている「シラントロ」という呼び名はスペイン語。かつてスペインの支配下にあり現在でもスペイン語が主に使われているメキシコや、アメリカでもメキシコ人移民の多いエリアではシラントロという呼び方のほうがポピュラーになっているそうですよ。
空前のパクチーブームとも言われていますが、独特な香りから嫌い・苦手という方も少なくない食材であることは相変わらず。パクチーは“カメムシ草”という別名があるとおり、苦手な方にとっては「カメムシの臭い(味)」のする葉。パクチーが分類されているコエンドロ属はCoriandrumと表記され、この属名もカメムシを表す古代ギリシア語に由来していると紹介されることもあります。が、属名の語源とされる古代ギリシア語“koriannon”はコリアンダーを意味する言葉であるそう。この古代ギリシア語の語源については様々な説があり、その中の一つが南京虫を意味する“koris”から変化したという説だそうです。カメムシや南京虫などおよそ食材とは思えないものに例えられるパクチーの香りですが、実は成分的にもデセナールやヘキセナールなどカメムシの放つ臭いと同じ成分が含まれていることが認められています。
と言ってもパクチー好きの方は「他セリ科食材よりもちょっと青々しいくらい」と表現する方もいらっしゃいます。パクチーの臭いが無理という方は他のセリ科の植物や春菊など癖の強い葉物野菜も苦手な人が多いようにも感じます。嫌いな方が無理をして食べる必要があるかはさておき、パクチーは栄養価が高い緑黄色野菜であり健康維持に役立つ食材としても注目されている存在。パクチーブームが起こったのもその中毒性だけではなく、健康効果が高い食材として紹介された関係があるとも言われています。
パクチー/コリアンダーの歴史
東南アジアの食材というイメージがあるパクチーですが、原産地は地中海東部沿岸から中東にかけてのエリアと推測されています。パクチーに限らず果実部分(コリアンダーシード)を含めると人が利用してきた歴史は非常に古いと考えられており、紀元前には既に古代エジプトやギリシアで利用されていました。「医学の祖」と称されるヒポクラテスが薬として処方していたと伝えられていますし、古代ローマの大プリニウスが著した『博物誌』にも“コリアンダーはエジプト産が最高品質”という記述があるそう。ヨーロッパではコリアンダーシードのほうが主に使われていますが、コリアンダーの葉であるパクチーも薬・料理用ハーブとして利用されていたようです。ボルトガル料理のカタプラーナにもパクチーが欠かせませんね。
同じく原産地付近である中近東地方でもコリアンダーは古くから医薬品や媚薬として用いられていたと伝えられています。ちなみに中世ヨーロッパでもコリアンダーシードは媚薬として用いられていたそうですよ。中国にも紀元前2世紀頃に役人であった張騫(チョウケン)という人が、ウズベキスタン辺りから西域の物産として持ち帰ったという逸話が残されています。インドでもカレーの香辛料やアーユルヴェーダの薬としてコリアンダーシードが使われていますし、東南アジア諸国ではパクチーの使用が盛んですね。中国では香菜が使われていますし、生薬としても乾燥した全草が使われていますから、インド~東南アジアあたりを境にコリアンダーシードを多く使う国・生葉であるパクチーを多く使う国とが別れているとも言えるかも知れません。
日本へのコリアンダー(パクチー)伝来はおそらく平安時代頃と考えられています。文書での記録としても平安時代中期に編纂された『延喜式』や『倭名類聚抄』に“胡荽(胡菜)”もしくは“古仁之(コニシ)”として登場しており、朝廷料理では魚を食べるときに欠かせない薬味であることが記されています。また『延喜式』によると天皇の食膳に使われる食材だとして耕作についての規定もあったそうですから、当時は高級な薬味という位置付けであったのかも知れません。ただし、その後コリアンダーやパクチーが使われた形跡はほとんどなく、日本で再び登場するのは江戸時代になってポルトガル人から再びコリアンダーが伝えられて以降となります。
しかし再伝来を果たしたものの、江戸から昭和後期までパクチーは一貫して日本人の好みには合わなかったようです。コリアンダーシードについては寿司の薬味として使われたという記述がありますが、パクチーは全くと言って良いほど普及しませんでした。『本草綱目』には生薬としての記述がありますから、中国漢方の影響を受けていた江戸時代頃に一部で薬として利用された程度だったと考えられています。パクチーが脚光を浴びるのは平成に入りアジアン・エスニック料理がブームとなって以後のこと。ハマると癖になる独特の風味から需要も増え、現在は国内栽培も広がっています。ほぼ通年で回っており、スーパーなどでも置かれていることが増えていますね。
パクチー(香菜)の栄養成分・効果について
パクチーは緑黄色野菜に含められるようにβ-カロテンを多く含む食材で、ビタミン類も幅広く含まれています。データでも分かるように、カルシウムや鉄分などのミネラルが多く含まれていることも分かっており、栄養補給源として優れた食材であることも注目されています。カロリーが100gあたり23kcalと低めなこともあり、ダイエット中の栄養不足対策として取り入れる方もいらっしゃるようです。また悪臭物質のように言われるデセナールにも健康効果を持つ可能性が報告されていますよ。
※日本食品標準成分表にはパクチーについての記載がないため、ご紹介するパクチー100gあたりの栄養成分含有量につきましては『USDA National Nutrientデータベース』にて掲載されている数値を参考にさせて頂いております。
パクチーの効果効能、その根拠・理由とは?
