ニシン(鯡/鰊)とその栄養成分や効果効能
|北国の定番魚?! オメガ3+ビタミンD補給にも

食べ物辞典:ニシン

北海道や東北など北日本、京都でよく用いられているニシン。身欠きニシンの甘露煮の印象が強いですが、鮮魚は焼き・フライ・酢漬けなどイワシと同じ様な感覚で使用できます。日本だけではなく北欧を中心としたヨーロッパでも親しまれている食用魚で、欧米では甘酸っぱく漬けたものがよく食されていますよ。栄養面ではオメガ3脂肪酸とビタミンDを含むことが特徵で、免疫機能のサポートや生活習慣病・認知症予防に役立つ可能性も注目されています。そんなニシンについて、食用の歴史や食べ方・期待される栄養効果などをご紹介します。

にしん(鯡/鰊)のイメージ画像:食べ物辞典トップ用

和名:にしん(鯡/鰊)
英語:herring/Pacific herring

ニシンのプロフイール

にしん(鯡/鰊)とは

日本らしい塩焼きや煮付けなどをはじめ、近年の北欧ブームの関係から酢漬けの形で紹介される事も増えているニシン。身を食べるだけではなく、縁起物としても愛されている数の子(カズノコ)がとれる魚でもあります。数の子は全国的に食べられているものの、ニシンは東北・北海道など北日本を中心に漁獲される魚なので馴染みがない地域の方もいらっしゃるかもしれません。春告魚と呼ばれるお魚は地域によって異なるものの、北日本ではニシンが春告魚でもあります。北海道では旬の時期にニシンのお刺身も食べられていますよ。

ニシン御殿が建つほどニシン漁で栄えた歴史がある北海道では、身欠きニシンが特産品となっていますし、身欠きニシンと米麹・生姜・唐辛子・大根・ニンジン・キャベツなどの野菜を合わせて漬け込んだ「にしん漬」と呼ばれる漬物も冬の定番として親しまれています。東北や京都で食べられている鰊漬けよりも具沢山なことが北海道式の特徵で、身欠きニシンを焼いたり煮たりして食べるよりも「にしん漬け」として口にする機会の方が多いほど。鰊切込(にしん切り込み)よりも好き嫌いが分かれず食べやすいこともあって、道民のソウルフードという声もあります。そのほか身欠きニシンの甘露煮を乗せた甘じょっぱい鰊蕎麦(にしんそば)も郷土料理の一つ。京都でもにしん蕎麦が名物で、北海道は醤油の味が強めで濃い色のツユ京都は出汁の味が効いた薄い色のツユと見た目も風味もかなり違いがあります。

また、ニシンは北欧料理の中で紹介されることもあるように、ヨーロッパなどでも食べられてきた世界的に重要な食用魚の一つでもあります。ニシンの甘酢漬けはヨーロッパで広く食されている食品の一つですし、ドイツなどではRollmops(ロールモップ)と呼ばれるピクルスの周りに酢漬けニシンを巻き付けたものが食されています。ロシアではニシン・ジャガイモ・ビーツ・ニンジンなどを層状に重ねたセリョートカ・パド・シューバ(Селёдка под шубой/毛皮のコートを着たニシンという意味)というケーキのような見た目のサラダもありますし、バラエティ番組で「世界一臭い食べ物」としてもお馴染みスウェーデンの魚の缶詰“シュールストレミング”も塩漬けのニシンが原料。V字形が連続したような柄をヘリンボーン(ニシンの骨)と呼ぶことからも、親しみのある食材だった事がうかがえますね。

ただし日本で食されているニシンは太平洋ニシン(学名:Clupea pallasii)という種で、欧米で食べられているのは大西洋ニシン(学名:Clupea harengus)と種類が違います。どちらもニシン科ニシン属に分類される仲間ではありますので、日本語ではニシン・英語ではヘリングと総称することが多いそう。英語で呼び分ける際には日本でニシンとして食されている種類をPacific herring(パシフィックヘリング)、欧米で一般的に食されている方をAtlantic herring(アトランティック・ヘリング)と区分しています。ちなみにニシンの卵=数の子を食べるのは日本特有の文化。欧米では数の子を食べる習慣がなく、日本が数の子用として輸入するまでは全て廃棄していたのだとか。日本人からすると勿体無いと思ってしまう話ですね。