アンチエイジング(抗酸化)に
パクチーに期待されている健康メリットを紹介するに当たって外せないのが抗酸化作用の高さではないでしょうか。メディアによってはトマトの7倍・大豆の10倍の抗酸化作用を有する緑黄色野菜として紹介されることもあったようです。大豆の10倍という数値に関しては、比較対象として紹介されたパクチーの数値が“乾燥パクチー”のものであったことが指摘され、そこまで抗酸化力に差異がないとは言われていますが、それでもパクチーは緑黄色野菜類の中でトップクラスの抗酸化作用を持つ食材と考えられています。
栄養価としても米国農務省国立栄養データベースによると生パクチー100gあたりのβ-カロテン含有量は3930μg。この量は同グラムで比較するとニラや小松菜を上回り、ピーマンの10倍近い量です。またビタミンEも100gあたり2.50mgと葉物野菜類の中では多い部類ですし、ビタミンC含有量は27mgと特別多いほどではありませんがパクチーは生で食べることが多く損失が少ないので、相乗効果が期待できるビタミンACEをまとめて補給できる野菜と言えますね。
活性酸素は酸素を利用した代謝活動の中でも自然に発生する物質で、体内に侵入した細菌や異物の無害化を行うなど私達の身体を守る働きも持っています。しかし活性酸素が増えすぎると自身の細胞や血管などを酸化させるという側面も持っています。私達の身体には増えすぎた活性酸素を除去するための抗酸化酵素も存在していますが、抗酸化物質を豊富に含む・高い抗酸化力を持つ食材を補給することが健康や若々しさを保つ鍵になると考えられています。このためパクチーも抗酸化作用によって肌や血管・脳などの老化を予防してくれる、アンチエイジング食材として注目されています。
高血圧・動脈硬化予防に
β-カロテンを筆頭に抗酸化物質を多く含み、高い抗酸化作用が期待されているパクチーは動脈硬化などの血管疾患・生活習慣病予防にも効果が期待されています。活性酸素はLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を酸化させることで“酸化LDL”と呼ばれる物質に変化させてしまいます。酸化LDLはマクロファージによって処理されますが、取り込んだマクロファージの残骸はドロドロした粥状物質となって血管内に蓄積してしまいます。この死骸が積み重なるとプラークができ、血管を狭めたり柔軟性を損なわせる原因となります。
抗酸化物質の補給は酸化LDLの生成を抑制し、動脈硬化のリスクを低下に繋がると考えられています。また血管が狭く硬くなることは血流が妨げられることにもなりますから、それを予防・改善することで高血圧の予防にも繋がるでしょう。パクチーは緑黄色野菜としてもトップクラスの抗酸化力を持つと考えられている食材ですし、ナトリウムの排出を促すことで血圧を正常に保つカリウムも100gあたり521mgと豊富に含まれています。このためパクチーは高血圧や動脈硬化、心筋梗塞・脳梗塞など生活習慣病発症リスク低減にも役立つと考えられています。
胃腸機能のサポートにも
「カメムシの臭い」とも称されるパクチーの独特な香気ですが、この香りの中にはデセナールなどのアルデヒド類以外にベルガモット様の芳香を持つとされるリナロール・薔薇の香気成分として知られるゲラニオールなどの精油成分も含まれています。こうした様々な香り成分の働きからパクチーの香りには消化器官を活発化する働きがあると考えられており、食欲増進・消化促進に良いと言われています。元々暖かい地域の食材ですから、夏バテ対策としても効果が期待できるでしょう。
加えてリナロールなどは抗菌作用や抗真菌作用が報告されている成分でもありますから、食中毒予防にも役立つと考えられます。タイなど熱帯地域で薬味として愛されている香草ですし、日本でも平安時代頃に朝廷調理で魚と合わせて使われていたというのも、食あたりを防ぐという働きがあったためではないかと言われていますよ。
リラックス・疲労回復に
パクチーの香気成分に期待されている働きにはリラックス効果もあります。嫌いな方からするとゾッとする話かもしれませんが、リナロールやゲラニオールはラベンダーなどのエッセンシャルオイルにも含まれている成分で、アロマテラピーなどでは気持ちを落ち着かせる作用を持つと考えられています。特にリナロールは抗不安作用を持つ成分としても注目されており、ストレスなどによって精神的な疲労感が溜まっているとき・気持ちが不安定になっているときに良いと言われていますよ。
またパクチーは栄養面としてもビタミンB1やB2などビタミンB群を含むことから疲労回復に役立つと考えられます。ビタミンB群はエネルギー代謝に関わる栄養素ですので、香りによる食欲増進効果と合わせてエネルギー産生を高めることで疲労・疲労感の改善に繋がるでしょう。ただし糖質の代謝を促してくれるビタミンB1含有量については生100gあたり0.067mgと、言われれるほど多くないというのが実情なので過信しないように注意してください。パクチーだけではなく他の食材と組み合わせてバランス良く食べましょう。
デトックス・ダイエットサポート
パクチーは100gあたり521mgとカリウムが多いことからむくみ予防に、食物繊維も2.8gとほうれんそうと同じくらい含むことから便秘対策にも役立つと考えられています。リナロールやグラニオールなどの香り成分も消化器系の活発化や血行促進効果が期待されていますから、複合して溜め込み体質の改善に繋がる可能性もありそうですね。尿や便の出を良くすることは体に溜まった老廃物の排出促進にも繋がりますし、近年はパクチーにより直接的なカドミウムなどの有害金属を体外へ排出させる働き=キレート作用を持つ可能性があること報じられています。パクチーが抗酸化作用に優れているのも、抗酸化物質が多いだけではなくデトックス効果が関係しているという説もあります。
パクチーのデトックス効果については、カメムシ臭の元でもある“デセナール”という成分が有害金属や化学物質と結合することで排出させるのではないかと言われていますが、詳細についてはまだ分かっていません。こうした働きはまだ研究段階の話であり、国立健康栄養研究所からも「ヒトへの有効性について科学的な検証は十分ではない」という発表がなされていますので過度な期待は避けたほうが良いでしょう。
ちなみにパクチーがダイエットに良いという説の根拠もデトックス効果+抗酸化作用による代謝向上が主となっています。パクチーは100gあたり23kcalと低カロリーで、ダイエット中に不足しがちな栄養素を広く含む食材。このためダイエットのサポーターとしても役立ってくれると考えられますが、取り入れるだけで痩せる・太りにくくなるとは考えない方が無難です。
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骨粗鬆症予防のサポート
パクチーは生100gあたり310μgとビタミンKを多く含む野菜でもあります。ビタミンKは血液凝固因子を活性化する止血のビタミンとして知られている存在ですが、カルシウムが骨に沈着するために働くタンパク質を活性化するという働きもあります。この働きから骨粗鬆症予防の治療薬にも使われており、カルシウム・ビタミンDと共に骨を丈夫に保つ栄養素としても注目されています。パクチーには100gあたり67mgとカルシムも比較的多く含まれていますし、骨の健康維持に関わるマグネシウムやリンなどの補給にも役立ってくれます。主な栄養補給源とは言い難いですが、パクチーを食事に少し載せて食べることで不足分のカバーに繋がるでしょう。
免疫力アップ・風邪予防に
パクチーに豊富に含まれているβ-カロテンはプロビタミンA(ビタミンA前駆物質)と呼ばれるカロテノイドで、抗酸化作用以外に必要に応じて体内でビタミンAへと変換されることが認められています。ビタミンAは皮膚や粘膜の形成や維持に関わる脂溶性ビタミンのため、喉や鼻などの呼吸器粘膜を強化することでウィルスが体内に侵入するのを防ぐ働きがあると考えられています。そのほかリナロールなどの精油成分にも抗菌・抗ウィルス作用が報告されていますので、相乗して風邪やインフルエンザの予防に役立ってくれるでしょう。
また免疫力の保持という面で見ると、パクチーにはβ-カロテン以外にもビタミンC・ビタミンEなどの抗酸化物質が含まれています。抗酸化物質を補給することで酸化ダメージによる免疫力の低下予防に役立つとする説もありますし、消化機能を整えることで栄養をしっかりと吸収することも正常な免疫機能の保持に繋がると考えられます。
美肌保持・肌老化対策として
パクチーは非常に高い抗酸化作用を持つ食材として、肌細胞の酸化によって引き起こされるシワ・シミ・くすみ・たるみなどの肌老化予防にも取り入れられています。抗酸化作用以外にもβ-カロテンはビタミンAへ変換されることで肌の乾燥を予防したり新陳代謝を促す働きが、ビタミンEは末梢血管を拡張し血行を促すことで肌に栄養を届けたりくすみを軽減する働きが期待できます。ビタミンCもコラーゲンの生成促進やメラニン生成抑制による美白効果が認められており、美肌作りに欠かせないビタミンとされていますね。
加えてパクチーには皮膚や髪・爪の形成に関わるビタミンB2、タンパク質代謝や皮脂分泌のコントロールに関わるビタミンB6などのビタミンB群も含まれています。抗酸化ビタミン以外にこうした働きを持つビタミンB群やミネラルなど様々な栄養を補給できることから、パクチーは肌荒れや乾燥などのトラブルを予防して肌をキレイに保ってくれる食材と考えられています。デトックス効果が期待できることからも肌荒れ・くすみ予防に良いという説もありますよ。
女性ホルモンのサポートにも…?