ニシンの歴史

世界各国で人間は紀元前、かなり古い時代からニシンを食してきました。日本で漁獲されるニシンやグリーンランド個体群は春になると産卵のためにかなり浅いところまでやってくる性質があるため、漁船の造船技術が十分に発達していない時代でも人々はニシンを獲りやすかったと考えられます。人がニシンを食べ始めた時期については断定されていないものの、世界的に見れば紀元前3000年以前からという見解が主のようです。北日本でも春に大量に獲れるニシンを古くから食べていた可能性が高いですが、江戸時代ころまで魚としてのニシンはほとんど登場しません。

古い文献に登場するのはニシンではなく、その魚卵である数の子の方。北方の数の子が当時日本の中心であった関西に伝わった歴史については諸説ありますが、14世紀頃に昆布が京都に輸入されるようになった際、ニシンが卵を産み付けた「子持ち昆布」が含まれていたという説が有力視されています。室町幕府13代将軍の足利義輝に数の子が献上されたという記録があるため、16世紀頃には独立した食材として認められていたのでしょう。ちなみにニシンの卵(卵巣)を数の子と呼ぶようになったのは、東北地方でのニシンことを「カド(カドイワシ)」と呼んでいたためと考えられています。その魚卵は「カドの子」で、これが京都や本州に広がっていく間に訛ってカズノコに変化しました。卵の数が多いことと引っ掛けて“数の子”という漢字が当てられ、子孫繁栄に繋がる縁起物として用いられるようになっていきました。

対してニシンは東北の日本海沿岸部では食されていたと考えられているものの、産地以外では馴染みのない食材だった様です。これはニシンは脂の乗った青魚=水揚げされてから腐りが早いというデメリットがあったこと、当時日本で評価されていたのはタイやヒラメなど淡白な白身魚系だったという関係が考えられますニシンという魚の存在が認識されるようになったのは江戸時代以降。保存が効く身欠きニシンを松前藩では年貢の代わりに納めるようになり、安価なタンパク源として裕福ではない人々に親しまれるようになりました。ニシンを漢字で“鯡”と書くのも、米の代わりに使われた(魚に非ず)ことが由来とされています。1700年代中後期には江差地方でニシン漁によるバブル景気となり「江差の五月は江戸にもない」と謳われたほどだとか。

ただし、江戸時代にニシンが食用魚として評価されていたのかは微妙な所。京都では干物を煮物や昆布巻きにして食べられていたそうですが、江戸湾から新鮮な魚が揚がる江戸ではニシンは肥料(鰊粕)・灯火用の油用の魚としての利用が主。明治初期に編纂された国語辞典『言海』でもニシンの干物は貧人の食と記されていますから、他の魚を買えない人が食べる下魚の一つという扱いですね。明治から大正にかけての時期には安価な食材としてニシンの存在が見直されるようになり、急激にニシン漁獲量が増えた北海道沿岸ではニシンバブルで財を成した網元が“ニシン御殿”が建てるほどの活況となりました。しかし戦後になると漁獲量が激減したことでニシンは値上がりし、いまや下魚とは言えない存在になっています。

ニシンの栄養成分・効果について

栄養成分含有量の参考元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ニシンはタンパク質と脂質を多く含む魚で、100gあたり216kcalとカロリーは高め。魚類としてはミネラル類は多くありませんが、ビタミンDとビタミンB群、特にビタミンB6とB12を多く含んでいます。また青魚の1種であり、EPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸を含んでいることから、健康維持をサポートしてくれる食材としても世界的に親しまれています。

ニシン料理イメージ

ニシンの効果効能、その根拠・理由とは?