パクチーにはエストロゲンの働きを高めることで女性のルモンのバランスを整えたり、更年期障害を軽減してくれるのではないかという説もあります。これはゲラニオールという芳香成分に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌を助けてくれる可能性があると言われているためですが、こちらもデトックス効果と同様にしっかりとした根拠がある話ではないようです。またパクチーにはゲラニオールが含まれて入るものの、パクチー(コリアンダーシード)精油の成分分析表などで見る限りゲラニオールの含有率は微量であると考えられます。
女性ホルモンに関しての信憑性は今ひとつですが、パクチーは女性の身体をサポートしてくれる栄養素をしっかりと含む食材でもあります。中でも特徴的なのが鉄分含有量の多さで、生100gあたりの鉄分量は1.77mgとクレソンを抜いてほうれんそうに近いほどです。女性ホルモンの合成に関わる亜鉛やビタミンB6なども比較的多く含まれていますから栄養補給源としてホルモンバランスの乱れを予防・改善してくれる可能性はあるでしょう。貧血予防にも役立ってくれますので、女性の心強い味方となってくれる食材であると言えそうですね。
目的別、パクチーのおすすめ食べ合わせ
パクチー(香菜)の選び方・食べ方・注意点
パクチーを選ぶ時は多くの葉物野菜と同様に葉が鮮やかな緑色で、葉先から茎の切り口まで瑞々しいものを選ぶようにします。茎はあまり太すぎないものの方が良いと言われていますが、太さよりもハリがあるかが重要です。冷蔵庫に入れる場合は濡らしたキッチンペーパーで根元付近を覆ってから、新聞紙に包んで入れるようにします。茎や葉は水分に弱いので濡らさないほうが長持ちするそうです。と言っても根を切られているものはあまり日持ちがしませんので、2~3日中には食べ切った方が良いでしょう。
パクチーの注意点
パクチーそのものに毒性は無いとされていますが、セリ科植物であることからアレルギー反応を起こす可能性があることが指摘されています。アレルギー体質の方や妊娠中・産後など体質が変わりやすい時期の方は摂取を控えるか、体調に注意しながら食べるようにしてください。明らかに異常とわかる症状以外に「なんとなく体調が悪い」「胸焼けぽい不快感がある」という不快感が出る場合もあるようですので、モヤっとした体調不良を感じた場合も一旦パクチーの摂取を控えてみるようにしてください。
またパクチーを食べ過ぎた際の副作用として腹痛や下痢などの胃腸トラブルが挙げられています。パクチーは食品ですから一日の摂取量が定められている訳ではありませんが、一度に食べる量としては10g以内が良いとも言われています。パクチーを伝統的に利用してきた東南アジアの国々でも日本のように大量に食べることは無いそうですので、どの食材にも言えることですが節度ある摂取を心がけたほうが良いでしょう。
そのほか香りによって頭痛や吐き気などを起こすこともあります。リナロールなど鎮静作用を持つ芳香成分の働きから眠気を起こす・低血圧のような症状が出る可能性も指摘されています。パクチーの香りに関する嫌悪感は嗅覚受容体遺伝子が過敏な人に起こるという説もあるので、香りが苦手な方は無理をしてまで食べないようにしましょう。食べてみたいけれど不安という方は香りの弱い乾燥パクチーから取り入れてみるという方法もあります。
パクチー(香菜)の雑学色々
パクチー風呂
パクチーを入浴剤代わりにお湯に入れる「パクチー風呂」にはリラックス効果があり、抗酸化作用から美肌効果も嫌いされています。抗酸化作用や抗菌作用から体臭予防に良いという説もあります。アトピー性皮膚炎の方でも入れると言われていますが、肌が弱い方の場合は事前にパッチテストをした方が良いでしょう。入浴剤が販売されたこと・銭湯でパクチー風呂が作られたこともありNHKのTV番組“あさイチ”でもパクチー風呂が特集されたそうですよ。
参考元:Coriander (cilantro) leaves, raw/7 Health Benefits of Cilantro/GoGoパクチー