疲労回復・体作りに

ニシンは脂質が多い魚と紹介されることが多いですが、タンパク質も豊富。糖代謝サポートしてくれるアスパラギン酸をはじめ、筋肉増強・回復促進に有効とされているBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)などのアミノ酸類も含まれています。代謝に関わるナイアシンやビタミンB12などのビタミンB群の補給にも役立つため、合わせて丈夫な体作りや疲労回復をサポートしてくれるでしょう。筋肉アップのためにトレーニングを行っている場合なども、必要な栄養をしっかりと摂取することで成果が出やすくなりますよ。

アミノ酸の1種であるアスパラギン酸は糖代謝に関わるだけではなく、アンモニア排出を助けることで、アンモニアの無毒化を行う肝臓への負担も軽減してくれると考えられています。通常アンモニアは肝臓で尿素に変換され尿として排泄されますが、肝臓機能が低下していると代謝が滞りアンモニアが蓄積してしまうこともあります。この蓄積されたアンモニアは血液とともに全身へと循環し、神経伝達物質の働きを阻害する・代謝を低下させる・免疫力低下など様々な悪影響を及ぼす危険性が指摘されています。このためアンモニア排出をサポートしてくれるアスパラギン酸の補給は、疲労や不調緩和に繋がる可能性があると注目されています。

二日酔い・むくみ対策に

ニシンはアスパラギン酸など肝機能をサポートする働きを持つアミノ酸類を含んでいることから、お酒と合わせて摂取することで悪酔いや二日酔い予防にも役立ってくれます。ニシンにはアルコール脱水素酵素やアセトアルデヒド脱水素酵素の働きを助けてくれるナイアシンもニシンには生100gあたり4.0gと豊富ナイアシンはアルコールを摂取するほど消費量が増えることも分かっており、不足することアルコールの分解途中で生じるアセトアルデヒドの分解が滞って二日酔いの不快症状を引き起こしやすくなると考えられています。ナイアシンの補給からも二日酔いの予防・軽減に繋がると考えられます。

また、肝臓はアルコール以外にも血液中の毒素を濾過する役割を持っています。肝臓の負担が多くなると解毒機能が低下する可能性もありますから、肝臓機能を助けてくれるナイアシンやアスパラギン酸などの補給は身体本来が持つデトックス力向上に繋がる可能性もあります。魚類としては際立って多くはありませんがニシンにはナトリウム排出を促すことでむくみを予防してくれるカリウム、カリウムの運搬や血液循環を助けてくれるマグネシウムも含まれています。アスパラギン酸も尿の合成を促進する働きにより利尿効果をもたらすと考えられていますから、合わせてむくみ予防やデトックスサポートとしても効果が期待できます。

生活習慣病予防に

ニシンの脂質の中には健康メリットの高い脂質として注目されている、オメガ3(n-3)系と呼ばれる不飽和脂肪酸が含まれています。特に日本ではEPA(エイコサペンタエン酸)、国際的にはIPA(イコサペンタエン酸)と呼ばれている成分は血中の中性脂肪・コレステロール低下作用や血小板凝縮抑制作用を持つことが報告されています。こうした働きからEPAは高血圧や動脈硬化予防に効果されており、脳梗塞や心筋梗塞の予防にも注目されています。EPAと同じオメガ3に分類されているDHA(ドコサヘキサエン酸)にもコレステロール低下作用などが報告されています。血液サラサラ成分としてサプリメントなどの健康食品類にも配合されていますね。

オメガ3脂肪酸以外にニシンにはナトリウム排出を促すことで血圧を正常に保つカリウム、ナイアシンやビタミンEなど血管拡張作用を持つビタミン類も含まれています。オメガ3含有量としてはイワシの方が多く含まれていますが、ニシンは100gあたり3.1mgとビタミンEが多いことも特徵と言えます。ビタミンEは抗酸化作用を持つ栄養素でもありますから、活性酸素を抑えるという面からも血流・心血管疾患の予防をサポートしてくれるでしょう。ニシンは脂質が多くカロリーも100gあたり216kcalと高めですが、炭水化物はほとんど含んでいません。血糖値を急激に上げる心配が低い食材と言えますし、オメガ3脂肪酸にも血糖値の急上昇を抑制するという報告があるため糖尿病予防食としても注目されています。

骨・歯を丈夫に保つ

ニシンはビタミンDが生100gあたり22μg、身欠きニシンであれば50μgと豊富な部類。骨や歯を丈夫に保つ栄養素と言えばカルシウムが代表できですが、小腸や腎臓でカルシウムとリンの吸収促進・血中カルシウム濃度を保つなどビタミンDはカルシウムをサポートする形で働くビタミン。このためお子さんの成長サポートや、加齢に伴って伴い増加する骨粗鬆症の予防にも役立つ栄養素と言えます。肝心のカルシウムはニシンにも100gあたり27mgと若干含まれていますが、骨粗鬆症予防を心がけている場合はカルシウムが豊富な食材と組み合わせるとより効果的です。同グラムの含有量で比較すると、カルシウムもビタミンDもイワシのほうが上ではありますが。

ビタミンDは日光を浴びるとヒトの体内で合成されるビタミンのため、かつてはビタミンDは意識的に摂取しなくとも極端に不足することはないと考えられてきました。しかし近年は日光を浴びる機会が少ない方・紫外線を極度に避ける方が増えたことでビタミンD合成が不十分であることが指摘され、ビタミンDを食品から摂取して補う必要があるという見解が多くなっています。紫外線対策をバッチリしている・骨粗鬆症が気になるという方は、カルシウムだけではなくビタミンDを含む魚類やきのこ類も取り入れてみると良いのではないでしょうか。

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記憶力向上・認知症予防にも

オメガ3脂肪酸のうちEPA(IPA)が血液サラサラ成分と称されるのに対して、DHA(ドコサヘキサエン酸)は脳機能のサポートに効果が期待されている成分これはDHAが血液脳関門を通過できる数少ない栄養素の一つであり、脳内に取り込まれることで細胞膜を柔らかくする・シナプスを活性化することで脳の伝達性を高める働き持つ可能性が報告されているため。加えて記憶を司る脳の「海馬」にはDHAが脳の他部位に比べ2倍近く含まれていることが認められており、ラットを使った実験ではDHA投与による記憶力向上効果も報告されています。

DHAは脳細胞の活性化や記憶力・学習能力向上効果があると考えられており、特に妊娠中~幼少期の摂取が脳機能を高めるという説もあります。また人が摂取した場合でも記憶力・学習能力向上に繋がる可能性があるという説を唱える方もおり、血管障害などによって脳の一部機能が低下した場合でもDHAは残っている脳細胞を活性化することで認知症や記憶障害の改善に役立つのではないかと注目されています。EPA・DHAによる血液サラサラ効果は血流障害による脳血管型認知症予防にも繋がるでしょう。オメガ3脂肪酸の作用については研究段階であり断定されたものではありませんが、脳の健康維持のために取り入れる方が増えています。

ニシンのDHA含有量は100gあたり770mg、EPA含有量は770mgと魚類の中では中~やや多いくらいのポジション。マイワシと比較した場合は、DHA含有量はマイワシが上、EPA含有量はニシンが上となっています。と言ってもマグロ赤身のDHA含有量が120mgであることを考えると、ニシンもDHA補給には役立つ食材と言えそうですね。ちなみに全体的な脂質量を見るとニシンはマイワシの1.5倍以上の脂質量がありますが、オメガ3脂肪酸量としてはさほど違いはありません。地域・時期によって手に入れやすい魚も変わってきますから、取り入れやすい方を使えば良いのではないでしょうか。

免疫機能サポート・アレルギー軽減に

多価不飽和脂肪酸はオメガ3(n-3)系脂肪酸、オメガ6(n-6)系脂肪酸の2つに大きく分かれています。どちらも必須脂肪酸=私たちが生きていくために摂取する必要がある脂質ですが、大まかにn-6系は炎症促進・n-3系は炎症抑制方向と対になる作用を持ち、互いに影響し合うことでバランスを取っていると考えられています。しかし現在の日本では植物性油脂に含まれているリノール酸などn-6系脂肪酸は多く摂取するものの、魚を食べる機会が減ったこともあり摂取バランスがオメガ6系脂肪酸に偏っていることが指摘されています。

この偏りによって免疫バランスが崩れ、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状を発症しやすくなっているという見解もあります。オメガ3系脂肪酸を摂取して必須脂肪酸のバランスが整うことで、リノール酸過剰によってアラキドン酸から生じるロイコトリエンなどのアレルギー原因物質を抑制する働きが期待されています。ニシンには炎症やかゆみの原因となるヒスタミン産生抑制効果が報告されているビオチンも含まれていますし、肝機能を高めてデトックスと促すなどの働きと合わせて、アレルギーの軽減に役立つ可能性もあります。

ビタミンDにも免疫バランスを調節する役割を持つ可能性が報告されており、世界的にもインフルエンザやアレルギー疾患発症との関係が研究されている栄養素の一つ。ビタミンD補給源という面からも免疫機能の正常化が期待できるでしょう。東京慈恵会医科大ら国際共同研究チームからはビタミンD欠乏を改善することでインフルエンザ発症率が減少することが報告されていますし、ニシンは良質なタンパク源として丈夫な体の維持を助けてくれる食材でもあります。アレルギーの予防・軽減だけではなく、風邪やインフルエンザの予防も手助けしてくれそうですね。

精神安定のサポートにも期待

オメガ3脂肪酸は記憶力に関わるだけではなく、精神状態を健康に保つ働きがあるのではないかと注目されている物質でもあります。オメガ3の摂取量とうつ病レベルとの関連を示唆した研究報告も多く、成人と小児の両方において鬱病に対してオメガ-3脂肪酸(エイコサペンタエン酸)の投与がプラセボよりも有効であり、副作用が少ないというレビューもあります。ビタミンDについても気分を安定させて集中力を高めたり、記憶力と学習力を助けるなどの働きを持つという説があり、2015年にはアメリカで“ビタミンDとオメガ-3脂肪酸はセロトニンの合成と作用を制御する”という報告もなされています。この研究ではうつ病や双極性障害などの神経精神障害・脳機能障害の予防と改善に役立つ可能性も示唆されているため、ビタミンDとオメガ-3脂肪酸を含む魚類の摂取は精神安定にも繋がるのではないかと考えられています。

貧血予防・改善について

ニシンは生100gあたり17.4μgと、サンマに次いでビタミンB12を多く含むことから貧血予防に役立つ魚として紹介されることもあります。葉酸とともに赤血球や神経細胞の核酸やたんぱく質の合成に関与する栄養素で、不足すると巨赤芽球性貧血(悪性貧血)を起こす場合もあります。ただし動物性食品しかほとんど含まれていないビタミンのため菜食主義の方などであればビタミンB12不足もありえますが、様々な食品を食べている場合は極端に不足することはないとされています。ビタミンB12は食事から過剰に摂取しても吸収されずに排出されるため、過剰症を起こす心配はありませんが貧血予防や改善に役立つかは微妙な所です。

日本人の貧血の大半は鉄分が不足する鉄欠乏性貧血。ニシン生100gあたりの鉄分含有量は1mgとあまり多くはありません。吸収・利用率が高いヘム鉄(動物性鉄分)ですから鉄分補給には役立ちますが、ニシン一つで不足している鉄分を補えるというものではありません。葉酸が100gあたり13μgと多くはありませんから、バランスを考えて食事の中に組み込むと良いくらいの位置付けでしょうか。貧血気味の方であれば葉酸や鉄分が豊富な野菜などと組み合わせて食べることをお勧めします。

美肌作りのサポートに

ニシンは抗酸化作用を持つビタミンEが生100gあたり3.1mgと、魚類の中では豊富な部類。活性酸素は肌細胞を酸化させることでシワやたるみ・角質化など肌の老化現象を進行させることが指摘されていますから、抗酸化物質の補給からキレイな肌を保つ手助けをしてくれると考えられます。加えてビタミンEは末梢血管の拡張作用を持ち、血行を良くする働きを持つビタミンでもあります。オメガ3脂肪酸(DHAやEPA)やナイアシンなどスムーズな血液循環をサポートしてくれる成分がニシンには多く含まれていますから、複合して血行不良によるクマやくすみの改善・肌の新陳代謝正常化などに繋がる可能性もあるでしょう。

そのほかアミノ酸は肌や髪の原料としても使用されますし、ニシンには天然保湿成分(NMF)やコラーゲンの元になるグリシン・アラニン・プロリンなどのアミノ酸も含まれています。アルギニンには成長ホルモンを促すことで皮膚ダメージの修復を高める働きが、アスパラギン酸には水分を保持して肌の潤いを保つなどの働きも期待されていますから、タンパク質補給源としても美肌作りをサポートしてくれそうですね。

目的別、ニシンのおすすめ食べ合わせ

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ニシンの選び方・食べ方・注意点

近年は冷蔵・輸送技術の発達から全国的に生のニシンも販売されているようですが、古くから馴染みのあるニシンは干物の“身欠きニシン”の方ではないでしょうか。身欠きニシンとして販売されているものでも、カチカチに乾燥している本干しタイプソフトな感触の半干しタイプの2種類があり、料理に使うまでの工程が違います。

しっかりと乾燥されているものであれば表面を軽く洗い、米の研ぎ汁に一晩~2日つけて戻してから使用します。ウロコをとってさっと水洗いすれば準備完了。このまま煮たり焼いたりしても食べられますが、ほうじ茶・番茶・ウーロン茶などで下茹でして臭みと渋みを取る→煮汁を捨ててもう一度水洗いするという工程を入れたほうが食べやすいです。甘露煮など煮魚用として利用されることが多いですが、焼いて食べても美味しいですよ。北海道人はニシン漬けを作るときも本干しの身欠きにしんを使います。

ソフトタイプ(半干し)の身欠きニシンであれば、漬け戻しをしなくても使用できます。人によって使い方は色々ですが、水で綺麗に泡ってウロコやヒレなどを取って軽く霜降りする程度でも使用できます。炙って食べる場合であれば湯に通してから冷水につけて焼けばOK、甘露煮などにする場合は一度下茹でしてから煮汁を捨てて調理します。商品によるかも知れませんが、個人的には乾燥が弱いもののほうが、生臭さを感じやすいように思います。臭いが気になる場合は下茹でする・下茹でに烏龍茶などを使うと食べやすくなります。

美味しいニシンの選び方・保存方法

生のニシンを選ぶ場合にはお腹部分がカッチリと硬く、鱗の状態がよく綺麗な銀色に光っているものを選ぶようにします。他の魚と同様に黒目が澄んでいること・エラの色が鮮やかなことも鮮度の見分け方として紹介されていますが、ニシンは漁獲時に目から内出血した状態になっているものが多いという特徵もあります。あからさまに目が白っぽく濁っていない限りは、鮮度の見分けとしては役立たない可能性が高いそう。

ニシンの鮮度を見分けるのに分かりやすい部位はエラブタ。水揚げされてから時間が経つほどエラの赤みが広がっていき、最終的には血の混じった赤っぽい水分がエラから溢れてきます。エラあたりから赤い汁が出ているもの・肛門が緩んで排泄物が出ているようなものは避けるようにしましょう。形状としてはふっくらした丸み・厚みがあるものが良品。水に使った状態で販売されているものは「水が濁っていないこと」が第一ですが、ひどく水が濁ったものは入れ替えられている可能性もあるため注意。

ニシンは鮮度が落ちやすく、足の早い魚の一つ。出来ることならば手に入れた当日か翌日には使用したい魚です。
水分を拭き取ってから空気に触れないようにピッチリとラップで包んで冷蔵庫に入れたとしても、賞味期限としては3日程度が目安。臭みのある魚と思われがちですが、鮮度の良いニシンはクセが少なく旨味・ほのかな甘味があります。新鮮な生ニシンが手に入ったらぜひ塩焼きを試してみて頂きたいところ。

すぐに食べない場合であれば冷凍するか、塩漬け・酢漬けなどに加工しておくことをお勧めします。ちょっとおしゃれな印象のあるニシンの酢漬け(マリネ)も、新鮮なニシンでないと自作できないですし。北欧やドイツではニシンの酢漬けをパンに乗せてサンドにして食べたり、ジャガイモ料理と組み合わせて食べることが多いそう。出身地である北海道もニシンとジャガイモの産地ですが組み合わせた記憶はありません、が、やってみると結構合いました。

参考元:Herring as food – Wikipedia昆布と数の子はいつ頃日本に広まった?なぜお正月の縁起物?Pickled Herring: The Omega-3 Powerhouse that Supports the Heart & Mind